弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
本件各訴をいずれも却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
一 原告は、
「原告に対し、
1 被告大阪法務局泉出張所登記官は、昭和四九年三月一四日受付第六〇三五号、
第六〇三九号に基づく更正登記を取消し、和泉市<地名略>第23号の6、5、
4、15、16、17、18、第49号の3、4、5、6、7、第47号の8、
9、10、11、12、第48号の3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2につき不動産登記法一五四条、一五六条による登記をなせ。
2 被告大阪法務局吹田出張所登記官は、中原建設株式会社申請による昭和四五年
九月二四日受付第一八三四五号により、吹田市<地名略>、雑種地九一七平方メー
トルを八五二一平方メートルに増歩した更正登記を取消し、右土地(その後の分筆
を含む)及び吹田市<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略
>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、同市<地名略>につき不
動産登記法一五四条、一五六条による登記をなせ。
3 被告大阪法務局長は、昭和四五年五月二九日付裁決を取消せ。」
との判決を求め、次のとおり述べた。
1 被告大阪法務局泉出張所登記官は、株式会社オオバの申請による昭和四九年三
月一四日受付第六〇三五号、第六〇三九号により地積更正登記をした。
右地積更正登記は、同被告が地積を誤つてなしたもので実体に反しており、右更正
登記の申請はトキワ林業株式会社の委任状を悪用してなされ、また登記申請書には
土地の表示として地目、地積の表示がなく、三〇〇分の一乃至五〇〇分の一の図面
を添付しなければならないのに二〇、〇〇〇分の一の図面を添付するなどの不備が
あつた。
よつて右更正登記は違法である。
原告は右更正登記によりその所有にかかる和泉市<地名略>山林二、三〇〇平方メ
ートル(実測一一、五〇〇平方メートル)につき、実測一一、五〇〇平方メートル
から四、四八〇平方メートルを差引いた七、〇二〇平方メートルを侵奪された。
原告は、右被告大阪法務局泉出張所登記官の処分につき、昭和五〇年七月二八日被
告大阪法務局長に対し審査請求をした。
2 被告大阪法務局吹田出張所登記官は、中原建設株式会社の申請により昭和四五
年九月二四日受付第一八三四五号により、
吹田市<地名略>雑種地九一七平方メートルを八五二一平方メートルに増歩する地
積更正登記をした。
右更正登記は実体に反しており違法である。
原告は右更正登記によりその所有にかかる吹田市<地名略>乃至<地名略>、<地
名略>、<地名略>乃至<地名略>の土地を侵奪された。
原告は、右被告大阪法務局吹田出張所登記官の処分につき、昭和五一年夏、被告大
阪法務局長に対し審査請求をした。
3 被告大阪法務局長は、昭和四五年五月二九日裁決をした。
4 よつて原告は、前記の判決を求める。
二 被告ら指定代理人は「原告の被告大阪法務局泉出張所登記官及び被告同法務局
吹田出張所登記官に対する訴を却下する。原告の被告大阪法務局長に対する請求を
棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、次のとおり述べた。
1 地積更正登記の取消しを求める部分について
(1) 地積更正登記の行政処分性
抗告訴訟の対象となることのできる行政処分は、直接国民の権利義務を形成し、ま
たはその範囲を確定するなど法律上の効果を発生させるものでなければならない。
そして、一般に、登記官が不動産登記簿に所定の事項を記載することは、いわゆる
公証行為であるが、それによつて新たに国民の権利義務を形成し、あるいは権利義
務の範囲を確定する性質を有するものではない。
ところで、地積更正登記は、登記簿の表題部に記載された土地の表示(以下「表示
の登記」という。)のうち、地積に誤りがある場合にこれを訂正して正しい地積と
するために行なわれるものであるが、地積更正登記の対象となる一筆の土地の所
在・範囲は、実体上もともと客観的に定まつているものであり、地積更正登記によ
つて現地について新たに所在・範囲を決したり地積の増減をもたらすものではな
い。
したがつて、表示の登記を地積更正登記によりで訂正しても、それは土地の実体に
何らの消長を及ぼすものではなく、土地の所在・範囲は地積更正登記の前後を通じ
て全く変わるものではないのであつて、この場合、当該登記簿に登記されている権
利関係は、実体上定まつた所在・範囲の土地の権利関係として効力を有しているの
である。
以上のとおりであるから、原告が取消しを求める各地積更正登記は、これによつて
新たに国民の権利義務に法律上の効果を及ぼす行政処分ではなく、行政事件訴訟法
三条二項に所定の「処分」に該当しないから、
本件各地積更正登記の取消しを求める訴えは不適法である。
(2) さらに、不動産登記法(以下「法」という。)において、登記官のなした
登記の取消しを求める抗告訴訟を提起できるのは、法一四九条以下の趣旨に照ら
し、法四九条一号又は二号に該当する場合に限られるところ、同条二号の「事件カ
登記スヘキモノニ非サルトキ」とは、主として申請がその趣旨自体においてすでに
法律上許容できないことが明らかな場合をいうものであり、原告が取消しを求める
各地積更正登記が同条一号はもちろん二号にも該らないことは明白であるから、原
告の右訴えは不適法というべきである。
2 法一五四条二項及び一五六条の登記を求めることについて
(1) 原告が求める法一五四条一項及び一五六条の登記は、それぞれ一五四条二
項は附記登記、一五六条は仮登記であるが、附記登記、仮登記はいわゆる権利に関
する登記であつて、いずれも登記簿中甲区、乙区の事項欄に記載されるものである
(仮登記については法五四、五一、一六、附記登記については法一六、五二、五三
参照)。しかるに、原告が附記登記、仮登記を求めている地積更正登記は表示の登
記であるから、権利に関する登記である附記登記、仮登記を表示の登記にすること
は法律上認められず、このような行政庁の権限上不可能な行為を求めることは許さ
れない。
(2) 原告は、被告は法一五四条二項及び一五六条の登記をせよとの判決を求め
ているが、これは行政庁に対し行政処分を為すべきことを命ずる裁判を求めるもの
である。しかるに裁判所は、行政処分が違法であるかどうかの判断をなし得るに止
まるものであり、自ら行政庁に対して行政処分をなすことを命ずることは三権分立
の建前から許されないものと解されるから、この点に関する原告の訴えは失当であ
る。
3 出訴期間について
泉出張所登記宜に対する訴えは、行政事件訴訟法一四条一項の出訴期間を徒過して
提起されているものであるから不適法として却下を免れない。
すなわち、泉出張所登記官に対する地積更正登記申請はいずれも昭和四九年三月一
四日受付けられているものであるが、受付第六〇三九号の登記の申請人は原告が代
表取締役であるトキワ林業株式会社であるから、原告がその登記を知つたのは同日
(もし、これを知らないとしても次のとおり昭和五〇年七月二八日)というべきで
あり、また、受付第六〇三五号の登記について原告がその登記を知つたのは、おそ
くても原告がトキワ林業株式会社の代表取締役として大阪法務局長に対して審査請
求書を発した昭和五〇年七月二八日というべきである。
そうして、原告が被告に対して本件各登記の取消しを求める訴えを提起したのは、
はやくても大阪法務局長に対して訴えを提起した昭和五一年五月一七日であるから
明らかに出訴期間を徒過しているものといわなければならない。
4 被告大阪法務局長に対する請求について
裁決の取消しの訴えにおいては、原処分の違法を理由として取消しを求めることは
許されない(行訴法第一〇条第二項)ものであるところ、原告の理由とするところ
はすべて原処分の違法であるから、主張自体理由がなく棄却を免れない。
○ 理由
一 抗告訴訟の対象となる処分は、それにより国民の権利義務を形成し、あるいは
その範囲を確定するなどの法的効果を有するものでなければならない。ところで地
積更正登記は、登記簿の表題部に記載された地積が、客観的に定まつている当該土
地の地積と合致しない場合にこれを訂正するものであり、地積更正登記により当該
土地の権利関係、形状、範囲等が変更されるものでなく、又隣接地との境界、隣接
地の範囲等に変更が生じるものでもないから、当該土地の所有者はもとより隣接地
の所有者の権利義務に何らの影響を与えるものではない。したがつて地積更正登記
は抗告訴訟の対象となる処分には該当しない。
よつて本件各訴のうち被告大阪法務局泉出張所登記官、被告同法務局吹田出張所登
記官に対し地積更正登記の取消を求める部分は不適法である。
二 又原告は本件において被告大阪法務局泉出張所登記官、被告同法務局吹田出張
所登記官に対し、不動産登記法一五四条(二項と考えられる)及び一五六条による
登記手続を求めているが、裁判所は、行政庁がした行政処分が違法かどうかの判断
をなしうるにすぎず、行政庁に対し作為又は不作為を命ずることは三権分立の原則
からいつて司法権を逸脱することとなり、これをなし得ない。
よつて本件訴のうち前記各登記手続を求める部分は不適法である。
三 原告は、被告大阪法務局長に対し、裁決の取消を求めているが、当裁判所の再
三の釈明に対し、原告は取消の対象となる裁決の内容、違法事由等を明らかにしな
いので結局同被告に対する訴は不適法といわざるを得ない。
四 よつて原告の本件各訴をいずれも却下することとし、訴訟費用の負担につき行
政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 寺崎次郎)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛