弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人近藤亮太同寺尾元実の上告趣意第一点について。
 憲法三八条三項及び刑訴応急措置法一〇条三項において「自己に不利益な唯一の
証拠が本人の自白である場合には有罪とされ」ないと規定した法意は、現実には犯
罪が行われていないのに、被告人の架空な自白によつて犯罪が行われたごとく虚構
されて有罪とされる危険を防止するために、被告人を有罪とするには、自白のほか
に自白の真実に合致することを裏書するに足りる他の証拠(補強証拠)を必要とす
る趣旨を明らかにしたものである。されば、他の証拠によつて犯罪が現実に行われ
た客観的事実が裏書されて自白が架空のものでないことが確められる限り、たとい
犯罪事実の一部の証拠が被告人の自白だけであつても、これらの証拠と相まつて自
白により犯罪事実を認定することは、法の許容するところと言わなければならない、
(昭和二二年(れ)一五三号同二三年六月九日当裁判所大法廷判決参照)。本件に
おいて、被告人Aの贓物故買の所論犯罪事実を認定する証拠として、原判決の挙げ
ている原審相被告人B、同Cの原審公判廷における供述、D、Eに対する司法警察
官代理の訊問調書及びD、F作成の盗難被害始末書等によれば被告人Aは、G方が
F方で強取して来た原判示の銘仙反物等約一〇点を右Gから買受けた事実を肯認す
ることができ、これらの証拠と被告人Aの原審公判廷における供述とを綜合すれば、
被告人Aが贓物たることを知りながら買受けた事実をも肯認し得られるのである。
それ故、原判決は所論のように被告人Aの自白を唯一の証拠として有罪としたもの
ではないから論旨は理由がない。
 同第二点について。
 贓物に関する罪の成立に必要な贓物たることの知情は、財産罪により不法に領得
された物であることを認識すれば足りるのであつて、その物が何人のいかなる犯行
によつて不法に領得されたかの具体的事実までをも認識することを要するものでは
ない。原判決の挙げている証拠によれば、原判示の贓物故買につき被告人Aの犯意
を肯認することができるのであるから、知情の事実を認定する証拠がないとの所論
は採用することができない。また贓物故買罪の犯罪事実を判決に表示するには、原
判示の程度に記載すれば足りるのであつて、所論のような事実の有無について判示
する必要はない。されば、原判決には論旨に指摘するような判断遺脱もしくは理由
不備の違法はないから論旨は理由がない。
 同第三点について。
 罰金刑の言渡を受けた者が罰金を完納することができない場合の労役場における
留置は、刑の執行に準ずべきものであるから、(旧刑訴五六五条、刑訴五〇五条)
留置一日に相応する金銭的換価率は、必ずしも自由な社会における勤労の報酬額と
同率に決定されるべきものではない。本件は、いわゆる旧法事件であるからこれに
適用されるのは旧刑事訴訟法であるが、同法は、本刑に通算すべき未決勾留一日を
金額の一円に見積つているにすぎないのであり(旧刑訴五五六条)、原審が本件に
つき判決をした直前に制定された新刑事訴訟法においてさえ、本刑に通算すべき未
決勾留一日を金額の二〇円に見積るにとゞめているのである(新刑訴四九五条)。
されば、原審が被告人両名において罰金を完納することができないときは金二〇円
を一日に換算した期間被告人等を労役場に留置すると言渡したことは、基本的人権
と法の下における国民の平等を保障した憲法の所論条規に反するものではないから、
論旨は理由がない。
 よつて、旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。
 以上は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年一〇月五日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠
 裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

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