弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役7年6月に処する。
理由
【犯罪事実】
被告人は,漁師仲間であったA(当時41歳)から,Aの従弟が刑務所を出所し
たら,被告人の長男の家に行かせるなどと言われたことに腹を立て,同人とけんか
になりかけたことがあるなど,Aらから長男家族へ危害を加えられる不安を抱えて
いた。
被告人は,平成23年9月19日,Aから誘われて,同じく漁師仲間であったB
(当時48歳)と一緒に飲酒するうち,些細なことから,A及び同人を擁護するB
と激しい口論になった。被告人は,その口論の最中に,Aが「孫も子も俺が行って
バラバラにしたる。」などと言ったことから,Aを絶対に許さないという気持ちに
なり,Aを擁護するBが「いつでもやっちゃる。」などと言うので,AとともにB
に対しても攻撃する意思を固めた。そこで,被告人は,自宅に戻り,倉庫に保管し
てあった刀(以下「本件刀」という。)を手に取りA及びBを追った。
被告人は,同日午後6時30分ころ,高知県安芸郡東洋町の路上において,
第1振り向いたAに対し,同人が死ぬ危険性が高いことをわかった上で,あえて,
本件刀で同人の頭部付近を切りつけたが,同人に同刀を取り上げられたため,
同人に加療約2週間を要する左側頭部切創の傷害を負わせたにとどまり,
第2同じく振り向いたBに対し,同人が死ぬ危険性が高いことをわかった上で,
あえて,本件刀で同人の頭部付近を切りつけたが,前記第1のとおりAに同
刀を取り上げられたため,Bに加療約1週間を要する見込みの左側頭部切創
及び加療約1か月間を要する見込みの頭蓋骨骨折の傷害を負わせたにとどま
った
ものである。
【証拠の標目】(省略)
【補足説明】
1弁護人及び被告人は,被害者両名に対する殺意を争うが,当裁判所は,これら
をいずれも認められると判断した。以下,その理由を説明する。
2被告人が凶器として用いた本件刀は,刃渡りが約38.9センチメートル,重
量が約373グラム,刃先の断面の角度が約22度(出刃包丁でもありうる角度
である。)で,客観的に十分な殺傷能力を有しているところ,被告人も,その切
れ味の点はともかく,その形状を事前に十分に認識しており,その上で本件刀を
持ち出して本件現場に向かっている。また,各被害者の傷害の程度からすれば,
被告人はいずれの被害者に対しても,相当に強い力で切りつけたと認められる。
3切りつけた態様についてみると,Aが腕などで防御した形跡が全くないことか
らすると,被告人は,AやBが証言するように,二人が振り返ってすぐに,防御
する間もなくAを切りつけたとみるのが合理的である。そして,そのような状況
で切りつけた結果,Aが左側頭部に傷害を負ったことからすれば,被告人は,A
の頭部付近を狙って,本件刀で切りつけたと認められる。
次に,被告人が先にAに対して攻撃を加えていることからすれば,被告人が
本件刀でBを切りつけた時に,Bが被告人に対し向かってきていた可能性はある
が,他方で,被告人が話すように組み付かれて倒れそうになりながら攻撃したと
すれば,そのような体勢での攻撃によってBが頭蓋骨を骨折するほどの傷害を負
うとは考えにくい。被告人がBに対して攻撃した際には,被告人はまだ組み付か
れてはいなかったとみるべきである。そうすると,被告人は,Bに対しても,そ
の頭部付近を狙って,本件刀で切りつけたと認められる。
被告人は,いずれの被害者に対しても,その肩,鎖骨付近を狙ったので殺意
はなかったと述べるが,当時,相当興奮していた被告人が,落ち着いて,頭を避
けて,肩や鎖骨付近だけを狙って切りつけたということは考えにくい。
4そうすると,被告人は,十分な殺傷能力があると認識していた本件刀を持って
きて,AとBの頭部付近を狙って,相当に強い力で切りつけ,同人らに判示のと
おりの重い傷害を負わせたものであるから,同人らが死ぬ危険性が高いと分かっ
て,あえて,同人らを切りつけたと認められる。このことは,前記犯罪事実で認
定した経緯,動機に整合する。
したがって,被告人には,被害者両名に対する殺意があったと認められる。
【法令の適用】(省略)
【量刑の理由】
Aは,以前から,被告人に対し,被告人の長男家族に危害を加えることをほのめ
かすなどの嫌がらせをしていたのであり,本件犯行は,Aが,居酒屋での口論の時
に,被告人に対して,「孫も子も俺が行ってバラバラにしたる。」などと言ったこ
とが主なきっかけとなったものである。被告人がこのようなAを絶対に許せないと
考え,本件犯行に至ったことにも理解できる部分はある。他方で,Bに対しては,
Aを擁護してけんかを挑発したという程度で本件犯行に及んだものであって,飲酒
するとすぐにかっとなるという被告人自身の性格が強く影響しており,経緯,動機
について酌量するには限度がある。
また,被告人が他人に暴力を振るった前科4犯を有し,最も新しい傷害罪につい
ての判決が平成23年8月31日に確定してから1か月足らずの間に本件各犯行に
及んだことも非難されるべきである。このほかに,AとBが,被告人を許す旨の上
申書を提出していること,被告人が逮捕後に,頸髄を損傷し,現在においても左半
身が不自由であって,再犯の可能性は低いことなどを,被告人に一定程度有利に考
慮すれば,被告人には懲役7年6月が相当である。
(検察官野崎高志,同德永国大及び同奧江隆太並びに国選弁護人稲垣健吾〔主任〕
及び同松岡章雄各出席。検察官の求刑:懲役8年)
平成24年7月18日
高知地方裁判所刑事部
裁判長裁判官平出喜一
裁判官大橋弘治
裁判官佃良平

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