弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人伊能幹一の上告趣意第一点について。
 原審は第一回公判において審理を終結し判決宣告期日を宣告するに当り裁判長は
「来る九月二一日」とのみ指定して時を指定しなかつたことは所論のとおりである。
 しかし旧刑訴第三二〇条第一項には「裁判長は公判期日を定むべし」と規定して
あつて公判期日を定めるには日及び時をもつてすべしとは規定していないのである
がただ従来の慣行によつて日及び時を指定しているのである、それ故原審が判決言
渡期日を指定するにあたり日のみをもつてし時を定めなかつたとしてもその期日の
指定を目して違法なりと言うことはできない。しかも記録によればその指定された
日に弁護人千葉長も出頭し裁判長において本件判決を言渡したことが明かであるか
ら右判決言渡を違法なりとする所論は採用できない、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 しかし原判決は酌量減軽をするについて刑法第六六条を適用しており、しかもそ
の減軽の方法として同法第六八条の規定を適用している以上それは当然同法第七一
条の規定に準拠したものであるから特にその規定を明示することを必要としない、
それ故論旨は理由がない。
 同第三点について。
 警察法第三五条によると都道府県国家地方警察に警察長の外警視、警部補、巡査
部長及び巡査たる警察官その他所要の職員を置き(第一項)警察官の階級は警察長、
警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする(第二項)ことを規定してあり同法
第四六条によると市町村警察には警察長及び必要適当な階級の警察吏員を置きその
階級については前示第三五条第二項の規定を準用しているのである、これ等の規定
によつてみると巡査部長は従来と異り階級名となつたのであつて巡査部長は巡査の
うちに包含せられないのである。而して同法附則第一九条には「他の法令中警察官
に関する規定は当該警察官及び警察吏員に関する規定とする」と規定してあるので
あるから旧刑訴法第二四八条及び第二四九条の関係においては国家地方警察の警察
官及び自治体警察の警察吏員のうち巡査のみが司法警察吏となり巡査部長以上は司
法警察官に該当するものと解すべきである、それ故巡査部長は従来と異り司法警察
吏ではなく司法警察官となつたのである。然らば原判決が証拠として採用したAに
対する聴取書は司法警察官a町警察官巡査部長Bの作成したもので司法警察吏の作
成したものではないのであるから原審がこれを証拠として採用したことは正当であ
る。従つて論旨は理由がない。
 よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二四年六月一八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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