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平成13年(行ケ)第226号 特許取消決定取消請求事件
平成14年11月7日口頭弁論終結
          判      決
   原   告    サミー株式会社
   訴訟代理人弁理士 北村 仁,米山淑幸
   被   告    特許庁長官 太田信一郎
   指定代理人    木原 裕,鈴木寛治,山口由木,林 栄二,高木 進
          主      文
  原告の請求を棄却する。
  訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 特許庁が異議2000-72489号事件について平成13年3月28日にした
決定を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
第2 前提となる事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 本件特許
  特許権者     サミー株式会社(原告)
  発明の名称    「スロットマシン」
  特許出願日    平成5年9月10日(特願平5-225358号の一部を
新たな出願とした特願平7-329337号)
  特許設定登録日  平成11年10月15日
  特許番号     特許第2991650号
  (次の(2)における訂正請求後の請求項1に係る発明を「本件発明」とい
う。)
 (2) 本件手続
  特許異議事件番号 異議2000-72489号
  訂正請求日    平成12年12月5日(本件訂正)
  異議の決定日   平成13年3月28日
  決定の結論    「訂正を認める。特許第2991650号の請求項1に係
る特許を取り消す。」
  決定謄本送達日  平成13年4月18日(原告に対し)
 2 本件発明の要旨
 本件発明は,本件訂正請求後の請求項1に係る下記のものである(なお,下線部
分の構成を「本件発明の構成E」という。)。
【請求項1】 複数のリールと,
 これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと,
 乱数を発生させる乱数発生手段と,
 前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて,前記乱数発生手段から発
生される乱数値から一つの乱数値を抽選する乱数抽選手段と,
 この乱数抽選手段により抽選された乱数値が,前記乱数発生手段から発生する乱
数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれると,入賞信号を出力する入賞判
定手段と,
 この入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,遊技機を制御する遊技制御手段
と,
 前記入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,メダルを払い出すメダル払出手段
とを備えたスロットマシンにおいて,
 上記入賞判定手段での入賞を条件に,サブ抽選をするサブ抽選手段を備え,
 このサブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件に,乱数発生手段から発生す
る乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変更することにより,入賞確率を設
定する確率変更手段と,
 前記サブ抽選手段による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定手
段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数発生手
段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの判断
を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前記入賞
判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数
発生手段から順次発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか
否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり,
 前記確率変更手段は,前記サブ抽選手段による抽選において前記入賞以外のはず
れであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定することを
特徴とするスロットマシン。
 3 決定の理由
 本件決定の理由は,【別紙】の「異議の決定の理由」に記載のとおりである(以
下「決定書」という。)。その要旨は,本件訂正請求は適法であるのでこれを認め
るが,本件発明は,特開平6-335560号公報の明細書(以下「先願明細書」
という。本件出願日の前に出願され本件出願後に出願公開されたもの)に記載の発
明(以下「先願発明」という。)と同一であって,特許法29条の2第1項の規定
により特許を受けることができない,というものである。
第3 原告主張の決定取消事由の要点
 1 決定は,先願明細書(特願平5-127525号の願書に最初に添付された
明細書又は図面,甲2(特開平6-335560号公報)参照)に記載の先願発明
の認定を誤ることにより,本件発明と先願発明とが同一発明であると誤って認定し
たものであるから,違法として取り消されるべきである。
2 決定は,「先願明細書には本件発明の『サブ抽選手段』が記載されてい
る。」(決定書の(3-3)「対比及び判断」第2段落末尾)と認定し,この認定を前提
として,「先願明細書には,本件発明の「E」が記載されている。」(決定書
の(3-3)「対比及び判断」第3段落末尾)と認定したが,誤りである(本件発明の構
成Eについては,前記第2の2「本件発明の要旨」の下線部分参照)。
3 被告は,先願発明の「S195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許容
値と比較する処理」(甲2の段落【0096】。以下,この処理を「比較処理」と
いう。)が本件発明の「サブ抽選手段」に相当すると主張する。
しかし,本件発明の「サブ抽選手段」は,単に「演算結果を確率変動当選許容値
と比較する処理」を行うだけでは足らず,その比較結果に基づいて,入賞確率が設
定されて初めて,「サブ抽選手段」に相当するといえる。
このことは訂正明細書(甲5)の請求項1の次の記載から明らかである。
「前記サブ抽選手段による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞
判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数
発生手段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否か
の判断を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前
記入賞判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前
記乱数発生手段から順次発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含ま
れるか否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり,」
 他方,先願明細書には,次のような記載がある。
 ・ 「S195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許容値と比較する処理が
なされる。・・・S195Eにより,演算結果が,確率変動2回当選許容値の範囲
内であれば,S195Fに進み,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を
『77』にセットする処理が行なわれて・・・演算結果が確率変動1回当選許容値
の範囲内である場合には,・・・ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を
『33』にセットする処理がなされて」(甲2の段落【0096】)
・ 「S195Mに進み,停止図柄が『77』となる特別の遊技状態が発生して
いるか否かの判断がなされ,『77』である場合にはS195Nに進み,確率変動
カウンタを『2』にセットする処理がなされてS195Qに進む。一方,停止図柄
が『33』となる特別の遊技状態が発生している場合には,S195OによりYE
Sの判断がなされてS195Pに進み,確率変動カウンタを『1』にセットする処
理がなされてS195Qに進む。」(同段落【0097】)
 これによれば,先願発明では,比較処理の結果,入賞の時は,S195F又はS
195Hの停止図柄「77」セット又は停止図柄「33」セットの処理を行った後
に,S195M又はS195Nにおいて,停止図柄が「77」又は「33」である
と判定されたときに,確率変動カウンタの値を「2」又は「1」とする処理を行
い,この変動カウンタの値によって,初めて入賞確率を設定することが行われてい
る。
 なお,先願発明では,停止図柄「77」セット又は停止図柄「33」セットの処
理を行ったからといって,停止図柄が「77」又は「33」となるとは限らない。
このことは,先願明細書の次の記載から明らかである。
「ビックボーナス当選フラグがセットされている場合にはS126に進み,
他のリールが停止しているか否かの判断がなされ,他のリールがまだ停止していな
い場合にはS127に進み,現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図
柄(本実施例ではA)があるか否かの判断がなされ,ある場合にはS128により
ビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させた後S152に進む。一方,現在の
図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄がない場合にはその回のゲームに
おけるビックボーナスゲームの開始を諦めてS139に進む。」(甲2の段落【0
075】)
よって,先願発明においては,比較処理の結果,入賞の時は,停止図柄「77」
セツト又は停止図柄「33」セットという処理と,停止図柄が「77」又は「3
3」となったことにより確率変動カウンタが各々セットされる処理とは,先の処理
がなされると直ちに後の処理がなされるとは限らず,同一視することもできない。
 したがって,本件発明の「サブ抽選手段」の機能の一部は,先願発明の「確率変
動カウンタの値」がこれを果たしていると理解するほかない。
4 そこで,先願発明の「確率変動カウンタの値」についてみても,次のとお
り,本件発明の「サブ抽選手段」に相当する構成を有しているとはいえない。
まず,先願発明において,停止図柄が「77」又は「33」のときに,確率変動
カウンタの値を「2」又は「1」とする処理を抽選であると理解することはできな
い。仮に,この処理を抽選であると理解するとしても,この処理は遊技の度ごとに
行われるから,本件発明の「サブ抽選」に相当するものではない。
また,「確率変動カウンタの値」のチェックは,入賞判定を行うごとに行われて
おり,これも本件発明のサブ抽選に相当するものではない。
なぜなら,本件発明の第2入賞は,訂正明細書の請求項1に記載されているよう
に,「入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定手段によって行われる,前記乱数
抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数発生手段から順次発生する乱数値がと
る全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの判断を行う回数が複数回に設定
された」ものであり,この第2入賞中には,サブ抽選は行わないものであるからで
ある。
 以上の点に関し,被告は,先願明細書の「確率変動カウンタが『0』でない場合
には,当選を無効にしてもよいし,抽選を行わないようにしてもよい。」(甲2の
段落【0097】)との記載を根拠に,変動カウンタが「0」でない場合,すなわ
ち確率変動カウンタが「1」,「2」等の場合には,サブ抽選を行わないことが開
示されていると主張する。しかし,確率変動カウンタの値は,比較処理の結果を常
に反映しているものではないから,失当である。
 また,先願明細書には,「確率変動状態にするか否かを抽選」(甲2の段落【0
097】)なる文言が記載されているが,この記載を具体化する記述は他に見いだ
すことができず,この記載をもって「サブ抽選手段」に相当することの理由とする
ことはできない。
第4 被告の主張の要点
1 先願明細書記載の「S195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許容値
と比較する処理」(比較処理)が本件発明の「サブ抽選手段」に相当するのであ
り,決定が「先願明細書には本件発明の『サブ抽選手段』が記載されている。」
(決定書の(3-3)「対比及び判断」第2段落末尾)と認定したことに誤りはない。
2 原告は,「本件発明の『サブ抽選手段』は,『演算結果を確率変動当選許容
値と比較する処理』を行うだけでは足らず,その比較結果に基づいて,入賞確率が
設定されて初めて,『サブ抽選手段』に相当する」と主張する。
しかし,訂正明細書の請求項1には「サブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を
条件に,乱数発生手段から発生する全領域中予め設定された領域を変更することに
より,入賞確率を設定する確率変更手段」と記載されており,本件発明において
「入賞確率を設定する」のは「確率変更手段」であり,本件発明の「サブ抽選手
段」は,入賞確率までも設定するものではない。したがって,上記原告の主張は,
訂正明細書の記載に基づかない主張であり,失当である。
3 原告は,先願発明における比較処理の結果と確率変動カウンタがセットされ
る処理について,「先の処理がなされると直ちに後の処理がなされるとは限らず」
と主張する。
しかし,先願明細書には,次のような記載があり,比較処理の結果は,確率変動
カウンタの値に反映されているものである。
・ 「演算結果が,確率変動2回当選許容値の範囲内であれば,・・・ゲーム回
数・可変表示器25の予定停止図柄を『77』にセットする処理が行なわれ
て・・・演算結果が確率変動1回当選許容値の範囲内である場合には・・・ゲーム
回数・可変表示器25の予定停止図柄を『33』にセットする処理がなされ」(甲
2の段落【0096】)
・ 「ゲーム回数・可変表示器25を,前記S195F,195Hあるいは19
5Iによりセットされた停止図柄になるように停止制御する。」(同段落【009
7】)
4 原告は,先願発明においては,「確率変動カウンタの値を『2』又は『1』
とする処理は・・・遊技の度ごとに行われる」,及び「『確率変動カウンタの値』
をチェックする処理は,入賞判定を行うごとに必ず行われている。」から,本件発
明の「サブ抽選」に相当するものではない旨主張する。
しかし,本件発明の「サブ抽選」の機能は,先願発明の比較処理において行われ
ており,確率変動カウンタの値を「2」又は「1」とする処理,及び「確率変動カ
ウンタの値」のチェックは,「サブ抽選」とは別の処理である。
5 原告は,本件発明では「第2入賞中には,サブ抽選は行わない。」と主張す
る。
しかし,先願明細書には,「確率変動カウンタが『0』でない場合には,当選を
無効とするようにしてもよいし,抽選を行なわないようにしてもよい。」(甲2の
段落【0097】)と記載され,この「当選」及び「抽選」が,比較処理を意味す
ることは明らかであり,本件発明の「サブ抽選手段」に相当する先願発明の比較処
理は,第2入賞中には行われないから,この点において,本件発明と先願発明は相
違するものではない。
6 原告は,先願明細書には,「確率変動状態にするか否かを抽選」(甲2の段
落【0097】)なる文言が記載されているが,この記載を具体化する記述は他に
見いだすことができず,この記載をもって「サブ抽選手段」に相当することの理由
とすることはできないと主張する。
しかし,決定は,甲2の段落【0097】の上記記載部分を引用して「サブ抽選
手段」に相当するとしたわけではないので,原告の主張は失当である。
第5 当裁判所の判断
 1 原告は,決定の「先願明細書には本件発明の『サブ抽選手段』が記載されて
いる。」(決定書の(3-3)「対比及び判断」第2段落末尾)との認定を争うものであ
る。
(1) まず,本件発明における「サブ抽選手段」についてみるに,本件発明の構
成要件における「サブ抽選手段」に関する記載として,次のものがある。
・ 「入賞判定手段での入賞を条件に,サブ抽選をするサブ抽選手段」,「サブ
抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件に,乱数発生手段から発生する乱数値が
とる全領域中予め設定された領域を変更することにより,入賞確率を設定する確率
変更手段」
・ 「サブ抽選手段による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定
手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数発生
手段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの判
断を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前記入
賞判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱
数発生手段から順次発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれる
か否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり」
・ 「確率変更手段は,前記サブ抽選手段による抽選において前記入賞以外のは
ずれであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定する」
これらの記載によれば,「サブ抽選手段」とは,入賞判定手段での入賞を条件と
して行われる抽選であって,その抽選の結果が第1入賞,第2入賞及びはずれの3
段階であって,それら抽選結果に応じて,「確率変更手段」が入賞確率を設定する
ものであることが認められる。
(2) 先願発明における抽選の時期についてみるに,先願明細書(甲2)には,
次のような記載がある。
・ 「確率変動カウンタとは,ビッグボーナスゲームの発生確率を何回向上させ
るかを記憶しておくためのものであり,後述するS195Nにより『2』となり,
S195Pにより『1』となる。そして,確率を向上させない場合には『0』が記
憶された状態となっている。」(甲2の段落【0053】,決定の(k))
・ 「次にS195Bに進み,現時点におけるランダム値Rを格納する処理がな
され,S195Cにより,その格納した値を用いて所定の演算を行なう処理がなさ
れる。・・・次にS195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許容値と比較す
る処理がなされる。この確率変動当選許容値とは,ビッグボーナスゲーム発生確率
を向上させることができる許容値のことである。この確率変動当選許容値は,確率
変動状態を2回発生させる確率変動2回当選許容値と,確率変動状態を1回だけ発
生させる確率変動1回当選許容値との2種類が定められている。S195Eによ
り,演算結果が,確率変動2回当選許容値の範囲内であれば,S195Fに進み,
ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を『77』にセットする処理が行なわ
れてS195Jに進む。一方,演算結果が確率変動1回当選許容値の範囲内である
場合には,S195EによりNOの判断がなされてS195GによりYESの判断
がなされてS195Hに進み,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を『3
3』にセットする処理がなされてS195Jに進む。一方,演算結果が確率変動2
回当選許容値の範囲内ではなくかつ確率変動1回当選許容値の範囲内でもなかった
場合にはS195Iに進み,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄をはずれ
停止図柄にセットする処理がなされる。」(同段落【0096】,決定の(s))
・ 「ゲーム回数・可変表示器25を,前記S195F,195Hあるいは19
5Iによりセットされた停止図柄になるように停止制御する。次にS195Mに進
み,停止図柄が『77』となる特別の遊技状態が発生しているか否かの判断がなさ
れ,『77』である場合には・・・確率変動カウンタを『2』にセットする処理が
なされてS195Qに進む。一方,停止図柄が『33』となる特別の遊技状態が発
生している場合には,・・・確率変動カウンタを『1』にセットする処理がなされ
てS195Qに進む。」(同段落【0097】,決定の(t))
・ 「さらに,確率変動を行なうか否かの抽選時期は・・・ビッグボーナス発生
時・・・であってもよい。」(同段落【0098】,決定の(v))
以上に照らせば,先願明細書記載の「ビッグボーナス発生」が本件発明の「入賞
判定手段での入賞」に相当することは明らかであるから,ビッグボーナス発生時に
行われる「確率変動を行なうか否かの抽選」と本件発明の「サブ抽選」とは,ま
ず,抽選時期において一致することが明らかである。
 (3) 次に,先願明細書における「確率変動を行なうか否かの抽選」(甲2の段
落【0098】)とは,具体的には,同段落【0096】記載の「ランダム値
R・・・を用いて所定の演算を行なう処理がなされ・・・その演算結果を確率変動
当選許容値と比較する処理」(比較処理)のことであり,抽選結果(処理結果)に
応じて,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄が「77」,「33」又はそ
れ以外にセットされ,その予定停止図柄どおりにゲーム回数・可変表示器25が停
止制御され,その図柄に従って確率変動カウンタの値が「2」,「1」又は「0」
にセットされるのであるから,抽選結果に応じて確率変動カウンタの値が3段階に
定まるものと認められる。
そして,確率変動カウンタの値が「2」又は「1」の場合は,同値が「0」の場
合よりもビッグボーナス発生確率が向上しているのであるから,先願発明の「確率
変動カウンタ」は本件発明の「確率変更手段」に相当するということができ,確率
変動を行うか否かの抽選結果に応じて確率変動カウンタの値が定まることは,本件
発明の「サブ抽選」の結果に応じて確率変更手段による入賞確率の設定値が定まる
ことと異ならないことが認められる。
(4) 以上によれば,先願明細書記載の「確率変動を行なうか否かの抽選」と本
件発明の「サブ抽選」とは,抽選時期のほか,抽選結果によって入賞確率が定まる
という抽選のもつ技術的意義においても一致するものと認められる。そうすると,
先願発明における「確率変動を行なうか否かの抽選」,すなわち「演算結果を確率
変動当選許容値と比較する処理」を行う手段と,本件発明の「サブ抽選手段」と
は,同一構成であることが明らかである。
 なお,先願明細書記載の「確率変動1回当選許容値の範囲内」及び「確率変動2
回当選許容値の範囲内」が,それぞれ本件発明にいう「第1入賞」及び「第2入
賞」に相当する旨の決定の認定も,是認し得るものである。
 したがって,本件発明の構成Eを先願発明が有することも明らかであって,これ
と同旨の決定の認定に誤りはない。
 2 原告の主張についての検討
(1) 原告は,「本件発明の『サブ抽選手段』は,『演算結果を確率変動当選許
容値と比較する処理』を行うだけでは足らず,その比較結果に基づいて,入賞確率
が設定されて初めて,『サブ抽選手段』に相当する」と主張する。
しかし,この主張は,サブ抽選の結果が入賞確率に反映されるとの意味において
は首肯し得るものではあるが,先願発明における「演算結果を確率変動当選許容値
と比較する処理」(比較処理)の結果が,入賞確率に反映されるものであること
は,前判示のとおりであるから,先願発明が「サブ抽選手段」を有しないことの理
由となるものではなく,原告の主張は,採用することができない。
(2) 原告は,先願発明の「確率変動カウンタの値を『2』又は『1』とする処
理」又は「確率変動カウンタの値」のチェックのいずれも,遊技の度ごと又は入賞
判定を行うごとに行われるので,本件発明の「サブ抽選」が第2入賞中には行われ
ない点で相違すると主張する。
 しかし,本件発明の「サブ抽選」に相当する先願発明の構成は,前判示のとお
り,「演算結果を確率変動当選許容値と比較する処理」を行う手段であって,「確
率変動カウンタの値を『2』又は『1』とする処理」又は「確率変動カウンタの
値」のチェックではないから,原告の主張は,その前提において失当であるという
ほかない。
もっとも,主張の趣旨にかんがみ,先願発明の比較処理が第2入賞中(先願発明
では確率変動カウンタの値が「2」の状態)に行われるかどうかについて,検討し
ておく。先願発明において,比較処理の結果が「確率変動2回当選許容値の範囲
内」であれば,確率変動状態を2回発生させるものであり,そうであれば,確率変
動カウンタの値が「2」の時にも比較処理を行ったのでは,その結果によって新た
に確率変動カウンタの値が定まることとなるから,確率変動状態を2回発生させる
ことができなくなる。したがって,確率変動カウンタの値が「2」であれば,比較
処理を行わないか,行ったとしても確率変動カウンタの値に反映させないとの処理
が当然なされているはずのものであると解される。現に,先願明細書には,「確率
変動カウンタが『0』でない場合には,当選を無効とするようにしてもよいし,抽
選を行なわないようにしてもよい。」(甲2の段落【0097】)との記載もあ
り,上記説示のことが明確に記載されている。したがって,第2入賞中には行われ
ない点についても,本件発明の「サブ抽選手段」と先願発明の比較処理を行う手段
には,相違がないことが明らかである。よって,この観点からも,原告の主張は,
採用することができない。
(3) その他,原告は,「先願明細書には,『確率変動状態にするか否かを抽
選』・・・なる文言が記載されているが,この記載を具体化する記述は他に見いだ
すことができず」との主張をするが,既に判示したように,「確率変動を行なうか
否かの抽選」については,甲2の段落【0096】に具体的に記載されているの
で,この主張も採用の限りではない。
また,原告は,先願明細書における甲2の段落【0075】の記載を根拠に,
「停止図柄『77』セット又は停止図柄『33』セットの処理を行ったからといっ
て,停止図柄が『77』又は『33』となるとは限らない」及び「確率変動カウン
タの値は,比較処理の結果を常に反映しているものではない」と主張する。しか
し,同段落記載の「図柄」とはスロットマシンの遊技におけるリールの図柄であっ
て,確率変動のために使用されるゲーム回数・可変表示器の図柄と無関係であるこ
とは明らかであり,前判示のとおり,確率変動カウンタの値は,比較処理の結果を
常に反映しているので,この主張も採用することができない。
 3 結論
 以上のとおり,原告主張の決定取消事由はいずれも理由がなく,その他決定には
これを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判
決する。
東京高等裁判所第18民事部
     裁判長裁判官      永   井   紀   昭
           裁判官      塩   月   秀   平
           裁判官      田   中   昌   利
【別紙】 異議の決定の理由
異議2000-72489号事件,平成13年3月28日付け決定
(下記は,上記決定の理由部分について,文書の書式を変更したが,用字用語の点
を含め,その内容をそのまま掲載したものである。)
 理 由
1.手続の経緯
 特許第2991650号の請求項1に係る発明は,平成5年9月10日に出願さ
れた特願平5-225358号の一部を新たな出願とした特願平7-329337
号に係るものであって,平成11年10月15日にその特許権の設定登録がなさ
れ,その後,伊藤直子及び中村弘美より特許異議の申立てがなされ,取消しの理由
が通知され,その指定期間内である平成12年12月5日に訂正請求がなされたも
のである。
 
2.訂正の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
訂正事項(1):特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。
「複数のリールと,
 これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと,
 乱数を発生させる乱数発生手段と,
 前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて,前記乱数発生手段から発
生される乱数値から一つの乱数値を抽選する乱数抽選手段と,
 この乱数抽選手段により抽選された乱数値が,前記乱数発生手段から発生する乱
数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれると,入賞信号を出力する入賞判
定手段と,
 この入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,遊技機を制御する遊技制御手段
と,
 前記入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,メダルを払い出すメダル払出手段
とを備えたスロットマシンにおいて,
 上記入賞判定手段での入賞を条件に,サブ抽選をするサブ抽選手段を備え,
 このサブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件に,乱数発生手段から発生す
る乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変更することにより,入賞確率を設
定する確率変更手段と,
 前記サブ抽選手段による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定手
段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数発生手
段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの判断
を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前記入賞
判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数
発生手段から順次発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか
否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり,
 前記確率変更手段は,前記サブ抽選手段による抽選において前記入賞以外のはず
れであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定することを
特徴とするスロットマシン。」
 
訂正事項(2):【0005】を次のとおり訂正する。
「【課題を解決するための手段】
 本発明は,上記した目的を達成するためのものであり,以下にその内容を図面に
示した実施例を用いて説明する。
 請求項1記載の発明は,入賞判定手段(31)での入賞を条件に,サブ抽選をするサ
ブ抽選手段(34)を備え,このサブ抽選手段(34)におけるサブ抽選での入賞を条件
に,乱数発生手段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変
更することにより,入賞確率を設定する確率変更手段(33)と,前記サブ抽選手
段(34)による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定手段(31)によっ
て行われる,前記乱数抽選手段(36)により抽選された乱数値が前記乱数発生手
段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの
判断を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前記
入賞判定手段(31)によって行われる,前記乱数抽選手段(36)により抽選された乱数
値が前記乱数発生手段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域
に含まれるか否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり,前
記確率変更手段(33)は,前記サブ抽選手段(34)による抽選において前記入賞以外の
はずれであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定するこ
とを特徴とする。」
 
訂正事項(3):【0007】を次のとおりに訂正する。
「この入賞判定手段(31)での例えば「大ボーナス」の入賞判定を条件にサブ抽選手
段(34)がサブ抽選を行う。
 そして,サブ抽選手段(34)でのサブ抽選において入賞すると,確率変更手段(33)
が,乱数発生手段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変
更することにより,入賞確率を設定する。これにより,例えば「大ボーナス」の入
賞確率が上げられ,連続入賞のチャンスを増加させる。
 また,前記サブ抽選手段(34)により第1入賞と判定されると,入賞確率を変更し
た状態で,前記入賞判定手段(31)によって行われる,前記乱数抽選手段(36)により
抽選された乱数値が前記乱数発生手段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め
設定された領域に含まれるか否かの判断を行う回数が1回に設定される。
 また,前記サブ抽選手段(34)により第2入賞と判定されると,入賞確率を変更し
た状態で,前記入賞判定手段(31)によって行われる,前記乱数抽選手段(36)により
抽選された乱数値が前記乱数発生手段(35)から発生する乱数値がとる全領域中予め
設定された領域に含まれるか否かの判断を行う回数が複数回に設定される。
 また,前記確率変更手段(33)は,前記サブ抽選手段(34)による抽選において前記
入賞以外のはずれであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に
設定する。」
 
(2-2)訂正の目的の適否,新規事項の有無及び拡張・変更の存否
 上記訂正事項(1)は,「このサブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件に,乱
数発生手段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変更する確率
変更手段」をこれに含まれる「このサブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件
に,乱数発生手段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変更す
ることにより,入賞確率を設定する確率変更手段」に変更するものであり,また,
「確率変更手段」をこれに含まれる「前記サブ抽選手段による抽選において前記入
賞以外のはずれであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設
定する」に変更するものであり,いずれも,特許請求の範囲の減縮を目的としたも
のである。
 また,上記訂正事項(2),(3)は,上記訂正事項(1)との整合を図るものであるか
ら,明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
 そして,上記訂正事項(1)~(3)は,願書に添付された明細書の【0019】,
【0020】に記載されているから,新規事項の追加に該当せず,実質的に特許請
求の範囲を拡張し,変更するものではない。
 
(2-3)むすび
 以上のとおりであるから,上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年
法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる,特
許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前
の特許法第126条第1項ただし書,第2項及び第3項の規定に適合するので,当
該訂正を認める。
 
3.特許異議申立についての判断
(3-1)本件の請求項1に係る発明
 上記2.で示したように上記訂正が認められるから,本件の請求項1に係る発明
(以下,「本件発明」という。)は,上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲
の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり(上記2.(2-1)
訂正事項(1)参照),分説すると次のとおりである。
A.複数のリールと,
 これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと,
 乱数を発生させる乱数発生手段と,
 前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて,前記乱数発生手段から発
生される乱数値から一つの乱数値を抽選する乱数抽選手段と,
B.この乱数抽選手段により抽選された乱数値が,前記乱数発生手段から発生する
乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれると,入賞信号を出力する入賞
判定手段と,
C.この入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,遊技機を制御する遊技制御手段
と,
D.前記入賞判定手段からの入賞信号に基づいて,メダルを払い出すメダル払出手
段とを備えたスロットマシンにおいて,
E.上記入賞判定手段での入賞を条件に,サブ抽選をするサブ抽選手段を備え,
 このサブ抽選手段におけるサブ抽選での入賞を条件に,乱数発生手段から発生す
る乱数値がとる全領域中予め設定された領域を変更することにより,入賞確率を設
定する確率変更手段と,
 前記サブ抽選手段による入賞には,入賞確率を変更した状態で,前記入賞判定手
段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数発生手
段から発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか否かの判断
を行う回数が1回に設定された第1入賞と,入賞確率を変更した状態で,前記入賞
判定手段によって行われる,前記乱数抽選手段により抽選された乱数値が前記乱数
発生手段から順次発生する乱数値がとる全領域中予め設定された領域に含まれるか
否かの判断を行う回数が複数回に設定された第2入賞とからなり,
F.前記確率変更手段は,前記サブ抽選手段による抽選において前記入賞以外のは
ずれであることを条件に,前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定すること
を特徴とするスロットマシン。
 
(3-2)先願明細書に記載された発明
 当審で通知した取消しの理由で引用した証拠方法のうち,本件発明の出願日前の
出願(特願平5-127525号)であって,その出願後に出願公開された他の願
書に最初に添付された明細書又は図面(特開平6-335560号参照,以下,
「先願明細書」という。)には,以下のような事項が記載されている。
(a)「図1は,本発明に係るスロットマシンの一例を示す全体正面図である。」
(【0008】),
(b)「・・・遊技者がコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すれば,可変
表示装置90が可変開始されて各可変表示部5L~5Rにより複数種類の識別情報
が可変表示される。・・・」(【0009】),
(c)「・・・可変表示装置70は,複数(図面では3個)のリール6L,6C,6R
を有し,・・・」(【0014】),
(d)「図6(b)はランダムカウンタ更新処理の割込プログラムを示すフローチャー
トである。この図6(b)に示す割込プログラムは前述したパルス分周回路53か
ら定期的に入力されるパルス信号に基づいて行なわれるものであり,たとえば4m
sec毎に1回ずつ実行される。まずS15により,ランダムカウンタの値Rを所
定の数N加算更新する処理が行なわれる。・・・」(【0035】,【図5】),
(e)「制御部45は次の各種機器に対し制御信号を出力する。・・・モータ回路57
を介してコイン払出モータ38にコイン払出用制御信号を出力する。・・・ランプ
回路60を介して遊技効果ランプ24,投入指示ランプ19,有効ライン表示ラン
プ21,22,23,左操作有効ランプ11L,中操作有効ランプ11C,右操作
有効ランプ11R,ゲームオーバランプ20,再ゲーム表示ランプ64にそれぞれ
ランプ制御用信号を出力する。サウンドジェネレータ50,アンプ61を介してス
ピーカ28に音発生用制御信号を出力する。」(【0028】,【図5】),
(f)「以上説明したように,1ゲームにおけるゲーム結果に賭ける賭数を入力設定す
るべく遊技者がコインをコイン投入口18から投入するごとにS58によりランダ
ムカウンタのランダム値Rが読出される。・・・」(【0049】,【図8】),
(g)「・・・なお,ランダム値Rの抽出をスタート操作により行なうようにしてもよ
い。・・・」(【0049】),
(h)「次にS66に進み,格納されているランダム値Rを用いて所定の演算を行なう
処理がなされる。・・・次にS67に進み,その演算結果を,投入数・設定値・確
率変動カウンタ・小役判定モードに応じた当選許容値と比較する処理が行なわれ
る。」(【0052】,【図9】),
(i)「この当選許容値は,たとえば図10(c),(d)や図11に示されているよ
うに,ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値,レギュラーボーナスゲーム(R
B)当選許容値,再ゲーム当選許容値,小役当選許容値の4種類から構成されてい
る。この各当選許容値は,テーブルの形でROM47に記憶されている。・・・」
(【0053】),
(J)「図10(c)の場合は,3枚賭で,小役判定モードが通常時で,確率変動カウ
ンタの値が「0」で,確率設定が「4」である場合であるために,図10(a)の
設定「4」で投入数が「3」でビッグボーナスゲームの発生確率が「通常時」に該
当する欄に記載された数値,すなわち,ビッグボーナスゲーム当選許容値としてA
34が,レギュラーボーナスゲーム当選許容値としてB34が用いられる。」(【00
56】)
(k)「・・・確率変動カウンタとは,ビッグボーナスゲームの発生確率を何回向上さ
せるかを記憶しておくためのものであり,後述するS195Nにより「2」とな
り,S195Pにより「1」となる。そして,確率を向上させない場合には「0」
が記憶された状態となっている。・・・」(【0053】,【図17】),
(l)「図11(a)は,3枚賭,小役判定モードが「通常時」,確率変動カウンタの
値が「0」以外の場合で,確率設定値が「4」の場合を示している。この場合に
は,図10(a),(b)に従えば,ビッグボーナスゲーム当選許容値b0=A44,
レギュラーボーナスゲーム当選許容値b1=b0+B34,再ゲーム当選許容値b2=b
1+G11,コイン15枚を払出す小役当選許容値b3=b2+C31,コイン8枚を払出
す小役当選許容値b4=b3+D31,コイン6枚を払出す小役当選許容値b5=b4+
E31,コイン3枚を払出す小役当選許容値b6=b5+F31となる。」(【005
8】),
(m)「・・・また,確率変動カウンタの値が「0」のときよりも「0」以外のときの
方が,ビッグボーナスゲームの発生確率が高くなる。・・・」(【0060】),
(n)「S76では,前記S67による比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果がビ
ッグボーナス当選許容値に含まれているか否かすなわち0≦演算結果<b0であるか
否かの判断がなされ,含まれている場合にはS77に進み,ビッグボーナス当選フ
ラグがセットされてS80に進む。・・・前記S67による比較結果,ランダム値
Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に
含まれている場合(b0≦演算結果<b1)には,S78によりYESの判断がなさ
れてS79に進み,ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。」(【00
62】,【図9】),
(o)「S78によりNOの判断がなされた場合にS81に進み,S67の比較結果,
ランダム値Rを用いた演算結果が再ゲーム当選許容値に含まれているか否かの判断
がなされ,含まれていない場合にはS83に進むが,含まれている場合(b1≦演算
結果<b2)にはS82に進み,再ゲーム当選フラグがセットされてS85に進
む。・・・S83では,S67の比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果が各小
役当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ,含まれていない場合にはその
ままS85に進むが,含まれている場合(b2≦演算結果<b3,b4,b5,b6)に
はS84に進み,含まれている小役の種類に相当する当選フラグがセットされてS
85に進む。」(【0063】,【図9】),
(p)「図16は,入賞判定処理のプログラムを示すフローチャートである。・・・。
次にS166に進み,その入賞がビッグボーナス入賞であるか否かの判断がなされ
る。ビッグボーナス入賞でないと判断された場合にはS168に進み,その入賞が
ボーナス入賞であるか否かの判断がなされ,ボーナス入賞でないと判断された場合
にはS170により再ゲーム入賞であるか否かの判断がなされる。S170により
再ゲーム入賞でないと判断された場合にはその入賞は小役入賞であるため,S17
5に進み,払出予定数を小役に対応する値にセットした後図17に示すコイン払出
処理に移行する。」(【0081】),
(q)「図17は,コイン払出制御のプログラムを示すフローチャートである。まずS
176により,払出数が払出予定数に達したか否かの判断がなされ,達していない
場合にはS177に進み,クレジットゲームモードであるか否かの判断がなされ,
クレジットゲームモードでない場合にはS180に進み,コインを1枚払出しそれ
に応じて払出数を「1」歩進した後S176に戻る。一方,クレジットゲームモー
ドになっている場合にはS178に進み,クレジットカウンタがその上限値である
「50」になっているか否かの判断がなされ,なっている場合にはS180に進み
コインの払出を行なうが,なっていない場合すなわちまだクレジットカウンタの記
憶に余裕がある場合にはS179に進み,クレジットカウンタを「1」歩進すると
ともに,それに応じて払出数を「1」歩進した後S176に戻る。このS177な
いしS180の処理を,払出数=払出予定数になるまで繰返し実行してそのたびに
コインの払出あるいはクレジットカウンタへの加算処理が行なわれ,払出数が払出
予定数に達した段階でS181に進む。」(【0092】),
(r)「一方,ボーナスゲームフラグがセットされておらずかつビッグボーナスゲーム
フラグがセットされている場合には,S183に進み,・・・」(【009
5】),
(s)「次にS195Bに進み,現時点におけるランダム値Rを格納する処理がなさ
れ,S195Cにより,その格納した値を用いて所定の演算を行なう処理がなされ
る。・・・次にS195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許容値と比較する
処理がなされる。この確率変動当選許容値とは,ビッグボーナスゲーム発生確率を
向上させることができる許容値のことである。この確率変動当選許容値は,確率変
動状態を2回発生させる確率変動2回当選許容値と,確率変動状態を1回だけ発生
させる確率変動1回当選許容値との2種類が定められている。S195Eにより,
演算結果が,確率変動2回当選許容値の範囲内であれば,S195Fに進み,ゲー
ム回数・可変表示器25の予定停止図柄を「77」にセットする処理が行なわれて
S195Jに進む。一方,演算結果が確率変動1回当選許容値の範囲内である場合
には,S195EによりNOの判断がなされてS195GによりYESの判断がな
されてS195Hに進み,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を「33」
にセットする処理がなされてS195Jに進む。一方,演算結果が確率変動2回当
選許容値の範囲内ではなくかつ確率変動1回当選許容値の範囲内でもなかった場合
にはS195Iに進み,ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄をはずれ停止
図柄にセットする処理がなされる。」(【0096】),
(t)「次に,S195Jでは,ゲーム回数・可変表示器25を可変表示させるための
タイマがセットされて,可変表示が開始制御される。次にS195Kに進み,その
セットされたタイマが終了したか否かの判断がなされ,終了するまで待機し,ゲー
ム回数・可変表示器25を可変表示させ続ける。そして,タイマが終了した段階で
S195Lに進み,ゲーム回数・可変表示器25を,前記S195F,195Hあ
るいは195Iによりセットされた停止図柄になるように停止制御する。次にS1
95Mに進み,停止図柄が「77」となる特別の遊技状態が発生しているか否かの
判断がなされ,「77」である場合にはS195Nに進み,確率変動カウンタを
「2」にセットする処理がなされてS195Qに進む。一方,停止図柄が「33」
となる特別の遊技状態が発生している場合には,S195OによりYESの判断が
なされてS195Pに進み,確率変動カウンタを「1」にセットする処理がなされ
てS195Qに進む。・・・。」(【0097】),
(u)「・・・確率変動回数は2種類に限定されることなく,1種類または3種類以上
の回数であってもよい。また,確率変動回数を異ならせるのに代えてあるいはそれ
に加えて,確率変動時の当選確率を異ならせるようにしてもよい。・・・」(【0
097】),
(v)「さらに,確率変動を行なうか否かの抽選時期は実施例に限定されるものではな
い。たとえば,ビッグボーナス当選時,ビッグボーナス発生時,ビッグボーナスゲ
ーム終了時の次のゲーム,特定の小役発生時,再ゲーム時,ボーナス当選時,ボー
ナス発生時,ボーナスゲーム終了後の次のゲーム等の時期であってもよい。前記S
176ないしS200と,コインホッパー37,コイン払出モータ38,払出コイ
ンセンサ39により,前記可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態
様となった場合に所定の有価価値を付与する価値付与手段が構成されている。ま
た,前記S195BないしS195P,S77A,S77B,S67,図10
(a),(b),図11(a),(b)に示したテーブルデータにより,前記遊技
機の遊技状態が予め定められた特別の遊技状態になった場合に,前記可変表示装置
の表示結果が前記特定の表示態様となる確率を変動させる確率変動制御手段が構成
されている。」(【0098】),
(w)「確率変動カウンタの値が「0」の場合のビッグボーナスの入賞確率(A34)
を,確率変動カウンタの値が「0」以外の場合のビッグボーナスの入賞確率(A
44)よりも低い値に設定する」(【図10】(c),【図11】(a))。
 
(3-3)対比及び判断
 本件発明と上記先願明細書記載の発明(以下,「先願発明」という。)とを対比
すると,先願明細書の上記(c)の「リール6L,6C,6R」が本件発明の「複数の
リール」に,上記(b)の「スタートレバー12」が本件発明の「スタートスイッチ」
に,それぞれ相当し,上記(d)には本件発明の「乱数発生手段」が,上記(f),(g)に
は本件発明の「乱数抽選手段」が記載され,上記(h),(i)には本件発明の「入賞判
定手段」が,上記(e)には本件発明の「遊技制御手段」が,上記(q)には本件発明の
「メダル払出手段」が,それぞれ記載され,上記(a)には「スロットルマシン」が記
載されているから,先願明細書には,本件発明の「A」~「D」が記載されてい
る。
 
 また,上記(s)には「次にS195Bに進み,現時点におけるランダム値Rを格納
する処理がなされ,S195Cにより,その格納した値を用いて所定の演算を行な
う処理がなされる。・・・次にS195Dに進み,その演算結果を確率変動当選許
容値と比較する処理がなされる。」と記載され,上記(v)には「さらに,確率変動を
行なうか否かの抽選時期は実施例に限定されるものではない。たとえば,ビッグボ
ーナス当選時,ビッグボーナス発生時,ビッグボーナスゲーム終了時の次のゲー
ム,特定の小役発生時,再ゲーム時,ボーナス当選時,ボーナス発生時,ボーナス
ゲーム終了後の次のゲーム等の時期であってもよい。」と記載され,上記(m)「確率
変動カウンタの値が「0」のときよりも「0」以外のときの方が,ビッグボーナス
ゲームの発生確率が高くなる」ことは,本件発明の「入賞確率を設定する」に相当
するから,先願明細書には本件発明の「サブ抽選手段」が記載されている。
 さらに,上記(s)には「この確率変動当選許容値とは,ビッグボーナスゲーム発生
確率を向上させることができる許容値のことである。この確率変動当選許容値は,
確率変動状態を2回発生させる確率変動2回当選許容値と,確率変動状態を1回だ
け発生させる確率変動1回当選許容値との2種類が定められている。」と記載さ
れ,上記(u)には「確率変動回数は2種類に限定されることなく,1種類または3種
類以上の回数であってもよい。また,確率変動回数を異ならせるのに代えてあるい
はそれに加えて,確率変動時の当選確率を異ならせるようにしてもよい。」と記載
されていることから,先願明細書には事実上「確率変更手段」が記載され,先願発
明の「演算結果が確率変動1回当選許容値の範囲内」が本件発明の「第1入賞」に
相当し,先願発明の「演算結果が確率変動2回当選許容値の範囲内」が本件発明の
「第2入賞」に相当し,先願発明の「ビッグボーナスゲーム当選許容値B0」が「A
34」から「A44」に変更されることが本件発明の「乱数値がとる全領域中予め設定
された領域を変更する」に相当するから,先願明細書には,本件発明の「E」が記
載されている。
 
 そして,上記先願明細書には,
(k)「・・・確率変動カウンタとは,ビッグボーナスゲームの発生確率を何回向上さ
せるかを記憶しておくためのものであり,後述するS195Nにより「2」とな
り,S195Pにより「1」となる。そして,確率を向上させない場合には「0」
が記憶された状態となっている。・・・」(【0053】,【図17】),
(J)「図10(c)の場合は,3枚賭で,小役判定モードが通常時で,確率変動カウ
ンタの値が「0」で,確率設定が「4」である場合であるために,図10(a)の
設定「4」で投入数が「3」でビッグボーナスゲームの発生確率が「通常時」に該
当する欄に記載された数値,すなわち,ビッグボーナスゲーム当選許容値としてA
34が,レギュラーボーナスゲーム当選許容値としてB34が用いられる。」(【00
53】),
(l)「図11(a)は,3枚賭,小役判定モードが「通常時」,確率変動カウンタの
値が「0」以外の場合で,確率設定値が「4」の場合を示している。この場合に
は,図10(a),(b)に従えば,ビッグボーナスゲーム当選許容値b0=A44,
レギュラーボーナスゲーム当選許容値b1=b0+B34,再ゲーム当選許容値b2=b
1+G11,コイン15枚を払出す小役当選許容値b3=b2+C31,コイン8枚を払出
す小役当選許容値b4=b3+D31,コイン6枚を払出す小役当選許容値b5=b4+
E31,コイン3枚を払出す小役当選許容値b6=b5+F31となる。」(【005
8】),
(m)「・・・また,確率変動カウンタの値が「0」のときよりも「0」以外のときの
方が,ビッグボーナスゲームの発生確率が高くなる。・・・」(【0060】),
(w)「確率変動カウンタの値が「0」の場合のビッグボーナスの入賞確率(A34)
を,確率変動カウンタの値が「0」以外の場合のビッグボーナスの入賞確率(A
44)よりも低い値に設定する」(【図10】(c),【図11】(a)),
と記載され,
先願明細書の「先願発明の確率変動カウンタの値が「0」の場合(演算結果が確率
変動2回当選許容値の範囲内ではなく且つ確率変動1回当選許容値の範囲内でもな
かった場合)」は本件発明の「前記サブ抽選手段において前記入賞以外のはずれで
あること」に相当し,先願明細書の(m)「確率変動カウンタの値が「0」のときより
も「0」以外のときの方が,ビッグボーナスゲームの発生確率が高くなる」ことは
本件発明の「前記入賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定する。」に相当するこ
とからことから,先願明細書には,「前記確率変更手段は,前記サブ抽選手段によ
る抽選において前記入賞以外のはずれであることを条件に,前記入賞確率(先願発
明のA34)を,前記入賞(先願発明のA44)よりも低い値に設定する」ことが事実
上記載され,本件発明の「F」が記載されている。
 
 したがって,本件発明と上記先願明細書記載の発明とに相違は認められず,両者
は同一である。
 
(3-4)特許権者の主張について
 特許権者は,平成12年12月5日付けの特許異議意見書において,先願発明に
ついて次のように主張している。
(i)「特願平5-127525号公報に記載の発明(先願発明)は,少なくとも左記
に説明した本件発明の構成中,「E」及び「F」に記載された構成に相当する構成
を備えておりません。
 すなわち,特願平5-127525号公報に記載の発明(先願発明)では,「確
率変動当選許容値」と「演算結果」とを比較し,「演算結果」が「確率変動2回当
選許容値」,「確率変動1回当選許容値」の範囲内にある場合及び前記いずれの場
合でもなかった場合のいずれの場合にも,確率変動カウンタの値をそれぞれ設定す
るのみであります(特願平5-127525号公報段落番号「0096~009
7」参照)。」(同書第4頁下1行ないし第5頁8行),
(ii)「特に,本件発明は,入賞以外の場合にも,抽選確率を設定することで,入賞
以外の抽選確率を通常の場合と異なることにすることができます。」(同書第5頁
9~10行)。
 
(上記(i)について)
 上記(3-3)において検討したとおり,先願明細書には,本件発明の上記「E」,
「F」が事実上記載されている。
 また,先願発明は,「確率変動カウンタの値をそれぞれ設定」する以上,それぞ
れの確率変動カウンタの値で,ゲームを行うことは明らかであるから,先願発明が
「確率変動カウンタの値をそれぞれ設定するのみ」とはいえない。
 
(上記(ii)について)
 特許権者は「本件発明は,入賞以外の場合にも,抽選確率を設定することで,入
賞以外の抽選確率を通常の場合と異なることにすることができます。」と主張して
いるが,本件発明の特許請求の範囲には,「前記確率変更手段(33)は,前記サブ抽
選手段(34)による抽選において前記入賞以外のはずれであることを条件に,前記入
賞確率を,前記入賞よりも低い値に設定する」と記載されているだけであって,
「前記入賞確率」が通常の場合と同一のこともありえるから,特許権者の主張する
「入賞以外の抽選確率を通常の場合と異なる」という特定事項は特許請求の範囲に
は記載されておらず,特許請求の範囲の記載に基づかない主張である。
 また,本件発明の訂正明細書に,
「そして,図1に示すように,サブ抽選信号が確率変更手段33入力され,所定の値
を抽選した場合には,確率変更手段33は確率データ記憶手段32から入賞判定手段
31に送出する確率データを変更する。すなわち,サブ抽選手段34が「0」を抽選し
た場合,確率変更手段33は「大ボーナス」の入賞確率を350分の1に設定する」
(【0019】),
「一方,サブ抽選手段34が「1」又は「2」を抽選した場合,確率変更手段33は
「大ボーナス」の入賞確率を30分の1に設定する。そして,「1」を抽選した場合,
次の「大ボーナス」に入賞するまで,「大ボーナス」の入賞確率は30分の1を維持す
る。また,「2」を抽選した場合,次の次,いわゆる2回目の「大ボーナス」に入
賞するまで,「大ボーナス」の入賞確率は30分の1を維持する」(【0020】),
「上記抽選後,図3に示すように,ステップ61からステップ62に進み,ステップ
61で抽選された乱数値が当選したか否かの判定をする。この判定は,図1に示すよ
うに入賞判定手段31で行われる。具体的には,確率データ記憶手段32(図1)から
のデータ信号に基づき,抽選された乱数値がその全領域中予め設定された所定の領
域に含まれるか否かにより行われる。この際,確率データ記憶手段32(図1)に記
憶された確率データにおいて,「大ボーナス」に入賞する確率は,従来と同様に低
めの設定であって,350分の1に設定されている」(【0023】),
と記載され,
サブ抽選手段34が「0」を抽選した場合の大ボーナスの入賞確率が350分の1であ
り,通常の場合も大ボーナスの入賞確率が350分の1であり,同一の確率であること
から,本件発明の発明の詳細な説明には,特許権者が主張する「前記入賞(サブ抽
選手段34が「1」又は「2」を抽選した場合の第1入賞,第2入賞)以外(サブ抽
選手段34が「0」を抽選した場合)の抽選確率を通常の場合と異なる」ようにした
ことは記載されておらず,発明の詳細な説明の記載に基づかない主張である。
 
(3-5)むすび
 以上のとおりであるから,本件発明は,その出願日前の出願であって,その出願
後に出願公開された他の出願の願書に最初に添付された上記先願明細書に記載され
た発明と同一であり,しかも,本件発明の発明者が上記先願明細書に記載された発
明の発明者と同一であるとも,本件出願の時において,その出願人が上記他の出願
の出願人と同一であるとも認められないから,特許法第29条の2第1項の規定に
より特許を受けることができない。
 したがって,本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出
願に対してされたものと認める。
 よって,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14
条の規定に基づく,特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める
政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により,結論のとおり決定す
る。 
        平成13年 3月28日

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