弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告の要旨は、事件本人A(以下単に事件本人という)の精神状態が、同人
を禁治産者としなければならないようなものであるかは疑問である上、相手方(本
件申立人)Bは、後見人に選任されたCと共謀して、事件本人の財産を奪取する手
段として本件禁治産宣告申立に及んだものであり、そのような申立に基づきなされ
た禁治産宣告は違法である。仮りに禁治産宣告が止むを得ないとしても、後見人に
選任されたCは、事件本人の養子であるとはいえ、これまで事実上事件本人を遺棄
し、その財産を奪い取る等の不正行為を重ねているもので、右Cを後見人とするこ
とは、事件本人に不幸を招き、且つ親族間に不和混乱を招くものである。
 一方抗告人(事件本人の母の妹のむこ養子)は、過去二〇年間事件本人のため、
事実上の後見人(法律上は代理人)として、誠実にその療養、監護、財産の保全等
に努めて来たものであるから、抗告人を事件本人の後見人に選任するのが相当であ
る。
 よつて原審判の取消を求める、というのである。
 しかし原審判の挙示する資料によると、事件本人が心神喪失の常況にあることを
優に肯認することができ、原裁判所が事件本人を禁治産者とする旨の宣告をなした
ことは相当である。また記録を精査しても本件禁治産宣告申立が抗告人主張のよう
な不正の目的でなされたものとは認め難く、原審判を取消さなければならないよう
な点は見あたらない。
 <要旨>次に、抗告人は、原裁判所がCを後見人に選任したことに対し不服を申立
てているので、その適否につき判断する。およそ家庭裁判所がなした審判に
対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができるも
のであるところ(家事審判法第一四条参照)、最高裁判所規則である家事審判規則
によれば、禁治産を宣告する審判に対しては、民法第七条に掲げる者が即時抗告を
することができる旨規定しているけれども(家事審判規則第二七条第一項参照)、
後見人選任の審判に対し即時抗告することができる旨の規定は存しない。従つて、
家事審判規則第二五条により、家庭裁判所が禁治産を宣告すると同時に、後見人を
選任する審判をした場合においでも、右後見人選任部分につき、独立して不服申立
をすることはできないものと解するのが相当である。ところで、本件抗告のよう
に、禁治産宣告と後見人選任とが同時になされた審判に対して即時抗告が申し立て
られた場合、抗告裁判所としては、もし禁治産宣告が不当であるときは、後見人選
任の部分をも含めて原審判全部を取消すべきであるが、禁治産宣告が相当であると
きは、原審判中後見人選任の部分については、その当否を審査することができない
ものといわなければならない。蓋し、そのように解しなければ、後見人選任の審判
に対して独立して不服申立をすることを認めない決意を没却する結果となるであろ
う。そうだとすれば、原裁判所がなした禁治産宣告が相当であること前段説示のと
おりであるから、原審判中後見人選任の部分に対する不服理由については、当抗告
裁判所において、判断をすべき限りでない。
 よつて本件抗告は理由がないから、家事審判法第七条、非訟事件手続法第二五
条、民事訴訟法第四一四条、第三八四条第一項に従つて、本件抗告を棄却すること
とし、抗告費用は抗告人に負担させるのを相当と認めて、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 浮田茂男 裁判官 加藤龍雄 裁判官 山本茂)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛