弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人矢部克已久保田美英牧野敬治上告趣意第一乃至第四点について。
 所論昭和二二年勅令第一号第一五条第一項によれば「覚書該当者は公選による公
職の候補者の推薦届出又は選挙運動その他の政治上の活動をしてはならない」と規
定し、そしてその推薦届出の中には「候補者の届出又は推薦届出に関する連署を含
む」ものであることを明らかにしている。従つて公選による候補者をして当選を得
せしめる目的を以てますその推薦届出をなし次いでその選挙運動をなした場合にお
いては、それら一連の行動が所論のように茲に所謂政治活動として一罪を構成する
こともあり得るであろう。しかし、かかる場合においてもその一連の行動の中推薦
届出の所為のみを捉えて既に所謂政治活動をなしたものであると見ることを妨ぐべ
き何等の理由も存在しないのである。本件公訴事実は被告人Aは昭和二三年九月一
五日その他の被告人は同月中旬頃、同年一〇月一五日施行の和歌山県D選挙の立候
補者Cの推薦連署表に自ら署名捺印その推薦届出をなしたというのであり、原審は
該事実を認定しているのである。そしてこの原審の事実認定は原判決挙示の証拠に
照らしてこれを肯認するに難くないのである。されば原審が被告人等に対し、前掲
勅令違反罪の既遂として擬律したのはむしろ当然である。所論の推薦の取消という
が如きことは、犯罪既遂後においてその実害の可及的削減を試みた行動に過ぎない
のであつて、犯情に影響するところあるは格別、既に成立した犯罪の消長には何等
の関係もない。もとより中止末遂を招来すべき道理はないのである。従つて所論取
消の事実を認定判示しなかつたとしても原判決に所論のような違法があるとはいい
得ない。論旨はすべて理由がない。
 同第五点について。
 原判決は被告人A及びDに対し判示第一、第二の犯罪事実をそれぞれ認定し所論
勅令第一六条所定範囲内において量刑処断しているのである。しかもその量刑たる
や諸般の犯情を斟酌した結果と認められるのであり、何等条理に反し違法と目すべ
き点は存在しないのである。所論は名を「罰条の不当適用」にかりて、事実審であ
る原審の裁量権に属する量刑の不当を非難するに帰着し上告適法の理由となすに足
りない。
 同第六点について。
 本件において原判決は被告人等がいずれも判示犯罪事実を認識しながら敢てこれ
を行つたものであることを認定しているのであるから被告人等に犯意なきものとい
うことはできない。所論の趣旨とするように、本件勅令違反罪のような所謂法定犯
の場合においては犯罪事実の認識の外になおその行為に反道義性乃至反社会性ある
ことの認識がなければ犯意ありと為し得ないとの見解をとるとしても、覚書該当者
が、政治活動をしてはならないこと、そして公選による公職の候補者のためにその
推薦届出又は選挙運動をなすことが所謂政治活動と目さるべきであろうことは常識
として通常人の周知するところであり、特に覚書該当者にあつては一層強い意味に
おいて然りといい得るのである。従つて覚書該当の指定を受けている被告人等にお
いても判示犯罪事実の反社会性のあることはこれを当然意識していたものといわざ
るを得ないのである。原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
 同第七点について。
 原判決によれば、原審は被告人等が所論の教育委員選挙の候補者Cの推薦連署表
に自ら署名捺印しその推薦届出をなしたとの事実を認定しているのである。そして
この事実認定が肯認し得るものであることは前段論旨に対する説明において既に説
示した通りである。所論は原審が右推薦届出の有無を確定しないことを前提とする
ものであり、判旨にそわない非難を試みるものに外ならない、論旨は理由なきもの
である。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 小幡勇三郎関与
  昭和二四年八月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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