弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人坂野英雄の上告趣意第一点は判例違反をいうが所論掲記の判例
は本件に適切でなく、所論の実質は事実誤認を前提とする単なる訴訟法違反の主張
に帰し適法な上告理由に当らない。同第二点は事実誤認を前提とする法令違反の主
張であり、同第三点は事実誤認、同第四点は量刑不当の主張であつていずれも適法
な上告理由に当らない。
 被告人Bの弁護人岡本清の上告趣意一、は量刑不当同二、は憲法三七条一項違反
をいうが実質は単なる訴訟法違反の主張(この点については、被告人に不当な不意
打を加えその防禦権の行使に不利益を与える虞がない限り訴因変更の手続を必要と
しないのであるから、所論犯罪の場所につき訴因変更手続を要しないとした原判示
は結局正当である)同三、は憲法七六条三項三七条一項違反をいうが実質は単なる
訴訟法違反の主張、(所論公判調書には出頭弁護人中高橋太郎とありこれは高瀬太
郎の誤記と認められる。)同四、は憲法三七条等違反というが実質は事実誤認、単
なる訴訟法違反の主張に帰し、同五、は判例違反、憲法三七条、七六条三項違反を
いうが実質は量刑不当の主張に帰し、いずれも適法な上告理由に当らない。
 被告人Cの弁護人坂上徳三郎の上告趣意一、は判例違反をいうが、所論引用の判
例は本件に適切でなく、控訴趣意書自体に控訴理由を明示しないで、一審に提出し
た弁論要旨と題する書面の記載を援用する旨の控訴趣意は許容されないとした原判
示は正当である。同二は、判例違反をいうが具体的な判例摘示がなく、実質は単な
る訴訟法違反、事実誤認の主張であつて上告適法の理由とならない。
 被告人Dの弁護人対馬郁之進の上告趣意第一点のうち憲法三八条三項違反をいう
点は、原審で主張、判断のない事項であるのみならず、一審判決は共犯者たる他の
被告人の公判廷供述をも証拠としているのであるから所論は原判決を正解せず前提
を欠くに帰し、その余の主張は事実誤認、単なる法令違反の主張であつて適法な上
告理由に当らない。(なお「被告人の職務にして原判示の如くなる以上単にその担
当地域を異にするの故をもつて直ちにその職務権限に属しないものということは相
当でない」とした原判示は正当である。)同第二点、同第三点はいずれも事実誤認
の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和三五年四月一九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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