弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
     被上告人らの請求を棄却する。
     訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。
         理    由
 上告指定代理人朝山崇、同柿原増夫名義の上告理由について。
 論旨は、原判決には昭和三七年三月二九日法律第四〇号による改正前の民法九三
九条の解釈を誤つた違法がある、という。
 原判決の確定したところによれば、被上告人B1の夫で、被上告人B2(長女)
および訴外D(次女)、同E(三女)の父である訴外Fは昭和二七年一月一日死亡
し相続が開始したが、相続人中DとEが相続を放棄したので、被上告人両名は、改
正前の民法九三九条による相続分が被上告人B1は三分の一、被上告人B2は三分
の二になるものとし、申請書に右相続分に応ずる持分を記載してFの遺産である建
物につき所有権保存登記を申請したところ、上告人は、右相続分は改正前の民法九
三九条の解釈についての先例の示すところに従つて計算した相続分、すなわち、被
上告人B1は五分の三、被上告人B2は五分の二と異なるとして、不動産登記法四
九条二号の規定により登記申請却下の決定をした、これに対し被上告人らは千葉地
方法務局長に審査請求をしたところ、同局長は、登記申請は不動産登記法四九条八
号の規定に該当し却下すべきものであるとの理由で審査請求を棄却する旨の裁決を
した、というのである。
 おもうに、改正前の民法九三九条二項は、放棄者の相続分は他の相続人の相続分
に応じてこれに帰属すると規定しているところ、本件においては、相続を放棄した
前記DとEのほかに相続人として被上告人両名が存在するのであるから、放棄者の
相続分は被上告人両名の相続分に応じてこれに帰属すると解するのが正当であり(
昭和三九年(オ)第一〇五三号、昭和四二年五月三〇日最高裁判所第三小法廷判決、
民集二一巻四号九八八頁参照)、従つて、本件登記申請において被上告人らの主張
する相続分は誤りで、上告人の見解が正当であるといわなければならない。しかる
に、原判決は右被上告人ら主張の相続分を正当とし、本件登記申請却下決定を違法
として取り消すべきものとしているのであるから、改正前の民法九三九条の解釈を
誤つた違法があるというべく、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そし
て、前記上告人の見解に従えば、被上告人らは本件登記申請において結局正当な相
続分に応ずる持分と異なる持分の登記を求めることとなるから、相続および相続放
棄を証する書面のほかに、相続分に応じた持分がその主張する持分に変動したこと
を明らかにする書面を提出することを必要とするところ、本件登記申請にあたりこ
のような書面の添付がなかつたことは被上告人らの主張自体に徴し明らかであるか
ら、その欠缺は不動産登記法四九条八号の規定に該当することが明らかである。し
からば、上告人のした本件登記申請却下決定は適法であり、これを取り消すべき違
法はないから、被上告人らの請求は理由がなく、従つてこれと異なる一審判決はこ
れを取り消し、被上告人らの請求を棄却することとする。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、九六条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美

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