弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人の本件控訴を棄却する。
     原審及び当審における訴訟費用は被上告人の負担とする。
         理    由
  上告代理人藤井俊彦、同宮崎直見、同有本恒夫、同田邉安夫、同亀谷和男、同
小澤義彦、同林勘市、同庄司勉、同験馬国夫、同岡崎長、同相馬正明の上告理由に
ついて
 一 原審の適法に確定したところによると、(1) 被上告人は、耳鼻咽喉科医を
業とする者であるが、昭和五四年分の社会保険診療報酬に係る事業所得の計算に当
たり、租税特別措置法(以下「措置法」という。)二六条一項の規定を適用したう
え、総所得金額を四二三〇万〇九八七円、税額を一八二九万五〇〇〇円とする確定
申告をした、(2) その後、被上告人は、昭和五五年七月九日、社会保険診療報酬
につき取引実績を基礎とする収支計算の方法によつて計算すると、総所得金額は三
六八三万〇三一九円、税額は一五〇一万二四〇〇円になるとして、上告人に対し更
正の請求をした、(3) これに対し、上告人は、確定申告に際して選択した措置法
二六条一項の計算方法を後日他の計算方法に変更することは許されず、更正の請求
ができる場合に当たらないとして、被上告人に対し、更正をすべき理由がない旨の
通知処分(以下「本件処分」という。)をした、というのである。
  被上告人は、本訴を提起し、本件更正の請求は国税通則法(以下「通則法」と
いう。)二三条一項一号により許される場合に当たり、更正をすべき理由がないと
した本件処分は違法であるとして、その取消しを求めたところ、第一審は、本件処
分に違法はないとして被上告人の請求を棄却したが、原審は、措置法二六条一項の
規定に基づき必要経費を計算して確定申告をしたところ、これが現実の必要経費よ
り過少で、そのため措置法の規定に基づいて算出した税額が所得税法の原則たる収
支計算の方法により算出した税額より過大となつた場合には、通則法二三条一項一
号所定の「当該計算に誤りがあつた」ものとして更正の請求が許されるべきである
と判断して、第一審判決を取り消し、被上告人の請求を認容した。
 二 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は次のと
おりである。
  措置法二六条一項は、医師の社会保険診療に係る必要経費の計算について、実
際に要した個々の経費の積上げに基づく実額計算の方法によることなく、一定の標
準率に基づく概算による経費控除の方法を認めたものであり、納税者にとつては、
実際に要した経費の額が右概算による控除額に満たない場合には、その分だけ税負
担軽減の恩恵を受けることになり有利であるが、反対に実際に要した経費の額が右
概算による控除額を超える場合には、税負担の面から見る限り右規定の方法による
ことは不利であることになる(ただし、税負担の面以外では、記帳事務からの解放
などの利点があることはいうまでもない。)。もつとも、措置法の右規定は、確定
申告書に同条項の規定により事業所得の金額を計算した旨の記載がない場合には、
適用しないとされているから(同法二六条三項)、同条項の規定を適用して概算に
よる経費控除の方法によつて所得を計算するか、あるいは同条項の規定を適用せず
に実額計算の方法によるかは、専ら確定申告時における納税者の自由な選択に委ね
られているということができるのであつて、納税者が措置法の右規定の適用を選択
して確定申告をした場合には、たとえ実際に要した経費の額が右概算による控除額
を超えるため、右規定を選択しなかつた場合に比して納付すべき税額が多額になつ
たとしても、納税者としては、そのことを理由に通則法二三条一項一号に基づく更
正の請求をすることはできないと解すべきである。けだし、通則法二三条一項一号
は、更正の請求が認められる事由として、「申告書に記載した課税標準等若しくは
税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤
りがあつたこと」を定めているが、措置法二六条一項の規定により事業所得の金額
を計算した旨を記載して確定申告をしている場合には、所得税法の規定にかかわら
ず、同項所定の率により算定された金額をもつて所得計算上控除されるべき必要経
費とされるのであり、同規定が適用される限りは、もはや実際に要した経費の額が
どうであるかを問題とする余地はないのであつて、納税者が措置法の右規定に従つ
て計算に誤りなく申告している以上、仮に実際に要した経費の額が右概算による控
除額を超えているとしても、そのことは、右にいう「国税に関する法律の規定に従
つていなかつたこと」又は「当該計算に誤りがあつたこと」のいずれにも該当しな
いというべきだからである。このように解しても、納税者としては、法が予定して
いるとおり法定の申告期限までに収支決算を終了してさえいれば、措置法二六条一
項所定の概算による経費控除の方法と実額計算の方法とのいずれを選択するのが税
負担の面で有利であるかは容易に判明することであるから、必ずしも納税者に酷で
あるということはできないし、かえつて右のように所得計算の方法について納税者
の選択が認められている場合において、その選択の誤りを理由とする更正の請求を
認めることは、いわば,納税者の意思によつて税の確定が左右されることにもなり
妥当でないというべきである。
 したがつて、右と異なる見解に立つて本件処分を違法とした原審の判断は、通則
法二三条一項一号の規定の解釈適用を誤つたものというべきであり、右の違法は判
決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点を指摘する論旨は理由が
あり、原判決は破棄を免れない。そして、以上によれば、本件処分に違法はないと
した第一審判決は正当であつて、被上告人の控訴は棄却されるべきものである。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、
八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長   島       敦
            裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    安   岡   滿   彦
            裁判官    坂   上   壽   夫

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