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平成13年(行ケ)第342号 審決取消請求事件
平成14年10月31日口頭弁論終結
          判      決
   原   告    松下電工株式会社
   訴訟代理人弁理士 中川文貴,荒川伸夫,安藤淳二
   被   告    特許庁長官 太田信一郎
   指定代理人    小池正利,三原彰英,山口由木,林 栄二,高木 進
          主      文
    原告の請求を棄却する。
    訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 特許庁が不服2000-12103号事件について平成13年6月18日にした
審決を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
第2 前提となる事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 本願発明
  出願人     松下電工株式会社(原告)
  発明の名称   「往復式電気かみそり」
  出願番号    特願平2-255880号
  出願日     平成2年9月25日
 (2) 本件手続
  拒絶査定日   平成12年6月22日
  審判請求日   平成12年8月3日(不服2000-12103号)
  審決日     平成13年6月18日
  審決の結論   「本件審判の請求は,成り立たない。」
  審決謄本送達日 平成13年7月3日(原告に対し)
 2 本願発明の要旨
「独立して上下フロート自在となった二つの刃ヘッドが並設されるとともに,こ
れら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃が上下動自在に配設された電気か
みそりであって,上記両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略垂直な方向に向く
トリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置
決め保持する上下動機構を備えていることを特徴とする往復式電気かみそり。」
 3 審決の理由
 本件審決の理由は,【別紙1】の「審決の理由」に記載のとおりである。要する
に,本件出願の発明は,引用例1(特開昭55-86490号公報)及び引用例2
(特開昭63-206274号公報)記載の発明並びに従来周知の事項(例えば,
特開昭56-76978号公報に示されている事項)に基づいて当業者が容易に発
明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を
することができない,というものである。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
 原告が主張する審決取消事由の要点は,【別紙2】の平成13年10月18日付
け原告準備書面(1)の要点(ただし,平成13年11月14日付け原告準備書面
(2)による訂正後のもの)に記載されたとおりである。
第4 被告の主張の要点
 被告の主張の要点は,【別紙3】の平成13年12月14日付け被告準備書面
(第1回)の要点(ただし,原告の主張を引用する部分の一部を適宜省略したも
の)に記載されたとおりである。
第5 当裁判所の判断
 原告主張の審決取消事由は,2つに大別される。すなわち,引用例1と引用例2
の組み合わせ判断の誤りをいう取消事由1と,本願発明の顕著な作用効果の看過,
誤認をいう取消事由2である。以下,順次検討する。
 1 取消事由1(引用例1と引用例2の組み合わせ判断の誤り)について
 (1) 原告は,審決が認定した本願発明と引用例1記載の発明との相違点を,上
下フロート方向にほぼ垂直な方向に向くトリマー刃に関する相違点①と,トリマー
刃を両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部とほぼ同一位置に保持することに関する相
違点②に分割し,審決では,相違点②を引用例2によって埋めようとしているが,
本願発明と引用例2との間に存在する相違点③④を看過したことにより,本願発明
の進歩性の判断を誤った旨主張する。
 (2) 本願発明と引用例2との間に相違点③が存在することについては争いがな
い。
 原告は,引用例1にも引用例2にも本願発明における構成A(トリマー刃を両刃
ヘッドの非沈み込み時の頂上部とほぼ同一位置に突出して位置決め保持する上下動
機構)は記載されておらず,構成Aは2つのフロート刃と1つのトリマー刃とによ
る3点同時剃りという本願発明に固有の技術思想があってこそ設けられるものであ
り,該技術思想がない場合には,むしろ上下フロートする両刃ヘッドの頂上部の位
置とトリマー刃の突出位置を異ならせることが当業者の常識である旨主張する。
 (2-1) そこで,検討するに,甲第6号証によれば,引用例2には,次の記載
があることが認められる。
 ・ 「かみそり本体における本体刃の下方位置から上方位置に亘り段階的にスラ
イドするトリマー刃を備えた電気かみそりにおいて,このトリマー刃と前記本体刃
とが略面一状態となる範囲内においてさらに複数の位置でトリマー刃を固定するト
リマー刃微調整手段を備えたことを特徴とする電気かみそり。」(特許請求の範囲
第1項)
・ 「一般に,長いひげを剃る場合,通常の電気かみそりに設けられているネッ
ト刃だけで剃り落とすのは難しいため,このようなネット刃とともにトリマー刃を
付設し,このトリマー刃と前記ネット刃とを略面一状態にして髭を剃るようにした
ものが従来から提供されている。・・・・トリマー刃102はネット刃103と略
面一状態となる位置にあり,このトリマー刃102とネット刃103を同時に使用
しながらひげを剃るようにしている。」(1頁右欄)
これらによれば,本体刃が一枚の固定刃ではあるが,トリマー刃と本体刃とが協
働して髭を剃るために,トリマー刃を本体刃の頂上部とほぼ同一位置に位置決めす
る上下動機構を備えた電気かみそりが開示されているものと認められる。
 (2-2) また,甲第7号証によれば,特開昭56-76978号公報(審決で
周知例とされているもの)に次の記載があることが認められる。
・ 「10はトリマーブロックで,板状をなすトリマーの基台11を本体1の腹
部の凹部1aに滑動自在に収容している。凹部1aの両側縁にはスライド溝1bを
形成している。また,基台11の腹部には操作凸部11aを突設し,先端縁には切
刃11bを装備している。切刃11bは略c型状(判決注「逆L字型状」)をなして
外側に向けて突設され,その切刃11bの下面に摺接する可動刃11aは横方向に
往復駆動されるよう駆動子12を介して駆動桿4に連結している。」(2頁左上
欄)
・ 「また,位置決め凹部15bに嵌合した際は,切刃11bは外刃8の近傍に
位置し,主刃とトリマーの切刃11bとは協働作用をなす。即ち,第3図に示すよ
うにトリマーの切刃11bで長い毛やクセ毛を剃り,残った短いヒゲを剃る。本発
明の電気カミソリは上記したように,半円筒状の外刃の内面に円弧状の内刃を往復
駆動するようにした短ヒゲ剃り用の主刃を本体の上端に傾斜して装備し,該外刃の
頂部を突出する側の本体の腹部にトリマーブロックを上下方向滑動自在に装備し,
トリマーの基台の下端から突設した弾性片の外面に形成した凸部を本体の基台滑動
凹部の両側縁に並設した位置決め部に順次嵌合して,外刃の上方に切刃を突出した
トリマー単独作用状態と,外刃に近接して切刃を位置した協働作用状態と,外刃の
下方に切刃を位置した主刃単独作用状態とに位置決めするようにして成るから,単
にトリマー基台を滑動するのみでトリマーの切刃を容易に本体の主刃に近接又は離
反させることができ,かつ,その位置は凸部を位置決め部に嵌合するのみで,位置
を保持できる効果がある。」(2頁右上欄~左下欄)
これらによれば,やはり本体刃が一枚の固定刃ではあるが,切刃が外側に向けて
突設されたトリマー刃と本体刃とを協働作用させて長い毛やクセ毛及び残った短い
ヒゲを剃るために,トリマー刃を本体刃の頂上部に近接して位置決めする上下動機
構を備えた電気カミソリが記載されている。
 (2-3) 以上のとおり,固定刃を使用した電気かみそりにおいて,長いひげを
剃る場合,トリマー刃を上下動可能に付設し,トリマー刃とネット刃とをほぼ面一
状態となる位置として協働作用させることは,トリマー刃が上向きか外向きかに関
係なく,本件出願前に周知の事項であったとするのが相当である。
 (2-4) 一方,甲第5号証によれば,引用例1には,次の記載があることが認
められる。
「シェーバには長い毛を切断するトリマーを設けることが好適である。第1
図の30にトリマーガード部材が示され,関連カッターは任意好適な方法で駆動機
構に結合する。」(4頁右下欄~5頁左上欄)
これによれば,第1図には,独立して上下浮遊自在に並設された二つの切断ユニ
ット6のうちの一方に近接してトリマー刃が配設されることが示されている。
 上記のとおり,切断ユニットが独立して上下浮遊自在のものであっても,長いひ
げを剃るには切断ユニット以外にトリマー刃が必要であると解されるから,当業者
であれば,引用例1記載の発明においても,長いひげを剃る場合には,上記従来周
知の事項であるトリマー刃とネット刃との2点同時剃りの技術を,二つの切断ユニ
ットとトリマー刃の組合わせに適用して3点同時剃りとし,トリマー刃と二つの切
断ユニットとを協働作用させるために,トリマー刃を上下動可能とし,二つの切断
ユニットとほぼ面一状態となる位置に位置決めすることは,容易に想到し得るもの
と認められる。
 (2-5) なお,前判示のように,従来周知の事項を引用例1記載の発明に適
用することは当業者が容易に想到し得ることであり,従来周知の事項を二つの切断
ユニットとトリマー刃の組み合わせである引用例1記載の発明に適用すれば,3点
同時剃りの技術思想に到達することは明らかである。また,従来周知の事項を引用
例1記載の発明に適用することは,3点同時剃りを可能にすることに相当するか
ら,トリマー刃の位置は,二つの切断ユニットが切断作用をしていない状態にある
非沈み込み時の頂上部とほぼ同一位置に位置決めされることになるものと解され
る。そして,上記説示の点において,引用例2は従来周知の事項を構成するもので
あるから,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用すれば,本願発明の構
成Aは容易に想到することができるものである。
そうすると,3点同時剃りの技術思想の点,前記従来周知の事項を引用例1記載
の発明に適用する動機づけの点,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用
した場合のトリマー刃の位置の点などの問題にかんがみても,上記判断を覆すに足
りるものとは認められない。
 (3) 原告は,また,引用例1と引用例2とを組み合わせた上で構成Aを採用し
たとしても,両刃ヘッドが沈み込んだときにトリマー刃が肌を傷める恐れがあり,
当業者があえてそのような危険な構成を採用するとは到底考えられない旨主張す
る。
 原告の主張は,トリマー刃として引用例2に記載された上向きの刃を有するもの
をそのまま適用した場合の危険性を指摘するものであるが,被告はこれに対して,
引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用する際,引用例2の図面に示され
ているトリマー刃6を採用するのではなく,従来周知の外方向に向けて設けられた
トリマー刃を採用するものである旨主張するので,これに関する審決の判断を検討
する。
 (3-1) 本件審決(甲1)は,相違点として,
「本件出願の発明では,トリマー刃が上下動自在に配設されていて,両刃ヘ
ッドの上下フロート方向に対して略垂直な方向に向くトリマー刃を上記両刃ヘッド
の非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備
えているのに対して,引用例1記載の発明では,トリマー刃がそのようになってい
ない点。」
と認定した上,相違点の判断として,次のように説示した。
「引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用して,そのトリマー刃を
両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下
動機構を備えて上下動自在に配設することは当業者が容易に想到しうるところであ
る。
   本件出願の発明では,トリマー刃が,両刃ヘッドの上下フロート方向に対し
て略垂直な方向に向くように構成されているが,電気かみそりにおいて,トリマー
刃を,刃ヘッドの顔面への押し当て方向に対して略垂直な方向に向けて設けること
は,例えば,原査定の拒絶の理由に引用した本件出願前に日本国内において頒布さ
れた刊行物である特開昭56-76978号公報に示されているように従来周知で
あり,トリマー刃を,両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略垂直な方向に向く
ように構成することは,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用するに当
たって適宜なし得る設計的事項にすぎない。」
 (3-2) 上記によれば,審決は,相違点を原告主張のごとく相違点①,相違点
②と分割することなく一括して認定し,相違点の判断も一括して行い,まず引用例
2記載の発明を引用例1記載の発明に適用して構成Aとすることは当業者が容易に
想到し得るとしつつ,トリマー刃を外方向に向けて設けることは,例えば甲第7号
証により従来周知であるから,前記引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適
用するに当たって,トリマー刃を外向きに構成することは,適宜なし得る設計的事
項にすぎない,としたものである。そして,原告の前記(3)の主張は,審決の相
違点の判断の前半部分のみを抽出し,相違点②の判断を単独で行っていることを前
提としたものと解されるところ,その前提に誤りがあるといわざるを得ない。
 (3-3) 他方,乙第1号証(特開昭63-160691号公報)をみると,
「さて,各トリマー刃2は夫々上記取付板24の上端に取り付けられるので
あるが,取付板24を介して刃フレーム4に装着された時,第1図に示すように,
主刃1の頂部とトリマー刃2の固定刃20の刃先とを結ぶ線?の延長線の近傍に,刃
フレーム4の上端開口縁に形成されている肌当たりガイド3が位置するようになっ
ている。・・・トリマー刃2における固定刃20及び可動刃21が取り付けられた
基板22の一部を,第8図に示すように,上記線?上に位置させていることから,尚
更,肌Sに主刃1とトリマー刃2とを同時に当てることが容易となっている。ここ
で,主刃1の外刃10頂部を通る接線mと上記線?とがなす角度θは10°以内とし
ておくことが好ましい。この場合,肌Sに主刃1を当てれば,2つのトリマー刃
2,2と主刃1の三者が同時に肌Sに接触して,どちらの方向に電気かみそりを動
かしても,荒剃りと仕上げ剃りとを一度に行なえる状態を自動的に得ることができ
る。」(3頁右上欄~左下欄)
との記載があり,第1図には,2つのトリマー刃を外方向に向けて設けることが示
されている。
また,乙第2号証(特開昭63-222789号公報)には,
「この電気かみそりでは,上述したところから明らかなように,外刃10及
び一対のトリマー刃2,2がいずれも刃フレーム4の内側に取り付けられ,そして
各トリマー刃2は刃フレーム4の内壁面と,外刃10との間に位置する。このため
に,トリマー刃2が刃フレーム4の外側に取り付けられたものに比して,外刃10
の頂上部からトリマー刃2の刃先までの距離Kが短くなっており,第7図に示すよ
うに,外刃10の頂上部を肌Sに当てる時,両トリマー刃2,2も共に肌Sに接す
る。」(3頁左上欄~右上欄)
との記載があり,第1図には,2つのトリマー刃を外方向に向けて設けることが示
されている。
 これら乙第1,2号証の記載及び甲第7号証の記載によれば,本件出願前,電気
かみそりにおいて,外向きの刃を有するトリマー刃を付設すること,そのトリマー
刃とネット刃とをほぼ面一状態となる位置として同時に使用することは周知技術で
あったものと認められる。
 (3-4) そして,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用して構成A
とすることは,当業者が容易に想到し得るものであることは前判示のとおりであ
り,その際,トリマー刃が上方向を向いている場合には,刃ヘッドが固定刃かフロ
ート刃かに関係なく肌を傷める危険性があることは自明である。そうすると,前記
周知技術を参酌すれば,トリマー刃を,両刃ヘッドの上下フロート方向に対してほ
ぼ垂直な方向に向いたトリマー刃に構成することは適宜なし得る設計的事項にすぎ
ない旨の審決の判断には,誤りはないものと認められる。
 また,トリマー刃をこのように変更した場合には,原告の主張する,両刃ヘッド
が沈み込んだときにトリマー刃が肌を傷める恐れがあるとの危険性はなくなること
も明らかである。
 (4) 原告は,さらに,相違点④(トリマー刃の上下動方向と刃ヘッドの上下フ
ロート方向とが平行)が引用例1及び引用例2のいずれにも記載されていないた
め,引用例1に引用例2を適用しても,フロート方向とトリマー刃の上下動方向と
の関係が平行である本願発明が,一義的に高い蓋然性をもって創出されるものでは
ない旨主張する。
 本願発明の特許請求の範囲にはフロート方向とトリマー刃の上下動方向とが平行
であるとは記載されていないから,原告の主張が特許請求の範囲の記載に基づいた
ものといえるか否かについて,原告と被告の間で争われているが,その点はともか
く,「独立に上下浮遊自在な二つの切断ユニットが並設される」引用例1記載の発
明に「トリマー刃が上下動自在に配設された」引用例2記載の発明を適用すること
により得られる発明は,本願発明の特許請求の範囲に記載された「独立して上下フ
ロート自在となった二つの刃ヘッドが並設される」,「トリマー刃が上下動自在に
配設された」という構成を充足することになることは明らかである。このように,
引用例1に引用例2を適用すると本願発明の構成が創出されることになる。
 (5) 以上説示したところによれば,原告主張の取消事由1には理由がない。
 2 取消事由2(本願発明の顕著な作用効果の看過,誤認)について
 (1) 原告は,本願発明は構成Aにより,凹凸の大きな肌面においても両刃ヘッ
ド及びトリマー刃の3点が確実に肌に接することが可能となる顕著な効果を奏する
旨主張する。
 しかしながら,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用すれば,構成A
は容易に想到し得ること,そうすれば二つの切断ユニットとトリマー刃との3点同
時剃りが実現し得ることは,前判示のとおりであるから,原告の主張する顕著な効
果は,引用例1及び引用例2から予測することができるものにすぎない。
 (2) また,原告は,トリマー刃をフロート方向に対してほぼ垂直としたことに
より,3点同時剃りに伴い二次的に発生する肌を傷つける危険性を取り除く課題を
解決することができるという顕著な効果を奏する旨主張する。
 しかしながら,トリマー刃が上方向を向いている場合には,トリマー刃が刃ヘッ
ドより少しでも上方にあれば肌を傷める危険性があり,刃ヘッドがフロート刃であ
れば,更に肌を傷める危険性が高くなるのに対して,トリマー刃が外方向を向いて
いれば肌を傷めないことは明らかである。そうすると,原告主張の効果は,引用例
1記載の発明のトリマー刃として,従来周知の外方向に向いたトリマー刃を採用す
ることによって奏することが予想される効果であるにすぎない。
 (3) よって,原告主張の取消事由2にも理由がない。
 3 以上のほか,原告の主張をすべて精査しても,本件審決を取り消すべき事由
は見当たらない。
 4 結論
 以上のとおり,原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく,その他審決には
これを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判
決する。
東京高等裁判所第18民事部
     裁判長裁判官     永   井   紀   昭
           裁判官     塩   月   秀   平
           裁判官     田   中   昌   利
【別紙1】 審決の理由
不服2000-12103号事件,平成13年6月18日付け審決
(下記は,上記審決の理由部分について,文書の書式を変更したが,用字用語の点
を含め,その内容をそのまま掲載したものである。)
理 由
 
第1 手続の経緯・本件出願の発明
 本件出願は,平成2年9月25日の特許出願であって,その請求項1に係る発明
(以下「本件出願の発明」という。)は,願書に添付した明細書及び図面の記載か
らみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】独立して上下フロート自在となった二つの刃ヘッドが並設されると
ともに,これら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃が上下動自在に配設さ
れた電気かみそりであって,上記両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略垂直な
方向に向くトリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突
出して位置決め保持する上下動機構を備えていることを特徴とする往復式電気かみ
そり。」
第2 引用例
 これに対して,当審において平成13年2月27日付で通知した特許法第29条
第2項適用の拒絶の理由に引用した本件出願前に日本国内において頒布された刊行
物である特開昭55-86490号公報(以下「引用例1」という。)及び特開昭
63-206274号公報(以下「引用例2」という。)には,それぞれ以下の技
術的事項乃至発明が記載されていると認める。
1 引用例1
(1)公報第1頁左欄特許請求の範囲の第1項 
「(1)スプリング装置により可撓性の弓形はくに圧接される往復動内部カッターを
含むカッター組立体を上部に保持するケーシングを有するドライシェーバにして,
はくと内部カッターが共通ベース部材上に装着され,はくは長手方向のへりにそっ
てベース部材に取付けられ,前記スプリングはベース部材と内部カッター間に働
き,ベース部材は内部カッターの往復動方向を横切る方向にケーシングの方に向か
って又これより離れるように動けるようケーシング上に装着されかつ前記スプリン
グ装置のスプリング力より小さなスプリング力の弾性装置によりケーシングより離
れるように押しやられるドライシェーバ。」
(2)同第2頁左上欄特許請求の範囲の第6項
「(6)特許請求の範囲第1項乃至第5項のいづれか1つの項に記載のドライシェー
バにして,2個又はそれ以上の前記カッター組立体を含み,夫々のカッター組立体
は対応するベース部材に関連し,ケーシングに対し互いに係りなく夫々の弾性装置
の作用に抗して動くことのできるドライシェーバ。」
(3)同第2頁右下欄第18行~第3頁左上欄最下行
「この構成により,はくと内部カッター,ベース部材並びにスプリング装置は全体
として本体に対して弾性的に動くことのできる自蔵式切断ユニットを形成し,弾性
装置によりきわめて小さなスプリング力が働きユニットはひげそり中に加わる圧力
で容易にたわむことができるような軽い浮遊作用を行
う。・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・。
 本発明の好適実施例においては,ドライシェーバは,上記の如き形態でケーシン
グに対し別々に動くことのできるような2個の切断ユニットを有する。」 
(4)同第3頁右上欄第11行~第4頁左上欄第10行
「ドライシェーバには,シャシー2を支持しほぼ包囲する2つ割りケーシングの形
をしたケーシング1が含まれ,シャシー2は,電源や乾電池又は再充電可能の電池
(図示省略)により周知要領で駆動される電動機を収容する。このシャシー2の上
部より駆動プレート3の形態をした2個の往復動駆動部材が突出しており,このプ
レートには駆動ペッグ4と4個のスプリングをきかした保持具5が設けられてい
る。
 2個の切断ユニット6は保持具5上に取外しできるように取付けられ,夫々のユ
ニットには,プレート7の形をしたベース部材と,わん曲面のはく8と,内部カッ
ター9並びに一対の圧縮コイルスプリング11(第2図参照)が包含され
る。・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・。
 圧縮コイルスプリング11はベースプレート7と内部カッター9の下側面との間
で働くように取付けられ,内部カッター9をはく8の内面に押し付け協力摺動係合
させている。
 第3図に示すように,プレート7の一端にある耳たぶ片12Aは隣接する保持具
5のヘッド19上に形成した対応する横方向に突出するピン18にぱちんと嵌ま
る。・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・。各保持具のヘッド19には
垂れ下がった柄部20がシャシー内に軸方向に動けるように案内され,又軽いコイ
ルスプリング21により外方に押しやられるように設けられ,この動きは柄部の下
端にあるストップ22により制限される。
 このように,切断ユニットの夫々はスプリング21の弾性装置の復元力に抗して
内方に動くことができるようにシャシー及びケーシング上に取付けられ,各ユニッ
トはケーシングの方に又これより離れるように更に第1図及び第2図のYYに示す
横軸線の周りに揺動するように一体に動くことができる。
 スプリング21により働く外方にむいた力はカッタースプリング11の力よりか
なり小さいので使用時はく上に働くひげそり圧力によりカッタースプリング11を
たわませずにユニットを容易にケーシングの内方に移動することができ,はくが内
部カッターと完全にかつ適当に接触することを保証する。」
(5)同第4頁右下欄第19行~第5頁第2行
「シェーバには長い毛を切断するトリマーを設けることが好適である。第1図の3
0にトリマーガード部材が示され,関連カッターは任意好適な方法で駆動機構に結
合する。」
 これらの記載事項(1)乃至(5)を本件出願の発明の構成に照らして整理すると引用
例1には次の発明が記載されていると認める。
 独立して上下浮遊自在となった二つの切断ユニット6が並設されるとともに,こ
れら切断ユニット6のうちの一方に近接してトリマー刃が配設された電気かみそ
り。
2 引用例2
 公報第1頁特許請求の範囲第1項
「かみそり本体における本体刃の下方位置から上方位置に亘り段階的にスライドす
るトリマー刃を備えた電気かみそりにおいて,このトリマー刃と前記本体刃とが略
面一状態となる範囲内においてさらに複数の位置でトリマー刃を固定するトリマー
刃微調整手段を備えたことを特徴とする電気かみそり。」
 この記載事項から引用例2には次の発明が記載されていると認める。
 トリマー刃が上下動自在に配設された電気かみそりにおいて,トリマー刃を本体
刃の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備えているこ
と。
第3 対比
 本件出願の発明と引用例1記載の発明とを対比すると,引用例1記載の発明の
「浮遊」及び「切断ユニット6」は,本件出願の発明の「フロート」及び「刃ヘッ
ド」に相当することが明らかである。
 したがって,両者は,
 独立して上下フロート自在となった二つの刃ヘッドが並設されるとともに,これ
ら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃が配設された電気かみそり
である点で一致し,以下の点で相違している。
相違点:
 本件出願の発明では,トリマー刃が上下動自在に配設されていて,両刃ヘッドの
上下フロート方向に対して略垂直な方向に向くトリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈
み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備えてい
るのに対して,引用例1記載の発明では,トリマー刃がそのようになっていない
点。
第4 判断
 そこで,上記相違点について検討すると,先に認定したように引用例2には,ト
リマー刃が上下動自在に配設された電気かみそりにおいて,トリマー刃を本体刃,
すなわち,刃ヘッドの頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構
を備えていることが記載されている。
 引用例1記載の発明及び引用例2記載の発明はいずれも電気かみそりに関するも
のであることから,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用して,そのト
リマー刃を両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保
持する上下動機構を備えて上下動自在に配設することは当業者が容易に想到しうる
ところである。
 本件出願の発明では,トリマー刃が,両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略
垂直な方向に向くように構成されているが,電気かみそりにおいて,トリマー刃
を,刃ヘッドの顔面への押し当て方向に対して略垂直な方向に向けて設けること
は,例えば,原査定の拒絶の理由に引用した本件出願前に日本国内において頒布さ
れた刊行物である特開昭56-76978号公報に示されているように従来周知で
あり,トリマー刃を,両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略垂直な方向に向く
ように構成することは,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用するに当
たって適宜なし得る設計的事項にすぎない。
 また,本件出願の発明の採用する構成によって齎される効果も,引用例1及び引
用例2記載の発明並びに上記従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度の
ものであって格別のものではない。
第5 むすび
 したがって,本件出願の発明は,引用例1及び引用例2記載の発明並びに上記従
来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特
許法第29条第2項の規定により特許をすることができない。
 よって,結論のとおり審決する。
      平成13年 6月18日
【別紙2】  平成13年10月18日付け原告準備書面(1)の要点
 (下記は,上記準備書面の本文の一部(「第2 本件審決を取り消すべき事
由」)について,平成13年11月14日付け原告準備書面(2)による訂正を施し
たものであり,文書の書式は変更したが,用字用語の点を含め,その内容をそのま
ま掲載したものである。)
第2 本件審決を取り消すべき事由
 本件審決には,以下の点において認定,判断を誤る違法があり,取消を免れな
い。
1 本件出願の発明と引用発明との相違点の看過について
 (1)本件出願の発明と引用例1(甲第5号証)・引用例2(甲第6号証)記載
の発明との相違点
 本件審決で述べられている本件出願の発明と引用例1記載の発明との相違点(甲
第1号証第4頁第9行~同頁第14行)を分節すると,以下の相違点①②の通りと
なる。本件審決では,該相違点のうち相違点②を引用例2によって埋めようとして
いるが,本件出願の発明と引用例2との間には少なくとも下記相違点③④が存在す
る。従って本件審決は,引用例1記載の発明と引用例2記載の発明とを組み合わせ
るにあたって,本件出願の発明と引用例2記載の発明との下記相違点③④を看過し
ている。なお,下記相違点④については,引用例2に対してのものとして説明をし
ているが,引用例1にも記載されていないため,引用例1記載の発明と本件出願の
発明の間の相違点でもある。
 ア 相違点①(上下フロート方向に略垂直な方向に向くトリマー刃:引用例1に
対して)
 本件出願の発明では,トリマー刃が上下動自在に配設されていて,両刃ヘッドの
上下フロート方向に対して略垂直な方向に向くトリマー刃を備えているが,引用例
1記載の発明では,トリマー刃がそのようになっていない点。
 イ 相違点②(トリマー刃を両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に
保持:引用例1に対して)
 本件出願の発明では,上記トリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部
と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備えているが,引用例1記
載の発明では,トリマー刃がそのようになっていない点。
 ウ 相違点③(トリマー刃を両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に
保持:引用例2に対して)
 本件出願の発明では,上記トリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部
と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備えているが,引用例2記
載の発明では,1個の本体刃(本件出願の発明の刃ヘッドに相当する。以下同じ)
はフロートしないから,本件出願の発明の特許請求の範囲で特定した「両刃ヘッド
の非沈み込み時の頂上部」という位置を想定することができず,従って,引用例2
記載の発明は,「上記トリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同
一位置に突出して位置決め保持する上下動機構を備えている」とはいえない点。
 エ 相違点④(トリマー刃の上下動方向と刃ヘッドの上下フロート方向とが平
行:引用例2に対して)
 本件出願の発明では,トリマー刃の上下動方向と,両刃ヘッドの上下フロート方
向とが平行であるのに対して,引用例2記載の発明では,この構成が開示されてい
ない点。
 本件出願の発明では,特許請求の範囲の「上下フロート自在となった2つの刃ヘ
ッド」「トリマー刃が上下動自在に配置」との記載から明らかなように,往復動式
電気かみそりにおいて「上下」方向を規定して,その「上下」方向に基づいて,刃
ヘッドのフロート方向及びトリマー刃の移動方向を規定しているので,刃ヘッドの
フロート方向とトリマー刃の移動方向とは該「上下」方向を基準として互いに平行
である。つまり,本件出願の発明のトリマー刃の上下動方向は,両刃ヘッドのフロ
ート方向との関連においてはじめて特定される。
 一方,引用例2記載の発明では,本体刃はフロートしないから,トリマー刃の上
下動方向と該本体刃のフロート方向とが一致しているものではない。
 従って,本件出願の発明のトリマー刃の上下動方向と引用例2のトリマー刃の上
下動方向とは,「上下動自在」ということで同一であっても,該両者間には技術思
想に大きな相違がある。
2 引用例1と引用例2の組み合わせ判断の誤りについて
 (1)相違点③を看過したことによる判断の誤りについて
 上記の如く,相違点②である「本件出願の発明では,上記トリマー刃を上記両刃
ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下動機
構を備えているが,引用例1記載の発明では,トリマー刃がそのようになっていな
い」ことは本件審決において認定されているところである。
 一方,前述の相違点③の如く,引用例2記載の発明では,本体刃はフロートしな
いから,本件出願の発明の構成である「両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部」の概
念が存在しない。従って,引用例2記載の発明は,本件出願の発明の構成である
「上記トリマー刃を上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出し
て位置決め保持する上下動機構(以下,構成Aと記載)」を備えていない。即ち,
本件出願の発明の構成Aは,引用例1にも引用例2にも記載されていない構成であ
って,引用例1に引用例2を適用したとしても,本件出願の発明に容易に想到する
ことはできない。
 構成Aは,本件出願の発明における「(フロートする)両刃ヘッド及びトリマー
刃の三者が共に肌に接する状態を得る」という2つのフロート刃と1つのトリマー
刃とによる3点同時剃りという本件出願の発明に固有の技術思想があってこそ設け
られるものであり,本件出願の発明における「長い毛をスムーズに且つスピーディ
に剃り上げる(甲第2号証第2頁左上欄第8行~同頁第9行)」という課題を認識
し,「両刃ヘッド及びトリマー刃の三者が共に肌に接する状態を得る(甲第2号証
第4頁左上欄第13行~同頁第14行)」という本件出願における顕著な効果への
期待があって初めて選択採用される新規な構成である。
 また,仮に引用例1と引用例2とを組み合わせた上で構成Aを採用したとして
も,それだけでは両刃ヘッドが沈み込んだときに押し当て方向に向くトリマー刃が
過度に肌に押しつけられるので肌を傷める恐れがある。従って,当業者があえてそ
のような危険な構成を採用するとは到底考えられない。より具体的に説明すると,
一般的に刃ヘッドは肌に直接に接する極薄の網状の外刃と該外刃の内部で駆動され
る内刃とからなり,トリマー刃は固定刃と可動刃の2枚の剛体の櫛状の刃からな
り,両者は構造的・特性的に相違している。即ち,刃ヘッドにあっては極薄の外刃
が肌に接触し,駆動される内刃が直接肌に接触することはないが,トリマー刃にあ
っては固定刃・可動刃ともに肌に接触するという点,更に刃ヘッドは極薄の外刃が
面状に肌に接触するのに対し,トリマー刃にあっては櫛状の刃が線状に肌に接触す
るという点,で両者は相違する。この相違点に関して,一般的に電気かみそりの使
用者は,刃ヘッドを用いるかトリマー刃を用いるかによって肌に押しつけた時の感
触から自然と電気かみそりの肌への押圧力を調整しているのである。即ち,通常の
電気かみそりの使用状況においては,刃ヘッドを用いたひげ剃りの押圧力の方が,
トリマー刃を用いたときの押圧力よりも大きなものとなっている。このように刃ヘ
ッドとトリマー刃とが構造的・特性的に異なるにも関わらず引用例1と引用例2と
を単に組み合わせた場合,そのような電気かみそりの使用者は刃ヘッドによるひげ
剃りを行うため強い力で電気かみそりを肌面に押しつけ,刃ヘッドが沈み込んだ結
果,トリマー刃の先端が肌面に過度に押しつけられるおそれが生じるのである。従
って,当業者であれは上記危険を十分に承知しており,あえてそのような危険な構
成を採用するとは到底考えられないのである。
 本件出願の発明はこの当業者の常識に反する相違点③に示される構成Aを採用し
ながらも,更に創意工夫を凝らして顕著なる効果を得たものであるから,当業者が
容易に想到できるものではない。
 進歩性の判断にあたっては該相違点③を十分に考慮されなければならないとこ
ろ,本件審決では相違点③の検討が十分なされていない(甲第1号証第4頁第20
行~同頁第24行)。従って,該相違点③を看過して相違点①②のみの認定を前提
とする本件審決の判断は誤りである。
 (2)相違点④を看過したことによる判断の誤りについて
 引用例2記載の発明においては,本体刃がフロートしないため,トリマー刃の上
下動方向の概念には該本体刃のフロート方向との関係が全く含まれていない。従っ
て,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用して,本件出願の発明のよう
にトリマー刃の上下動方向と両刃ヘッドの上下フロート方向とを平行にするには,
引用例2のトリマー刃の上下動方向と引用例1の上下浮遊自在となった二つの切断
ユニット6(本件出願の発明の刃ヘッドに相当する。以下同じ)の該上下浮遊方向
とを「平行にする」という新規な技術思想に着目し且つその技術思想を選択採用し
なければならない。相違点④が引用例1及び引用例2のいずれにも記載されていな
いため,引用例1に引用例2を適用しても,フロート方向とトリマー刃の上下動方
向との関係が平行である本件出願の発明に至ることはできない。
 即ち,この相違点④については,本件出願の発明における「長い毛をスムーズに
且つスピーディに剃り上げる(甲第2号証左上欄第2頁第8行~同頁第9行)」と
いう課題を認識し,「両刃ヘッド及びトリマー刃の三者が共に肌に接する状態を得
る(甲第2号証第4頁左上欄第13行~同頁第14行)」という本件出願における
顕著な効果への期待があって初めて選択採用される新規な構成であって,当業者が
容易に想到できるものではない。
 進歩性の判断にあたっては該相違点④も十分に考慮されなければならないとこ
ろ,本件審決では十分に検討されていない(甲第1号証第4頁第20行~同頁第2
4行)。従って,該相違点④を看過して相違点①②のみの認定を前提とする本件審
決の判断は誤りである。。
 (3)小括
 本件審決は上述のように,相違点③(引用例2ではトリマー刃を上記両刃ヘッド
の非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決めしていない点)及び相違
点④(引用例2ではトリマー刃の上下動方向と,両刃ヘッドの上下フロート方向と
が平行である構成が開示されていない点)を看過しており,相違点①②のみに言及
している本件審決の認定,及び該認定を前提として本件出願の発明の進歩性を否定
した判断は誤りであり,違法であるから,取り消されるべきである。
3 本件出願の発明の顕著なる作用効果の看過・誤認について
 (1) トリマー刃及び両刃ヘッドによる3点同時剃りについて
 本件出願の発明では,「顎下のような凹凸の大きいところでも,長い毛をスムー
ズに且つスピーディに剃り上げること(甲第2号証第2頁左上欄第7行~第9
行)」という課題を解決しているものである。より具体的には,2つの刃ヘッドと
1つのトリマー刃とを備えてこれらの部材で同時にひげ剃りをおこなう3点同時剃
りを意図した電気かみそりにおいて,実際には顎下などの凹凸の大きいところでは
3つの剃り面を同時に肌に接触させることが困難で,結果としてスムーズ且つスピ
ーディに剃り上げることができなかったという課題を解決するものである。
 本件出願の発明では,上記課題を解決するために,両刃ヘッドを独立して上下フ
ロート自在となし,「トリマー刃を両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位
置に」している。本件出願の発明は,本構成により「二つの刃ヘッド1,1とトリ
マー刃6のいずれもが確実に肌に接して髭を剃ることができる状態となるものであ
り,従ってトリマー刃6によって長い髭をカットした後,二つの刃ヘッド1,1で
残ってた髭を剃り上げるというスムーズで且つスピーディな連続剃りが行える(甲
第2号証第3頁右上欄第18行~同頁左下欄第4行)」「両刃ヘッド及びトリマー
刃の三者が共に肌に接する状態を得ることができるものであり,このためにトリマ
ー刃と刃ヘッドを同時に肌に当てることによる連続剃りを行える(甲第2号証第4
頁左上欄第13行~同欄第16行)」という本件出願の発明に特有の顕著な効果を
奏するものである。つまり,両刃ヘッドが独立してフロートし,「トリマー刃を両
刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に」することにより,凹凸の大きな
肌面においても両刃ヘッド及びトリマー刃の3点が確実に肌に接することが可能と
なるのである。
 以上のように,本件審決は本件出願の発明の奏する顕著な効果を看過しており,
本件審決の誤った認定及び該認定を前提とした判断は誤りである。従って,本件出
願の発明の進歩性は認められ,本件出願の発明は特許されるべきものである。
 (2) トリマー刃をフロート方向に対して略垂直とした点について
 本件出願の発明当時にあっては,引用例1記載の発明のような両刃ヘッドがフロ
ートする構造の電気かみそりと,引用例2記載の発明のような刃ヘッドの頂上部と
略同一位置に保持されたトリマー刃を組み合わせるという発想は存在しなかった。
これは,前述したように両者を組み合わせて構成Aを適用した場合には,引用例2
のような押し当て方向を向くトリマー刃であれば,刃ヘッドが沈み込んだときにト
リマー刃の刃先が肌面に対して垂直に過度に押圧されて危険と考えられるからであ
る。本件発明では,トリマー刃とフロートする両刃ヘッドを組み合わせて3点で同
時に肌に当てるようになしたときに二次的に発生する課題である上記危険性を取り
除くべく,トリマー刃をフロート方向に対して垂直とした構成を採用している。本
件出願の発明は,本構成により「顎下のような凹凸の大きいところでもトリマー刃
は肌に略平行に接することとなって肌に食い込むことがなくな(甲第4号証第4頁
第28行~同頁第29行)」るという本件出願の発明特有の顕著な効果を奏するも
のである。
 なお,本件審決(甲第1号証)では,刊行物(甲第7号証,以下,引用例1等の
他の刊行物と区別するために引用例3と記載)において示されている電気かみそり
にあっても「トリマー刃を,刃ヘッドの顔面への押し方向に対して略垂直に設けて
いる(甲第1号証第4頁第27行~同頁第28行)」ことをもって,トリマー刃を
押し当て方向に垂直に向けることは周知技術であるとしているが,本件出願の発明
ではトリマー刃をフロート方向に対して略垂直となすことにより,引用例3からは
予測することのできない,引用例3におけるトリマー刃の奏する効果とは全く異質
な又は際だって優れた効果を奏するものである。
 即ち,本件出願の発明ではトリマー刃をフロート方向に対して垂直とすること
で,両刃ヘッドが沈み込んでトリマー刃が肌面に過度に押圧された場合における肌
面への安全性を高めている。一方,引用例3にはそもそも刃ヘッドがフロートする
という概念がなく,押圧力は常に固定の刃ヘッドとトリマー刃との両方で受けるの
で,過度の押圧力を以てトリマー刃が肌に押しつけられることがなく,本件出願の
発明のようにトリマー刃が肌に過度に押しつけられた場合に生じる危険は考慮しな
くともよいものである。よって引用例3は,トリマー刃が過度に押しつけられた場
合の安全性に関する効果を奏するものではない。
 以上のように,本件審決は本件出願の発明の奏する異質な効果を看過しており,
本件審決の誤った認定及び該認定を前提とした判断は誤りである。従って,本件出
願の発明の進歩性は認められ,本件出願の発明は特許されるべきものである。
 (3) 小括
 以上をまとめると,引用例1と引用例2とを組み合わせることがそもそも当業者
の常識に反するものであって組み合わせが困難であるから,2つの刃ヘッドとトリ
マー刃とを備えて3つの剃り面で同時にひげ剃りを行うことによる「二つの刃ヘッ
ド1,1とトリマー刃6のいずれもが確実に肌に接して…スムーズで且つスピーデ
ィな連続剃りが行える(甲第2号証第3頁右上欄第18行~同頁左下欄第4行)」
という効果自体がそもそも予測できないものである。
 また仮に,引用例1と引用例2との組み合わせを行って,引用例3に記載の技術
を適用したとしても,引用例3の記載からは,両刃ヘッドが沈み込んだ結果トリマ
ー刃が過度に肌に押しつけられる危険を防止しなければならないという発想がおよ
そ導き出せないものであるから,「顎下のような凹凸の大きいところでもトリマー
刃は肌に略平行に接することとなって肌に食い込むことがなくな(る)(甲第4号
証第4頁第28行~同頁第29行)」という効果も予測できない。
 よって,本件審決は,本件出願の発明の顕著なる作用効果を看過・誤認した上
で,該誤認に基づいて本件出願の発明の進歩性を否定したものであるから違法であ
り,取り消されるべきである。
4 まとめ
 以上から明らかなとおり,本件審決には,上記のような認定,判断を誤る違法が
あり,本件審決は取り消されるべきものである。
以上
【別紙3】  平成13年12月14日付け被告準備書面(第1回)の要点
 (下記は,上記準備書面の本文の一部(第2項以下)について,文書の書式を変
更し,原告の主張を引用する部分の一部を適宜省略した(省略部分はその旨表示し
た)ほかは,用字用語の点を含め,その内容をそのまま掲載したものである。)
                
第2 原告の主張に対する反論
1 本件出願の発明と引用例2記載の発明との相違について
(1) 原告の主張
 原告は,本件出願の発明と引用例2記載の発明との間には下記相違点③及び相違
点④が存在するところ,本件審決は,引用例1記載の発明と引用例2記載の発明と
を組み合わせるにあたって,この相違点③及び相違点④を看過している旨主張して
いる。
ア 相違点③ (省略)
イ 相違点④ (省略)
(2)被告の反論
ア 引用例2記載の発明は,原告が述べているように,フロートするものではない
ことから,本件出願の発明と引用例2記載の発明とが相違点③で相違しているの
は,原告の指摘を待つまでもなく明らかである。
 審決では,引用例2に「トリマー刃が上下動自在に配設された電気かみそりにお
いて,トリマー刃を本体刃の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する上下
動機構を備えていること。」という発明が記載されていることを認定したうえで,
引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適用することにより,相違点③におけ
る本件出願の発明の構成を得ることは当業者が容易に想到しうる旨判断している
(甲第1号証第4頁第16~24行。なお,この点の容易想到性については,後記
2(2)ア(ア)も参照のこと。)のであって,審決で引用例2について認定している点
以外の点で本件出願の発明と引用例2記載の発明とが相違しており,引用例1記載
の発明と引用例2記載の発明とを組み合わせるにあたって,その相違点を看過して
いるという原告の主張は当たらない。
イ また,本件出願の明細書の特許請求の範囲には,原告が述べているように,ト
リマー刃に関して「トリマー刃が上下動自在に配設」と,刃へツドに関して「上下
フロート自在となった二つの刃へツド」と記載されているものの,「トリマー刃の
上下動方向と刃ヘッドの上下フロート方向とが平行」であるとは記載されておら
ず,相違点④に関する原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づくものではな
い。
 なお,2(2)イで後記するように,引用例2記載の発明を引用例1記載の発明に適
用することにより,原告の主張する相違点④における本件出願の発明の構成が得ら
れる。
2 引用例1と引用例2の組み合わせ判断について
(1)原告の主張
 原告は,審決の引用例1と引用例2の組み合わせ判断の誤りとしておおよそ次の
ように主張している。
ア 相違点③を看過したことによる判断の誤りについて (省略)
イ 相違点④を看過したことによる判断の誤りについて (省略)
(2)被告の反論 
ア 原告の主張アについて
(ア)引用例2(甲第6号証)の第1頁右欄第1~12行に「一般に,長いひげを剃
る場合,通常の電気かみそりに設けられているネット刃だけで剃り落とすのは難し
いため,このようなネット刃とともにトリマー刃を付設し,このトリマー刃と前記
ネット刃とを略面一状態にして髭を剃るようにしたものが従来から提供されてい
る。・・・・・・・・トリマー刃102はネット刃103と略面一状態となる位置
にあり,このトリマー刃102とネット刃103を同時に使用しながらひげを剃る
ようにしている。」と,また,甲第7号証(以下,原告の表記に合わせて「引用例
3」という。)の第2頁右上欄第5~9行に「また,位置決め凹部15bに嵌合し
た際は,切刃11bは外刃8の近傍に位置し,主刃とトリマーの切刃11bとは協
働作用をなす。即ち,第3図に示すようにトリマーの切刃11bで長い毛やクセ毛
を剃り,残った短いヒゲを剃る。」と記載されているように,電気かみそりにおい
て,長いひげを剃る場合,トリマー刃を付設し,トリマー刃と本件出願の発明の刃
ヘッドに相当するネット刃(乃至外刃又は主刃)とを略面一状態となる位置として
同時に使用することは従来周知である。
 そして,この従来周知の事項は,「独立して上下フロート自在となった二つの刃
ヘッドが並設されるとともに,これら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃
が配設された電気かみそり。」である引用例1記載の発明においても,トリマー刃
が上下動自在に配設されているか否かに関わらず,具現化されることが望まれると
ころであって,引用例1記載の発明について上記従来周知の事項を具現化するとい
うことは,「(フロートする)両刃ヘッド及びトリマー刃の三者が共に肌に接する
状態を得る」という2つのフロート刃と1つのトリマー刃とによる3点同時剃りが
可能となるように構成することにほかならず,そのためには「トリマー刃を上記両
刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持する」こと
が必要となることは,トリマー刃と刃ヘッドとを略面一状態となる位置として同時
に使用するという上記従来周知の事項から当業者が容易に想到する事項である。
 また,トリマー刃を上下動自在に配設することによって,トリマー刃と刃ヘッド
との位置関係を微調整可能とすると共に,トリマー刃を使用しないときは刃ヘッド
の下方に位置させ,きわ剃りなどのためトリマー刃を単独で使用するときは刃ヘッ
ドの上方に位置させるというようにして電気かみそりの使用の態様を増すことも,
引用例1記載の発明にとって望ましい事項である。
 そうしてみると,引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用して,本件出
願の発明の構成Aを得ることに格別の困難性は見当たらない。
(イ)原告の,引用例1と引用例2とを組み合わせた上で構成Aを採用したとして
も,それだけでは両刃ヘッドが沈み込んだときに押し当て方向に向くトリマー刃が
過度に肌に押しつけられるので肌を傷める恐れがあり,当業者があえてそのような
危険な構成を採用するとは到底考えられないという主張は,引用例2の図面に示さ
れているトリマー刃6が押し当て方向に向いていることを前提としているようであ
るが,引用例1記載の発明は,その形状は定かでないもののトリマー刃を備えてお
り引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用する際,引用例2の図面に示さ
れているトリマー刃6を採用することになるわけではない。
 電気かみそりにおいて,トリマー刃を,刃ヘッドの顔面への押し当て方向に対し
て略垂直な方向に向けて設けることは,審決で例示している引用例3の外,本準備
書面と共に提出する証拠説明書に挙げられている乙第1号証(特開昭63-160
691号公報)及び乙第2号証(特開昭63-222789号公報)に示されてい
るように従来周知である。
 因みに,原告は,審決理由の認否において「電気かみそりにおいて,トリマー刃
を,刃ヘッドの顔面への押し当て方向に対して略垂直な方向に向けて設けること
は,・・・・従来周知であり」について不知であるとしているが,引用例3,乙第
1号証及び乙第2号証の出願人は,いずれも原告であることからみて当該事項につ
いて不知であるというのは合点のいかないところである。
 そして,引用例1記載の発明のトリマー刃として,この従来周知のトリマー刃を
採用することを妨げる特段の事由は見当たらず,この従来周知のトリマー刃を採用
することより,トリマー刃は必然的に両刃ヘッドの上下フロート方向に対して略垂
直な方向に向くことになる。
 また,トリマー刃が押し当て方向を向いている場合には,刃ヘッドが沈み込むか
否かに関わらず多かれ少なかれ肌を傷める恐れがあるのに対して,上記従来周知の
トリマー刃の場合にはその様なことがないことは,その構成からみて明らかであ
る。
イ原告の主張イについて
 1(2)イで述べたように,本件出願の明細書の特許請求の範囲には,トリマー刃に
関して「トリマー刃が上下動自在に配設」と,刃へツドに関して「上下フロート自
在となった二つの刃へツド」と記載されているものの,「トリマー刃の上下動方向
と刃ヘッドの上下フロート方向とが平行」であるとは記載されていない。
 そして,「独立して上下フロート自在となった二つの刃ヘッドが並設されるとと
もに,これら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃が配設された電気かみそ
り。」である引用例1記載の発明に「トリマー刃が上下動自在に配設された電気か
みそりにおいて,トリマー刃を本体刃の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保
持する上下動機構を備えていること。」という引用例2記載の発明を適用すること
により得られる発明は,「トリマー刃が上下動自在に配設」という構成及び「上下
フロート自在となった二つの刃へツド」という構成を充足することになる。
 なお,これらの構成を充足することにより,1(1)イに示す原告の主張によれば結
果的にトリマー刃の上下動方向と刃ヘッドの上下フロート方向とが平行することに
なる。
 
3 本件出願の発明の作用効果について
(1)原告の主張
 原告は,審決が本件出願の発明の顕著なる作用効果を看過・誤認にしているとし
ておおよそ次のように主張している。
ア トリマー刃及び両刃ヘッドによる3点同時剃りについて (省略)
イ トリマー刃をフロート方向に対して略垂直とした点について (省略)
(2)被告の反論 
ア 原告の主張アについて
 2(2)ア(ア)でその旨述べたように,電気かみそりにおいて,長いひげを剃る場
合,トリマー刃を付設し,トリマー刃と刃ヘッドとを略面一状態となる位置として
同時に使用することは引用例2等に示されているように従来周知であり,この従来
周知の事項を「独立して上下フロート自在となった二つの刃ヘッドが並設されると
ともに,これら刃ヘッドのうちの一方に近接してトリマー刃が配設された電気かみ
そり。」である引用例1記載の発明に適用すること,そのためには「トリマー刃を
上記両刃ヘッドの非沈み込み時の頂上部と略同一位置に突出して位置決め保持す
る」ことが必要となることは,当業者が容易に想到する事項である。 
 そして,原告の主張する「二つの刃へツド1,1とトリマー刃6のいずれもが確
実に肌に接して髭を剃ることができる状態となるものであり,従ってトリマー刃6
によって長い髭をカットした後,二つの刃へツド1,1で残った髭を剃り上げると
いうスムーズで且つスピーディな連続剃りが行える」及び「両刃ヘッド及びトリマ
ー刃の三者が共に肌に接する状態を得ることができるものであり,このためにトリ
マー刃と刃へツドを同時に肌に当てることによる連続剃りを行える」という本件出
願の発明の効果は,引用例1記載の発明に上記従来周知の事項を適用することによ
り当然奏すことが予想できる効果であって格別の効果ではない。
イ原告の主張イについて
 2(2)ア(イ)で述べたとおりであり,原告の主張する本件出願の発明の効果は,引
用例1記載の発明のトリマー刃として,引用例3,乙第1号証及び乙第2号証に示
されている従来周知のトリマー刃を採用することにより当然齎される効果である。
第3 むすび
 以上のように,本件審決の相違点についての判断に誤りはなく,本件審決を取り
消すべき事由はない。
     
以上

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