弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告合名会社A製粉工場に関する部分を破棄す
る。
     被告合名会社A製粉工場を罰金十二万円に、被告人Bを懲役八月に処す
る。
     訴訟費用は被告人両名の負担とする。
     物価統制令違反の事実について被告人両名を免訴する。
         理    由
 職権で調査するに、被告合名会社A製粉工場は精米麦、製粉等の加工請負業を営
むもの、被告人Bは同会社の代表社員として同会社の業務一切を担当しているもの
であるが、被告人Bは法定の除外事由なく被告会社の業務に関し、昭和二四年二月
中旬頃被告会社においてC農産食品株式会社使用人Dを介し同会社に対し麩一二俵
を不当に高価な代金一万三千円で販売したとの公訴事実については、昭和二七年政
令第一一七号一条八七号により大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条但
書、四一四条、四〇四条、三三七条三号により原判決及び第一審判決中被告合名会
社A製粉工場に関する部分を破棄し、被告人両名に対し右公訴事実について免訴の
言渡をする。
 弁護人人見福松の昭和二六年七月一六日附上告趣意第六点及び昭和二七年一〇月
二〇日附上告趣意第二点ないし第五点は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。爾余
の論旨は、原審において控訴趣意として主張せず、かつ、原判決中何らの判断を加
えていない事項に関する主張であるから上告適法の理由にならない。
 よつて、原判決及び第一審判決が証拠(但し、E名義の昭和二四年六月二九日附
書面を除く)により確定した右免訴にかからない事実に法律を適用すると、被告合
名会社A製粉工場及び被告人Bの各主要食糧輸送の点は食糧管理法九条、三一条、
同法施行令一一条、同法施行規則二九条に、各統制額超過販売の点は物価統制令三
条、四条、三三条、昭和二三年物価庁告示第一一〇一号、同年同庁告示第一一〇〇
号、同年同庁告示第一一〇二号に該当するところ、共謀の事実について刑法六〇条、
なお被告合名会社A製粉工場に食糧管理法三七条、物価統制令四〇条を適用した上、
被告人Bにつき所定刑中各懲役刑を選択し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合
罪であるから、同法四八条二項により合算した罰金額の範囲内で被告合名会社A製
粉工場を罰金十二万円に、同法四七条、一〇条により最も重い原判示第一の統制額
超過販売の罪の懲役刑に法定の加重をした期間範囲内で被告人Bを懲役八月に処し、
主文第三項掲記の訴訟費用は刑訴一八一条一項に則り被告人両名にこれを負担させ
るものとする。この判決は、裁判官全員一致の意見である。
 検察官 大津民蔵出席
  昭和二七年一二月二三日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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