弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       原判決中予備的請求に係る部分を破棄し,同部分に係る
       訴えを却下する。
       その余の上告を棄却する。
       控訴費用及び上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 1 上告代理人川崎達夫の上告受理申立て理由について
 特別土地保有税は,土地又はその取得に対し,当該土地の所有者又は取得者に課
されるものであるところ,土地の取得に対するものは,いわゆる流通税に属し,土
地の移転の事実自体に着目して課されるものであり,土地に対するものは,いわゆ
る財産税に属し,取得に引き続いて土地を所有している事実自体に着目して課され
るものであって,いずれも土地の取得者又は所有者がその土地を使用,収益,処分
することにより得られるであろう利益に着目して課されるものではない。以上によ
れば,【要旨1】地方税法585条1項にいう土地の取得とは,所有権の移転の形
式により土地を取得するすべての場合を含み,取得の原因となった法律行為が取消
し,解除等により覆されたかどうかにかかわりなく,その経過的事実に則してとら
えた土地所有権取得の事実をいうものと解するのが相当であり,土地の所有につい
ても同様に解するのが相当である。本件においては,土地の取得原因である売買契
約が詐害行為として取り消されているところ,詐害行為取消しの効果は相対的であ
って,取消訴訟の当事者間においてのみ当該売買契約を無効とするにとどまり,売
主と買主との間では当該売買契約は依然として有効に存在する上,取消しがされた
ということによって,当該土地の所有権が買主に移転し買主が当該土地を取得に引
き続いて所有していた経過的事実そのものがなくなるものではない。したがって,
土地の取得の原因となった行為が詐害行為として取り消されたことは,当該土地の
取得及びその所有に対して課された特別土地保有税の課税要件を失わせることにな
るものではないというべきである。
 また,本件各処分に所論の信義則違反等の違法はない。
 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用する
ことができない。
 2 上告代理人川崎達夫の上告理由について
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条
1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,理由の不備をいうが
,その実質は事実誤認又は単なる法令違反の主張であって,上記各項に規定する事
由に該当しない。
 3 職権による検討
 上告人は,被上告人が平成11年9月21日付けでした上告人の平成4年度から
同10年度までの特別土地保有税に関する各更正の請求には更正をすべき理由がな
い旨の各処分の取消しを求める訴えに加えて,原審において,同7年度から同10
年度までに係る上記各処分の取消しを求める訴えを予備的に追加提起した。しかし
,上記予備的請求に係る訴えは,上記主位的請求に係る訴えと重複するものである
から,不適法であって(民訴法142条),却下すべきである。これと異なり予備
的請求を棄却した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があ
り,原判決中予備的請求を棄却した部分は破棄を免れない。
 なお,上告人の予備的請求に係る訴えは,上記のとおり不適法でその不備を補正
することができないものである。このような訴えについては,民訴法140条が第
1審において口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができるものと規定し
ており,この規定は上告審にも準用されている(民訴法313条,297条)。し
たがって,当裁判所は,口頭弁論を経ないで上告人の予備的請求に係る訴えを却下
する判決をすることができる。そして,【要旨2】これらの規定の趣旨に照らせば
,このような場合には,訴えを却下する前提として原判決を破棄する判決も,口頭
弁論を経ないですることができると解するのが相当である。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 金谷利廣 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田
宙靖)

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