弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 各被告人弁護人柴田元一上告趣意第一点について。
 原審が事実認定の資料とした所論被告人A等に対する司法警察官訊問調書にはい
づれもその冒頭に「被疑事件に付現行犯人を受取り」との記載があり、この記載の
みによれば、一応被告人A等は現行犯人として逮捕されたものの如く見得るのでは
あるが、記録を精査するに、右被告人等は刑訴応急措置法八条二号所定の所謂緊急
逮捕の手続により逮捕せられたものであることが明瞭である。右訊問調書冒頭の「
現行犯人」の記載はそれが印刷された所謂不動文字であることに徴し該調書の作成
者が現行犯人逮捕の場合における訊問調書の用紙を流用しながら、その「現行」の
二字を削除することを忘れた結果に過ぎないものと認められるのである。しかも、
所謂緊急逮捕の場合においても逮捕の手続は現行犯人を逮捕した場合と全く同様で
あり(刑訴応急措置法八条四号参照)司法警察官は被疑者を直ちに尋問しこれを釈
放するか或は制限時間内に検察官に送致しなければならないのである。本件におい
て司法警察官Bが被告人等を尋問したのは当然の職権と職責とによるものであつて、
所論のように「被告人等を現行犯人である様に擬装し被告人等に対して強制訊問権
がある様に見せ掛けて威圧強制して訊問したのである」ということはできない。
 次に、前示訊問調書に「昭和二二年一〇月二六日午前九時に訊問した」旨の記載
が存することは、論旨の指摘する通りである。しかし訊問調書にはその取調をした
年月日を記載すれば足るのであつて、検証、押収又は捜査の場合のように必ずしも
その時刻を記載する必要はないのである。(旧刑訴五六乃至五八条参照)従つて仮
りに訊問調書にその訊問をした時刻の記載があり、しかも仮りにその記載が正確を
欠いていたとしてもその必要的記載事項に関しないかかる一事由から直ちに該謂書
そのものの無効を結論し得ないことは勿論であろう。のみならず「右午前九時」の
記載も実はその時刻頃の意とも理解し得るのである。すなわち同時刻頃被告人等三
名の被疑者が相次いて訊問され順次その訊問調書が作成せられたものと理解し得る
のであつて、所論のように午前九時という一瞬時に三名の被疑者が同時に訊問され
同時にその訊問調書が作成せられたことを表示するものと解すべきではないのであ
る。また被告人等を訊問した司法警察官が右訊問の当日他に旅行をしたことがある
としても、必ずしも被告人等の訊問が不可能事であるとはいい得ないのであるから、
所論のように「右調書の日附は同調書を合法化するために記載された」に過ぎない
虚偽のものであり、結局「右調書は処分の日の記載のない調書」であると速断する
ことはできないのである。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 記録によると、原審公判廷において原審相被告人Cの弁護人から同人のために証
人D及びEの喚問申請がなされたこと、それにも拘わらず、原審がその採否の決定
をなすことなく弁論を終結して判決の言渡をなしたことは、論旨の指摘する通りで
ある。そしてこの原審の手続が違法であることは多言を要しないところではあるが、
右証人申請が如何なる立証事項につきなされたものであるかは記録上明らかでなく、
仮りに所論のような事項であつたとしても右証拠申請は原審相被告人Cのためにな
されたものであり、被告人等には何等関係なきところであるから所論の違法は上告
人等の判決には影響なきものいわざるを得ない。論旨は理由がない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二四年八月一八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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