弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人山岸竜の上告趣意第一点について。
 横領罪の成立に必要な不法領得の意志とは、他人の物の占有者が委託の任務に背
いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意
志をいうのであつて、必ずしも占有者が自己の利益取得を意図することを必要とす
るものではなく、又占有者において不法に処分したものを後日に補填する意志が行
為当時にあつたからとて横領罪の成立を妨げるものでもない。本件につき原審の確
定した事実によると、被告人は居村の農業会長として、村内の各農家が食糧管理法
及び同法に基ずく命令の定めるところによつて政府に売渡すべき米穀すなわち供出
米を農業会に寄託し政府への売渡を委託したので、右供出米を保管中、米穀と魚粕
とを交換するため、右保管米をA消費組合外二者に宛て送付して横領したというの
である。農業会は各農家から寄託を受けた供出米については、政府への売渡手続を
終つた後、政府の指図によつて出庫するまでの間は、これを保管する任務を有する
のであるから、農業会長がほしいままに他にこれを処分するが如きことは、固より
法の許さないところである。そして、前段に説明した理由によれば、原審の確定し
た事実自体から被告人に横領罪の成立に必要な不法領得の意志のあつたことを知る
ことができるのであるから、原判決には所論のような理由の不備若しくは齟齬の違
法はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原審の公判調書によると、被告人は原審の公判廷において原判決の認定したよう
な事実は総てこれを認めたのであつて、たゞ、かかる事実は横領罪に当らず、した
がつて、被告人に横領の意志がなかつたことを主張したものに外ならない。されば、
原審が被告人の原審公判廷における供述を判示同旨の供述として引用したことは固
より正当であつて、原判決には所論のような虚無の証拠によつて事実を認定した違
法はなく、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原審の認定した事実が横領罪に当るものであることについては、論旨第一点に対
する説明において述べたとおりであつて、本論旨は、これと異なつた見解の下に原
判決を非難するものに外ならない。されば、原判決には所論のような違法はなく、
論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決
する。
 以上は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年三月八日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛