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平成15年(ワ)第7208号 不正競争行為差止請求事件(第1事件)
同年(ワ)第7993号 不正競争行為差止請求事件(第2事件)
口頭弁論終結の日 平成15年12月18日
          判    決
       第1事件原告兼第2事件被告  株式会社自由軒
       訴訟代理人弁護士       村 林 隆 一
       同              井 上 裕 史
       第1事件被告兼第2事件原告  株式会社自由軒
       訴訟代理人弁護士       藤 田   健
       同              道 上 達 也
          主    文
  1 第1事件原告の請求をいずれも棄却する。
  2 第2事件被告は、洋食店の営業又はレトルト食品もしくは冷凍食品の販売
について、「自由軒」の営業表示を使用してはならない。
  3 第2事件被告は、洋食店の営業又はレトルト食品もしくは冷凍食品の販売
について、「株式会社自由軒」の商号を使用してはならない。
  4 第2事件被告は、洋食店の営業又はレトルト食品もしくは冷凍食品の販売
について、別紙目録Ⅰ(1)ないし(9)記載の標章を使用してはならない。
  5 第2事件被告は、洋食店の営業又はレトルト食品もしくは冷凍食品の販売
について、ドメイン名「jiyuuken.co.jp」を使用してはならない。
  6 第2事件被告は、別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)記載の各商品の販売について、
それぞれ同目録記載の態様の表示をしてはならない。
  7 第2事件被告は、別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)記載のレトルト食品もしくは冷
凍食品を廃棄せよ。
  8 訴訟費用は、第1、第2事件を通じて、第1事件原告(第2事件被告)の
負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
 〔第1事件〕
 1 第1事件被告(第2事件原告。以下、単に「被告」という。)は、文書又は
口頭で、第1事件原告(第2事件被告。以下、単に「原告」という。)が「自由
軒」との表示をもって袋詰めカレールウ等の製品の製造、販売をする行為が、不正
競争防止法2条1項1号に該当する不正競争行為である旨を、需要者その他取引関
係者に陳述し、又は流布してはならない。
 2 被告は、原告に対し、1264万1819円及びこれに対する平成15年9
月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 被告は、大阪市中央区〈以下省略〉の店舗及び大阪市港区〈以下省略〉の店
舗において、提供する役務の表示として、「自由軒」との表示を使用してはならな
い。
 〔第2事件〕
   主文第2項ないし第7項と同旨
第2 事案の概要
   本件の第1事件及び第2事件は、共に同一の商号で、「自由軒」ないしこれ
を含む営業表示・商品表示を用いて洋食店を営む原告と被告の間における不正競争
防止法及び商法(第2事件)に基づく差止請求(第1事件については更に損害賠償
請求)の事案である。
   第1事件では、被告がその取引先に対して、原告の営業上の信用を害する虚
偽の事実を告知したことにより、原告の営業上の利益が侵害されたとして、原告が
被告に対し、不正競争防止法2条1項14号、3条1項、4条に基づき、事実の陳
述等の差止めと損害賠償を求めるとともに、被告がその店舗で提供する役務に「自
由軒」の営業表示を使用することは同法2条1項1号の不正競争に当たると主張し
て、同法3条1項に基づき、その使用差止めを求めている。
   第2事件では、原告による「自由軒」の商品等表示としての使用や原告商号
の使用が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるなどと主張して、被告が
原告に対し、同法3条に基づき商品等表示の差止めと商品の廃棄を、同法2条1項
12号及び3条1項に基づきドメイン名の使用差止めを、同法2条1項1号及び3
条1項並びに商法20条1項及び21条2項に基づき(単純併合)商号の使用差止
めを、それぞれ求めている。
 1 前提となる事実(争いのない事実は証拠を掲記しない。)
  (1) Dは、明治43年、大阪市千日前において洋食店「自由軒」を創業した。
Dの家族関係は、別紙「家族関係図」記載のとおりであり、要するに、原告の経営
者はDとその後妻Fとの間の子の子孫であり、一方、被告の経営者はDとその先妻
Eとの間の子の子孫である。
    洋食店「自由軒」の営業は、その後、大正15年7月1日に設立された合
名会社自由軒(本店所在地は大阪市南区〈以下省略〉〔現在の中央区〈以下省
略〉〕、設立当初の代表社員はD。甲第5号証の1・2、乙第3号証の2・7)に
引き継がれた。
    なお、合名会社自由軒は、法人として登記簿上は現在も存続しているが、
洋食店の営業はしておらず、登記上の代表社員であるH(DとEの間の二男)も既
に死亡している。
  (2) 原告は、昭和45年1月20日に、大阪市東区〈以下省略〉を本店所在地
として設立された(現在の本店所在地は、平成元年に住居表示が実施されたために
変更されたものである。甲第102号証、乙第4号証)。原告の設立当初の代表取
締役はJ(DとFの間の三男)であり、現在の代表取締役Lはその子である。
    原告は、現在、大阪市中央区船場の本店所在地で「自由軒」の名称で洋食
店を営業するほか、横浜市の横浜カレーミュージアム店、三重県四日市市の四日市
店のほか東京都内の立川店(ただし、その運営業務は後述の別会社に委託してい
る。)など、全国数か所で同名の洋食店を営業しており、また、原告とフランチャ
イズ契約を締結した別会社が、東京都内の2か所で同名の洋食店を営業している。
さらに、原告は、各地の百貨店等やホームページを通じての通信販売によりカレー
ルウやハヤシソースといったレトルト食品や冷凍食品も製造販売しており、その中
には別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)記載の各商品が含まれる。原告は、洋食店の営業又は
レトルト食品もしくは冷凍食品の販売において、別紙目録Ⅰ(1)ないし(9)又は別紙
目録Ⅱ(1)ないし(9)の標章ないし表示を使用している(原告代表者本人尋問の結
果、甲第30号証の1ないし5、第31号証の1ないし3、第32号証、第33号
証、乙第6号証の1ないし5、弁論の全趣旨)。
    原告は、インターネットのドメイン名「jiyuuken.co.jp」
を使用する権利を取得し、自らホームページを開設する等して使用している。
    なお、原告は、次の商標権を有している。
     登録番号  第4344160号
     出願日   平成10年4月10日
     登録日   平成11年12月17日
     登録商標  自由軒(標準文字)
     商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務
第29類 保存用にパックされた調理済み即席カレー(ほ
か略)
           第30類 ウースターソースその他の調味料(ほか略)
           第42類 飲食物の提供
  (3) 被告は、昭和41年11月25日に、現在の本店所在地で設立された。被
告の設立当初の代表取締役はHであり、現在の代表取締役であるMはG(DとEの
間の長男)の孫、同じくOはGの孫であり、Hの孫でもある。
    被告は、現在、大阪市中央区〈以下省略〉(千日前)で「自由軒」の名称
で洋食店を営業するほか、大阪市港区の1か所(第1事件請求の趣旨第3項掲記の
場所)で同名の洋食店を営業している。
  (4) 被告は、原告が販売している製品「カレーまん」の製造下請先である株式
会社大成及びその販売代理店である株式会社光洋に対し平成15年1月22日付内
容証明郵便を送付して、原告による同製品の製造販売は不正競争防止法2条1項1
号に該当するとして、その製造販売の停止等を求めた。被告は、それ以降、同年1
月ないし2月に、原告の取引先である株式会社鶴屋百貨店、株式会社丸広百貨店ほ
かの複数の百貨店等に対し、内容証明郵便をもって、原告が「創業明治43年」、
「自由軒」等の広告宣伝を行うことは虚偽の広告宣伝に該当する、原告の製造した
レトルト食品を販売することは不正競争防止法2条1項1号に該当する不正競争行
為である旨通知し、さらに、同年7月にも、原告の取引先である市民生活協同組合
ならコープほかに対し、内容証明郵便で同様の通知をした(以下これらの通知文書
を合わせて「本件警告書」という。)。
 2 争点
  (第1事件)
  (1) 本件警告書は、虚偽の事実を告知ないし流布するものか。
  (2) 原告が使用している「自由軒」との表示は、原告の商品等表示として周知
性があるか。
  (3) 被告が「自由軒」の営業表示を使用していることにより、原告の営業と誤
認混同を生じさせるか。
  (4) 本件警告書の送付が不正競争防止法2条1項14号の不正競争に当たると
した場合の原告の損害額
  (第2事件)
  (5) 被告による訴えの追加的変更(請求の趣旨第6項)の適否
  (6) 被告が使用している「自由軒」の営業表示は、被告の営業表示として周知
性があるか。
  (7) 原告が「自由軒」の商品等表示を使用することにより、被告の営業と誤認
混同を生じさせるか。
  (8) 原告が「自由軒」の商品等表示を使用することにより、被告が営業上の利
益を害され、又は害されるおそれが生じているか。
  (9) 原告が「株式会社自由軒」の商号を使用することは、商法20条1項の
「不正の競争の目的」又は同法21条1項の「不正の目的」をもってするものか。
  (10) 原告がインターネットのドメイン名「jiyuuken.co.jp」
を使用する権利を取得し、これを使用する行為は、不正競争防止法2条1項12条
の「不正の利益を得る目的」又は「他人に損害を加える目的」によるものか。
  (11) 請求の趣旨第6項(レトルト食品等の廃棄請求)に係る請求の必要性
  (12) 被告の不正競争防止法に基づく差止請求に対し、原告には同法12条3
号所定の適用除外事由があるか。
  (13) 被告の不正競争防止法に基づく差止請求は、信義則違反により許されな
いか。
第3 争点に関する当事者の主張
 1 被告による訴えの追加的変更(第2事件請求の趣旨第6項)の適否(争点(5)
関係)
  〔原告の主張〕
   原告と被告の間の本件紛争は、本件各訴訟に先行する仮処分申立事件(当庁
平成15年(ヨ)第20015号)の申立てに始まり、審理が行なわれてきたもので
あるが、被告は平成15年11月28日付訴えの変更申立書で初めてレトルト食品
の廃棄請求を追加し、同年12月15日付訴えの変更申立書及び同月18日の第5
回口頭弁論期日において、これを現在の請求の趣旨第6項のとおり整理した。
   しかし、①被告の追加に係る上記請求の趣旨は、これまで審理の対象となっ
ていた被告の従前の請求とは全く趣旨を異にするものであるから、請求の基礎を変
更するものである。②また、レトルト食品等は、ラベルを付け替える等で容易
に転用が可能なものであるから、差止請求としてその廃棄までが認められるか否か
等、新たに判断すべき事項も多く、この追加を許せば、著しく訴訟手続が遅滞する
ことも明らかである。③しかも、被告は、本件訴訟の当初から原告製品の存在
を知っていたのであるから、これまでいつでも訴えの変更を申し立てることができ
たのであって、それにもかかわらず、あえて口頭弁論終結の直前にこのような請求
の趣旨を追加することには、訴訟の遅延以外の目的はない。よって、仮に著しく訴
訟手続を遅延させるといえないとしても、このような不当な目的による訴えの変更
は許すべきではない(民訴法143条1項ただし書)。
   以上のとおりであるから、被告による請求の趣旨第6項の追加は許されず、
これを却下すべきである。
  〔被告の主張〕
   争う。
 2 原告がその商品等表示として「自由軒」の表示を使用することは、不正競争
防止法2条1項1号の不正競争に該当するか(争点(1)、(6)、(7)関係)
  〔原告の主張〕
  (1) 原・被告は、いずれも、Dの子によって、合名会社自由軒から独立して設
立されたものである。すなわち、両者が営業している洋食店は、いずれもDが創業
し、合名会社自由軒に引き継がれた洋食店「自由軒」から暖簾分けを受けたもので
ある。原告の元代表取締役J(現代表取締役Lの父)は、昭和31年7月1日から
合名会社自由軒の社員となり、昭和40年9月21日までその経営に参画し、その
後、同社の社員の承諾を得て原告を設立し、現在に至っている。一方、被告が大阪
市中央区〈以下省略〉で営業している洋食店も同様であって、合名会社自由軒が営
業していた洋食店「自由軒」と同一ではない。したがって、この意味において、
原・被告は対等の立場に立つものである。なお、被告設立時に、合名会社自由軒を
解散せずに残したままにしたのは、むしろ合名会社自由軒と被告とが同一ではない
ことを意識していたことを示すものである。
    また、原告設立時には、その用いる名称等について何らの条件も付されて
いなかった。確かに、原告が「本町自由軒」との名称を用いることもあったが、こ
れは合名会社自由軒や被告が営業する洋食店「自由軒」との区別をつけるためであ
って、被告の方も、その営業する洋食店について「千日前自由軒」との名称を用い
たこともあったから、名称使用に条件が付されていたことにはならない。そもそ
も、原告は、Dの残した「自由軒」の暖簾を継いで設立されたものであり、被告か
らの許諾を必要としていなかったし、被告も上記暖簾を継ぐことに同意していた。
原告の屋号は、その当初から単なる「自由軒」であった。原告に先立って設立され
ていた被告は、原告が「株式会社自由軒」の商号で設立されたことを、当時から了
解しており、原告の店舗開店に際しては、「千日前自由軒より 祝開店 本町自由
軒さん江」と記載された花輪を贈って開店を祝っている。また、原告は、開店当時
から明治43年にDが創業した当時の「自由軒」の写真を店舗正面ウインドウに掲
示し、店内には「織田作之助好み自由軒の名物インディアンカレー由来」と題した
パネルを掲示し、「創業明治43年」等の文句を使用しているが、被告はこれに対
し30年以上異議を唱えてこなかった。
    以上のとおり、原・被告とも、本家である合名会社自由軒から暖簾分けを
受けたものであるから、原告がその商品等表示に「自由軒」の表示を使用すること
が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当する余地はない。
  (2) 「自由軒」の商品等表示は全国的に周知であるところ、これは、全国的に
書籍や雑誌、テレビ等に取り上げられ、レトルト食品や冷凍食品等を製造して店
舗、百貨店、通信販売で販売し、更には全国の百貨店等で催される物産展等に出店
している原告の商品等表示として周知性を得ているのであって、被告の商品等表示
として周知となっているものではない。
  (3) 原告のレトルト食品等の販売は、被告の営業とは業態が異なるし、被告が
2店舗で洋食の提供をしているにとどまるのに対し、原告の商品は全国的に広く流
通するものであるから、混同を生じ得ない。しかも、原告は、その営業に際して、
「自由軒」の表示と共に、「本町」や「せんば」の文字を小さく添えて、顧客が被
告の店舗と混同することを防止している。
  〔被告の主張〕
  (1) 洋食店「自由軒」は、明治43年にDが大阪ミナミの千日前で創業し、そ
の実質的な運営は、D及び同人とその先妻Eとの間の子、孫やその家族らが行って
きたものであり、現在も、これを引き継いだ被告が創業地で営業を続けているもの
である。「自由軒」の店舗の運営は、形式的には、Dが大正15年7月1日に設立
した合名会社自由軒に委ねられたところ、その設立時の社員にはDの後妻Fも名を
連ねているが、出資金はすべてDが出したものである。その後、後妻Fの系列のI
やJがFから持分を承継して小割合の出資者の地位にあったことはあるが、経営に
は関与しておらず、昭和40年9月21日にはそれらの持分を買い取ってもらって
退社しており、形式的にも合名会社自由軒と関係がなくなった。そして、被告は、
合名会社を実質的に株式会社化し、その営業を引き継ぐために、H(DとEの間の
二男)を代表取締役として設立されたものであり、実際にもその営業の全部を引き
継いでいる。すなわち、被告が大阪市中央区〈以下省略〉で営業している洋食店
は、Dが創業し、合名会社自由軒に引き継がれた洋食店「自由軒」を承継したもの
であり、同一である。原告は、被告から独立して設立されたものであり、この意味
において、被告と対等の立場に立つものではない。
    また、原告設立時には、「本町自由軒」との名称を用いるとの条件があっ
た。すなわち、別の仕事を続けていたJからHに対し、生計を立てるために「自由
軒」の名のついた店を開かせてほしいとの懇願があったので、Hは、屋号を「本町
自由軒」とすること等の条件を出して、開店を許可したものである。
  (2) 「自由軒」の商品等表示は全国的に周知であるところ、これは、Dが創業
した洋食店として古くから全国的に書籍や雑誌、テレビ等に取り上げられている被
告の商品等表示として周知性を得ているのである。すなわち、被告が承継している
「自由軒」は、明治43年に当時ハイカラな洋食店として開業され、「関西ではこ
このカレーを知らない人がないくらい有名な洋食屋」といわれてきた。また、常連
客であった作家の織田作之助が小説「夫婦善哉」に登場させたことからも、全国的
に知られている。このことは、被告の営業する千日前の「自由軒」がグルメ雑誌、
新聞、テレビ等に頻繁に取り上げられてきていることからも明らかである。このよ
うにして、「自由軒」といえば「織田作のカレー」、「織田作のカレー」といえば
「名物カレー」、「名物カレー」といえば「自由軒」であって、このカレーを知る
者はすべて、「自由軒」といえば即座に千日前にある「創業明治43年の老舗『自
由軒』」(すなわち被告の「自由軒」)を思い浮かべるのである。そして、被告の
「自由軒」は、大阪の観光案内、食文化の記事等に、大阪を代表する店として広く
紹介されている。
  (3) 原告による「自由軒」との商品等表示や、別紙目録Ⅰ(1)ないし(9)、
Ⅱ(1)ないし(9)の標章や表示、更には原告の商号の使用により、原告の営業につい
て被告の営業との混同が生じている。
 3 被告がその営業に「自由軒」の営業表示を使用する行為は不正競争防止法2
条1項1号の不正競争に該当するか(争点(2)、(3)関係)
  〔原告の主張〕
  (1) 上記2の〔原告の主張〕(2)のとおり、「自由軒」の商品等表示は原告の
商品等表示として周知性を得ている。
  (2) そして、被告による「自由軒」との商品等表示により、被告の営業につい
て原告の営業との混同が生じている。
  〔被告の主張〕
  (1) 上記2の〔被告の主張〕(2)のとおり、「自由軒」の商品等表示は被告の
商品等表示として周知性を得ているのであって、原告の商品等表示として周知とな
っているものではない。船場に所在する原告の「本町自由軒」(あるいは「船場自
由軒」「せんば自由軒」)を取り上げているグルメ記事は皆無といってよいほどで
あり(原告の「本町自由軒」を取り上げている記事は、原告の詐欺的宣伝によっ
て、原告の「本町自由軒」を「創業明治43年の『自由軒』」と誤認し、被告「自
由軒」として取り上げているものである。)、近隣の者やたまたま「本町自由軒」
で食事をした者を除けば、原告「本町自由軒」を知る者はほとんどいない。
  (2) 原告主張の混同の事実は否認する。
 4 被告の営業上の利益を害されるおそれの有無及びレトルト食品等の廃棄請求
の必要性(争点(8)、(11)関係)
  〔被告の主張〕
   原告がその商品等表示に「自由軒」の表示を使用し、被告の営業との誤認混
同を生じさせることにより、被告が明治43年の創業以来守り続けてきた伝統と信
用が失墜するおそれがある。
  〔原告の主張〕
   被告は、店舗で洋食の提供のみを行っているところ、被告代表者(O)本人
尋問の結果によれば、被告の店舗には一日中客が絶えないほど繁盛しているという
のであるから、原告の行為によって営業上の利益を侵害されていないし、侵害され
るおそれもない。
   さらに、被告は、レトルト食品の販売について商品等表示の使用差止めを求
めているが、被告は、店舗で提供する飲食のほかには何ら製品を製造販売していな
いから、原告がレトルト食品等を販売することによって営業上の利益を侵害される
ことはない。
   レトルト食品等の廃棄請求については、廃棄請求が認められる範囲は、不正
競争行為の排除、停止、予防の目的にとって必要かつ十分な限度にとどめるべきで
あるから、その対象は、使用が禁止された表示が付された容器、包装紙等に及ぶに
すぎず、ラベルの張り替え等で容易に転用が可能なレトルト食品や冷凍食品の廃棄
が認められる理由はない。特に、原告の販売するレトルト食品の気密性容器表面に
は、「自由軒」等の印刷はないから、廃棄を求められる余地はない。
 5 原告の商号使用及びドメイン名の取得・使用における不正競争等の目的の有
無(争点(9)、(10)関係)
  〔被告の主張〕
  (1) 原告は、上記2の〔被告の主張〕(1)のとおり、「本町自由軒」との名称
を用いる条件で被告からの独立を許されたにもかかわらず、あえて単なる「自由
軒」との名称を用いて、洋食店の営業並びにレトルト食品及び冷凍食品等の製造販
売をしており、現に、これによって、その商品等表示が全国的に周知である被告の
営業との混同が生じている。
    このような事情に照らせば、原告が商号として被告と同一の「株式会社自
由軒」との商号を用いることは、商法20条1項及び21条1項にいう「不正(の
競争)の目的」をもってするものというべきである。
  (2) また、原告がインターネットのドメイン名「jiyuuken.co.j
p」を使用する権利を取得し、これを利用してホームページを開設する等すること
は、被告の営業表示である「自由軒」と同じ発音になる「jiyuuken」を含
むドメイン名を使用して被告の営業と誤認混同を生じさせる意図が明らかであり、
不正競争防止法2条1項12号にいう「不正の利益を得る目的」又は「他人に損害
を加える目的」が存在する。
  〔原告の主張〕
   否認ないし争う。
 6 被告の差止請求に対する適用除外事由の有無(争点(12)関係)
  〔原告の主張〕
   原告は、上記2の〔原告の主張〕(1)のとおり、被告が設立される前から存在
していた合名会社自由軒からその商品等表示に係る業務を承継したものであるか
ら、不正競争防止法12条1項3号により、同法3条は適用されない。
  〔被告の主張〕
   争う。
 7 信義則違反(争点(13)関係)
  〔原告の主張〕
   被告は、原告が「自由軒」の表示を用いて営業してきたことを長年認識し、
これを容認してきた。それにもかかわらず、突如として原告の取引先への本件警告
書の送付や、本件第2事件の訴えの提起に至ったものであるところ、このような被
告の行為は、信義則に反するものである。
  〔被告の主張〕
   否認ないし争う。被告において、原告が単なる「自由軒」の表示を用いて営
業していることを知ったのは、最近のことである。
 8 原告の損害額(争点(4)関係)
  〔原告の主張〕
   原告は、その製品を複数の百貨店等に販売していたところ、被告が前記「前
提となる事実」(4)記載の本件警告書を原告の取引先である百貨店等に送付した結
果、平成15年2月までに、次の百貨店等6社から取引を停止され、これにより、
これらの取引先に対する売上を失った。
    ① 高島屋     6,510,734円
    ② 伊勢丹     4,829,892円
    ③ 三越        551,008円
    ④ JR西日本商事 3,145,969円
    ⑤ 京阪百貨店     706,356円
    ⑥ 丸広百貨店   1,111,800円
   ところで、平成14年2月から8月までのこれら6社に対する原告の売上高
は、それぞれ上記のとおりで、合計1685万5759円である。また、平成14
年度において、原告の純売上高に対する売上総利益の割合は約75パーセントであ
った。
   以上によれば、平成15年2月までに上記6社から取引を停止されたことに
より、原告が失った利益は、1264万1819円と推定し得るものであり、原告
は同額の損害を被ったといえる。
  〔被告の主張〕
   原告主張の取引停止の事実は不知。その余は否認ないし争う。
第4 当裁判所の判断
 1 被告による訴えの追加的変更(請求の趣旨第6項)の適否(争点(5))につい

  (1) 原告は、被告による第2事件の請求の趣旨第6項の追加が、①請求の基礎
を変更する、②著しく訴訟手続を遅滞させる点で、訴えの変更の要件を欠く、仮に
そうでないとしても、訴訟の遅延という不当な目的による訴えの変更は許されない
旨を主張する。
    しかし、①被告による本件第2事件の訴え提起時の請求の趣旨は、原告の
営業につき、「自由軒」の表示の使用差止めを基本的内容とするものであったとこ
ろ、被告による請求の趣旨第6項は、「自由軒」の表示が付された原告製品(レト
ルト食品等)の廃棄を求めるものであり、請求の基礎を同じくするものであること
は明らかである。②また、被告の請求の趣旨第6項を追加した
平成15年12月15日付訴えの変更申立書が陳述された第5回口頭弁論期日にお
いて、更に期日を重ねることなく、直ちに口頭弁論を終結したものであるから、上
記訴えの変更によって著しく訴訟手続を遅滞させることにならないことは明らかで
ある。③さらに、本件全証拠によっても、被告による請求の趣旨第6
項の追加が、訴訟遅延の目的に出たものということはできない。
    以上のとおりであるから、被告による第2事件の請求の趣旨第6項の追加
的変更を却下すべきであるとする原告の主張は、理由がない。
 2 各争点を判断する前提として、合名会社自由軒と原・被告の関係について検
討する。
  (1) 前記「前提となる事実」と後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、原・被
告の設立経過等に関して、以下の各事実を認めることができる。
   ア 明治43年、大阪市千日前において、Dにより、洋食店「自由軒」が創
業された。この場所は、現在被告が営業している「自由軒」の店舗と同じ場所であ
り、大阪ミナミの繁華街の中にある。
   イ 大正15年7月、合名会社自由軒が設立された。その設立当初の代表社
員はDであった。Dを中心とする家族関係、相続関係は、別紙「家族関係図」のと
おりであり、Dとその先妻Eの間の子らと、Dとその後妻Fとの間の子らとの2グ
ループに分かれる。
     Dが創業した洋食店「自由軒」の営業は、そのころ、合名会社自由軒に
承継された。
   ウ 昭和17年、Dが死亡した(乙第54号証)。
     Dの死亡に伴い、その家督はDの孫(Gの長男)であるKが相続した
(乙第54号証)。
     また、合名会社自由軒の代表社員にはH(DとEの間の二男)が就任し
た(甲第5号証の1・乙第3号証の2)。
   エ 合名会社自由軒が営業していた洋食店「自由軒」は、第2次世界大戦の
戦災によって店舗建物が焼失したが、昭和22年、現在被告が洋食店を営業してい
る地に再建された(甲第4号証、乙第33号証の1、第72号証)。
     洋食店「自由軒」では、創業当初から、大衆向けのハイカラな洋食屋と
して評判を呼んだが、ことに、カレーと飯をあらかじめ混ぜ合わせておき、中央に
くぼみを作って生卵を落とすライスカレーが、「名物カレー」、「インディアンカ
レー」、「混ぜカレー」等と呼ばれて、特に有名であった。また、大阪出
身の小説家である織田作之助が昭和15年に発表した代表作「夫婦善哉」の中で、
登場人物が「自由軒」に行ってライスカレーを食べる場面があり、「自由軒のラ、
ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、まむしてあるよって、うまい」とい
う登場人物のせりふがあることでも、「自由軒」の名は知られていた(乙第2号証
の1・7、第45号証の1ないし28)。
   オ 昭和31年当時、合名会社自由軒が営業していた洋食店「自由軒」の運
営の中心を担っていたのは、Hであった(甲第21号証)。
   カ Jは、昭和31年、F(Dの後妻、Jの母)から合名会社自由軒の社員
持分を譲り受け、同社に入社したが、昭和40年に同社を退社した(甲第5号証の
1)。なお、Jが合名会社自由軒の営業に実質的に関与していたかどうかは、明ら
かでない。
   キ 昭和41年11月、被告が設立された。被告の設立当初の代表者はHで
あった。
   ク 昭和42年1月、現在被告が洋食店を営業している地で営業していた洋
食店「自由軒」の店舗が建て替えられた。建替後の建物は、被告名義で表示登記及
び所有権保存登記がされた。被告は、現在、この店舗で洋食店「自由軒」を営業し
ている(甲第4号証、乙第33号証の1、第51、第62号証)。
   ケ 昭和45年1月、それまで洋食店とは無関係の仕事をしていたJが中心
となって「本店」から独立して原告を設立し、「本町自由軒」として洋食店の営業
を開始した。その際には、被告の「自由軒」も開店に際して「祝開店 千日前自由
軒より 本町自由軒さん江」と記載した花輪を贈るなどの協力をしている(甲第
1、第10号証の2、第21号証、第105号証の1・2、第108号証、乙第2
8、第72号証)。
   コ 合名会社自由軒は、法人としては現在も登記簿上存続しているが、洋食
店の営業はしておらず、登記上の代表社員であるHも既に死亡している。
   サ(ア) 原告がその肩書地において営業している洋食店について、保健所の
営業許可は、平成7年5月31日までは「本町自由軒」として取得していたが、平
成8年4月17日以降は「自由軒」として取得している(乙第27号証の2)。
    (イ) 原告がその肩書地において営業している洋食店について、電話帳に
は、昭和61年度は「本町自由軒」として、平成元年度及び平成2年度は「本町自
由軒」及び「自由軒ヘットオフィス」として、平成3年度ないし平成7年度は「自
由軒・本町」及び「自由軒ヘットオフィス」として、平成8年度以降は「自由軒・
本町」及び「自由軒」として掲載されている(乙第41号証の2)。
    (ウ) 原告がその肩書地において営業している洋食店が入居しているビル
内の掲示板の案内図には、原告店舗の表示として、「本町自由軒」と記載されてい
る(乙第42号証の1・2)。
    (エ) 原告は、昭和62年ころから冷凍食品の、平成6年ころからレトル
ト食品の各製造販売を始めたが、その中には、包装や箱に、「うまいは本町自由
軒」との記載があるものがある(甲第30号証の3・4、第31号証の1・2、第
32、第68号証、乙第6号証の1ないし3)。
   シ 原告の現在の経営者は、Dとその後妻Fとの間の子孫であり、被告の現
在の経営者は、Dとその先妻Eとの間の子孫である。両者の間では、近時は、冠婚
葬祭での付き合い程度の親戚付き合いをしている。
    以上の事実が認められる。
  (2) 上記(1)ケにつき、原告は、その営業している洋食店は、「本店」との区
別をつけるために「本町自由軒」と表示したことはあるが、屋号としてはあくまで
単なる「自由軒」であると主張し、これに沿う証拠として、原告代表者本人尋問の
結果及び甲第68号証(原告代表者の陳述書)並びに甲第21号証(Pの陳述書)
がある。
    しかしながら、上記供述ないし陳述記載はいずれも客観的な裏付けを欠
き、かえって、甲第10号証の2(甲第108号証、乙第28号証も同一のパネル
の写真)によれば、原告の洋食店開店時から店内に掲示されている「織田作之助好
み 自由軒の名物 インデアンカレー由来」との表題のパネルには、「明治四十三
年の創業以来の伝統の味、玉子入り名物インデアンカレーを引っさげて当船場に本
町自由軒を開店させて戴きました」と記載されていることが認められ、単なる「自
由軒」ではなく「本町自由軒」を屋号として営業していたものと認めることができ
るから、原告の上記主張は採用することができない。
    したがって、原告の洋食店の営業は、上記(1)ケのとおり、「本町自由軒」
として開始されたものと認めるのが相当である。
  (3) そして、上記(1)サの各事実によれば、原告は、概ね平成7年ころまで
は、「本町自由軒」との屋号を主に用いて営業していたものの、平成8年ころか
ら、単なる「自由軒」の屋号を主に用いるようになったと認められる(原告が「自
由軒」の商標の登録出願をしたのは、上記「前提となる事実」(2)のとおり、平成1
0年4月である。)。
    この点につき、原告は、屋号としては単なる「自由軒」として営業してき
たと主張し、これに沿う証拠として、原告代表者本人尋問の結果及び前掲甲第2
1、第68号証がある。しかしながら、これらの証拠はいずれも客観的な裏付けを
欠き、他に上記認定を左右する証拠はないから、原告の上記主張は採用することが
できない。
  (4) そして、上記(1)の各事実によれば、合名会社自由軒の代表社員であり、
実際にも事業活動の中核を担っていたHが中心となって被告が設立され、その直後
に洋食店「自由軒」の店舗建物を建て替えた際には、被告名義で表示登記及び所有
権保存登記が行われ、現在では、合名会社自由軒は洋食店の営業をしていないので
あるから、洋食店「自由軒」の営業は、昭和41年11月の被告の設立に伴い、遅
くとも昭和42年1月の店舗建物の建て替えに伴って、合名会社自由軒から被告に
承継されたものと認めるのが相当である。そして、合名会社から株式会社への組織
変更が商法上なし得ないことをも考慮すれば、この、合名会社自由軒から被告への
営業譲渡は、実質的には、合名会社自由軒の株式会社への組織変更ともいうべきも
のであったということができ、合名会社自由軒と被告との関係は、実質的には同一
体ということができる。
    したがって、原告が昭和45年にJによって設立された時点では、既に、
洋食店「自由軒」の営業は合名会社自由軒から被告に承継されていたものであるか
ら、原告が独立する元となったのは、合名会社自由軒ではなく、被告であったとい
うべきである。
    この点につき、原告は、原告と被告は共に合名会社自由軒から独立したも
のであると主張する。
    しかしながら、上記のとおり、原告設立の約3年前に、合名会社自由軒は
その洋食店「自由軒」の営業を被告に承継させており、実質的には両者は同一体と
もいうべき関係にあるのであるから、被告が合名会社自由軒から独立したものとい
うことはできない。また、同じ理由によって、原告が独立する元となったのは合名
会社自由軒ではなく被告であったというべきである。
    また、被告設立後も、合名会社自由軒が存続していたことについても、乙
第70号証によれば、洋食店の店舗建替資金を借り入れるための技術的な要請から
解散しなかったにすぎないことがうかがわれ、その後に営業の実態がないことは既
に述べたとおりであるから、上記認定の妨げとなるものではない。
    したがって、原告の上記主張は採用することができない。
  (5) ところで、被告は、原告が独立した際には、「本町自由軒」との屋号を用
いるのが独立の条件であったと主張する。
    これに対して、原告は、その独立時に、「自由軒」の暖簾を継ぐことにつ
いて被告が同意していたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
    かえって、上記(1)ケのとおり、原告は「本町自由軒」として洋食店の営業
を開始したことが認められるところであり、その店舗が、被告の店舗と同じく大阪
市内に所在すること、原告店舗の開店時に被告は協力しており、被告から贈った花
輪にも「本町自由軒」との文言があることをも考慮すれば、むしろ、被告の店舗と
の区別のために、原告の営業する店舗の名称に「本町」の表示を付すことが、原・
被告間で了解されていたと推認するのが相当である。
  (6) 以上判示したとおり、原告は、合名会社自由軒から洋食店「自由軒」を承
継して営業していた被告から独立したものであるから、その独立元である被告に対
し、不正競争防止法2条1項1号に基づき、単なる「自由軒」を営業表示として用
いることの差止めを求めることが許されないのは当然である。したがって、原告の
第1事件の請求の趣旨第3項に係る請求は、その余の点につき判断するまでもな
く、理由がない。
 3 商品等表示の周知性と誤認混同のおそれ(争点(1)ないし(3)、(6)、(7))に
ついて
  (1) 原・被告の双方が洋食店を営業していること、「自由軒」の商品等表示が
全国的に周知のものであること自体は、当事者間に争いがない。そして、前記2で
認定したとおり、明治43年に創業された洋食店「自由軒」は、古くからハイカラ
な洋食店として評判を呼び、特に「名物カレー」、「インディアンカレー」等と呼
ばれたライスカレーは他に類を見ない洋食として有名であり、大阪出身の小説家織
田作之助の代表作「夫婦善哉」にも描写されていることでも、広く知られてきたと
ころ、大正時代以来、この洋食店「自由軒」を経営してきた合名会社自由軒の営業
は被告に承継されたものであるから、明治43年創業以来の「自由軒」の周知性も
被告が承継したものというべきである。
  (2) 更に証拠を検討すると(なお、乙第47号証〔枝番を含む〕は、甲第20
号証〔枝番を含む〕と重複するものであるから、省略する。)、原・被告いずれに
ついても、その営業や商品について、単なる「自由軒」として紹介されている新
聞、雑誌の記事や書籍、カタログや広告の記載が数多く存在することが認められる
(原告について甲第20号証の1ないし7・9・13・18、第42ないし第4
5、第48、第49号証の2ないし20、第50号証の1ないし3、第56、第6
5号証の1ないし4・7・10ないし13・15・19、乙第9号証の3、第22
号証の1、第35号証。被告について乙第2号証の1ないし13、第31、第32
号証の1ないし12、第40、第45号証の1・2・6ないし10・12ないし2
2・25ないし28、第46号証の1ないし11〔ただし、被告店舗を紹介するも
のの中には原告設立前のものもある。〕)。これらのうちの多くの紹介記事、カタ
ログ、広告等では、「大阪の名物カレー」、「明治43年以来の変わらぬ製法」、
「織田作之助の小説『夫婦善哉』に出てくる」等といった文句で、明治43年に創
業され、長く大阪の庶民に親しまれてきた伝統ある洋食店「自由軒」であることが
強調されている。
    他方、原告の店舗や商品については、単なる「自由軒」ではなく、「本町
自由軒」、「船場自由軒」ないし「せんば自由軒」として紹介されている雑誌等の
記事、カタログや広告の記載も存在することが認められる(甲第20号証の2・
8・10ないし12・14ないし17、第40、第47、第49号証の1、第5
1、第53、第55、第65号証の5・6・8・9・16・17、第107号証、
乙第8号証の1〔なお、ここでは被告の店舗を本店として紹介し、原告の店舗を
「本町自由軒」として紹介している。〕・2、第13、第43号証)(なお、これ
らのカタログ、広告の中には、原・被告間の本件紛争が発生してから、原告が意図
的に「せんば」等の表示を付しているものもあると推認される。)。
    これに対して、被告の店舗について、単なる「自由軒」ではなく、「千日
前自由軒」として紹介されているものは、乙第2号証の14(雑誌記事)があるの
みである(「明治43年創業の混ぜカレーの元祖『千日前・自由軒』」として紹介
されている。)。これに関しては、被告代表者(O)本人尋問の結果によれば、被
告の千日前の本店以外の唯一の店舗である大阪・天保山マーケットプレース内の
「なにわ食いしんぼ横丁」の店舗については、先に同一会社が企画した横浜の「横
浜カレーミュージアム」に原告が「せんば自由軒」を出店していたことから、これ
と区別する意味で「千日前自由軒」としたことが認められる(もっとも、それにも
かかわらず、乙第2号証の12・13によれば、「なにわ食いしんぼ横丁」のオー
プンを紹介する新聞記事では、被告の店舗は単に「自由軒」の名称で紹介されてい
ることが認められる。)。
    さらに、甲第65号証の14(百貨店の広告)によれば、函館の百貨店棒
二森屋での催事の広告において、原告が出店しているのに、「老舗の大阪流名物カ
レー 千日前自由軒」として紹介されたことがあることが認められる(なお、原告
代表者は、その陳述書〔甲第68号証〕において、「当該百貨店は北海道であり、
そもそも当該地域の顧客が、被告『千日前自由軒』と知っているはずもなく」と述
べるが、このような供述は根拠のない原告代表者の勝手な思い込みにすぎな
い。)。また、乙第10号証(ファミリーマートのカタログ)によれば、原告につ
いて、「千日前で創業・現在は本店を船場に移し営業している」と事実に反する紹
介がされたことがあることが認められる。加えて、甲第20号証の4(雑誌「ドマ
ーニ」の記事)と乙第40号証(東海林さだお著「スイカの丸かじり」)によれ
ば、甲第20号証の4の記事は、原告の店舗を紹介するものとして、実際には被告
の店舗を紹介した乙第40号証の文章を引用していることが認められる。さらに、
検甲第2号証及び検乙第1号証(いずれも同一のテレビ番組を録画したもの)によ
れば、原告代表者が「自由軒」の紹介としてテレビ番組「笑っていいとも」に出演
した際、他の出演者から被告の役員ないし従業員が来たものと誤解され、原告代表
者が「せんば自由軒から来ました。」と応答していることが認められる。
  (3) 上記(1)、(2)の事実に照らせば、単なる「自由軒」の商品等表示は、被告
の営業表示として需要者の間に周知であると認めることができ、逆に、原告の商品
等表示として周知であるとは認められない。
  (4) そして、上記(2)のとおり、原告の営業を被告と混同する紹介や、原告に
ついての紹介の中で、原告が被告から独立する以前の由来や、創業が明治43年で
ある旨をも紹介をするものがあることに照らせば、原告が単なる「自由軒」との商
品等表示や、別紙目録Ⅰ(1)ないし(9)、別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)の標章や表示、更
には原告の商号を使用することにより、需要者において、原告の営業について被告
の営業との混同が生じるおそれがあるというべきことは明らかであり、現実にも、
上記(2)で認定したとおり、これらの混同が生じていることが認められる(なお、こ
れらの中には、単なる「自由軒」ではなく、「せんば」の文字が付されているもの
も存在するが、これによって被告の営業との混同を防止するには足りないことは、
後記(5)のとおりである。)。
    なお、原告は、原告のレトルト食品等の販売は、被告の店舗における洋食
の提供とは業態が異なるから、混同を生じ得ないと主張するが、原告が販売してい
るレトルト食品や冷凍食品も、カレールウやハヤシソースといった、形態こそ違う
けれども、その内容物は洋食店でも提供され得るものであるものであることに照ら
せば、被告の営業との混同が生じるおそれがあるということができる。
    原告は、被告は2店舗で洋食の提供をするにとどまるのに対し、原告の商
品は全国的に広く流通するものであることをも混同が生じ得ない理由とするが、上
記認定のとおり、「自由軒」との商品等表示は、被告のものとして全国的に周知な
のであるから、原告主張の事情は、原告の営業を被告の営業と混同するおそれが生
じることを妨げるものではない。
    さらに、原告は、その営業に際して、「自由軒」の表示と共に、「本町」
や「せんば」の文字を小さく添えていることをも主張する。確かに、「自由軒」の
表示と共に、「本町」や「せんば」の文字を添えることで、被告の営業との混同を
防止することができるものと認めることはできるが、これらの文字を小さく添える
ことによっては、混同の防止のために十分なものとはいえない(その詳細は後記(5)
のとおりである。)。
    したがって、原告による上記の表示や商号の使用は、不正競争防止法2条
1項1号に該当する行為であるというべきである。
  (5) もっとも、前記2で認定したとおり、原告は、当初は「本町自由軒」との
商品等表示を用いて、被告から独立したものであり、原告が「本町自由軒」との表
示を用いるについては被告が許諾したものである。また、原告が「せんば自由軒」
ないし「船場自由軒」との表示を用いることについても、被告の営業と区別できる
という意味では、被告の許諾の範囲内と解することができる。
    ただし、原告の営業と被告の営業との混同を防止するためには、少なくと
も、前記各表示中の「本町」又は「せんば」もしくは「船場」の表示部分は、「自
由軒」の表示部分に比して、その字の縦横双方の大きさ及び字の太さのそれぞれに
おいて、同等程度、少なくとも70パーセント以上の比重を有することが必要であ
ると認めるのが相当であり、これを満たさない表示は、混同を防止するに足りない
といわざるを得ない。
    別紙目録Ⅰ(1)ないし(9)及び別紙目録Ⅱ(6)ないし(9)記載の表示は、いず
れも単なる「自由軒」に加えて「せんば」との文字が表示されているものである
が、その字の大きさにおいて「自由軒」の表示部分に比べてはるかに小さく、「自
由軒」の表示部分の70パーセント以上の比重を有するものでないことが明らかで
あるから、原告の営業と被告の営業との混同を防止するに足りるものとはいえな
い。
  (6) 以上判示したところによれば、原告が単なる「自由軒」との表示をもっ
て、製品の製造、販売をする行為は、不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該
当するというべきであるから、この旨を需要者や取引関係者に陳述又は流布するこ
とや、同趣旨の警告書を原告の取引先に送付することは、同法2条1項14号所定
の「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布す
る」行為には該当しない。よって、原告の第1事件の請求の趣旨第1項及び第2項
に係る請求は、その余の点につき判断するまでもなく、理由がない。
    また、以上判示したとおり、単なる「自由軒」との商品等表示は、原告の
商品等表示として周知のものとはいえないから、原告の請求の趣旨第3項に係る請
求は、この点からも理由がない。
 4 営業上の利益を害するおそれ及びレトルト食品等の廃棄請求の必要性(争
点(8)、(11))について
  (1) これまで認定したとおり、原告による「自由軒」との商品等表示や別紙目
録Ⅰ(1)ないし(9)及び別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)の表示を付した商品は、被告の営業
ないし商品と混同を生じさせるおそれがあるものである。
    そして、原告と被告が共に洋食店を営業しており、原告が販売しているレ
トルト食品や冷凍食品も、カレールウやハヤシソースといった、形態こそ違うが、
その内容物は洋食店でも提供され得るものであるものであることに照らせば、原告
による上記商品等表示の使用や上記表示を付した商品の販売によって、被告が営業
上の利益を侵害されるおそれがあるというべきである。
  (2) なお、被告は、原告に対し、「洋食店の営業」についての商品等表示の使
用差止めを請求しているところ、「洋食店の営業」という行為の特定は、社会通念
上十分に明確であるというべきであり、その中核は洋食の提供や製品の販売行為で
あることは自ずから明らかであるから、請求の特定性に問題はない。
    原告は、被告の営業は好調だというのであるから、原告によって営業上の
利益を侵害されていないし、原告が30年以上にわたって「自由軒」の標章をもっ
て営業してきたことからしても、被告の営業上の利益が侵害されるおそれもないと
主張する。
    しかしながら、被告の営業が好調であることや、原告が多年にわたって
「自由軒」の標章をもって営業してきたことと、被告の営業上の利益が侵害される
か否かとは関係がないから、原告の上記主張は採用の限りでない。
    さらに、原告は、被告は店舗で飲食物を提供するほかに製品を製造販売し
ていないから、原告によるレトルト食品及び冷凍食品の販売によって、営業上の利
益を侵害されることも、そのおそれもないと主張する。
    しかしながら、上記のとおり、原告が販売しているレトルト食品及び冷凍
食品とは、カレールウやハヤシソースといったものであるところ、これは被告が店
舗で提供している飲食物と同一ないし類似する種類のものであり、提供形態が異な
るとはいえ、いわば競合関係にあるというべきものであるから、原告による上記商
品の販売によって、被告の営業上の利益が侵害されるおそれは優に認めることがで
きる。したがって、原告の上記主張も採用することができない。
  (3) 進んで、被告の第2事件の請求の趣旨第6項に係る請求(廃棄請求)の当
否について検討するに、同請求は、被告の請求の趣旨第5項に係る差止請求に際
し、侵害の行為を組成する物の廃棄を求めるものと解される。
    この点につき、原告は、廃棄請求の対象は、使用が禁止された表示が付さ
れた容器、包装紙等に及ぶにすぎず、ラベルの張り替え等で容易に転用が可能なレ
トルト食品や冷凍食品の廃棄が認められる理由はないと主張する。
    しかしながら、既に容器に充填されたレトルト食品や、袋詰めや箱詰め、
あるいは包装等が施されたレトルト食品ないし冷凍食品は、これらの容器、袋、
箱、包装紙等と一体となって、侵害行為を組成する物となるというべきであるし、
ラベルの張り替えについても、現にラベルが張り替えられていないものは、なお侵
害のおそれを有するものであるから、廃棄の対象とすべきである。したがって、原
告の上記主張は採用することができない。
    なお、原告は、その販売するレトルト食品の気密性容器表面には、「自由
軒」等の印刷はないから、廃棄を求められる余地はないと主張するが、仮に、容
器、袋、箱、包装紙等を含めて、別紙目録Ⅱ(1)ないし(9)の表示がないレトルト食
品があったとしても、それは被告の請求の対象となっていないというにすぎない。
  (4) なお、被告の請求の趣旨第5項及び第6項にかかる商品等表示には、「自
由軒」(「せんば」の文字が付されているものも含む。以下同じ。)と共に「創業
明治四十三年」との表示も含まれている。このうち、「創業明治四十三年」の表示
の部分は、営業の由来に関する事実を表すにすぎず、不正競争防止法2条1項1号
にいう営業等表示に該当するものとは解しがたい。しかしながら、被告は、請求の
趣旨に「自由軒」との表示と共に「創業明治四十三年」との表示を加えることによ
って、差止請求及び廃棄請求の対象を自ら限定したものと解することができるか
ら、判決によって差止め及び廃棄を命ずるにおいても、「創業明治四十三年」との
表示部分を除外することは相当ではない。
 5 不正競争等の目的(争点(9)、(10))について
  (1) 商法20条1項、21条1項にいう「不正(の競争)の目的」について
    商法20条1項にいう「不正の競争の目的」とは、自己の営業を既に登記
されている商号権者の営業と誤認混同させ、当該商号の有する信用ないし経済的価
値を自己の営業に利用しようとする意図をいい、同法21条1項にいう「不正の目
的」とは、他人の営業を表示する名称を自己の営業に使用することで、自己の営業
をその他人の営業と誤認混同させようとする意図をいうものと解すべきである。
    しかして、前記「前提となる事実」のとおり、原告が「株式会社自由軒」
を商号として設立される以前に、被告が「株式会社自由軒」を商号として設立され
ている。
    ところで、前記3で判示したとおり、「株式会社自由軒」という原・被告
の商号の中核をなしている「自由軒」との商品等表示は、被告のものとして全国的
に周知であると認められるところ、このことについて、被告から独立して大阪市内
等で営業している原告が善意であるとは考えがたい。
    そして、これも前記3で判示したとおり、原告が「株式会社自由軒」との
商号を使用することによって、同一の商号を使用している被告の営業との混同が生
じていると認められるところ、これも、同一の商号を用いて同名の洋食店の営業を
行い、あるいはレトルト食品や冷凍食品の販売という、いわば洋食店営業に隣接す
る営業を行えば、混同が生じるおそれが高いことは、原告においても容易に予見す
ることができたといわざるを得ない。
    そうすると、原告が、洋食店の営業及びレトルト食品ないし冷凍食品の販
売に、被告と同一の「株式会社自由軒」という商号を用いるについては、原告の営
業を被告の営業と誤認混同させ、被告の商品等表示ひいてはその商号が有する周知
性という信用ないし経済的価値を原告の営業に利用する意図があったものと認める
べきであり、すなわち、商法20条1項にいう「不正の競争の目的」及び同法21
条1項にいう「不正の目的」があるものと認めることができる。
  (2) 不正競争防止法2条1項12号にいう「不正の利益を得る目的」又は「他
人に損害を加える目的」について
    不正競争防止法2条1項12号にいう「不正の利益を得る目的」とは、公
序良俗に反する態様で、自己の利益を不当に図る目的をいい、「他人に損害を与え
る目的」とは、他人に対して財産上の損害や信用失墜などの有形無形の損害を加え
る目的を指すと解すべきである。
    ところで、前記3で判示したとおり、「自由軒」との商品等表示は、被告
のものとして全国的に周知であると認められるところ、このことについて、被告か
ら独立して大阪市内等で営業している原告が善意であるとは考えがたい。
    そして、これも前記3で判示したとおり、原告が単なる「自由軒」との商
品等表示を使用することによって、同名の商品等表示を使用している被告の営業と
の混同が生じていると認められるが、これも、同名の商品等表示を用いて洋食店と
いう同種の営業を行い、あるいはレトルト食品や冷凍食品の販売という、いわば洋
食店営業に隣接する営業を行えば、混同が生じるおそれが高いことは、原告におい
ても容易に予見することができたといわざるを得ない。
    そうすると、原告が、「自由軒」をローマ字表記した「jiyuuke
n」を中心とした、「jiyuuken.co.jp」というインターネットのド
メイン名を使用する権利を取得し、これを利用してホームページを開設したりする
行為は、「自由軒」という被告の商品等表示の周知性に乗じて利益を上げる目的が
あったものと推認することができるから、不正競争防止法2条1項12号にいう
「不正の利益を得る目的」があるものというべきである。
 6 不正競争防止法の適用除外事由(争点(12))について
   原告は、不正競争防止法3条に基づく被告の差止請求に対し、同法12条1
項3号による適用除外を主張する。
   しかしながら、前記2で判示したとおり、原告は被告から独立したものであ
るから、そもそも上記適用除外規定の適用の基礎を欠くいうべきである。
   しかも、前記5(2)で判示したのと同様に、原告が「自由軒」との商品等表示
や商号を用いるについては、不正の利益を得る目的があったものと認めることがで
きるから、同号にいう「不正の目的」があったものということができる。
   以上のとおりであるから、いずれにしても、原告の当該主張は採用すること
ができない。
 7 信義則違反(争点(13))について
   原告は、被告が、原告が「自由軒」の表示を用いて営業してきたことを長年
認識し、これを容認してきたにもかかわらず、突如として原告の取引先への警告書
の送付や、本件第2事件の訴えの提起に至ったのは、信義則に反すると主張する。
   しかしながら、上記2で判示したとおり、原告設立時には、被告との間で、
被告の店舗との区別のために、原告の営業する店舗の名称に「本町」の表示を付す
ことが了解されていたと認められるところ、原告は、概ね平成7年ころまでは、
「本町自由軒」との屋号を主に用いて営業していたものの、平成8年ころから、単
なる「自由軒」の屋号を主に用いるようになったと認められるのであるから、被告
において、原告が主張するほど長期間にわたって原告のそのような行為を認識し、
容認してきたということはできない。したがって、その後に、原告が単なる「自由
軒」の屋号を主に用いるようになったことを知り、平成15年1月以降、原告の取
引先等に警告書を送付したり、第2事件の訴えを提起したことをもって、信義則に
反するものということはできない。
   よって、原告の上記主張は採用することができない。
 8 結論
   以上のとおりであるから、その余の点について判断するまでもなく、原告の
第1事件の請求は、いずれも理由がなく、被告の第2事件の請求はいずれも理由が
ある。なお、仮執行宣言は、相当でないからこれを付さないことにする。
   よって、主文のとおり判決する。
      大阪地方裁判所第21民事部
          裁判長裁判官   小  松  一  雄
             裁判官   田  中  秀  幸
             裁判官   守  山  修  生
(別紙)
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