弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
3 控訴人は4万円を国庫に納付せよ。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,29万1564円及びこれに対する平成15年12月11
日から支払済みまで年36パーセントの割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
   本件は,控訴人が,被控訴人に対し,訴外A(以下「A」という。)に対する貸金につ
いて,被控訴人との間で締結した根連帯保証契約に基づき,保証債務の履行を求
めた事案である。
   原審は,控訴人の請求を棄却したため,控訴人が控訴した。
 1 争いのない事実等(争いがないか,証拠上容易に認められる事実)
  (1) 控訴人は,Aとの間で,平成12年5月15日,50万円を限度額として金銭をくり
返し借り入れることができるとの契約(以下「本件基本契約」という。)を締結し
た。
  (2) 被控訴人は,控訴人との間で,同日,本件基本契約に基づくAの債務について,
5年間継続的に連帯保証するとの合意をした。
  (3) 控訴人は,同日,Aに対し,本件基本契約に基づき,以下の約定で50万円を貸
し付けた(以下「本件貸金債務」という。)。
    ア 利  息  年39.42パーセント
    イ 損害金  年40.004パーセント
    ウ 弁済方法  平成12年6月10日以降,毎月10日に最低1万6500円を支払
い,平成17年5月14日までに完済する。
    エ 特  約  支払を1回でも怠ったときは期限の利益を失う。
  (4) A又は被控訴人は,本件貸金債務について,原判決別紙計算書記載のとおり控
訴人に分割返済をした。
 2 争点
   控訴人がAの期限の利益喪失を宥恕していたと認められるか。
第3 当裁判所の判断
 1 弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,Aの期限の利益喪失を控訴人が宥恕してい
たと主張し,控訴人はこれを争っているものと解
   されるので,この点について検討する。
   争いのない事実,証拠(甲1~3,被控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,①
 控訴人とAとの間では,本件貸金債務について,分割返済金の支払いを1回でも
怠ったときは期限の利益を失うとの合意がされていたこと,② Aは,平成12年7
月10日の支払を遅滞したが,翌11日に約定どおりの分割返済金額を支払い,そ
の後も支払を遅滞しがちであったが,平成15年12月までほぼ毎月分割返済金の
支払いを続けていたこと,③ その間,控訴人はAに対して一括返済を求めること
はなく,異議を留めずに分割返済金を受領し続けていたこと,④ 平成14年10月
頃以降は,被控訴人が控訴人から支払を求められ,Aに代わって分割返済金の返
済をしたことも何度かあったが,その際も控訴人は被控訴人に対し一括返済を求
めずにこれを受領していたことが認められる。
   以上の事実によれば,控訴人は,Aが期限の利益を喪失したとして残元金の返済
を求めたり,遅延損害金の請求をするという意思を有していなかったものと認めら
れ,被控訴人につき,期限の利益の喪失にあたる事由があっても,これを宥恕して
いたと認めるのが相当である。
 2 そして,上記認定に基づき,本件貸金債務について,利息制限法所定の利率によ
って計算すれば,原判決別紙計算書記載のとおり,本件貸金債務は既に完済され
ていると認められる。
   したがって,控訴人の請求は理由がない。
 3 ところで,本件において,控訴人は,平成16年3月25日に青森簡易裁判所に控訴
状を提出したが,同控訴状には,控訴の理由について「追って,準備書面(控訴の
理由書)を提出する。」と記載していたこと,控訴人は,同年4月15日に青森地方
裁判所書記官から「控訴理由書の提出について(事務連絡)」と題する書面により,
控訴理由書の提出を促されたが,控訴の理由を記載した書面を一切提出せず,同
年5月18日の当審における第1回口頭弁論期日にも出頭しなかったことは,当裁
判所に顕著な事実である。
   以上の経過によると,本件控訴は,控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを
目的としてしたものであると認められる。そこで,民事訴訟法303条1項の規定を
適用して,控訴人に対して,控訴の提起の手数料の10倍以下である4万円の納付
を命ずることとする。
 4 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却した上,4万
円の納付を命ずることとして,主文のとおり判決する。
     青森地方裁判所第2民事部
          裁判長裁判官    河    野    泰    義
              裁判官    伊    澤    文    子
             裁判官    石    井    芳    明
(以下別紙省略)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛