弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、記録に編綴の弁護人田中福一作成の控訴趣意書に記載のとお
りであるから、これを引用する。
 論旨は、事実誤認をいい、要するに、被告人には本件医療行為につき過失はない
と主張するのである。しかし原審において取り調べた総ての証拠および当審におけ
る事実取調べの結果を総合すれば、被告人は本件発生当時(昭和三一年四月こ
ろ)、ストロンチューム九〇によるA治療は開拓途上にあつて、その適応症の範囲
およびその症状に応じた照射線量の程度については臨床医学的にもなんら見るべき
研究成果がなく、被告人においても、本件表在性皮膚疾患に対して右照射治療をす
るにあたつて、その方法に関する経験もなく、かつ十分な知識もなかつたのである
から、その施用については医師として、当然べーター線照射の皮膚におよぼす影響
など十分研究のうえ、細心の注意を払つて治療すべき業務上の注意義務があるにも
かかわらず、漫然、これを怠り原判示の顔面毛細血管拡張症患者B、同C、顔面お
よび右側頸部血管腫患者Dおよび顔面眼上顎部、右頬、頸部黒褐色色素性母斑患者
Eに対して、右ストロンチューム九〇によるべーター線照射治療をするに際し、照
射線量の過大な、いわゆる過照射治療をして同人らにそれぞれ原判示のような傷害
を負わせた過失を認めることができる。所論は、まず、本件過失の前提である被告
人の能力について、被告人は有能な医師であつて、F協会主催の第六回G講習会に
おいて受講しべーター線ならびに同照射治療方法に関する知識と経験を十分有して
いたというのであるけれども、右証拠、特に被告人の司法警察職員に対する昭和三
三年八月四日附供述調書(記録一六五八丁)京都大学医学部長H作成の回答書(記
録一三八丁)、F協会会長I作成の回答書(記録七四丁以下)および原審証人J同
Zの証人尋問調書(記録九三〇丁以下)によれば、被告人は、L在のM軍医学校に
学んで医学一般を修め、昭和一九年三月同校を卒業して軍医となつたのであるが、
終戦程なくして内地に引き揚げ昭和二二年三月二四日附で厚生省から医師の免許を
受けたこと、同年一〇月三一日附で京都大学N部O科P科教室に医員介補として入
局し、昭和二三年九月一日附で志願医局員として採用され、主任教授Hの下で、
一、皮膚科領域におけるビタミンB1代謝の研究二、皮膚の美容形成、特にその手
術的治療に関する研究を研究題目として、右教室において研究、診療のかたわら約
二ケ年間X線、ラジユウムなどの放射線治療に従事し、昭和二八年八月六日附で右
皮膚科領域におけるビタミンB1代射の研究で学位を授与されたが、べーター線に
よる皮膚疾患の特別の治療経験はないこと、その間昭和二六年一一月から大阪市a
区b町c番地において皮膚科整形外科などを診療科目として診療所を開設して医療
に従事し、昭和二九年三月三一日附で右医局員を退職したこと、Qに依頼し健康管
理者となつてもらい社団法人F協会を通じて総理府科学技術庁ヘストロンチューム
九〇のべーター線発生源器の輸入を申請し、昭和三一年四月五日ころ、英国S製作
のストロンチューム九〇の五ミリキュウリー、R発生源器六個、同一〇ミリキュウ
リー、R発生源器二個が被告人方へ到着したこと、その購入にあたり、昭和三〇年
九月五日から同月一四日まで施行された前記協会主催の第六回G講習会に参加して
同月一〇日右講習を修了したものであるが、右の講習会は、医学、土木、気象、自
衛隊などの各関係者が参加したものであつて、基本的な原子物理学及び医学、生化
学、工業、農業等への応用に関する講義と実習とを目的とし、受講者に限り輸入し
たR発生源器を配給することにして、その発生源器の使用上の注意をするなどの基
礎的事項に関する講習であり、現実にストロンチューム九〇の外面照射方法、その
照射線量などに関する臨床的な講義や実験はなかつたことが認められるのみなら
ず、Qの検察官に対する供述調書中、「要するにW医師は講習を受けて来ただけ
で、紅斑が後から起ることも十分知らず、経験なしで、いきなり患者に施療したと
いう点が今回の原因をつくつたものと思う。」旨の供述記載(記録二、〇四一丁以
下)に徴すると、事件発生当時(昭和三一年四月ころ)被告人のストロンチューム
九〇によるA治療の知識は不十分、経験は皆無であつたことが明らかである。なる
ほど所論指摘の被告人が使用したストロンチューム九〇のべーター線発生源器には
「T証明書」が添付されており、その源器の性能、放射線量などは、右証明書を信
用する以外に方法がなかつたことは首肯できるが、右証明書(被告人の司法警察職
員に対する昭和三三年八月四日附供述調書添付のもの、記録一六八八丁以下。)に
よれば、公称容量五ミリキユウリーの発生源器(但し五六年型番号三二三ないし三
二八)のものは、作用面積一平方センチメートル、放射線吸収線量は、毎秒二・二
ないし二・七ラド・プラス・マイナス二〇パーセント(2.2~2.7rad/s
ec±20%)であり、同一〇ミリキュウリーのものは作用面積四平方センチメー
トル、吸収線量毎秒四・三ラド、プラスマイナス二〇パーセントと記載されている
から、右の源器を使用するばあいの吸収線量は明示されているわけであるが、後に
説示するとおり、被告人は、その証明書の記載にかかわらず過照射を行つているこ
とが明らかであるから、証明書は、本件発生源器の性能や具体的な照射線量に関す
る被告人の知識に対して、影響がなかつたものといわなければならない。更に、所
論指摘の本件発生当時(昭和三一年四月ころ)におけるストロンチユーム九〇によ
るA治療の普及程度、適応症の範囲、感受性の有無、照射線量などに関する研究状
況についてみるに、 一、 原審鑑定人Uは(記録二一四丁以下)、「現在国立大
阪病院の放射線科の部長であるが、R専用の照射器を使用したのは、大阪大学の放
射線科にいた当時、昭和三二年五月、六月、七月の三ヶ月にわたつてドイツから来
たばかりのべルマプラッテというストロンチューム九〇の五〇ミリキュウリーはい
つた照射器を使つて治療したことがある。それから国立大阪病院へ変つてからは、
昭和三四年の春にアメリカのトレーサーラブ会社の製造したストロンチューム九〇
の照射器を使つて現在に至つている。放射線の作用は弱くても傷害的で量次第によ
つて火傷に至るいろいろの段階の傷害が起る。(中略)べーター線の対外照射療法
が行われ始めたのは、ラジュームに含まれるべーター線を対象としたものは、一九
〇〇年であるが、R専用の治療は放射性燐(P・32)を使い出した一九四〇年の
初であり、アメリカの壬がその権威である。ストロンチューム九〇によるべーター
線の治療は一九四七、八年で、日本で行われるようになつたのは、昭和三〇年前後
である。昭和三〇年前後には、東京大学のV教授が初めてそのような照射器を自作
して、いろんなテストをしたり臨床実験をしていたので実用段階に入つたといつて
よい。Rの外面照射の術式としては、非常にインテンシテイーの弱いものを十数時
間、あるいは数十時間かける、例えば、P・32によるような方法と、それから、
現在われわれが使用しているような二〇ミリキュウリーとか、五〇ミリキュウリー
とかいうもので、二センチメートル平方ないし三センチメートル平方の照射面のも
のを何分というふうにかける方法とあるが、疾患によつて、いろいろ違うけれど
も、子供の血管腫を一番たくさん治療している。数分かけて線量にして三〇〇ラ
ド、五〇〇ラドあるいは時に一、〇〇〇ラドの量を使い三週間から三ヶ月くらいの
間隔で観察しながら、くりかえして行くと、一ぺんで治療した場合もある。(中
略)人体の細胞の部位と年令による差異があつて、年の若いものほど感受性が高
い。Rの治療に適する病気は、第一番に皮膚とか粘膜の表面にある癌である。その
はか肉腫のような悪性腫の中の感受性の高いものがこれにはいる。第二番目は、血
管腫である。なかんづく子供の血管腫によくきく。血管腫のうち、海綿状と単純性
とがあるが、海綿様のあざやかな赤い色をしたもの(ストローベリー・マーク)に
は非常によくきく。そのほかに母斑があるが、経験上あまりきかない。それから毛
細血管拡張症、そのほか眼科領域には結膜とか角膜の疾患に使われているようであ
るが、私には経験がない。海綿状血管腫のうちでも感受性の低いもの、単純性のぶ
どう酒のようなもの(ポートワイン・シュテイン)にほなかなか効果が出ないか
ら、反覆照射しているうちに放射線の影響が色素沈着を起すとか、つやがなくなる
とか、白斑を形成するとか、やけどの跡のような萎縮を起すとかで効果が最上とは
いえない。母斑は、黒色が消えて正常の皮膚と同じようにはなかなかなおらないで
放射線の障害の方が強く現われる。したがつて最初の状態と最後の状態とを考え
て、あとの方が見かけ上よいという判断をくだしてから取り掛ることにしている。
べーター線治療は透過力に限度があるので、二ミリメートル・三ミリメートル以上
もあるものは効果がない。そのほか放射線感受性がないとか、あるいは低いとかい
うような疾患は適応しない。(中略)Rを照射した場合の皮膚の症状は数時間で紅
斑、赤い斑点が起きる。続いて二日目か三日目ごろから色素沈着が起きる。色素沈
着がだんだん強くなつて最盛期が二、三週間くらいのところにある。更に線量が強
いと皮膚炎の状態になる。それが二週間くらいと思う。三週間くらいに皮膚炎は一
番強くなつて来る。そして更にその量が多い場合には表皮が剥離を起こす。表皮剥
離の状態が来るまでに分泌が高まり湿性皮膚炎となる。湿性皮膚炎の手前までのも
のを乾性皮膚炎といつているが、湿性皮膚炎から表皮剥離更に真皮が浸されると潰
瘍になる。潰瘍が深いと瘢痕を作つて色素異常も現われて来るし、毛細血管の拡張
とか萎縮ということになる。更に高度の照射をすると潰瘍が最後まで治癒しないこ
とが起きる可能性がある。一たんなおつて、数ヶ月とか数年経つてまた潰瘍ができ
ることがある。これは晩期潰瘍といつて癌の発生傾向が強いといわれている。紅斑
を生ずる程度のストロンチューム九〇の線量は、私の経験では三〇〇ないし八〇〇
ラドである。年令差以外に個人差があつて、一番強いのは二、〇〇〇ないし三、〇
〇〇ラドくらいで紅斑だけですむ人もあるが、それだけかけると乾性皮膚炎をみた
り、あるいは痂皮(かさぶた)を作るような湿性皮膚炎を伴う人もある。湿性皮膚
炎を起す程度は、個人差はあるが三、〇〇〇ラド以上だと思う。私は三、五〇〇ラ
ド以上を一ぺんにかけた経験はない。外面照射を行う場合に、その線量の基準決定
は、わが国では不幸にしてRの測定装置があまりないので、どこででも測れるわけ
ではない。私が使用したものは、すべてあちらから送つて来る時についてくる証明
書をそのまま信用する。血管腫の治療などでは、二歳、三歳の幼児には経験上三〇
〇ないし五〇〇ラドを使つているが、大人では一、〇〇〇ラド以上でないと効果は
ほとんど認められない。
一、〇〇〇ラドは一回の照射量であるか、それで効果と反応をにらみ合わせて、あ
まり大した皮膚炎が起らないときには、更に一、八〇〇ないし二、四〇〇ラドまて
上げてやる。そのうちに効果があるかないか大体わかつて来るので、中止するか継
続するかを決める。反応をみて適切な線量を選び、副作用を少なくする意味で分割
照射をすることにしているが、間隔は、線量がよほど少なかつたと思う場合は、一
週間ないし三週間くらいで追加する。適当だと思う場合は一ケ月ないし三ケ月とい
い長い間隔を置いてやる。癌を含めて悪性腫瘍以外は軽い湿性皮膚炎までである。
それは顔面以外の母斑で瘢痕ができてもよいからというのでかけることがあるが、
それが前述の三、五〇〇ラドてある。定説は乾性皮膚炎までで、表皮剥離を起さな
い程度の弱い照射量ということである。私が扱つた患者で血管腫で一回に照射量最
大かけたのは二、四〇〇ないし二、八〇〇ラドくらいまでで、総照射量は七、〇〇
〇ないし八、〇〇〇ラドくらいである。色素性母斑の患者では、一番たくさんかけ
たのが三、五〇〇ラドであつたが、痂皮ができて色素性母斑はびくともしないので
中止した。毛細血管拡張症の患者では最高二千四、五百ラドを三回くらいかけて、
あまり効果がなくてやめた経験があり、近頃はあまりやらないことにしている。
(中略)大体、三、四週間までに反応をみて、それから一ケ月、二ケ月とみていつ
て、次第によくなる傾向が見えたら更にやる。三ケ月以上たち、線量を変えても効
果がないときにはやめる。R発生源器使用の際注意すべきことは、線量の証明書を
信用し、治療文献を見て先人の経験のデータを使うが、それをすぐに始めるのでな
く、控え目にかけていく。われわれの場合、子供が多いが大腿部とか腹部とか目に
当らない所に控え目な線量をかけて反応を調べることにしている。昭和二八、九年
当時、被告人から放射性燐(P・32)を買う方法をきかれたことがある。その時
P・32を皮膚につかう場合には濾紙にP・32リン酸溶液をしませて、それを乾
かしてセロハンで包んであるものを使つており、当時、わが国のあちこちで行われ
たべーター線治療であるが、汚染の虞が大きいので、ストロンチューム九〇(Sr
90)の方が使用に便利であろうと申しておいた。(中略)昭和三一年四、五月こ
ろべーター線は、リンの濾紙にしませた一平方センチメートル当りのマイクロキュ
ウリー数に、時間を乗じて、マイクロキュウリーアワーの数字が出されていた。外
国では当時ストロンチューム九〇による臨床効果を発表した文献がすでにあつたよ
うに思うが、わが国ではV教授のものが昭和三〇年か昭和三一年の日本放射医学雑
誌に発表されたと思う。昭和三一年の初ころはストロンチューム九〇を日本で医療
目的に使うということは極めて初期といえる。しかし非常に柔らかいエックス線の
態度がRと比較的に似ているから私は、それと比較して割合近い線量を使つていた
し、P・32の臨床効果を参考にしてやつていたので、その苦心をしたとは考えな
いP・32とSr・90との取扱いは大差がないと見てよいと思うが、透過力はS
r・90のRの方が強い。それは、ストロンチュームからイツトリニウムが生れ、
二つのアイソトープからRが出る。そして、イツトリュウムは二・二ミリオン電子
ボルトであるのにP・32のべーター線は一偶で一・七ミリオン電子ボルトの最大
量を持つているので、Sr・90の方が強いのである、しかし表面量を比較する場
合にはあまり大差がないと考えてよいが透過力によつて差が出て来るので、Sr・
90はP・32の二倍ということがいえる。」旨供述し、
 二、 原審証人Qの尋問調書(記録六四九丁以下)及び同証人の当審における供
述は、「昭和二二年から阪大N部の放射線科の科長であつたが、同三一年国立呉病
院院長となつた。年は記憶しないが、阪大当時、Wが訪れ、ストロンチュームを購
入したいという相談に来たことがある。(東京で講習を受け、慶応大学教授になつ
たY氏に講習を受けて来たというので信用した―当審)。F協会へ申しこむと周旋
してくれるといつていた。当時、そのような治療機は、全国でも輸入されているの
を聞かなかつた。ラジュームからはアルファー線とべーター線とガンマー線とが出
るが、ストロンチュームはべーター線ばかり出るから、べーター線治療には普通、
ストロンチュームの方が理想的で、私が始めたころは、ストロンチュームの器械が
なかつたから、専ら皮膚病の治療にはラジュームのRばかりを使つて治療してお
り、ストロンチュームを使用しはじめたのは呉病院へ来てからのことである。(中
略)日ははつきり覚えないが、Wが英国ラジオ・ケミカル・センター製のストロン
チューム九〇の発生源器を輸入して見せに来た。ストロンチュームの出る所が一平
方センチメートルで、その周囲に二・五ミリメートルくらいのわくが取つてあり、
後についている棒を持つて患部に当てるようになつていた。私はラジュームからの
量と換算してみて、Wに対し普通の大人で三〇分くらいが極限だろうといつておい
た。そして極限をあてると後で紅斑ができる。一週間ばかりでその紅斑は消えるの
が普通であるが、それを越えると今度は、赤くはれ上つて水泡ができることは常識
であるから紅斑量を話せばわかるはずである。適量は年令、皮膚の部位、男女の別
によつて相違があるが、普通大人の皮膚は大腿の前側で放射線の紅斑量を測定す
る。疾病によつても適量が違うが、私の経験では、あざであると一平方センチメー
トル当り、大人で、一〇ミリキュウリーで、一五分くらいかげているが、五ミリキ
ュウリーで三〇分くらいではないかと思う。控え目にやるのが普通であるから二〇
分くらいが適当だと思うと言つたように思う。その後一〇日くらいたつて、Wから
電話で、二〇分でも三〇分でも紅斑は出ないと言つてきた。私は、それはすぐ来な
いので、一週間もしてから来ることがあるから気をつけないといけないと言つたよ
うに思う。(中略)その後、Wから見てもらいたい患者があるという電話により同
人方へ行つたところ、娘さん(Bのこと)がいて両方の頬がまつかにはれており、
ストロンチュームを当てた所に白斑ができていた。それは額に四つくらい、両頬に
一二、三個ついていた。原因は量が多過ぎたと思つた。患者は一時間以上かけたと
言つていた。二時間以上かけたとも言つていた。Wは、三〇分と言つた。白斑は、
四年五年たつと余程変つてくる。Wに対して『こんなにびしやつと当ててたら境界
が鮮明になつていけないから、当てるなら動かしなさい。』と教えた。かけ過ぎる
と、まず赤く弛緩し、その部分に水泡ができ、水がたまつて水泡が潰れて潰瘍にな
る。表皮が取れて、それが治ると瘢痕になる。色素はもらできないが、年数がたつ
と、周囲から健康な皮膚の組織がはつてくるから、しまいには、ほんの中心だけ白
斑が残るかもしれない。その患者は、二度三度くらいの皮膚炎だと思った。私は一
時間くらいちようど紅斑の起る倍くらいの量がかかっているのて、患者の言ってい
る方が正しいと思つた。Wはサンド・ペーぺーでこすると言つていた。ほかの刺激
が加わらなくてもそのようになる。一ケ所で一時間もかけるといけないので、一平
方センチメートル以上であれば、セロハンを当ててスライドし、それ以下であれ
ば、そのところに鉛をあて患者だけに当てるようにしたらよいと注意した。ストロ
ンチューム九〇のべーター線照射治療の適応症は血管腫がもっとも適応する。雀斑
(そばかす)、赤鼻にもよくきく。毛細血管拡張症は鼻の赤いのをやつてよく取れ
たが、その他の場所のはやつたことがない。一般的な照射量についていえば、日本
人の成人の健康な皮膚の場合に、紅斑量はストロンチューム九〇で一、〇〇〇ない
し一、五〇〇ラドで、潰瘍の起るのはその一倍半以上である。Wの購入した器具で
は一平方センチメートル当り五ミリキュウリーで一秒で二・四ラドであるから、一
分で大体一四四ラド、一〇分で約一・五〇〇ラド、(線量は成人で一〇分一・四〇
〇ないし一・五〇〇ラドの間とする―当審)」というのであり、
 三、 原審証人Jの尋問調書(記録八九〇丁以下)中、「昭和一七年五月東京警
察病院の皮膚科、泌尿器科の医長となり、昭和三四年から東大附属病院整形外科長
である。ストロンチューム九〇のべーター線照射治療は、昭和三一年一二月ころか
ら使つたと思う。初めにP・32とSr・90を使つていたが、現在はSr・90
しか使つていない。Sr・90は血管腫のうちのあるもの、およびケロイドの早期
のものに使つていた。その他には癌、悪性腫瘍にも使つた。血管腫などの治療の場
合の照射線量は二〇〇マイクロキュゥリー・アワーないし三〇〇マィクロキュゥリ
ー・アワーを照射して数日間待つてその反応を見て、それから一ケ月又は隔月毎に
照射を何回か繰り返したけれども、それによつて軽い皮膚炎などが起きることもあ
つたので、漸次、その照射方法を変えて、現在では大人の場合でも、一〇〇マイク
ロキュウリー・アワーを最初にかけ、数ケ月の間隔を置いて、その変化のないこと
を確めたならば二〇〇マイクロキュウリー時間に延ばす。しかしいかなることがあ
つても合計一、五〇〇マイクロキュウリーだと思うがそれ以上はかけないようにし
ている。毛細血管拡張症は適応症の一部になるがストロンチューム九〇のような一
連のアイソトープを使うと皮膚色の変化が起つてくるから私は使つたことはない。
色素性母斑には絶対に使つたことはない。大田氏母斑も色素性母斑の一部である
が、私は非適応症だと思う。それは深いところにあるから治療できない。べーター
線治療は皮膚に軽いやけどを起すことであるから、たくさんかけることによつて、
後がえりのできない変化を起すことは最もいむべきことである。それでさようなこ
との起らない量を求めて、それ以下の量で止めるようにしている。Rを照射しすぎ
た場合は、結果として得られるのは皮膚の萎縮であり、次は皮膚の色が脱色して白
斑ができるかまたは別の意味でしみができる。もう少しひどくなると皮膚の表面に
毛細血管がたくさん浮き出てくる。もう少しひどくなると潰瘍化して瘢痕となる。
日本人の紅斑量は一一〇マイクロキュウリ―時間くらいである。私はもう手足その
他身体の隠れた場所に試してみてその結果を納得してから顔に使つた。(中略)昭
和三一年上半期当時はストロンチユーム九〇の人体の外面照射治療は、極めて初期
といつた方がよいと思う。当時、わが国においてストロンチューム九〇の発生源器
はドイッの甲社製の五〇ミリキユウリーのダーモ・プレート型が皮膚科の間で一番
使われていたと思うが、それ以外のものは記憶がない。当時、放射線治療はP・3
2が主体であつて、Sr・90に関する臨床医学界の権威は記憶にない。Sr・9
0の当時の適応症は皮膚癌、皮膚の悪性腫瘍であつた。Yさんの名でアイソトープ
はあざにきくという記事がX新聞に出た。私は海綿状血管腫にはきくのではないか
と思うが、色素性母斑にはきかない。当時単純性血管腫という平らな赤あざにもき
くといら報告があり、自分も適応症の一つに考えたが、今はそうでなく、表皮のす
ぐ下にある毛細血管の拡張している赤あざだけは注意してやれば、ある程度の効果
があるのではないかと思う程度である。」旨の供述記載があり、
 四、 原審証人Zの尋問調書(記録九二二丁以下)中「東京警察病院医師で皮膚
科、泌尿器科、血液が専門である。Sr・90は、昭和三一年一二月から治療用と
して西独の甲会社のゲルマプレートを使つている。ケロイドと悪性の血管腫に使用
する。それはストローベリー・マーク・タイプという血管腫であつて、時にはポー
トワイン・マークという血管腫にも使用している。毛細血管拡張症には使つていな
い。色素性母斑も適応症でない。使用方法は、ストローベリー・マーク・タイプの
血管腫は、生後二、三日してストローベリーの血管腫ができて次第に大きくなり、
一、二年で最大になり、その後だんだん平らになつて五、六年で消滅するものであ
つて、自然に放置しておいても治るが、Sr・90を使うと短期間に治るといえ
る。それに使う線量は大体二〇〇マイクロキュウリー・アワー、一センチメートル
平方である。一回が大体三〇マイクロキュウリー・アワー、一センチメートル平方
を、三ケ月くらいに分けて七回やつている。それからポートワイン・マークは、単
純性血管腫で、生れた時からあり、皮膚と同じ高さてポートワインのように赤くな
つている。これは非常に問題で、私は美容的な効果を上げて血管腫が治るとは思つ
ていない。少しでも薄くなる程度で、放射線障害を起さない程度ということになる
と、総量で、一、〇〇〇マイクロキュウリー・アワー、一センチメートル平方、回
数は大体三ケ月間隔で三回ないし四回、一回の線量二〇〇ないし三〇〇マイクロキ
ュウリー・アワーであるが実際はなおらない。海綿状血管腫は皮膚全体が高くなつ
て、ストローベリーのようにでこぼこしていない。これにはきかない。今までマイ
クロキュウリーをレツプやラドに換算したことはないが、一応換算すると、P・3
2の一マイクロキュウリー時間パー平方センチメートルは四、三レツプ、時間パ
ー、グラムに当り、ラドも大体同じである。ストロンチユームの紅斑量は、年齢、
部位、皮膚の黒白によつて違うが、大人の上膊内側で一五〇ないし四〇〇マイクロ
キュウリー時間パー、センチメートル二乗である。紅斑量を越えると、水泡ができ
皮膚に破壊が起る。すなわち、水泡がくずれて糜爛になり、普通は目立たないほど
の瘢痕となつてなおるはずであるが、線量が非常に多いばあいには永久的な瘢痕と
なる。(中略)昭和三年初ころ臨床医学界において、Sr・90の外面照射治療の
適応症について発表はなかつたと思う。P・32のR治療の発表があつたにすぎな
い。べーター線治療の適応症とせられていたのは、色素性母斑、血管腫、皮膚の悪
性腫瘍程度のものであつた。昭和三一年一二月頃は、血管腫は、海綿状と単純性の
二種に分けられており、ストローベリー・マーク・タイプの存在を知らなかつたの
で、単純性血管腫と同じ量を使つていたが、昭和三二年ころから三種に分ける考え
方が出できた。現在では、ストローベリー・マーク・タイプの血管腫とごく浅い所
にあるポートワイン・マーク・タイプの血管腫(単純性血管腫のこと)だけが適応
症であつて、その他の血管腫や毛細血管拡張症は美容的にいつて適応症ではな
い。」旨の供述記載があり、
 五、 原審証人Y(のちに慶応義塾大学教授)の尋問調書(記録九三八丁以下)
中「癌研究会附属病院医師で、専門は、放射線医学科である。昭和一〇年ころから
放射線による治療を始め、主としてラジウムとレントゲンを使用しているが、S
r・90を使用したのは、昭和二七、八年ころからと思う。日本にストロンチユー
ムがはいつて一番最初に私が使つたと思う。当時Sr・90はイギリスおよびアメ
リカ合衆国から輸入され、主に英国から来たと思う。現在でもSr・90を治療に
使用しているが、主に表在性の皮膚疾患に対して使う。英国ラジオ・ヶミヵル・セ
ンター製のSr・90のべーター線発生源器は、私自身使つた経験はない。適応症
は、単純性血管腫、色素性母斑、苔癬が主なものである。(中略)色素性母斑は当
初適応症と考えていたが、その後の研究では色素性母斑の総てのものが適応症では
ない。べーター線の透過率が非常に少ないので皮膚から五ミリで、それより深い所
にあるものにはきかない。そういう種類のものは適応症からはずすことに考えが変
つた。顔にできた紫色のあざを太田氏母斑というが、これがそれに相当する。昭和
三〇年ころから非適応症であると考えが変つた。毛細血管拡張症には、毛細血管拡
張性の血管腫(海綿状血管腫という)や放射線治療のために起つた毛細血管拡張症
などがある。生れつきのあざとしての海綿状血管腫は、治療の対象になると考えて
いる人は多いと思うが、後天的毛細血管拡張症に対しては、私は特にこのR治療は
無効であると思う。私自身としては、海綿状血管腫や広い意味の毛細血管拡張症に
対してはべーター線治療は行つていない。(中略)マイクロキュウリーというの
は、一平方センチメートルに対してかけるアイソトープやラジュームの量によつて
示す単位であつて、ラジュ一ムーグラムが一キュゥリーに相当し、一マィクロキュ
ゥリーは、それの一〇〇〇分の一の一〇〇〇分の一である。それからラド(吸収線
量ラジェイション)、レップ(表面線量レントゲン・イクイヴァレント・フィジカ
ル)というのは、線量単位で表わす。発生源器に密封されたものはメーカーの示す
レップとラドという単位を使用してかけるより仕方がない。ストロンチュームのよ
うなべーター線治療を行うときにレップやラドで表わすことはむづかしいが、私の
やる装置では、一マイクロキュウリーは三・六ラドである。これはローペアーの出
した値いと偶然に一致している。R治療をするにあたつて添附療法でやる場合にフ
イルターをつけないで、じかにやることは原則としてやらない。おそらくセロハン
紙か薄いゴムとか透過度の高いものを使つてかけるのが普通で、じかにかけると容
器が長持ちしないからである。(中略)照射量については、病気の種類、発生部位
によつて違い、また、年令差、個人差が大きいので慎重にしなければならない。私
は慎重論を唱える方であるから、私の使う線量は、あまり一般の参考にはならんと
思う。色素性母斑の場合は、ある程度、瘢痕を残すくらいの線量をかけないときか
ない。瘢痕ができても、目立たない場合には相当思いきつてかけてよいと思う。し
かし、これも時間的の因子がある。私の経験は、分割照射であつて、一回の治療で
なおそうとせず、半年か一年を目安とし、少ない線量を何回かに分けて線量の合計
は相当多いものをかける方法をとる。大体、一回に七〇〇マイクロキュウリー・ア
ワーくらいである。私の特別な装置で換算すると一二〇〇ラド程度だと思う。全線
量は三、〇〇〇ないし五、〇〇〇ラドくらいにあたると思う。大体反応がとれた
ら、一ケ月半の間隔でやるが、色素性母斑に限り、ある場合には一〇回くらいにや
ることも可能である。したがつて一回量は一、〇〇〇ラド以下となる。右に述べた
のは色素性母斑で瘢痕を作つても美容上問題にならないばあいのことで、瘢痕が美
容上目立つ場合には慎重にやるべきで、四〇〇とか三〇〇以下の非常に少ない線量
に滅らさなければならない。血管腫の場合では、四〇〇マイクロキュウリー・アワ
ーである。最初血管腫でも七〇〇マイクロキュウリー・アワーを顔面にかけていた
こともある。ストロンチュームに代えると非常に反応が強いので測定器ができて測
つて見たところ、P・32では七三〇マィクロキュウリーがちようどよいが、スト
ロンチュームでは四〇〇マイクロキュウリー・アワーに相当することがわかつた。
最初はP・32とSr・90はほとんど変りがないたろうと考え、辛大学教授ロー
ベァーが初めてP・32を使つてやつた報告書の線量にならつてやつた時代がある
が、そのままSr・90にかえると大きな誤であり、P・32とSr・90は三対
二であることが臨床上わかつたので、P・32で七〇〇マイクロキュウリーであれ
ば、Sr・90では四〇〇マイクロキュウリーに減らさなければならない。(中
略)血管腫の場合、四〇〇マイクロキュウリー・アワーは二、五〇〇ラドである
が、壬などはもつと多い量をかけている。対象がアメリカ人であるから白瘢を残す
ことは美容上問題にならないが、日本人は黄色人種だから肌色になおさなくてはな
らないという難点がある。アメリカの文献をそのままうのみにすると失敗する。特
にべーター線治療の場合は人種の特異性を考えなくてはならない。日本人の顔面の
紅斑量は、P・32で七〇〇マイクロキュウリー、高度のもので一、〇〇〇、体質
により一〇〇か二〇〇で紅斑を起す人もある。ストロンチュームの場合には三分の
二に減らざなければならない。瘢痕について、私の経験によると、一回の線量より
も反覆する回数が問題であり、一度にやや大量をやつても、一回だけであればそん
なに大きな瘢痕を残さないが、一回やつて大したことはないと思つて二度目にやる
と思いがけない反応がある。三度目、四度目になると、ますます反応が強くなる。
統計上血管腫について六回以上くり返えすと悪い例が出る。べーター線治療に際し
て医師として注意すべきは、Rの性質をよく知ること、放射線による破壊の防止、
患者に対する反応の程度を確めて線量を掌握することであり、色素性母斑の場合は
ある程度薄くなればよいので、白斑が起つてもおしろいを塗ればわからない程度に
目立たなくなればよい方に入れてよい。単純性血管腫は色素斑も白斑も残さず色調
が薄くなつて桃色程度にすればよいので非常に微量照射をして跡を残さないように
する。」旨の供述記載があり、
 六、 原審証人乙の尋問調書(記録九八一丁以下)中「丙大学丁学部戊病院勤務
で放射線医学専門である。Rの線源として、ストロンチューウム九〇を使用したの
は、昭和三〇年ころからである。Rの外面照射治療で、主として血管腫の治療に使
つていた。血管腫は、いわゆる赤あざといつて皮膚の表面に存在するものが多い。
単純性血管腫と海綿状血管腫とがあり、毛細血管拡張症は血管腫の一種と考えてい
る。私の経験では、色素性母斑はほとんどやつていない。太田氏母斑については人
によつて考えが違うが私はやつていない。大部分は子供の血管腫である。血管腫の
治療としては、放射線として通常二種類使うが、一つが、Sr・90、一つがP・
32である。Sr・90の方は、私の使用する容器の直径が約二センチメートルで
あるから、これ以上大きいものや形が不規則なものを治療するのに適しないので、
私はP・32を多く使うことにしている。その理由の一つは、Sr・90は非常に
強いべーター線を出して照射時間が一分以内(強線短時間照射)であるが、これに
反してP・32は任意に濃度を決めることがてきる(弱線長時間照射)から、危険
の無い弱照射で治療ができるという利点があり、次に二センチ以上の広さの血管腫
に対し直径二センチの器械を使うと何回かにわけ場所を変える必要があり、そのた
め、重なる部分ができて湿性皮膚炎を起す危険があり、照射できない部分がまだら
になるからである。私の使用している容器はドイツ製のSr・90ゲルマ・プレー
トて、直径約二センチメートルの円板、強さは五〇ミリキュウリー、一分間の照射
線量は二四〇レップのものである。ラドとレップとは、ほとんど同じであると現在
考えているが、測定器によつて約二倍の値を示したことがある。(中略)子供も大
人も同様に三〇秒ないし一分というのが通常であるが、大人ならばその一倍半くら
いの線量にしても大丈夫と思う。それを何回かに分けて照射するのであるが、一日
一回として毎日あるいは一日置き、あるいは一週二回程度で総計五回ないし一〇回
というのが一番多い。治療の総線量は、患者によつて個人差が非常に多いために一
定しないが少ないのは六〇〇ラドて十分治る人もあるし、一、三二〇ラド与えても
よくならない例もある。美容を目的とする治療であるから、たえず皮膚の状態を確
かめ危険のない程度にする。すなわちただれ(靡爛)を生ずるおそれのある場合は
すぐ止めるのが原則である。ただれに乾性と湿性とあり、それが潰瘍を形成すると
必ず瘢痕を残す。私はストロンチューム九〇による強線短時間照射の場合一二〇レ
ップから二四〇レップまでを限度としている。」旨の供述記載があり、
 七、 原審証人己の尋問調書(記録一〇六六丁以下)中「科学技術庁放射線医学
総合研究所勤務で、ストロンチューム九〇によるRの外面照射治療を実施した経験
がある。Sr・90を使用したのは、東京大学医学部医局にいた昭和三一年からで
ある。私は大体血管腫を主体として治療していた。それから眼科的な翼状贅片とい
う角膜のところに肥厚がてきるものに使つたことがある。この外に皮膚癌にも使
う。ものの本にはいろいろの種類の病気があげられているが私は自信のないものに
は手を出したくないので、今まで大体二種類くらいに限つてやつて来た。治療方法
は、大体一回に一〇〇ないし二五〇レップくらいで、その年令その他個人差がいろ
いろあるから、その時によつて線量は多少変る。周囲を薄い鉛て遮蔽し、その患部
だけを出すようにして、一回のクールを大体一週間とし、毎日行い、合計一、〇〇
ないし一、五〇〇レップくらい、時には二、〇〇〇レップくらいまでやることがあ
る。そして数ケ月おいて様子を見て更に必要であればまたやる。私は大体三、〇〇
ないし五、〇〇〇レップくらいを限度としている。容器の一〇ミリキュゥリーのも
ので、一分ないし三分間が照射時間である。(中略)昭和二七年ころからP・32
のデータが出ていたのでその結果を見てむしろ控え目にやる。ラドで考えても大体
同じになるが、私は血管腫の照射限度は一回クール三、〇〇ラド以上はかけないつ
ものである。」旨の供述記載があり、
 八、 原審証人庚の尋問調書(記録一一〇八丁以下)中、「東北大学医学部教授
で専門は放射線医学である。Sr・90は昭和三二年ころに一年間治療に使つてい
たが、適当な症例が少なかつたのと手がかかるから現在は使用していない。P・3
2で間に合つている。P・32は昭和二八年ころに入手して盛んに使い現在に及ん
でいる。Sr・90といつても、実際はストロンチュームだけではなく、イットリ
ュ・ウームが混つている。ストロンチュームだけであるとP・32よりも少し弱い
べーター線が出るわけであるが、イットリュウームから出るべーター線が強いの
で、一緒にすると、P・32よりも少し強いR群ということになる。しかしその開
きは、いくらもないので、同じ目的にべーター線として使える。P・32の経験に
基いてSr・90の使用を始めたが、その他の文献などにより、場合によつては私
の理論的発理からやっている。(中略)美容を目的とする顔面の血管腫などの治療
に際しては分割方式をとるが、一回の照射量は大体三〇〇ないし四〇〇マイクロキ
ュウリー・パー・センチメーターくらいで、総量一、〇〇〇ないし二、〇〇〇ラド
くらいに相当する。症例によつては、一週間に二回やつて治療期間を短かくしたも
のもある。総照射線量は五、〇〇〇ないし八、〇〇〇ラドくらいが限度である。
 とにかく五、〇〇〇ないし八、〇〇〇ラドくらいの線量を五、六回に分けて一週
間間隔くらいで行い。反応を見ながら徐々にかけて行くやり方をしている。血管腫
以外の病気にSr・90を使用したことはない。Sr・90を使用する場合にフィ
ルターを使らことは適当でないことは昭和三〇年ころからわかつていた。」旨の供
述記載がある。
 以上に徴すると、Rの外面照射治療が行われ始めたのは、一九〇〇年ころからで
あり、ラジュームに含有するRを対象としたものであつたこと、エネルギーの大部
分が真皮浅層に吸収せられ深部に到達しない特徴を有するべーター線専用の照射治
療は、一九四〇年初ころアメリカのカリフォルニや大学壬教授によつて放射性燐
(P・32)が使われて現在にいたつており、ストロンチューム九〇(Sr・9
0)によるべーター線の照射治療は、一九四八年ころから行われていること、わが
国においては、従来ラジュウーム、放射性燐(P・32)によるべーター線の外面
照射治療が行われていたのであるが、ストロンチューム九〇によるべーター線の外
面照射治療は昭和二八年ころ、当時の慶応義塾大学助教授Y博士によつてその発生
源器を輸入して臨床医学に使用したのを始めとして、昭和三〇年ころには、東京大
学V教授が、Sr・90のべーター線発生源器を試作して実験し、これを臨床医学
に使用していた程度であつて、本件発生の昭和三一年四月ころには、京都大学、大
阪大学、東北大学など著名な研究室においてさえこれがない状態であり、極めて初
期の段階にありその開拓途上にあつたことが認められる。そして、右のRを強力に
用いれば原疾患は完全に破壊せられ消失するけれども、そうすれば、健常皮膚に放
射線障害を残すのみならず、照射のあとに瘢痕化、色素沈着又は脱失等の醜形を残
し整容的治療としての目的に反する結果となり、しかも、一年ないし数年を経て顕
著となる晩発性障害を残すおそれのあることは当時すでに判明していたことである
から、医家はそれぞれ適応症の選択に苦心していたのであつて、当時適応症につい
ては、表在性の癌腫及び血管腫(単純性血管腫、海綿状血管腫)と色素性母斑があ
げられていたが、皮膚の深部にある疾患および太田氏母斑については適応しないも
のであり、毛細血管拡張症は枝状に広がる病変であつて病変部のみを選択照射する
ことが困難であるため適応症であるか否かについて説がわかれており、血管腫につ
いても、その大部分が自然に治療するものであるから、施術を必要としないばあい
が多く、所論にように前記三種の皮膚疾患のすべてが適応症であると考えられてい
たとはとうてい認められない。また所論指摘の感受性については、昭和二八年ころ
右Y博士がSr・90を使用した当時既に、その感受性には年令差や個人差がある
こと、人体の部位、細胞組織によつて感受性に強弱のあることなどはわかつていた
ことが明らかである。そして所論指摘の照射線量については、P・32は弱線で長
時間照射できるのに反し、Sr・90は強線で短時間照射すべきものであるから、
P・32とSr・90との線の強度に差異があるが、後者については資料が少ない
ため、P・32の治療結果資料をSr・90の照射治療の参考に供していたことは
所論のとおりであるが、P・32は疾患に応じて濃度を決め、それを患部の面積形
状に合わせて切り抜き貼布することができ、かつ、弱線で長時間使用することがで
きる利点があるが、Sr・90は、本件の発生源器でいえば、銀製容器に収容せら
れ、約三ミリメートルのわくがめぐらされているので、患部がその容器よりも広い
ときは、容器を並列させても前後左右にすき間ができて照射の結果がいわゆる市松
模様の瘢痕等を残すおそれがあり、施術に不便であるうえに、強線短時間使用を原
則とするから取扱に危険を伴うことは、右の療法を実施する医師として当然認識し
なければならないことであり、かつ認識し得たことである。従つて、Sr・90の
照射線量の決定は、皮膚疾患の種類、発生部位、年令、放射線感受性の強弱、治療
目的のいかんによつて異なるものであつて、そのいずれの場合においても分割照射
の術式がとられていることが明らかである。
 分割照射の場合に、一回あるいは一クールの線量、照射時間、総線量について
は、それぞれの専門家によつて一様ではなく右Y証人は、一回の照射線量は、色素
性母斑については七〇〇ないし一、〇〇〇マイクロキュゥリー、一ケ月半くらいの
間隔、血管腫については四〇〇マイクロキュウリー(二、五〇〇ラド)、反覆回数
六回以下とし、右土屋証人は、血管腫について毎日一回くらい一回の照射線量は一
〇〇ないし二五〇レップ、照射時間は一分ないし三分くらい、一クール一、〇〇〇
ないし一、五〇〇レップ、二ケ月ないし三ケ月ようすをみて必要があれば更に照射
するが、総線量は三、〇〇〇ないし五、〇〇〇レップが限度であるとし、右庚証人
は、血管腫について、一回の照射線量は一、〇〇〇ないし二、〇〇〇ラド、一週に
一回が原則であり、総線量は五、〇〇〇ないし八、〇〇〇ラドが限度であるが、結
果については、有色人種のばあいは白色人種に比べてむづかしく、美容目的の治療
としては良好な結果を得がたいとし、右癸証人は、血管腫について、一回の線量は
二〇〇ないし三〇〇マイクロキュリー、一ケ月ことに照射して軽い皮膚炎を起した
ので、現在大人でも一〇〇マイクロキュウリー、数ケ月の間隔をおいて変化のない
ことを確かめ照射する。総線量は一、五〇〇マイクロキュゥリーが限度であると
し、右乙証人は、血管腫について、一回の照射線量は一二〇ないし二四〇レップ、
照射時間は三〇秒ないし一分であり、五回ないし一〇回が限度で、総線量は六〇〇
ないし二、四〇〇レップであるとし、右U証人は、大人の血管腫について、一回の
照射線量は一、〇〇〇ないし二、八〇〇ラドで、総線量は七、〇〇〇ないし八、〇
〇〇ラドが限度である。色素性母斑については、三、五〇〇までかけたが患部がか
ぶれ、かつ、母斑がびくともしなかつたので中止したとし、右Q証人は三〇分くら
いが極度で、照射線量は五、〇〇〇ラドまでであるとし、以上は、いずれも、一平
方センチメートルについてのものであること、一マイクロキュウリーは、被告人の
使用した源器についてその証明書のとおりとすれば約一・八ラドに相当すること
(当審鑑定人Yの供述)が明らかである。したがつて、本件当時において一回の照
射時間の限度は三〇分であり、照射線量の限度は五、〇〇〇ラドであつて、総線量
は八、〇〇〇ラドが限度であると考えられていたことを認めることができる。これ
を本件について見るに、原判決挙示の対応証拠および当審における鑑定人A1の鑑
定結果によれば、いずれも美容を目的とする治療方法として、顔面の毛細血管拡張
症患者B(原判示第一)に対して、一回の照射時間六〇分ないし一二〇分、一平方
センチメートル当り(以下同様)、線量九、〇〇〇ないし一八、〇〇〇ラド、前同
様の患者C(原判示第二)に対して、一回の照射時間六〇分、線量九、〇〇〇ラ
ド、右側頸部の血管腫患者D(原判示第三)に対して、一回の照射時間六〇分ない
し一二〇分、線量四、五〇〇ないし九、〇〇〇ラド、右頸及び頸部の黒褐色色素性
母斑患者E(原判示第四)に対して、一回目の照射時間六〇分、線量九、〇〇〇ラ
ド、二回目の照射時間六〇分、線量四、五〇〇ラド、三回目、四回目の各照射時間
四〇分ずつ、線量各三、〇〇〇ラド、総線量合計一九、五〇〇ラドの照射治療を
し、右Bに対しては、治療約二ケ月を要する放射線皮膚炎に罹患させ、皮膚炎治癒
後六一箇所にわたるいちまつ模様の瘢痕を残させ、右Cに対しては治療約二週間を
要する放射線皮膚炎に罹患させ、皮膚炎治癒後両頬部に二十数箇所に同様の瘢痕を
残させ、右Dに対しては、治療約一ケ月以上を要する放射線皮膚炎に罹患させ、皮
膚炎治癒後二十箇所くらいの白斑を残させ、右Eに対しては治療一ケ月以上を要す
る放射線皮膚炎に罹患させ、皮膚炎治癒後かえつて患部の皮膚萎縮、色素沈着及び
無数の白斑を残させていることが認められるのであつて、前記線量限度からすれ
ば、明らかに過照射であると断じなければならない。
 更に所論指摘のフィルターの使用について見るに、前掲原審証人Yの証人尋問調
書中「ストロンチューム九〇によるベータ一線の発生源器にフィルターを使用しな
いのが原則であつて、つけるとしても容器の保存のためのものでセロハン紙、薄い
ゴム程度の透過度の高いものを用いるに過ぎない。」旨供述し、同庚の証人尋問調
書中、「フィルターを使わないのが適当であつて、このことは昭和三〇年当時には
判明していたはずである。それはべーター線が固いものにあたると、べーター線か
らデルター線が出ることがあり、これを避けるのが装置技術のポイントである。」
と供述しているのみならず、F協会会長I作成名義の昭和三三年九月四日附回答書
によれば「べーター線発生源器の使用にあたつて、照射時間が適当であればアルミ
フィルターなどを使用する必要はない」と記載されているところからみると、一般
的にべーター線の照射治療にはストロンチューム九〇を含む源器に更にフィルター
を使用せず源器を皮膚に密着させて治療する建前であることが明らかである。本件
被告人は捜査官の取り調べおよび原審において、アルミ板、銀紙などのフィルター
を使用して照射線量の軽減を図つた旨供述しているのであるけれども、被害者B、
C、E、Dの各証人尋問調書を精査しても、被告人が本件ストロンチューム九〇に
よるべーター線照射治療をするにあたつて、線量軽減のために発生源器にフィルタ
ーを使用したことを認めるに足る確たる証拠がない。(もつとも右Eは、第一回証
人尋問調書において、キャラメル粒のようなものは銀紙で包んであつた。包んであ
つたのもあるが又はずしてあつたのもある。私の場合は何も包まないでそのままの
ものが置かれた感じがした(記録七四六丁)、銀紙で包んであつたような感じもし
たが、はつきり記憶しない(同七五六丁)。と供述しているけれども、フィルター
使用を肯定するに値しない)。そして前記Qの証人尋問調書中「ストロンチューム
九〇の治療器具の使用にあたつて、Wからフィルターを使用することについて相談
をうけたことがあるが、それはBという患者を診察した直後で昭和三一年六月下旬
頃であつた。その時始めてWはフィルターを使えば量が減るから、相当長時間かけ
てもよいという話をした。私は時間を長くやろうと思えばそれてもよいが、そんな
必要はない。線量の計算がむづかしくなるし、時間を短くすれば結果は同じだし、
距離を離せば量を少くすることもできるからと話してやつた」旨供述しており、原
審証人B1(一〇五五丁以下)も「被告人方の住込見習看護婦であつたが、放射線
の出る所に銀紙を貼らないで直接皮膚に密着させたと記憶する」旨供述しており、
かつ、本件被害者に存する白斑等傷害の跡から考えると、原審証人C1のこの点に
関する供述は信用できない。結局被告人は本件治療にあたつて発生源器にフィルタ
ーを使用していなかつたものと断ずるの外はない。原判決は、判示第三(D関
係)、第四(E関係但し昭和三一年五月七日以降の分)において、各べーター線照
射治療に際して発生源器の照射面に〇・六ミリのアルミフィルターを使用した旨認
定しているけれども、前示のとおり、フィルターの使用を認定するに足りる証拠が
ないから、この点において事実の誤認があるといわなければならないけれども、右
誤認は判決に影響を及ぼす程度のものでないから、結局所論は採用できない、更に
所論は、ハイドロキノン・モノペンジール・エステル(H・M・E)軟膏につい
て、被告人がCに対するA治療後同女に対して右軟膏を投薬したために、同人に瘢
痕を生ぜしめたものであつて、べーター線の過照射によるものではないというので
あるけれども、原判示第二の対応証拠によれば、被害者Cが密着貼付法によるべー
ター線照射治療を受けたのは昭和三一年四月一〇日ころであり、被告人の検察官に
対する昭和三四年三月二八日附供述調書によれば、右軟膏を投薬したのは昭和三一
年六月一八日であることが明らかであるところからみると、なるほど瘢痕の生じた
のは右照射治療の後に現われたものではあるが、瘢痕の主要原因は過照射にあるも
のと認められるのであつて、右軟膏によるものとは、とうてい考えられないから、
所論は採用できない。また所論は、被告人は患者に対して本件治療行為後において
患部保護の注意指示を与えたというのであるけれども、前掲B、C、D、Eの各証
人尋問調書を精査しても、被告人が本件A治療をした後患者たる同人らに対して患
部保護につき注意指示したことを認めるに足りる証拠はない。医師の常識として日
常その業務上において無意識的に各患者ごとに、これを行つていたものであると推
定すべきだとする所論も採用できない。所論は医師の過失責任について、治療行為
の場合は、治療行為そのものに過失があつても、その過失が重過失である場合に限
つて刑事上の過失責任を負担すべきものであるというのであるけれども、業務上過
失犯における過失は、業務の性質上危険を伴うことを前提とするものであるから重
過失であると否とを問わないものである。
 したがつて医師の治療行為そのものに過失のある場合は、重過失の場合に限ると
する所論は独自の見解にもとづくものであつて、とうてい採用できない。
 <要旨>そもそも毛細血管拡張症、血管腫、色素性母斑などの非悪性疾患に対して
は、皮膚癌のような悪性疾患と異り、美容的に治癒させることを第一の条件
とすることは自明の理であり、本件の被害者たちはいずれも、その目的をもつて、
被告人の治療を受けたものである。したがつて瘢痕、色素沈着又は脱失等の後遺症
を残し、前よりも醜い傷害を与えることは医師としての任務に反するものといわな
ければならない。従つて、放射性同位原素(アイソトープ)による治療に従事する
医家は、適応症の選択及び投与線量と照射方法すなわち一回の線量、休止期間、総
線量について理論的かつ経験的に慎重な研究をしていたのである。以上の次第で、
本件は被告人がストロスチューム九〇によるべーター線照射治療にあたつて、十分
な知識経験もなく、当時右照射治療は初期研究の段階であつて、臨床医学的にも見
るべき研究成果もなく放射性燐の研究資料を参考にするほかなかつたのであるか
ら、医師として、これを人体に応用するに当つては、ストロンチューム九〇による
べーター線照射の皮膚に及ぼす影響など十分研究し、治療目的と合せ考え、その目
的に反する放射線障害を起させないように細心の注意を払つて、慎重に治療すべき
業務上の注意義務がある。もとより医療の進歩は医家の創意と研究とによる新技術
の発見にまたなければならないが、放射線のような危険を伴う物質による新療法を
導入するに当つては、十分な知識と経験とを有すると同時に、慎重戒心し事故の発
生を防止するために最善の努力をしなければならないのであつて、いやしくも青年
男女の顔面を実験台に供することは許されないことである。
 本件は、要するに、被告人が外国の新療法を無批判に導入し、ストロンチューム
九〇の性能や影響について臨床上の研究経験を積まず、発生源器輸入の直後から患
者に対して施用を開始し、しかも分割照射によつて反応をみながら施療を進める方
式を採らず、大量の放射線照射を行い、本件被害者Bほか三名に対して前記のよう
な傷害を負わせたものであるから、被告人の本件行為は業務上過失致傷罪の刑事責
任を免れることはできないものと断じなければならない。所論は現在の医学知識を
もつて、昭和三一年当時の医療行為につき過失の有無を判断するのは不当であると
主張するが、放射線の過照射により紅斑を生じ更に進んで乾性皮膚炎から湿性皮膚
炎へ進み、その結果潰瘍を生じ、瘢痕化、色素沈着又は脱失等の後遺症を残すこと
は、その当時においても医師として公知の経過であり、さればこそ整容的治療を目
的とする施療においては紅斑の限度において中止し、その影響の消失を待つて次の
施療に進むという分割方式が妥当とせられているのである。当時においても、現在
においても、右のような医師の注意義務に変りはない。その他記録を精査しても、
原判決には所論のような理由のくいちがい及び事実誤認の違法はない。論旨は理由
がない。
 よつて刑事訴訟法第三九六条により本件控訴を棄却すべきものとし、同法第一八
一条第一項本文を適用して当審における訴訟費用は被告人に負担させることとし、
主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 山崎薫 裁判官 竹沢喜代治 裁判官 浅野芳朗)

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