弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中二〇〇日を本刑に算入する。
         理    由
 被告人の上告趣意は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五
条の上告理由に当らない。
 弁護人諌山博の上告趣意について。
 第一点は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であり、第二点は、原審で主張、
判断のない事項に関し判例違反に名を藉り単なる訴訟法違反の主張をなすに過ぎず
第四点は、単なる訴訟法違反の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。
 第三点は、判例違反及び法令違反を主張するところであり、所論のとおり大審院
明治四三年(れ)第八五〇号同年六月一七日判決は、刑法二三六条二項の罪の成立
するがためには犯人が他人に財産上作為又は不作為の処分を強制することを要し、
債務の履行を免れる目的をもつて単に債権者を殺害するがごときは同罪をもつて論
ずることを得ないものとしている。しかし、右二三六条二項の罪は一項の罪と同じ
く処罰すべきものと規定され、一項の罪とは不法利得と財物強取とを異にする外、
その構成要素に何らの差異がなく、一項の罪におけると同じく相手方の反抗を抑圧
すべき暴行、脅迫の手段を用いて財産上不法利得するをもつて足り、必ずしも相手
方の意思による処分行為を強制することを要するものではない。犯人が債務の支払
を免れる目的をもつて債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権
者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手
段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支
払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく右二三六条二項の不法利得罪を構成す
るものと解すべきである。この意味において前示明治四三年判例は変更されるべき
である(なお、大審院昭和六年(れ)第二四八号同年五月八日判決が、犯人におい
て債務の支払を免れるため暴行の手段を用い債権者をしてその支払の請求をなすこ
とを不能ならしめる状態に陥らしめたことをもつて、前示明治四三年判例のいわゆ
る他人に不作為による財産上の処分を強制したものに外ならない旨の附加説示をし
ている点は、強いて明治四三年判例との調和を図ろうとした説示という外はない)。
 本件につき原判決の確定したところによれば、被告人は、大牟田市ab番地に居
住する真言宗教師試補A(明治一九年三月一八日生)と信仰関係で知合の間柄で、
同女が多額の金銭を貯えこれを他に融通しているところから、被告人自身も昭和二
九年二月頃六万円、同年三月頃五万円、計一一万円を自己の営業費や家族の生計費
等に資するため借り受けると共に、その頃同女の他人に対する貸金の斡旋取立等を
委任されるに至つたが、交付を受けた金員について被告人がほとんど同女の手許ま
でその返済をしなかつたため、被告人に対して不信をいだくようになつた同女から
再三その返済方を督促され、これに対し被告人は、長崎県島原の実兄に依頼して預
金がしてあり、それが三二〇万円位になつている旨虚言を弄していたが、同年六月
一二日夜路傍で同女に出逢つた際にも強く返済方を迫られた上「もうこれ以上だま
すと警察や信者にばらす」といわれたので、被告人は「明日の晩全部支払うから待
つてくれ」といつてその場をいいつくろつたものの、これが返済の手段がなかつた
ので、一面前記貸借につき証書もなくその内容は分明を欠き、また、他面同女が死
亡すれば被告人以外にその詳細を知る者のないことに思をいたし、むしろ同女を殺
害して債務の履行を免かれ以て財産上不法の利得を得ようと企図し、同女に対し「
明晩金を渡すから芝居を観に行つて一幕早く帰つて来てくれ、家では人が来るとい
けないから何処かの家をかりてそこで支払うことにしよう」と申し向け、翌一三日
夜被告人の言葉に従い観劇に行つた同市通町劇場「B」を一幕先に立ち出て被告人
方に立ち寄つた同女と共に被告人方を出て、同市大字C水門より約八五米上流の人
家がなく人通りの稀れな道路上に差しかかるや、同女の後部にまわり矢庭に所携の
薪様の兇器をもつて同女の頭部等を殴打し、因て頭部、顔面等に多数の裂創挫創等
を負わせ人事不省に陥らしめたが、同女が即死したものと軽信しそのままその場を
立ち去つたので、同女の右創傷が被告人の意に反し致命傷に至らなかつたため殺害
の目的を遂げなかつたというのであるから、被告人の右所為は、前示の法理に照し
刑法二四〇条後段、二四三条、二三六条二項に該当し、強盗殺人未遂の罪責を負う
べきこと勿論であるといわなければならない。されば、原判決は結局正当であつて、
所論は理由がない。
 弁護人鶴和夫の上告趣意について。
 第一点は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であり、第二点は、判例違反をいう
が判例を具体的に示していないから、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 第三点は、前記諌山弁護人の論旨第三点について説示したとおりである。
 なお、本件は、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一〇条二項、同四一四条、三九六条、刑法二一条により裁判官全員一
致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 斎藤三郎公判出席
  昭和三二年九月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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