弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
1 一審原告の控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。
2 (一) 一審被告承継者の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(二) 一審原告の請求を棄却すろ。
3 訴訟の総費用は一審原告の負担とする。
○ 事実
一 当事者双方の申立
1 一審原告
「(一)原判決を次のとおり変更する。
(1) 千種税務署長が昭和四八年三月七日付でした一審原告の昭和四四年分ない
し昭和四六年分所得税の更正(ただし、昭和四四年分についでは異議決定及び審査
裁決により、昭和四五、四六年分についでは審査裁決により一部取り消された後の
もの。以下「本件処分」という。)を取り消す。(主位的請求・附帯控訴)
(2) 本件処分のうち、(1) 昭和四四年分については総所得金額七六二万〇
六七九円を超える部分、(2) 昭和四五年分については総所得金額三八〇七万〇
七七一円を超える部分、(3) 昭和四六年分については総所得金額二七〇五万〇
三八二円を超える部分を取り消す。(予備的請求・控訴)
(二) 一審被告承継者の控訴を棄却する。
(三) 訴訟費用は第一・二審とも一審被告承継者の負担とする。」
との判決を求めた。
2 一審被告承継者
主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張
次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これ
を引用する。
1 原判決二枚目裏七行目の「被告」を「千種税務署長」と改め、同八行目の括弧
書及び同三枚目表二行目から同五行目にかけての括弧書を削り、同六行目末尾の次
に行を変えて次のとおり加え、同七行目の「3」を「4」と改める。
「3 一審被告承継者の権限承継
一 審原告は、昭和六〇年一二月二五日、住所を肩書のところに移転したが、一審
被告承継者が右住所地を管轄する税務署長である。」
2 同三枚目表一〇行目の「1項」の次に「及び3項」を加え、同裏一行目の「3
項」を「4項」と改める。
3 後出の改める部分にある「被告」を除いて、同三枚目裏から同四八枚目表にか
けての「被告」をすべて「一審被告継承者」と改める。
4 同三枚目裏八行目、同一一行目同四枚目表六行目、同三四枚目表四行目同裏二
行目から三行目にかけて、同三八枚目表五行目及び同四四枚目表一一行目の「被
告」を「千種税務署長」と改め、同五枚目裏一〇行目から一一行目にかけて及び同
六枚目表四行目から五行目にかけての「原告は自白の撤回が許されるための要件を
何ら主張・立証せず、」を、同一一枚目表一〇行目から一一行目にかけて及び同一
六枚目表四行目から五行目にかけての「原告は自白の撤回が許されるための要件に
つき何ら主張・立証せず、」をそれぞれ削る。
5 同二五枚目表八行目から九行目にかけての「控除すべき金額がある」を「必要
経費が存在することは、後記一審原告の反論3、4項記載のとおりである」と改
め、同二八枚目裏七行目末尾の次に行を変えて次のとおり加える。
「なお、一審被告承継者は、一審原告の総収入金額は国税不服審判所長のした審査
裁決により認定された額を超えていると主張している。しかし、右主張は、国税通
則法一〇二条一項に反するほか、国税不服審査における争点主義的運営を経た納税
者の期待感にも反するものであって、許されないというべきである。また、本訴に
おいて審査裁決中で認められなかった一審原告の主張経費が認められたときは、右
で述べたと同様の理由により、審査裁決が判断した所得金額を前提としたうえ、こ
れから右経費額を控除するのが相当である。」
6 同二八枚目裏九行目、同一〇行目、同二九枚目裏一行目、同三〇枚目表二行目
同裏二行目、同七行目、同三一枚目裏三行目、同三二枚目裏二行目及び同五行目の
「被告」を「一審被告承継者の主張」と、同二九枚目表二行目から三行目にかけて
の「被告の推計」を「一審被告承継者主張の推計方法」とそれぞれ改め、同六行目
の「被告による」を削り、同八行目の「所得金額」の次に「に関する千種税務署長
又は一審被告承継者の主張」を、同一〇行目の「異なるのは、」の次に「それ自
体」をそれぞれ加え、同三〇枚目表三行目の「算定しているが」を「算定するとい
うものであるが」と、同裏三行目の「乗じているが」を「乗ずるというものである
が」と、同三一枚目裏四行目の「除外し」を「除外するというもので」とそれぞれ
改める。
7 同三七枚目表八行目の「所得金額が、被告による」を「所得金額につき、」
と、同一〇行目の「各段階で」を「各段階において千種税務署長又は一審被告承継
者の主張するところが」とそれぞれ改める。
8 同三八枚目裏四行目の「被告」を「一審被告承継者主張」と改め、同四六枚目
裏一一行目末尾の次に行を変えて次のとおり加える。
「本件においては、本件係争年にわたり、一審原告の収入がその全部を漏れなく捕
捉されたことの保証はない。そして、一審原告がこのような収入金額を前提として
実額による必要経費の主張・立証をしようとする場合、単にその経費の支出の事実
を主張・立証するだけでは足りず、その経費が右収入金額に対応するものであるこ
とを主張・立証しなければならないというべきであるが、その主張・立証はないか
ら、一審原告の右支払利息の主張は、いずれにしても理由がない。」
三 立証(省略)
○ 理由
一 一審原告の本訴請求はいずれも棄却すべきものであり、その理由は、次のとお
り付加、訂正、削除するほか、原判決A一枚目表二行目冒頭から同A四五枚目裏五
行目末尾までのとおりであるから、これを引用する。
1 後出の改める部分にある「被告」を除いて、原判決A一枚目表から同A二三枚
目表にかけての「被告」をすべて「一審被告承継者」と改める。
2 同A一枚目表三行目の「被告の主張」を「3(一審被告承継者の権限承継)、
一審被告承継者の主張」と、同裏三行目から四行目にかけての「被告の採用した」
を「一審被告承継者の主張する」とそれぞれ改める。
3 同A一枚目裏八行目から九行目にかけての「把握することができた」を「把握
することができたとする」と、同A二枚目表三行目から四行目にかけての「被告の
認定した」を「一審被告承継者の主張する」と、同六行目の「成立に」を「原本の
存在と成立につき」と、同A三枚目表四行目の「被告認定」を「一審被告承継者の
主張」と、同裏一〇行目から一一行目にかけての「右と同様に解してした被告の認
定」を「右と同旨の一審被告承継者の主張」と、同A四枚目表一行目の「これに対
し」を「ところで」とそれぞれ改め、同八行目の「相当であり、」の次に「右のA
分につき」を加え、同裏四行目及び同一〇行目の「これを同様に解してした被告の
認定」、同A五枚目裏一〇行目の「右と同様に解しでした被告の認定」並びに同A
六枚目表四行目から五行目にかけての「同様に解してした被告の認定」を「右と同
旨の一審被告承継者の主張」とそれぞれ改め、同A七枚目表九行目の「認めること
ができる」の次に「(なお、資料6別紙一、二のとおり、本件台帳記載の利息収入
の一部については当事者間に争いがない。)を加える。
4 同A七枚目裏一行目の「第二九号証」の次に「(以上の乙号各証については原
本の存在も)」を、同六行目の「第五九号証」の次に「(乙第三三号証については
原本の存在も)」をそれぞれ加え、同A八枚目裏九行目の「第五三号証の一ないし
三」を「第五三号証の一・二」と、同A九枚目表二行目の「1」を「(1)」と、
同行及び同三行目の「2」を「(2)」とそれぞれ改め、同四行目の「本人尋問の
結果」の次に「(原審及び当審)を加え、同七行目冒頭から同裏五行目末尾までを
次のとおり改める。
「なお、一審被告承継者は、一審原告が右の一部(資料2の別紙一(別紙(9))
番号1・2及び町、別紙一一別紙(6))番号1ないし3並びに別紙一(別紙
(2))番号44・45及び61)につき自白の撤回をしたとしてこれに異議を述
べるところ、本件全証拠によっても右自白が真実に反すると認めることはできず、
結局、右証書貸付等に係る利息収入に関する一審被告承継者の主張事実は、右を含
め、(1)資料2の別紙一(別紙(9))番号1・2、別紙一(別紙(5))番号
1ないし3・24・26及び狗ないし245、別紙一(別紙(2))番号44・4
5・48ないし60・83ないし99及び101ないし121、並びに別紙一(別
紙(3))番号32ないし36の貸付がなされた事実(その約定内容を除く。一は
当事者間に争いがなく、また、(2)資料2の別紙一(別紙(9))番号100び
別紙一(別紙(2))番号61については一審被告承継者主張の内容の貸付がされ
た事実は当事者間に争いがないこととなる(一審原告は、右の一部については自白
が成立していない旨を主張するが、右につき自白が成立していることは記録上明ら
かである。また、課税取消訴訟における主要事実は、所得金額の算定に必要な個々
の所得発生原因事実をいうと解するのが相当である。)。」
5 同A九枚目裏八行目及び同A一五枚目表六行目の「本人尋問の結果」の次に
「(原審及び当審ごを加え、同A九枚目裏一一行目品し、の「第六〇号証」を「第
三七号証、第三八号証の一・二、第三九号証ないし第五一号証、第五三号証の一な
いし六、第五四号証の一ないし一七、第五六号証ないし第六〇号証」と、同A一一
枚目表二行目の「はないこと」を「を窺うことができないうえ」と、同六行目の
「これらの事実」から同裏一行目末尾までを「これらからすると、一審原告本人の
前記供述をもって右(一)の事実を動かすことはできない。」と、同裏一一行目の
「第一九号証及び第二〇号証」を「第二〇号証及び第二一号証」とそれぞれ改め
る。
6 同A一九枚目表二行目の「いうべきである」の次に「(前記2の利息収入のう
ち平田関係の占める割合が高く、取引回数も多く、右の関係を除いたその余の受取
利息割合が高率に上ることは一審被告承継者主張のとおりであるが、さりとて、右
の事情をもって、平田関係を除いて計算した受取利息割合の方が一審原告の貸付先
不明の貸付の利息を推計するうえで合理的であるとすることもできないし、その
他、前示したところに反し殊更平田関係を除いて計算した割合が合理的であると認
めるべき事情はない。)」を加え、同A二〇枚目表一行目の「被告の認定」を「千
種税務署長又は一審被告承継者の主張」と、同五行目及び同A二一枚目表四行目の
「被告」を「千種税務署長」とそれぞれ改める。
7 同A二五枚目表八行目の「第二八号証」を「第二九号証」と、同裏一行目から
二行目にかけての「それぞれ書面で債務免除の意思表示をしたこと」を「書面を発
送したが、右書面には債務免除の趣旨が記載されていたこと」と、同六行目の「意
思表示が」を「趣旨を含む書面が発送」とそれぞれ改め、同A三六枚目裏四行目の
「弁論の全趣旨によれば、」を削る。
8 同A四一枚目表一行目冒頭から同A四五枚目裏五行目末尾までを次のとおり改
める。
「3借入利息について
一 審被告承継者は、支払利息に関する一審原告の主張(一審原告の反論4項)に
つき、一審原告の収入金額として一審被告承継者が主張した金額は確実に捕捉し得
たもののみであって、その一部にとどまるおそれがあるところ、このような場合に
おいて一審原告がこの収入金額を前提として実額による必要経費を主張・立証する
ためには、この経費の支出の事実を主張・立証するだけでは足りず、その経費が右
収入金額に対応することを主張・立証する必要があると主張する。
しかしながら、事業所得については、各年における事業活動に支出した経費である
限り、収入金額との具体的個別的な対応を論ずるまでもなくこれを必要経費とする
べき筋合のものであるうえ、所得に関する課税処分取消訴訟においては、所得計算
の根拠となる収入金額と経費のいずれについても課税庁に主張・立証責任があると
いうべきであって、一審被告承継者において、収入金額の捕捉漏れの可能性を指摘
するのみで、その具体的な金額及び一審原告主張の経費のうちこれに対応する部分
についての的確な主張・立証がない本件においては、一審被告承継者の右主張を採
用することはできない。
そこで、以下、一審原告主張の右利息支払の事実の存否について検討する。
甲第六二号証の一(借用証書)は、市販の連帯借用証書用紙に金額一〇〇〇万円の
借用金額が記載されたB(C)宛の昭和四二年九月十二日付書面であり、連帯債務
者欄に一審原告の住所氏名の記名印と印鑑が押捺され、収入印紙が貼付されたもの
であるが、利率、弁済期に関する約定を記載すべき欄は白紙のままになっており、
保証人欄も白紙の状態である。そして、一審原告本人は、原審及び当審において、
一審原告の主張に沿う供述をするとともに、Cに対する借入金は昭和四八年初め頃
返済したとも供述し、原審証人Dも、貸付日を除いては右に沿う供述をしている。
しかしながら、右一〇〇〇万円の出所については、右のような記載にとどまる甲第
六二号証の一以外には裏付となる資料はないうえ(甲第五三、五四号証の各一・二
の記載も右裏付になるものではない。)、右に対する利息支払を裏付けるべき証拠
もなく、右によると、前記記載又は供述からCに対する利息支払の事実を窺うこと
はできないというほかはない。
また、Eに対する利息支払について、一審原告本人(原審及び当審)並びに原審証
人Eは、一審原告の主張に沿う供述をするが、三〇〇〇万円という貸付金の存在に
ついてこれを窺わせるべき証拠はなく(甲第五〇、五一号証の記載も、直ちに右貸
付金の存在を推認させるものではない。)、右供述からEに対する利息支払の事実
を窺うことはできない。
以上のとおりであって、一審原告の主張する利息支払(一審原告の反論4項)を肯
認することはできない。
四 所得金額について
以上から本件係争年の一審原告の総所得金額を算出すると、本判決別紙総所得金額
計算表のとおりとなり、本件処分は適法である(なお、一審原告申告に係る必要経
費から一審被告承継者主張の減算がされることについては、一審原告の明らかに争
わないところである。)。
なお、本訴においては国税不服審判所長のした審査裁決による認定額を超えた総収
入金額の主張は許されないなどとする一審原告の主張(一審被告承継者の主張に対
する認否4項参照)は、独自のものであって採用することができない。」
二 以上のとおり、一審原告の本訴請求はいずれも理由がなく棄却を免れないか
ら、一審被告承継者の控訴に基づき右と異なる原判決を右のとおりに変更し、一審
原告の控訴及び附帯控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、
民訴法九六条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 横畠典夫 園田秀樹 園部秀穂)

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