弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件抗告を棄却する。
         理    由
 抗告人は、「原決定を取消す。」との裁判を求め、その理由は、別紙記載のとお
りである。
 本件記録によると、本件競売申立の宅地建物(原決定添付目録参照)につき、い
ずれも、伊藤忠エーエムエフボーリング株式会社を権利者として、高松法務局昭和
三九年一二月二四日受付第三七〇二九号を以て、同月一五日附代物弁済予約を原因
とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされていること、しかるに、本件競売の
申立に際して、同会社に対し民法第三八一条による抵当権実行の通知がなされてい
ないことが明らかである。
 <要旨>「しかしながら、民法第三八一条の目的とするところは、抵当不動産の第
三取得者に対しいわゆる滌除権を行使する機会を与え、他面同法第三八二条
第二項とあいまつて滌除権行使の時間的限界を劃することにあるのであるから、原
決定も説示するように、右通知の相手方は、必ずしも通知の時に既に直ちに滌除を
することができる者であることを必要とせず、その後一ケ月内に、滌除をする可能
性を有し、かつこの可能性を警告的な意味で公示している者であれば足りるものと
解するのが相当である。そして、仮登記権利者は、通知後一ケ月内に本登記をして
滌除をする可能性を有する者であるということができ、しかも、その旨を仮登記に
よつて、既に抵当権者に警告している者であるから、抵当権者は、抵当権実行によ
る競売申立をするについては、仮登記権利者に対して、抵当権実行の通知をしなけ
ればならないものと解しなければならない。
 ところで、抗告人は、前記仮登記は、不動産登記法第二条第二号によるものであ
つて、この場合の仮登記権利者はいわゆる期待権を有するに過ぎないから、民法第
三八〇条の法意に照らしても、右会社に対してまで抵当権実行の通知をする要はな
い、と主張する。しかし、さきにも説示したように、右通知は、単に滌除権行使の
機会を与えるに過ぎないものであるから、その相手方の範囲は、通知の時に現に滌
除をなしうる者の範囲と同一に解しなければならないものではなく、たとい、通知
の時には所有権取得の期待権を有するに過ぎない仮登記権利者であつても、通知後
民法第三八二条第二項所定の一ヶ月内に木登記をして滌除権を行使する可能性を有
する者であれば、その者に対しても、なお、右の通知をなすことを要するものとい
うべきである」。そうだとすれだ、前記仮登記の内容に照らし、前記会社は、抵当
権実行の通知があれば、その後一ケ月内に代物弁済の予約完結権を行使して、本件
競売申立物件に対する所有権を取得し、その旨の本登記をなし、滌除権を行使する
可能性を有することが明らかであるから、抗告人は、本件競売の申立をなすに当つ
ては、仮登記権利者である前記会社に対して、民法第三八一条により、抵当権実行
の通知をしなければならなかつた筋合である。したがつて、抗告人の右主張は採用
できない。
 以上説示によれば、本件競売の申立は不適法であることが明らかであるから、右
と同趣旨の下にこれを却下した原決定は、相当であるといわなければならない。
 よつて、本件抗告は理由がないので、これを棄却することとし、民事訴訟法第四
一四条、第三八四条を準用して、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 浮田茂男 裁判官 加藤龍雄 裁判官 山本茂)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛