弁護士法人ITJ法律事務所

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○ 主文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
○ 事実
控訴人ら代理人は、「原判決を取消す。本件を水戸地方裁判所に差し戻す。」との
判決を求め、被控訴代理人は、各控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の主張は原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
○ 理由
当裁判所も、被控訴人が昭和五一年九月一三日にした鹿島臨海都市計画道路の都市
計画変更処分は、処分性を欠くゆえをもつて抗告訴訟の対象となり得ないものであ
るから、右都市計画変更処分の取消を求める控訴人らの本件訴は不適法なものとし
て却下を免れないと判断するものであり、その理由は次のとおり付加するほか、原
判決がその理由において説示するところと同じであるから、右説示を引用する。
すなわち、都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、
都市計画区域として市街化区域及び市街化調整区域が定められ、かつ、当該都市計
画区域において必要と認められる道路・公園・水道・河川・学校・病院・市場・住
宅施設・官公庁施設・流通業務団地等の都市施設が定められるところ、都市施設
は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位
置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するよ
うに定められるべきものであるが、被控訴人は、既に決定していた都市計画につき
計画を一部変更する必要が生じたので、控訴人ら主張の鹿島臨海都市計画道路につ
き都市計画変更処分をしたものである。しかし、都市施設が右のような基準に従つ
て定められるべきものであるとしても、都市計画の決定処分及びその変更処分は、
いずれも都市計画の策定に続いて実施されるものと予定されている都市計画事業の
円滑な遂行を図るための一般的・抽象的な計画の決定にとどまるものと解されるの
であつて、それは特定の個人に対し直接その権利義務に変動を及ぼす性質のもので
はないのであるから、いまだ抗告訴訟の対象として取り上げるに足りるだけの事件
としての成熟性に欠けるものと見るのが相当である。
よつて、控訴人らの本件各控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することと
し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九
条、第九三条第一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 杉田洋一 長久保 武 加藤一隆)
(原裁判等の表示)
○ 主文
一 本件訴えをいずれも却下する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が、昭和五一年九月一三日決定した鹿島臨海都市計画道路三、五、一七
号、知手、鰐川線の都市計画変更処分を取消す。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
(本案前の答弁)
主文同旨。
(本案に対する答弁)
1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 (本件処分)
被告は、昭和五一年九月一三日、茨城県知事の承認を得て鹿島臨海都市計画道路
三、五、一七号、知手、鰐川線の都市計画変更処分を為した。
2 (本件処分の違法事由)
(一) 都市計画における都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通し
を勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確
保し、良好な都市環境を保持するように定めることとされているが、前記処分は、
道路の配置が土地利用の現状を充分勘案していないので、違法である。
すなわち、高浜地区における道路の配置を、前記変更処分における位置よりも約五
〇メートル南方の位置とすれば、原告Aが営む清浄豚飼育のための畜舎を分断する
ことが避けられ、しかも、他に存する二棟の民家の移転が不要となる。また、五〇
メートル南方とすることによる不都合は、特に存しない。
(二) 都市計画の決定または変更にあたつては、可及的に住民の意思を反映させ
るよう手続的に配慮することを都市計画法は求めているが、説明会における図面と
縦覧に供された図面とでは変更決定にかかる道路の位置にずれの存すること、町の
都市計画審議会において町の担当課長が道路を五〇メートル南方にずらすことによ
る不都合として述べた説明が、議事録に記載されておらず、しかも、右説明が事実
に反すること、このため、審議会の審理も誤つた説明を前提に為されていること等
により、住民の意見の反映のための配慮を欠いている。
3 (原告適格、訴えの利益)
(一) (1)原告両名は、本件処分により道路が設置される予定区域内に、不動
産を所有している。
(2) 本件処分は、ひきつづき、県知事の事業認可を得て、土地の収用等の具体
的事業の施行に及ぶことを予定するものであり、本件処分の違法性も右段階に及ん
でから主張すべきとの考えもあるが、本件処分時には、より道路設置に適する地域
であつても、現状のまま知事の事業認可を待つならば、建築物の新築等により道路
の設置に適さなくなり、ひいては、原告の権利保護は不能に帰することとなる。従
つて現時点における訴の提起を認めるべきである。
4 (出訴期間)
(一) 本件処分は、道路の設置を最終目的とする処分であり、一連の手続を前提
としている。すなわち、前述のとおり、今後、被告は、県知事の認可を受けて、都
市計画事業として工事を施行することとなる。
(二) 本件処分の違法性は、第2項のとおりであるが、右瑕疵は、都市計画事業
を開始するための事業の認可に当然影響を及ぼす。すなわち、右認可の前提となる
本件処分が違法であれば、本件処分が取消され、もしくは、変更されない限り、適
法に認可を受けることは不可能であり、仮に本件訴が出訴期間経過のため不適法と
されても、本件処分を前提とする認可に対する不服申立が可能となるからである。
(三) このような場合に、処分取消の訴の出訴期間を絶対的なものと考えること
は、違法な処分の是正が遅れるだけであり、しかも、現実には現地測量による道路
の位置のみが、道路の設置に適することとなり、都市計画の決定にあたつて可及的
に住民の意思を反映させるべしとする都市計画法の趣旨にも反する結果となるから
である。
5 (結論)
よつて、原告らは、被告に対し、本件都市計画変更処分の取消しを求める。
二 被告の答弁
(本案前の抗弁)
被告の本件処分は、取消訴訟の対象たる行政処分ではない。即ち、被告の本件処分
は、都市計画法に基づく都市施設に関する決定であるが、これは、本件都市施設に
より被告の交通体系の整備を図り、もつて健全な街づくりを目的とする行政的、技
術的裁量によつて、一般的、抽象的に決定されたいわゆる一般的行政処分であり、
特定の個人を対象にした具体的処分ではなく、本件処分によるも地域住民の権利関
係に対し、直接変動をきたすものではない。従つて、被告の本件処分は、抗告訴訟
の対象たる行政処分でない。
(請求原因に対する認否)
1 請求原因1記載の事実は認める。
2 同2(一)は争う。同2(二)記載の事実は否認する。
3 同3(一)(1)記載の事実は認める。同3(一)(2)は争う。
○ 理由
一 被告が、昭和五一年九月一三日、茨城県知事の承認を得て鹿島臨海都市計画道
路三、五、一七号、知手、鰐川線の都市計画変更処分を為したこと、原告らが、右
処分により道路が設置される予定区域内に不動産を所有していることは、当事者間
に争いがない。
二 ところで、都市計画道路の変更処分は、都市施設に関する都市計画決定の変更
処分であり、その法的性格は都市施設に関する都市計画決定と同一であることは明
らかであるところ、右都市施設に関する都市計画決定は、爾後になされる都市計画
事業の基礎を定めるものであつて、その法的性質は、通常の個別的行政処分とは異
なるいわゆる一般処分であつて、むしろ立法行為的性格をもつものというべく、そ
れ自体国民の権利義務に直接変動を及ぼすものではない。原告らの権利救済は、右
都市計画(変更)決定に引続いて進められる事業計画の施行段階における土地収
用、仮換地ないし換地処分等直接権利義務に変動を及ぼす個別具体的処分に対する
抗告訴訟においてなされるのが相当であり、処分性を欠く右都市計画変更決定の取
消を求める原告らの本件訴えはいずれも不適法として却下を免れない。
なお、かように解しても、右都市計画変更処分に違法事由が存するときは、該都市
計画道路実現のための前示土地収用、仮換地ないし換地処分等の後続処分にその違
法性は承継され、右後続処分の取消訴訟においてその違法事由を主張しうると解す
るのが相当であるから、原告らの権利救済に欠けるところはない。
三 よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九三条を適用して主文の
とおり判決する。

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