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平成23年7月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成22年(行ケ)第10357号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成23年7月12日
判決
原告SRIスポーツ株式会社
訴訟代理人弁理士岡憲吾
住友教郎
室橋克義
笠川寛
被告特許庁長官
指定代理人桐畑幸廣
長島和子
黒瀬雅一
田村正明
主文
特許庁が不服2009-2586号事件について平成22年10月4日に
した審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の求めた判決
主文同旨
第2事案の概要
本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とする審決の取消訴訟
である。争点は,本願発明の進歩性の有無である。
1特許庁における手続の経緯
原告は,平成18年6月5日,名称を「ゴルフボール」とする発明について特許
出願(特願2006-155949号,公開公報は特開2007-319589号公
報〔甲6〕)をし,平成20年6月17日及び同年10月10日付で特許請求の範囲
等に関する手続補正をしたが(甲7,8),拒絶査定を受けたので,これに対する不
服の審判請求をした。
特許庁は,上記請求を不服2009-2586号事件として審理し,その中で原
告は平成21年2月6日付けで特許請求の範囲に関する補正をしたが(甲9),特許
庁は,平成22年10月4日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,
その謄本は平成22年10月25日原告に送達された。
2本願発明の要旨(請求項1の記載)
「球状のコアと,このコアの外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなるカバ
ーとを備えており,
このコアが,内球と,この内球の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなる
第一中間層と,この第一中間層の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなる第
二中間層とを備えており,
この第二中間層のショアD硬度Hsが,第一中間層のショアD硬度Hf及びカバ
ーのショアD硬度Hcよりも大きく,
このカバーのショアD硬度Hcが18以上38以下であり,
このカバーのショアD硬度Hcが内球の中心のショアD硬度Hiよりも小さく,
このカバーの,厚みTc(mm)とショアD硬度Hcとの積(Tc・Hc)が2
5以下であり,
このカバーの厚みTcが0.3mm以上0.8mm以下であるゴルフボール。」
3審決の理由の要点
(1)引用例1(特開平9-313643号公報,甲1)には,実質的に次の発
明(引用発明)が記載されていることが認められる。
「ソリッドコアと中間層とカバーとの3層構造からなるスリーピースソリッドゴル
フボールにおいて,
コア表面硬度はコア中心硬度より高く,中間層硬度はコア表面硬度より高く,カ
バー硬度は中間層硬度より高く,
中間層及びカバーは共にアイオノマー樹脂を10~100重量%含有する熱可
塑性樹脂を主材とする材料で形成されている,
スリーピースソリッドゴルフボール。」
(2)本願発明と刊行物1発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
【一致点】
「球状のコアと,このコアの外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなるカバ
ーとを備えており,
このコアが,内球と,この内球の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなる
中間層とを備えている,
ゴルフボール。」
【相違点】
本願発明では,前記中間層が,「内球の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物か
らなる第一中間層」と,「第一中間層の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からな
る第二中間層」との2層からなり,「第二中間層のショアD硬度Hsが,第一中間層
のショアD硬度Hf及びカバーのショアD硬度Hcよりも大き」く,「カバーのショ
アD硬度Hcが18以上38以下」であり,「カバーのショアD硬度Hcが内球の中
心のショアD硬度Hiよりも小さ」く,「カバーの,厚みTc(mm)とショアD硬
度Hcとの積(Tc・Hc)が25以下」であり,「カバーの厚みTcが0.3mm
以上0.8mm以下」であるのに対して,
引用発明では,前記ゴルフボールがスリーピースソリッドゴルフボールであるの
で,前記中間層が1層であり,かつ,前記カバーの硬度及び厚みがそのようなもの
でない点。
(3)ア引用例2(特開2006-87950号公報,甲2)には,外装カバー
より低い硬度の塗膜を形成し,この塗膜上にディンプル加工を行うことにより,こ
の塗膜の特性がゴルフボールの表面摩擦係数に影響を及ぼし,ショートアイアンで
の打撃時にスピン量が増すという特性が得られること,及び,前記塗膜の厚さは,
50~700μmでもよいことが記載されている。
イ引用発明のソリッドコアの中心硬度の具体的数値は,当業者が適宜決定
すべき設計事項というべきものであるところ,コアの中心硬度がショアD硬度で3
8より大きいスリーピースソリッドゴルフボールは,本件の出願前に周知である(特
開2006-87925号公報〔甲3〕,特開2003-199845号公報〔甲4〕)。
ウ上記ア及びイから,ソリッドコアと,熱可塑性樹脂を主材とする材料で
形成されている中間層と,中間層の硬度より高い,熱可塑性樹脂を主材とする材料
で形成されているカバーとの3層構造からなるスリーピースソリッドゴルフボール
である引用発明において,ソリッドコアの中心硬度をショアD硬度で38より大き
いものとするとともに,ショートアイアンでの打撃時のスピン量を増加させるため
に,前記カバーにはディンプル加工を行うことなく,熱可塑性水系ウレタン樹脂粉
末を用いた厚さ300~650μmの該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度
38)を形成し,該塗膜上にディンプル加工を行うようにすることは,当業者が,
引用例2に記載された事項及び周知技術に基づいて容易に想到し得たことである。
エよって,引用発明において,上記相違点に係る本願発明の構成となすこ
とは,当業者が,引用例2に記載された事項及び周知技術に基づいて容易になし得
たことである。
オ本願発明が奏する効果は,当業者が,引用発明,引用例2に記載された
事項及び周知技術がそれぞれ奏する効果から予測し得たものである。
第3原告主張の審決取消事由(相違点についての判断の誤り)
1本願発明の特徴及び解決課題
本願発明の最大の特徴は,カバーのショアD硬度Hcが内球の中心のショアD硬
度Hiよりも小さい点にある。換言すれば,本願発明に係るゴルフボールは,比較
的大きな中心硬度Hiと,比較的小さなカバー硬度Hcとを有している。
本願明細書の段落【0026】に記載のとおり,中心硬度Hiが比較的大きいこ
とにより,「優れた反発性能及び軽い打球感が達成されうる」との効果が奏され,段
落【0084】,【0089】の記載のとおり,カバー硬度Hcが比較的小さいこと
により,「優れたスピン性能(すなわちコントロール性能)が達成されうる」との効
果が奏される。比較的大きな中心硬度Hiと比較的小さなカバー硬度Hcとを有す
るゴルフボールでは,ドライバーで打撃されたときの優れた反発性能及び軽い打球
感,並びにショートアイアンで打撃されたときの優れたコントロール性能の全てが
満たされ,「ゴルフボールにおいて,優れた反発性能,軽い打球感及び優れたコント
ロール性能の全てを満たすこと」が,本願発明の解決課題である。
2公知文献記載事項と本願発明との対比
(1)引用例1
引用例1の段落【0008】に記載されているとおり,引用例1に記載されたゴ
ルフボールでは,カバー,中間層,コア表面,コア中心の順に,硬度が大きく,し
たがって,コアの中心硬度はカバー硬度よりも小さい。この中心硬度Hiとカバー
硬度Hcとの大小関係は,本願発明に係るゴルフボールのそれとは全く逆であり,
引用例1に記載された発明と本願発明とでは構成が全く異なる。
また,「ゴルフボールにおいて,優れた反発性能,軽い打球感及び優れたコントロ
ール性能の全てを満たすために,カバー硬度Hcを中心硬度Hiよりも小さくする」
という技術思想は,引用例1には開示も示唆もされていない。
(2)引用例2
引用例2の段落【0029】に記載されているとおり,引用例2には,ショアD
硬度が38である塗膜を備えたゴルフボールが開示されている。この塗膜は,4層
構造からなるフォーピースソリッドゴルフボールの最も外側の層であり,この塗膜
は,本願発明に係るゴルフボールのカバーに相当する。引用例2に記載されたゴル
フボールは,比較的小さなカバー硬度Hcを有するといえる。
しかし,引用例2には,内球の中心硬度は記載されていない。一般にコア(又は
内球)は,ゴム組成物が金型内で加熱されることで得られるところ,コアの表面は
金型のキャビティ面と接している一方,コアの中心はこのキャビティ面から離れて
いる。熱は,キャビティ面からコアへと移動し,この熱を受けて,コアの中心では
連鎖的に反応が進行し,ゴム分子の劣化が生じる。このコアでは,硬度分布が生じ,
具体的には,中心から表面に向かって徐々に硬度が大きくなる。したがって,中心
の硬度は表面の硬度よりも相当程度小さい。このことは,本願明細書の表4~6か
らも明らかであり,引用例2に記載されたゴルフボールでも,中心硬度はかなり小
さいはずである。
また,「ゴルフボールにおいて,優れた反発性能,軽い打球感及び優れたコントロ
ール性能の全てを満たすために,カバー硬度Hcを中心硬度Hiよりも小さくする」
という技術思想は,引用例2には開示も示唆もされていない。
(3)特開2006-87925公報(甲3)
甲3の段落【0035】,【0057】によれば,甲3に記載されたゴルフボール
では,コアの中心硬度は最大でも50であり,カバーの硬度は最小でも55であり,
コアの中心硬度はカバー硬度よりも小さい。この中心硬度Hiとカバー硬度Hcと
の大小関係は,本願発明に係るゴルフボールのそれとは全く逆である。
審決は,甲3に関し,ショアDで38より大きい中心硬度が記載されていること
を指摘しているが,甲3に記載されているゴルフボールの全てにおいて,中心硬度
はカバー硬度よりも小さい。この中心硬度Hiとカバー硬度Hcとの大小関係は,
本願発明に係るゴルフボールのそれとは全く逆であり,甲3に記載された技術と本
願発明とでは,構成が全く異なる。
甲3の段落【0003】,【0007】,【0009】の記載によれば,甲3におけ
る解決課題の1つは,スピン量の抑制である。この解決課題は,「ゴルフボールにお
いて優れたスピン性能(すなわちコントロール性能)を達成すること」という本願
発明の解決課題とは全く逆である。
このように,甲3に記載された技術は,構成においても解決課題においても,本
願発明とは全く異なり,「ゴルフボールにおいて,優れた反発性能,軽い打球感及び
優れたコントロール性能の全てを満たすために,カバー硬度Hcを中心硬度Hiよ
りも小さくする」という技術思想は,甲3には,開示も示唆もされていない。
(4)特開2003-199845公報(甲4)
甲4の段落【0010】の記載によれば,甲4に記載されたゴルフボールでは,
コアの表面硬度(HS)が36から50であり,中心硬度がそれよりも小さいのであ
るから,中心硬度は50未満である一方,カバー硬度は58から69である。した
がって,コアの中心硬度はカバー硬度よりも小さい。この中心硬度Hiとカバー硬
度Hcとの大小関係は,本願発明に係るゴルフボールのそれとは全く逆である。
審決は,甲4に関し,ショアDで38より大きい中心硬度が記載されていること
を指摘しているが,甲4に記載されているゴルフボールの全てにおいて,中心硬度
はカバー硬度よりも小さい。この中心硬度Hiとカバー硬度Hcとの大小関係は,
本願発明に係るゴルフボールのそれとは全く逆である。甲4に記載された技術と本
願発明とでは,構成が全く異なる。
また,甲4の段落【0008】,【0009】の記載によれば,甲4における解決
課題の1つは,低スピン量化である。この解決課題は,「ゴルフボールにおいて優れ
たスピン性能(すなわちコントロール性能)を達成すること」という本願発明の解
決課題とは,全く逆である。
このように,甲4に記載された技術は,構成においても解決課題においても,本
願発明とは全く異なり,「ゴルフボールにおいて,優れた反発性能,軽い打球感及び
優れたコントロール性能の全てを満たすために,カバー硬度Hcを中心硬度Hiよ
りも小さくする」という技術思想は,甲4に開示も示唆もされていない。
3本願発明の進歩性
(1)前記のとおり,引用例1に記載されたゴルフボールでは,カバー,中間層,
コア表面,コア中心の順に,硬度が大きく,引用例1は,最外層(すなわちカバー)
が最も高硬度であることが最適な硬度分布であることを示唆している。このような
ゴルフボールに引用例2に記載された硬度が小さいカバーを組み合わせて本願発明
に係るゴルフボールに近づけようとする設計変更は,当業者が通常なし得ることで
はない。
(2)前記のとおり,十分なスピン速度によってゴルフボールのコントロール性
能を高めることが本願発明の解決課題の1つである。一方,甲3及び甲4では,も
っぱらスピン抑制を技術的課題としている。本願発明とは解決課題が異なる甲3及
び甲4に記載の事項を,引用例2に記載の事項とともに引用例1に記載の発明に適
用して本願発明の構成を想到することは,当業者にとって容易なことではない。
(3)本願発明の構成を引用発明と周知技術から容易に想到できたか否かを判
断するに当たっては,引用発明において,周知技術を適用するための共通の解決課
題ないし動機付けが存在していたか否か,仮に存在していたとして,周知技術を適
用するための阻害要因がなかったか否かを検討することが必要である。
引用例2には,「38」という比較的小さなカバー硬度が開示されている一方,甲
3及び甲4には,38よりも大きな,すなわち比較的大きな中心硬度が開示されて
いる。両者を組み合わせて得られるゴルフボールは,中心硬度Hiとカバー硬度H
cとの大小関係において,本願発明と共通する。
しかし,甲3及び甲4に記載されたゴルフボールでは,カバー硬度は中心硬度よ
りもさらに大きい。甲3及び甲4に記載された周知技術においては,もっぱらスピ
ンの抑制が技術的課題とされていて,この課題の解決の目的で極めて大きな硬度を
有するカバーが採用されている。甲3及び甲4に記載された周知技術においては,
カバー硬度を小さくすることは格別考慮する必要がないという点において,引用例
2に記載された技術に周知技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となり得
る。
また,引用例2に記載されたゴルフボールと甲3及び甲4に記載されたゴルフボ
ールとでは,構造上の相違が存する。引用例2に記載されたゴルフボールから比較
的小さなカバー硬度のみを抽出し,甲3及び甲4に記載されたゴルフボールから比
較的大きな中心硬度のみを抽出し,これらをさらに,引用例1に記載された,小さ
な中心硬度と大きなカバー硬度とを有するゴルフボールに適用することには,困難
性があるというべきである。
第4被告の反論
1本願発明の特徴及び解決課題につき
原告は,本願発明に係るゴルフボールの最大の特徴は,カバーのショアD硬度が
内球の中心のショアD硬度よりも小さい点にあり,この点により,ドライバーで打
撃されたときの優れた反発性能及び軽い打球感,並びにショートアイアンで打撃さ
れたときの優れたコントロール性能の全てが満たされると主張している。
しかし,本願発明が「カバーのショアD硬度Hcが内球の中心のショアD硬度H
iよりも小さく」と特定した点が最大の特徴をなす点であることは,本願の特許請
求の範囲及び本願明細書に記載も示唆もされていない。
本願明細書の段落【0002】,【0003】,【0004】,【0005】,【000
7】の記載によれば,本願発明の目的(課題)は,「反発性能,スピン性能,スピン
安定性及び耐擦傷性能に優れたゴルフボールの提供」にある。また,段落【001
3】の記載によれば,本願発明において「このカバーの,厚みTc(mm)とショ
アD硬度Hcとの積(Tc・Hc)が25以下であり」と特定されることにより,
反発性能,スピン性能,スピン安定性及び耐擦傷性能の全てに優れるという効果を
奏するものであり,段落【0084】の記載によれば,本願発明において「このカ
バーのショアD硬度Hcが18以上38以下であり」と特定されることにより,ド
ライバーでのショットにおいてスピンが抑制され,ショートアイアンでのショット
において大きなスピン速度が達成されうる,つまりスピン性能に優れるという効果
を奏するものであり,段落【0085】,【0086】の記載によれば,本願発明に
おいて「このカバーの厚みTcが0.3mm以上0.8mm以下である」と特定さ
れることにより,ドライバーでのショットにおける反発係数にカバーが大幅な悪影
響を与えることがなくスピン速度のばらつきが抑制され,スピン性能の観点から厚
みTcは0.2mm以上がより好ましい,つまり反発性能,スピン性能,スピン安
定性に優れるという効果を奏するものであり,段落【0087】の記載によれば,
本願発明において「このカバーの,厚みTc(mm)とショアD硬度Hcとの積(T
c・Hc)が25以下であり」と特定されることにより,反発性能,スピン性能,
スピン安定性及び耐擦傷性能に優れるという効果を奏するものであり,段落【00
89】の記載によれば,本願発明において「このカバーのショアD硬度Hcが内球
の中心のショアD硬度Hiよりも小さく」と特定されることにより,スピン速度が
十分得られ,ばらつきが少なく,コントロール性能に優れる,つまりスピン性能,
スピン安定性に優れるという効果を奏するものであり,段落【0091】の記載に
よれば,本願発明において「この第二中間層のショアD硬度Hsが,第一中間層の
ショアD硬度Hf及びカバーのショアD硬度Hcよりも大きく」と特定されること
により,ドライバーでのショットにおける小さなスピン速度が達成され,このカバ
ーによりショートアイアンでのショットにおける大きなスピン速度が達成される,
つまりスピン性能に優れるという効果を奏するものである。してみると,上記のと
おり,本願発明の目的(課題)は,「反発性能,スピン性能,スピン安定性及び耐擦
傷性能に優れたゴルフボールの提供」にある。そして,本願発明の上記に示した各
発明特定事項が,それぞれ上記に示した効果,つまり反発性能,スピン性能,スピ
ン安定性及び耐擦傷性能に優れたという効果の少なくとも1つを奏するものである
から,上記の本願発明の目的(課題)の解決手段は,本願発明における「この第二
中間層のショアD硬度Hsが,第一中間層のショアD硬度Hf及びカバーのショア
D硬度Hcよりも大きく,このカバーのショアD硬度Hcが18以上38以下であ
り,このカバーのショアD硬度Hcが内球の中心のショアD硬度Hiよりも小さく,
このカバーの,厚みTc(mm)とショアD硬度Hcとの積(Tc・Hc)が25
以下であり,このカバーの厚みTcが0.3mm以上0.8mm以下である」との
特定事項にあり,この発明特定事項が本願発明における最大の特徴点となる。
原告は,本願発明に係るゴルフボールの最大の特徴は,カバーのショアD硬度が
内球の中心のショアD硬度よりも小さい点にあり,この点により,ドライバーで打
撃されたときの優れた反発性能及び軽い打球感,並びにショートアイアンで打撃さ
れたときの優れたコントロール性能の全てが満たされると主張しているが,上記の
とおり,本願発明のカバーのショアD硬度が内球の中心のショアD硬度よりも小さ
い点により,スピン性能,スピン安定性にのみ優れるという効果を奏するものであ
って,「反発性能,及び耐擦傷性能に優れたゴルフボールの提供」といった本願発明
の目的(課題)を解決することはできないから,原告の上記主張に理由はない。
2公知文献記載事項と本願発明との対比及び本願発明の進歩性につき
(1)審決が引用発明を「ソリッドコアと中間層とカバーとの3層構造からなる
スリーピースソリッドゴルフボールにおいて,コア表面硬度はコア中心硬度より高
く,中間層硬度はコア表面硬度より高く,カバー硬度は中間層硬度より高く,中間
層及びカバーは共にアイオノマー樹脂を10~100重量%含有する熱可塑性樹脂
を主材とする材料で形成されている,スリーピースソリッドゴルフボール。」と認定
したように,原告の主張のうち,引用発明では,カバー,中間層,コア表面,コア
中心の順に硬度が大きく,引用例1は,最外層(すなわちカバー)が最も高硬度で
あることが最適な硬度分布であることを示唆しているとの主張は,そのとおりであ
る。
しかし,引用例1の段落【0007】,【0032】の記載によれば,引用発明の
課題は,良好な飛び性能(すなわち反発性能)に優れ,良好なコントロール性やス
ピン量が適正化(すなわちスピン性能及びスピン安定性)に優れ,良好な耐久性(す
なわち耐擦傷性能)に優れたゴルフボールを提供することにある。してみると,引
用発明の上記課題は,本願発明の課題と共通するものである。また,引用例2の段
落【0009】,段落【0022】の記載によれば,引用例2に記載された事項には,
ボールの飛行性能の向上を図り(すなわち反発性能に優れ),スピン特性に優れた(す
なわちスピン性能に優れた)ゴルフボールを提供することが示されており,ゴルフ
ボールにおいて,反発性能,スピン性能,スピン安定性及び耐擦傷性能に優れたも
のとすることは一般的な課題であって,引用例2に記載された事項においても内在
する自明の課題である。してみると,引用例2に記載された事項の課題は,反発性
能,スピン性能,スピン安定性及び耐擦傷性能に優れたゴルフボールを提供するこ
とにある。
したがって,引用発明と引用例2に記載された事項とは,同じ技術分野に属し,
共通する課題を有するものであるから,引用発明に引用例2に記載された事項を適
用することは,当業者が適宜容易になし得る程度のことである。
また,引用例1の段落【0003】,【0004】,【0005】,【0006】の記
載によれば,一般にゴルフボールは,いずれかの性能を向上させようとすれば他の
性能が低下してしまうもので,特に,飛距離(すなわち反発性能)とスピン量(す
なわちスピン性能)とは互いに相反する性能といえるが,当業者は,このような互
いに相反する性能の両者が優れた性能となるように,つまり反発性能,スピン性能,
スピン安定性及び耐擦傷性能等の全ての性能が優れたものになるように,常に新た
な知見等に基づいて,従来の技術のさらなる改良,例えば,引用例2の段落【00
29】,【0032】に記載されているように,外層カバーが最も固い従来のゴルフ
ボールの表面に厚さ200μmの低硬度の塗膜を形成するといった改良を試みるも
のであるから,引用発明のゴルフボールの最外層(すなわちカバー)が最も高硬度
であることが,引用例2に記載された事項を適用することを妨げる理由とはならな
い。
(2)原告は,甲3及び甲4の技術は,もっぱらスピン抑制を技術的課題としてい
ると主張するが,上記各文献はいずれも,審決が「コアの中心硬度がショアD硬度
で38より大きいスリーピースソリッドゴルフボール」が周知の技術事項であるこ
とを示すことのみを目的として例示した文献であるから,原告が主張するような,
上記各文献に記載された技術的課題は,審決の判断を何ら左右するものではない。
また,引用例1には,「コア2の中心硬度を,JIS-C型硬度計での測定(以下。
JIS-C硬度という)で,75度以下,好ましくは50~70度,より好ましく
は51~68度に形成する。」(段落【0013】)と記載されているところ,引用例
1の段落【0044】【表3】によれば,JIS-C硬度75はショアD硬度45に,
JIS-C硬度68はショアD硬度43にそれぞれ相当するから,引用例1には,
そもそも,コア中心硬度がショアD硬度45又は43のゴルフボール,すなわち,
コア中心硬度がショアD硬度で38より大きいゴルフボールが示されている。
してみると,引用発明と上記の周知の技術事項とはゴルフボールという同じ技術
分野に属し,また引用例1には,上記のとおり,コア中心硬度をショアD硬度で3
8より大きくすることが示されているから,引用発明に上記の周知の技術事項を適
用することは,当業者が適宜容易になし得る程度のことである。
(3)原告は,審決が,引用例2に記載された比較的小さな硬度を有するカバー
と周知技術である比較的大きな硬度を有するコア(内球)とを組み合わせ,さらに
これらを引用発明に適用することは当業者にとって容易である,と判断している,
と主張する。
しかし,審決は,「(3)上記(1)(被告注:引用例2に記載された事項のこと。)
及び(2)(被告注:周知の技術事項のこと。)から,ソリッドコアと,熱可塑性樹
脂を主材とする材料で形成されている中間層と,中間層の硬度より高い,熱可塑性
樹脂を主材とする材料で形成されているカバーとの3層構造からなるスリーピース
ソリッドゴルフボールである引用発明において,ソリッドコアの中心硬度をショア
D硬度で38より大きいものとする(上記(2)参照。)とともに,ショートアイア
ンでの打撃時のスピン量を増加させるために,前記カバーにはディンプル加工を行
うことなく,熱可塑性水系ウレタン樹脂粉末を用いた厚さ300~650μmの該
カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成し,該塗膜上にディンプル
加工を行うようにする(上記(1)参照。)ことは,当業者が,引用例2に記載され
た事項及び周知技術に基づいて容易に想到し得たことである。」(6頁13行~23
行)と判断している。つまり,引用発明において,ソリッドコアの中心硬度をショ
アD硬度で38より大きいものとすること(すなわち上記周知の技術事項とするこ
と),及びショートアイアンでの打撃時のスピン量を増加させるために,前記カバー
にはディンプル加工を行うことなく,熱可塑性水系ウレタン樹脂粉末を用いた厚さ
300~650μmの該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成し,
該塗膜上にディンプル加工を行うようにすること(すなわち引用例2に記載された
事項とすること)は,当業者が,容易に想到し得たことであると判断している。し
てみると,引用発明に,引用例2に記載された事項,及び周知の技術事項を適用す
ることを別々に判断しているものであるから,引用例2に記載された事項と周知の
技術事項とを組み合わせた上で,さらにこれを引用発明に適用することについて判
断したものではない。
したがって,原告の上記主張は,失当である。
(4)原告は,甲3及び甲4に記載された周知技術においては,カバー硬度を小
さくすることは格別考慮する必要がないという点において,引用例2の技術に周知
技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となり得ると主張する。
しかし,上記(3)のとおり,審決は,引用発明に,引用例2に記載された事項,及
び周知の技術事項を適用することを別々に判断しているのであって,引用例2に記
載された事項と周知の技術事項とを組み合わせてはいない(つまり引用例2の技術
に周知技術を適用してはいない)から,原告の上記主張は,その前提において誤り
があり,失当である。
(5)原告は,引用例2に記載されたゴルフボールから比較的小さなカバー硬度
のみを抽出し,甲3及び甲4に記載されたゴルフボールから比較的大きなコア中心
硬度のみを抽出し,これらをさらに,引用例1記載された小さなコア中心硬度と大
きなカバー硬度とを有するゴルフボールに適用することには,困難性があるという
べきであると主張する。
しかし,引用例2に記載された事項とは,審決が示したとおり,「(1)引用例2
には,硬い外層カバーによってゴルフボールの表面摩擦係数が支配され,そのため
あらゆるクラブで低スピン特性になるものであった従来のスリーピースゴルフボー
ルにおいて,外層カバーに熱可塑性水系ウレタン樹脂粉末を用いた厚さ200μm
の外層カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成し,該塗膜上にディ
ンプル加工を行うことにより,この塗膜の特性がゴルフボールの表面摩擦係数に影
響を及ぼし,ショートアイアンでの打撃時にスピン量が増すという特性が得られる
こと,及び,前記塗膜の厚さは,50~700μmでもよいことが記載されている」
(5頁23行~31行)ことであって,ゴルフボールから比較的小さなカバー硬度
のみを抽出したものではなく,また甲3及び甲4は,コアの中心硬度がショアD硬
度で38より大きいスリーピースソリッドゴルフボールであることが,周知の技術
事項であることを例示した周知例であって,ゴルフボールから比較的大きなコア中
心硬度のみを抽出したものではない。そして,前記のとおり,引用発明に引用例2
に記載された事項及び周知技術を適用することは当業者において容易になし得たこ
とである。してみると,原告の上記主張は,失当である。
第5当裁判所の判断
当裁判所は,原告主張の審決取消事由(相違点についての判断の誤り)について,
次のとおり判断する。
1本願発明について
本願明細書(甲5,7,9)の記載によれば,本願発明は,内球,第一中間層,
第二中間層及びカバーを備えたゴルフボールに関するものであり,反発性能,スピ
ン性能,スピン安定性及び耐擦傷性能に優れたゴルフボールを提供することを目的
とし,そのために,本願発明に係るゴルフボールは,球状のコアと,このコアの外
側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなるカバーとを備え,このコアは,内球と,
この内球の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなる第一中間層と,この第一
中間層の外側に位置しかつ熱可塑性樹脂組成物からなる第二中間層とを備え,この
第二中間層の硬度Hsは,第一中間層の硬度Hf及びカバーの硬度Hcよりも大き
く,カバーの硬度Hcは50以下であり,このカバーの厚みTc(mm)と硬度H
cとの積(Tc・Hc)は,25以下であるという構成を採用したことが認められ
る。
具体的には,軟質なカバーはゴルフボールのスピン性能に寄与する反面,反発性
能を阻害するおそれがあり,従来のゴルフボールでは,薄いカバーが採用されるこ
とにより,カバーによる反発性能の阻害を抑制してきたが,本願発明に係るゴルフ
ボールでは,積(Tc・Hc)が25以下であるカバーが採用されることにより,
薄いにもかかわらず,カバーがスピン性能に寄与し,さらに,スピン安定性及び耐
擦傷性能にも寄与しうる。
また,硬度Hcが15以上であるカバーにより,ドライバーでのショットにおい
てスピンが抑制されうるものとなり,硬度Hcが50以下であるカバーにより,シ
ョートアイアンでのショットにおいて大きなスピン速度が達成されうることになる。
さらに,飛行性能及びスピン安定性の観点から,カバーの厚みTcは0.8mm
以下,スピン性能の観点から,厚みTcは0.1mm以上が好ましいとされる。
積(Tc・Hc)が25以下であるカバーは,極めて薄く,かつ極めて軟らかい
ものであるところ,ゴルフボールがショートアイアンで打撃されたとき,厚みTc
が小さいにもかかわらずカバーが十分に変形し,この変形により,ショートアイア
ンのフェースとゴルフボールとの長い接触時間が達成され,長い接触時間により,
大きなスピン速度が得られ,スピン速度のばらつきを抑制しうる上,パター又はシ
ョートアイアンで打撃されたときの優れた打球感が達成されうる。
カバーの硬度Hcは,内球の中心硬度Hiよりも小さく,このゴルフボールがシ
ョートアイアンで打撃されたとき,十分なスピン速度が得られ,スピン速度のばら
つきが少なく,コントロール性能に優れることとなる。
本願発明に係るゴルフボールでは,第二中間層の硬度Hsは第一中間層の硬度H
fよりも大きく,かつカバーの硬度Hcよりも大きく,外剛内柔のコアと軟質なカ
バーとを備えていることになるところ,このコアによりドライバーでのショットに
おける小さなスピン速度が達成され,このカバーによりショートアイアンでのショ
ットにおける大きなスピン速度が達成されることとなる。
2引用発明について
引用例1(甲1)の記載によれば,引用発明は,良好な飛び性能及び耐久性と良
好な打感及びコントロール性とを同時に満足し得るゴルフボールを提供することを
目的とし,そのために,ソリッドコアと中間層とカバーとの3層構造からなるスリ
ーピースソリッドゴルフボールにおいて,コア表面硬度をコア中心硬度よりも高く
しコアの硬度分布を適正化すると共に,中間層硬度をコア表面硬度より高く,カバ
ー硬度を中間層硬度より高く構成することにより,最適の硬度分布を得るとともに,
優れた飛び性能及び耐久性と良好なコントロール性とを併せ持ったオールラウンド
なソリッドゴルフボールを実現しようとしたものであることが認められる。
すなわち,ソリッドコアと中間層とカバーとの3層構造からなるスリーピースソ
リッドゴルフボールにおいて,上記の硬度分布を採用することにより,①最適な硬
度分布を有するコアが形成でき,インパクト時のボール変形において,コア中心よ
り硬く形成されたコア表面によりコアの変形過多を効果的に防止し,かつ歪みエネ
ルギーを効率良く反発エネルギーに置換し得,飛距離が増大すると共に,軟らかい
コア中心部により軟らかい良好な打感を得ることができ,②軟らかく形成したコア
をそれよりも硬い中間層,この中間層よりも更に硬いカバーで順次被覆することに
よりボール全体が最適な硬度分布となり,打撃時の変形過多によるエネルギーロス
を最小限に抑え,効率的な反発性を有するゴルフボールが得られるとしたものであ
る。
3引用例2の記載について
引用例2の段落【0021】,【0024】,【0029】,【0032】には,内層
カバー(ショアD硬度40)とそれより硬い外層カバー(ショアD硬度61)とか
らなる2層構造のカバー材を硬度の低いソリッドコア(ショアD硬度48)に被覆
したスリーピースボールにおいて,外層カバーに熱可塑性水系ウレタン樹脂粉末を
用いた厚さ200μmの外層カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形
成し,該塗膜上にディンプル加工を行うことにより,この塗膜の特性がゴルフボー
ルの表面摩擦係数に影響を及ぼし,ショートアイアンでの打撃時にスピン量が増す
という特性が得られること,及び,前記塗膜の厚さは,50~700μmでもよい
ことが記載されている。
4本願発明の容易想到性の有無
(1)審決は,「・・・ソリッドコアと,熱可塑性樹脂を主材とする材料で形成
されている中間層と,中間層の硬度より高い,熱可塑性樹脂を主材とする材料で形
成されているカバーとの3層構造からなるスリーピースソリッドゴルフボールであ
る引用発明において,ソリッドコアの中心硬度をショアD硬度で38より大きいも
のとする(上記(2)参照。)とともに,ショートアイアンでの打撃時のスピン量を
増加させるために,前記カバーにはディンプル加工を行うことなく,熱可塑性水系
ウレタン樹脂粉末を用いた厚さ300~650μmの該カバーより低い硬度の塗膜
(ショアD硬度38)を形成し,該塗膜上にディンプル加工を行うようにする(上
記(1)参照。)ことは,当業者が,引用例2に記載された事項及び周知技術に基づ
いて容易に想到し得たことである。」(6頁13行~23行)とした。
しかし,前記2のとおり,引用発明は,良好な飛び性能及び耐久性と良好な打感
及びコントロール性とを同時に満足し得るゴルフボールを提供することを目的と
し,コア表面硬度をコア中心硬度よりも高くしコアの硬度分布を適正化すると共に,
中間層硬度をコア表面硬度より高く,カバー硬度を中間層硬度より高く構成して,
ゴルフボールにおける最適の硬度分布を得ようとするものであるから,引用発明に
引用例2に記載された事項を適用した場合,すなわち,引用発明のカバーに,該カ
バーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成した場合,塗膜形成前と塗膜
形成後では,ボール全体の硬度分布は明らかに異なり(引用発明では,ボールのも
っとも外側に位置するカバーの硬度が最も高く,次いで中間硬度,コア表面硬度,
コア中心硬度の順に硬度が高く,これを最適の硬度分布としているのに対し,引用
例2では,ボールのもっとも外側に位置する塗膜よりも,その内側の外装カバーの
方が硬度が高いことになる。),塗膜形成前において最適化されていたボール全体の
硬度分布は,塗膜形成後においても最適化されているとはいえなくなり,その結果,
引用発明の上記目的は実現できないことになる。
そして,塗膜形成後において引用発明の上記目的を実現しようとすると,改めて
ボール全体の硬度分布の最適化(再最適化)することになり,それによって,コア,
中間層及びカバーの硬度は変更されるから,再最適化後のゴルフボールの構成は,
本願発明と同様の構成になるとはいえない。
そうすると,本願発明は,当業者が引用発明,引用例2に記載された事項及び周
知技術に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。
(2)なお,引用発明のカバーに該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度3
8)を形成しても,引用発明が元々有する特性はそのまま維持されたままで,塗膜
を形成したことによる効果が追加されるだけであれば,硬度分布の再最適化を行う
必要はないことになるが,前記のとおり,引用発明のカバーに該カバーより低い硬
度の塗膜(ショアD硬度38)を形成することにより,引用発明が最適とした硬度
分布が変化してしまう以上,引用発明が元々有する特性はそのまま維持されたまま
で,塗膜を形成したことによる効果が追加されるだけとは考えられないし,再最適
化を行う必要がないということもできない。
(3)被告は,「引用例2は,外層カバーが最も固い従来のゴルフボールの表面
に厚さ200μmの低硬度の塗膜を形成するといった改良を試みるものであるか
ら,引用発明のゴルフボールの最外層,すなわちカバーが最も高硬度であることが,
引用例2に記載された事項を適用することを妨げる理由とはならない」旨主張する
が,前記のとおり,引用発明のカバーに,該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD
硬度38)を形成した場合,当該ゴルフボールの硬度分布は引用発明が最適とした
硬度分布とは異なるものとなり,その結果,引用発明の目的は実現できなくなるの
であるから,引用発明に引用例2に記載された事項を採用することを妨げる理由を
否定できない。被告の上記主張は採用することができない。
第6結論
以上によれば,原告主張の取消事由は理由がある。
よって原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
塩月秀平
裁判官
真辺朋子
裁判官
田邉実

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