弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人の上告趣意について。
 所論は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。
 弁護人平野利の上告趣意(補充書二通を含む)第一点について。
 論旨は、一審判決がその判示第二の応預合罪を認定する証拠に供したAに対する
司法警察員および検察官作成の各供述調書は強制によるものであることを前提とし
て、右一審判決を支持した原判決は憲法三八条に違反すると主張する。しかし、こ
の点に関し原判決は「本件取調に当つてはこのような職務上当然とすべき程度以上
に常規を逸脱し拷問に類似するような取調をしたとは認められないし、Aがこの取
調に畏怖心を生じ精神的にも衝撃を受けたとすることもできない」と判断しており、
本件記録に徴するとこの判断は正当であり所論の違法は認めることができないから、
所論違憲の主張は前提を欠き採るをえない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決および一審判決は商法四九一条の預合罪および応預合罪を不当に
拡張して解釈し、適法行為までも処罰するもので、罪刑法定主義を破り憲法三九条
に違反すると主張する。しかし、所論の実質は、被告人の所為が商法四九一条後段
所定の応預合罪を構成しないとする、単なる法令違反の主張に帰し、刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。(なお、商法四九一条後段にいわゆる応預合罪は、株金払
込取扱機関の役職員らが同法四八六条一項に掲げる者と通謀して株金の払込を仮装
する行為をなすことを構成要件とするものと解すべきところ、本件においては、株
金払込取扱機関の役職員である被告人がBと共謀し、株式会社Cの設立発起人であ
るD、同Eと通謀して株式会社Cの株金の払込を仮装する行為をなしたものであり、
右通謀仮装行為の一環としてAを介在させたに過ぎないのであるから、Aを介在さ
せたことによつて、右通謀して株金の払込を仮装する行為をなしたことに何らの消
長をきたすものではない。この点に関する原判示は正当である。)
 同第三点について。
 所論は事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点について。
 所論は、原判決は「経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律」二条の解釈を誤つたとい
う単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、
所論は当裁判所の判例「昭和二八年(あ)第五六二六号、同三一年二月二九日第二
小法廷決定、刑集一〇巻二号二五二頁」の趣旨に副わない主張であつて採るをえな
い。)
 同第五点について。
 所論は事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人成瀬清の上告趣意(補充書二通を含む)第一点について。
 所論は弁護人平野利の上告趣意第一点について説示したと同一の理由により採用
できない。
 同第二点について。
 所論は違憲をいうが、その実質は単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないも
ので刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人大橋光雄の上告趣意第一点について。
 所論は憲法三一条、同三九条違反を主張するが、その実質は単なる法令違反の主
張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論は憲法三一条、同三七条違反を主張するが、その実質は単なる法会違反の主
張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(所論は前掲当裁判所の判例の
趣旨に副わない主張であつて採るをえない。なお、所論F銀行G支店からAに対す
る預金を担保とする金四〇万円の貸付は、本件株金払込取扱機関の役職員らと株式
会社の設立発起人らとの通謀による株金払込を仮装する行為の一環として、右支店
から設立発起人に対する株式払込金の融通たるの実質をなすものであるから、右部
分だけを切り離して、所論金融機関資金融通準則第五の四にいう「預金を担保とす
る当該預金者に対する資金の融通」に当るとすることもできない。)また記録を調
べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和三五年六月二一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    高   橋       潔
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一

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