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裁判例


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         主    文
     原決定中、抗告人A1、同B1、同C、同D1、同E1、同Fに関する
部分を、取消す。
     東京地方裁判所昭和五〇年(ワ)第一〇七九七号慰藉料等請求事件につ
き、抗告人A1、同B1、同C、同D1、同E1、同Fに対し、いずれも民事訴訟
費用等に関する法律第三条による手数料の納付について訴訟上の救助を付与する。
     抗告人G1、同H、同I、同J、同K、同L1、同M、同N、同O1、
同P1の抗告は、いずれもこれを棄却する。
         理    由
 第一 抗告の趣旨
 (一) 原決定中、抗告人らの申立を却下した部分を取消す。
 (二) 抗告人と相手方間の東京地方裁判所昭和五〇年(ワ)第一〇七九七号制
裁金慰藉料等請求事件(以下本案という)について、抗告人らに対し、民事訴訟費
用等に関する法律第三条による手数料の納付について訴訟上の救助を付与する。
 第二 抗告の理由の要旨
 (抗告人らに共通の抗告理由)
 一 抗告人ら(ただし、抗告人I、同Kを除く)の資力につき、配偶者、親、子
等の親族の収入を加算して考えることは不当である。
 (一) そもそも個人が提起する訴訟の費用を、親族が負担、立替をするなどと
いうことは、親族間の扶助協力の問題に属さない。抗告人らは、配偶者、親、子ら
に対して訴訟費用の負担、立替を権利として要求することはできないのである。も
つとも一般論として、配偶者については、婚姻中に得た財産については相手方も相
応の権利を有するから、負担、立替の要求が必ずしも不当でない場合もあろう。し
かし、親が成年の子に対して自己の訴訟費用の負担、立替を要求できるということ
はあり得ない。それは法理としてありえないだけでなく、実際の国民感情としても
あり得ない。しかも、抗告人らは、それでなくても自己の疾病のために家族に精神
的経済的に甚大な苦しみを与えているから、そのうえ訴訟費用の捻出までも家族
(とりわけ子供)に要求するなどということは、あまりにも忍び難きを強いるもの
である。抗告人らの多くは、そこまで家族に迷惑をかけなければならないのなら裁
判を断念せざるを得ない立場にある。このことは、裏を返せば、抗告人らの損害賠
償債権について、子等には何等直接的利益はないというにほかならない。
 (二) 抗告人らの場合、親族の資産収入を考慮しないと国民感情にあわないと
か、他の訴訟救助をうけられない者との均衡を失するというような高額の資産収入
のある親族をもつている者は、実際上皆無である。
 (三) 抗告人らの中で収入のある成年の子と同居している者も、その子と「生
計を同じく」してはいない。
 同居している関係から、共益費的な食費、光熱費などを一部共同支出している場
合、あるいは従来どおり子の食、住の面倒を見てやつていることはある。しかしそ
れを越えて、収入支出を一つの財布にしていることはないし、勿論互いの資産や預
金を管理できる立場にあるものでない。
 (四) 原決定は、親や成年の子の収入を抗告人の資力として単純に全額算入し
ているが、これは不当である。配偶者や成年の子が働いて収入を得ている場合、当
然それによる支出(通勤費、交際費、外食費、衣料費、租税)が伴い、一人で三〇
〇万円の収入を得る場合に比し、二人三人で三〇〇万円を得る場合の方が生活に余
裕がないことは明白である。
 二 原決定は、昭和四九年の標準勤労者世帯(世帯人員三・八三人)の実収入を
年間約二四七万円とし、抗告人らのクロロキン網膜症の治療費、該症による特別な
生活支出、本件訴訟提起につき納付すべき手数料の額を勘案して、年収三〇〇万円
を一般的合理的基準とした。しかしながら右基準は不当に低い。
 すなわち、第一に、訴訟の準備遂行に伴い当然必要な調査費用、弁護士費用、交
通費、通信連絡費用等が一切考慮されていないが、従来の同種事件(例えばイタイ
イタイ病、スモン病訴訟など)はこの点を必ず考慮に入れている。第二に、従来の
同種裁判例では、右のように治療費等の支出と訴訟の準備遂行に伴う多額の費用を
考慮して訴訟救助を付与すべき資力の基準を、国民の一般生活水準を維持するに足
る所得水準よりも高位に求めるべきであるとし、そのプラスアルファの額を大体一
〇〇万円としてきた。しかも、右同種裁判例が出された昭和四七、八年に比し、昭
和四九、五〇年は物価が三〇パーセント以上上昇している。そのうえ本件抗告人ら
の場合は、厖大なコピー代金二〇〇万円以上、鑑定費用患者原告一人につき金四〇
万円以上、外国証人出廷費用金三〇〇万円等多額の経費が必至であり、また弁護士
費用として各原告は金四〇万円をそれぞれ既に支払つており、そのほか東京地裁で
の統一訴訟という方式をとつたため通信連絡費や交通費の支出が莫大であり、また
視力を奪われているため家族が介助を余儀なくされるなど、支出を余儀なくされ、
もしくはされるべき治療費・家族の介助費用・訴訟の準備遂行費用が前記スモン等
の例よりずつと多額である。そして貼用すべき印紙額も遥かに多額である。以上の
事情を考慮するならば、本件の場合のプラスアルファは少なくとも一五〇万円を下
るものではない。第三に、原決定が基準設定に使用した総理府統計局発行「家計調
査報告書」によれば、標準勤労者世帯の実収入といつても、東京などの大都市では
全国平均を年収にして二四万円位上回ることが明らかであるから、大阪東京などに
居住している者については、都会の方が生活費が高いことに徴しても、年収二七〇
万円をもつて一般的生活水準とするべきである。
 三 (一) 本件の本案訴訟につき、抗告人らの勝訴の見込みが高いことは、疎
明資料によつて明らかであり、本案訴訟において勝訴した者は訴訟費用を負担しな
いという原則に鑑みれば、勝訴の可能性が高い場合には、救助についての他の要件
(資力)は相当緩和されるべきである。
 (二) 本件の本案訴訟は薬害の被害者である抗告人らが、加害者でありかつ巨
大な組織と資力そして専門知識を有する相手方らに対して被害の回復を求めて提起
したものである。この事案の性格上、できるかぎり武器対等を保障するという観点
からも、訴訟救助の要件は相当緩和されるべきである。
 (抗告人ら各人の個別的抗告理由)
 一 抗告人G1について
 (一) 右抗告人と配偶者は共稼の形態であり、別個独立に収入を得ているか
ら、一方のみが働いている場合の「実質的には収入は共有」という考え方になじま
ない。
 (二) 右抗告人の妻G2は、二番目の子供を出産したとき育児家事に専念すべ
く勤めを止めようと考えたのであるが、右抗告人が本件被害のクロロキン網膜症に
罹患している事実が判明し、それが進行性であることから、将来右抗告人が勤務を
継続し得なくなることを考慮して、勤めを止めることができなかつた。そして一番
目の子供をそのまま保育園にあずけると共に二番目の子供も零才の時から同所にあ
ずけることを余儀なくされ、勤務を続けた。このように、本件被害に起因して働か
ざるを得ず育児家事をぎせいにして得た収入を単純合算して基準額との多寡を決す
ることは不当である。
 (三) 本件被害に関して、次の出費を強いられている。
 1 子供の保育費二人分昭和四九年度月額六三〇〇円
 2 クロロキン眼障害治療のため漢方薬月額約五〇〇〇円
 3 オプテスコープ(読書器。これは本件被害により読み書き不能となり、テレ
ビ型画像に文字を拡大する機械てありこれでやつと読み書きが可能となる。)の代
金が、昭和四九年七月三一日三〇万円、昭和五一年一月三〇日四〇万円。
 (四) 右抗告人は、現在会社で右オプテスコープを使用して建築関係の外国法
規の翻訳の仕事に従事しているが、本件被害が進行性であることから、この仕事も
長く続け得ず、退職せざるを得なくなる。
 二 抗告人Hについて
 (一) 右抗告人は、昭和四九年九月三〇日退職し、以後クロロキン眼障害のた
め再就職不能で現在に至り、本人の収入は皆無である。なお、右退職は定年後の嘱
託を退いたものであつて、退職金はすでに五五才の定年退職時に支給をうけ、それ
が現在あるわけではない。
 (二) 右抗告人は、長男所有の家屋に住まわせてもらつているので、強いて言
えばその家賃分が経済的援助をうけていることになるが、本件提起当時右長男と同
居していたものの、一緒に食事をする食費として月額五万円を支払い、他は財布は
別であつて生計を一にしていたわけではない。しかも、右長男は当時ヤマハ発動機
株式会社a支店長をしていたが、昭和五一年八月一七日ヤマハ大阪販売株式会社営
業部長に就任し、同月三一日付で大阪府吹田市b町に世帯を移転し、外形的にも両
親である抗告人夫婦とは全く別個独立の生活生計を営むものであることが明瞭とな
つた。右長男夫婦には子供が二人居り、自分達の生活を守るのに精一杯であり、抗
告人夫婦と相互に金銭的援助関係はない。
 (三) 右抗告人の配偶者は、すでに六〇才に近いのであるが、抗告人が働けな
いので看護婦としては高令すぎると言われながらも働きつづけ、それに伴い出費は
食費以外にもかさみ、右配偶者の年収一六〇万円程度の給与により、二人の生活を
維持するのがやつとである。
 (四) 右抗告人は、クロロキン眼障害の治療を以前から受けている済生会病院
に、現在でも月に一回我孫子から東京品川まで通院している。医師は、治療方法が
ないと言いつつも、抗告人の希望をいれて診療をつづけてくれているが、自宅より
駅、駅より病院までタクシーで行くため一回の交通費が二〇〇〇円かかるし、また
医師への謝礼と出費は目に見えないところで出ていくのである。
 三 抗告人A1について
 (一) 原決定が基準設定の基礎とした「家計調査報告書標準勤労者世帯の年間
収入」という統計は、サラリーマンに限らず自家営業者も入つており、自家営業者
の場合の年間収入は売上げ金から経費を控除した額である。ところが、右抗告人の
夫A2は、都立小岩高校勤務のサラリーマンである。サラリーマンの必要経費を算
出することは簡単ではないが、所得税法はこれを一率に認め、それが簡易給与所得
表にもとづく給与所得控除であり、これを控除したものが、自営業の場合の必要経
費を控除した課税対象たる所得に該当するものである。したがつて、右控除をした
場合の抗告人の夫の実収入(昭和四九年度)は、二三〇万一九四六円にすぎない。
 (二) 抗告入の夫は、五年前借家の増改築費として勤務先から四〇万円を借
り、昭和四八年三月にも抗告人の治療費として同様二〇万円を借り、その月賦返済
が毎月差し引かれ、それは年額にして約一〇万円である。また抗告人は現在慢性腎
炎にもかかり鍼灸療法を行ない、一か月に二〇回程その治療をうけているが、それ
だけでも月額四万円となるうえ、それに通う交通費(船橋市c団地から東西線d町
まで)が一回につき四六〇円、月額にして一万円もかかる。更に抗告人の夫も、昭
和四九年秋に肺癌の疑いで入院し、昭和五〇年三月四日肺化膿症で右肺上葉切除の
手術をうけ、同年四月に退院したが、そのため郵便貯金から昭和五〇年二月二五日
に一〇万円、同年五月一日に一七万円を払戻すなど多額の出費がかかり、また手術
時の輸血のためか肝炎にかかり、その治療のため、通院すると共に、抗告人同様鍼
灸療法をうけるため一週間に一回通い、これらの交通費が一回につき二四〇円年間
治療費と共に合計して一〇万円程になる。このほかに、抗告人は順天堂医院の内科
と眼科に通い、その費用が年間約一〇万円かかる。加えて、息子A3は生来虚弱体
質で、同人も毎週土曜日小学校が終つてから鐵灸師に通つている。なお鍼灸の治療
費は一回が二〇〇〇円である。
 四 抗告人B1について
 (一) 抗告人の母B2の収入は、食堂(一杯めし屋)経営によるものである
が、その年間総売上高が三九二万八八五〇円であつて、これから営業経費を控除し
た売上利益は六五万九一五七円にすぎない。
 (二) 抗告人は心臓も悪く、昭和五一年中に手術を受けることになつている
が、その費用概算は三〇万円を超えるといわれている。
 (三) 抗告人の弟は頭脳がよく今春麻布中学校に合格したにもかかわらず、母
親は今後の学費等を考えて無理に同校を諦めさせ、教育大学付属中学に入学させ
た。抗告人らの生活は、このように学費すら心配しなければならない程の実情であ
る。
 五 抗告人Cについて
 (一) 抗告人は板橋区の小学校教員であるから、その給与所得については、抗
告人A1がのべたとおり、サラリーマソとしての必要経費が控除されるべきであ
り、これを控除した場合の同人の年収は一九五万円にすぎない。
 (二) 原決定は、抗告人の資力につき、抗告人の老母(七八才)の遺族年金と
恩給を加算しているが、右老母の収入は月になおすと五万円にしかならず、一人生
活していく為めにも足りない程の額であり、課税の対象にもならず、まさに本人の
生活のためにある僅かな年金を、抗告人の生活費や訴訟費用に流用することを考え
たりすることは、極めて不当である。
 (三) 抗告人の母はかねがね病弱であり、心臓病のための通院、急性気管支炎
のため救急病院への入院、白内障のための入院手術など、抗告人は火の車の家計の
中で同居を希望する母の面倒をみ、これを扶養して来た。しかし、昭和五一年三、
四月抗告人が昼間勤めに出ている間に心不全の発作をおこし、不安となつたので、
やむを得ず抗告人の実兄Q方(明石市ef―g―h)で面倒をみてもらうことにな
り、四月二九日同所に転居し、住民登録も移した。したがつて、抗告人は既に右母
と同居しておらず、抗告人の年収は現在税込みで年収二八〇万円余であるにすぎ
ず、税金等を控除すると、月収の手取りは一二万円余である。
 (四) 抗告人は幾つかの大学病院の眼科で受診治療をうけて来たが、現代医学
ではまだ治療法が確立されておらず、悪化してゆくばかりである。しかし腕をこま
ぬいているわけにゆかず高価な漢方薬を服み鍼灸の治療に通つたが、その治療費、
交通費がかさみ昭和四九年度に半年間、昭和五〇年度に半年間治療しただけで、そ
れを継続することができなくなつた。それ程に生活は苦しい。
 (五) 抗告人は眼が不自由なため普通人のように仕事ができず、そのため同僚
等に仕事をかわつてもらつたり手伝つてもらわざるを得ず、その謝礼も考えなけれ
ばならない。更に眼の不自由を補う一助のテレコやテープや電池などの出費すら年
間二〇万円近くに達する。
 六 抗告人Iについて
 (一) 抗告人は、電々公社の職員であるから、給与所得控除後の実収入は、二
九一万円余である。
 (二) 抗告人が現在の職を続けることができるのは、定年まで考えてもあと
二、三年で、現在の眼の症状からすると、それすらも不確かである。このように不
安定な地位にある者としては、「可処分所得」はこれを挙げて退職後老後にそなえ
なければならず、すでに極端に不自由な生活をしている。
 七 抗告人D1について
 (一) 抗告人は、救助申立書に夫D2の年間収入を推定で記載したが、実際は
二五六万円にしかならなかつた。そしてこれも給与所得であるから給与所得控除を
すると実収入は一七〇万円程度である。
 (二) 抗告人の長女D3は、昭和五一年五月二二日結婚し独立した家計を営ん
でいる。それまでにおいても、抗告人夫婦が娘の結婚準備のために、結納金をはじ
め、タンス、蒲団、和服代等の出費を余儀なくされることはあつても、若い娘の僅
かな収入を親のための費用(生活費や訴訟費用)にあてるため支出できるというよ
うな実態では全くない。
 八 抗告人Jについて
 (一) 抗告人は、昭和五〇年三月から吹田市i町j番k号lに居住し、両親と
同居していないし独立の生活を営んでいる。
 (二) 両親には、抗告人を含めて四人の子が居り、抗告人だけを経済的に援助
するということはできず、実際に抗告人は援助を受けていない。
 (三) 抗告入は、大学卒業時にすでにクロロキン網膜症に罹患していたので、
それを考慮して就職先をきめ、そのため収入も比較的低く、そのうえ現在も日赤眼
科に通院治療をつづけており、生活に余裕はない。
 九 抗告人Kについて
 (一) 抗告人の年収手取り額は、二九〇万円程であり、これで親子四人の生活
をまかなつている。そのうえ、クロロキン網膜症のため保険のきかない鍼の治療に
通い、その出費も相当額に達し、訴訟費用の負担ができる程生活は楽でない。
 (二) 抗告人は、勤務先において現在比較的眼を使わなくてすむ事務職の仕事
をやらせてもらつているが、前記網膜症が進行性であるため、いつまでも勤務が続
けられるか不明である。
 一〇 抗告人E1について
 (一) 抗告人の収入は、昭和五〇年八月から激減している。八月は傷病手当が
付いたから一三万三七六三円を得たが、同年九月以降は七万二〇〇〇円くらいしか
月収がなく、それは昭和五一年二月でも変らず、手取額としては五万二〇〇〇円程
である。(昭和五〇年度所得は一八三万〇九五三円である。)更に抗告人は今まで
入・通院で会社を休んでいたのであるが、昭和五一年五月末日で休職規定が適用さ
れることは、視力の回復見込みがないから確実であり、その時から収入は全くなく
なり、一年後に自然退職となる。
 (二) 原決定は、抗告人と同居の長女、二女、三女の各収入を抗告人の収入に
合算して訴訟救助の許否をきめているが、長女E2は昭和五一年五月にE3と、二
女E4は一〇月にRと結婚の予定であり、また、それまでの右の者らの収入のうち
貯蓄できる分は結婚資金として必要なものである。
 一一 抗告人L1について
 (一) 抗告人の昭和四九年度の収入(税金、社会保険料込みで三一〇万四九一
〇円)は残業賃金を含めた金額であり、昭和五〇年度は勤務先(三菱金属鉱業m製
錬所)の仕事量が減つたため昇給分を含めて右四九年度と同額の収入を得るのがや
つとであつた。
 (二) 抗告人は現在五二才であり、クロロキン被害にあつたのがかなり後年に
なつてからであつたので、おそらく定年(五五才)まで勤務は継続できると思うが
その後の再就職は不可能であり、収入は皆無となる。すでに長男裕二が昭和五〇年
初めに結婚した際、親としてやれるだけのことをやるために費用を出してやつた
が、その負担はかなりになつたし、定年後の生活を考えれば、現時点でも訴訟貼用
印紙代を支払う余裕がない。
 (三) 原決定は、二女L2の収入(八八万四〇二四円)を合算しているが、仕
事に出ればそれだけで出費はかさむものであるし、一人の人間が働きかつ生活して
ゆく上で、右のような収入で余剰が生ずべくもない。
 一二 抗告人Fについて
 (一) 抗告人の夫の昭和四九年度の収入(三〇五万二〇八六円)は、偶々勤務
先会社の親会社が好景気のため仕事が多く回つて来たので、残業の連続の結果得ら
れた収入であり、昭和五〇年度には二七八万五〇二二円の収入しかなかつた。
 (二) 抗告人は、クロロキン眼障害の治療のため漢方療法等をしており、それ
が年額にして約二〇万円から二五万円かかる。更にその目の不自由のため昭和五一
年一月一二日に階段を踏みはずし、足を骨折し、三月現在でも病院に通つており、
その費用も些少とは言えない。
 (三) 抗告人の母は七七才で奈良県の実家の方で寝たきりの生活を送つてお
り、被告人は毎月一万円宛の仕送りをしている。
 一三 抗告人Mについて
 (一) 抗告人夫婦は、岡山トヨタ自動車株式会社に勤めて、共働きをしていた
のであるが、妻は就業規則に定める女子定年により、はるか以前に退職になつてい
たのであるが、抗告人の収入だけではやつてゆけないので、嘱託という形で会社に
残つていた。しかも、それも昭和五〇年一〇月退職を勧告されやむを得ず退職をし
た。ところが、抗告人が昭和五一年五月で定年退職となり、その後は本件眼障害の
ため再就職が無理で、収入も皆無となるので、妻は昭和五〇年一一月から株式会社
クレセントリースに再就職したが、そこでの給与は月額八万円であり、以前の職場
で得ていた収入より少なくなつた。
 (二) 原決定は、抗告人の二女の収入を考慮に入れているが、右二女は自分の
得た収入を家に入れる程の収入はなく、けいこ事その他親の金銭上の援助をうけな
いで独立して自分自身でまかなつてゆくだけで一杯である。
 一四 抗告人Nについて
 (一) 抗告人の家族構成は、抗告人のほか配偶者、子供一人、養母の四名から
成り立つが、その生活のための費用は月額約二二万九二〇〇円(年額約二七五万
円)てある。このうち食費は普通の家庭より多額になるが、それは抗告人が腎臓病
を患つているため低たんぱく高カロリーの食事を取らなければならず、どうしても
食事に金がかかつてしまうからである。また抗告人は現在透析を受けているが、眼
障害のため一人では行けず、タクシーで病院に通わざるを得ず、週三回で月に約二
万五〇〇〇円程かかる。
 (二) 抗告人は青果商を営んでいるが、仕事の性質上品物を識別したり帳簿等
の書類を読まなければやつてゆけないのに、抗告人は眼障害のため自分でそれらの
仕事ができず、そのため家事に専念すべき配偶者に無理して働いてもらつており、
したがつて配偶者の収入はこのような働かざるを得ない労働の結果であり、また市
場におけるせりもそれに参加できる有資格の従業員の助けをかりてやつているもの
の、もしその従業員にやめられれば仕事自体をやめなければならず、このような不
安のもとに毎日の仕事が続けられているのである。このような収入が将来も約束さ
れていない現時点で、抗告人の救助の申立を却下することは不当である。
 一五 抗告人O1について
 (一) 原決定は、抗告人の長男O2の収入を合算しているが、同人は福岡市n
区op丁目qr荘に居住し、抗告人とは別居して独立の生活を送つており、その収
入のすべては自己の生活の資にあてられ、抗告人は現実に同人の援助をうけていな
い。
 (二) 抗告人の現住居は、六畳、三畳、台所、四・五畳しかなく、土地は借地
である。家の建増しもしたいのであるが、それも出来ない経済状態であり、そのた
め前記O2も別居している次第である。
 (三) 抗告人は、クロロキン眼障害のため一人では委託集金という仕事ができ
ず、配偶者の助けがあつて辛うじてこれをなし得ているが、その配偶者の苦労たる
や昼間自分の仕事をし、それを終えてから夜抗告人のために、目が不自由でも一人
で仕事ができるように段取りをしているのである。それは、このようにしなければ
生活してゆけないからであり、このように追いつめられた結果の労働に対する給与
を、訴訟救助決定にあたつての資産に加えることは、結果のみを見てその原因、経
過を考慮しないものであつて、不当である。
 一六 抗告人P1について
 (一) 抗告人の夫P2は医師でその給与収入は年額二四〇万円であるが、慢性
肺不全症という病身のうえノイローゼのため通常の仕事はできず、いわば医師とい
う名義貸料的な収入であつて極めて不安定なものである。更に、これには必要経費
が含まれているから、給与所得控除をすれば、一六五万円にしかならない。
 (二) 原決定は、長男Sの収入を抗告人の経済事情として考慮したが、当時か
ら長男の収入は抗告人の家計の助けとはなつていなかつた。しかも、長男は昭和五
一年三月三一日結婚し別居しているから、同人の収入を抗告人の経済事情に加味す
べきではない。
 (三) 抗告人自身は、病院で人工透析をうけているため、家事が殆んどでき
ず、御手伝いを頼む等一般家庭では考えられない出費がかさみ、したがつて現実の
生活は食べて抗告人の医療費を支払うのが精一杯である。
 第三 疎明(省略)
 第四 当裁判所の判断
 一 「勝訴の見込なきに非さるとき」の要件について
 抗告人らの請求に関する「勝訴の見込なきに非さるとき」との要件についての当
裁判所の判断は、原決定理由中の該当部分の判断と同旨であるから、これを引用す
る。
 二 「訴訟費用を支払う資力がない」との要件について
 <要旨第一>(一) 現行民訴法一一八条にいう「訴訟費用を支払う資力がない
者」というのは、その立法の経緯に徴しても、自然人に関する限り、旧
民訴法九一条に規定した「何人を問はす自己及ひ其家族の必要なる生活を害するに
非されは訴訟費用を出すこと能はさる者」と同義同趣旨であつて、右にいう「必要
なる生活」とは、当事者の身分相応の生活を意味するものでもなければ、人間とし
て生存を維持するに足る最低限度の生活を指すものでもなく、その中間に位置する
生活が考慮されているのであつて、換言すれば、「必要な生活が害せられる」とは
当該社会において一般人としての通常の生活をすることが妨げられることであると
解するのが相当である。
 そして、訴訟を提起し追行するにあたつては、当事者は、事件の内容性質に応じ
て、浅定訴訟費用のほかにも様々の準備調査の費用、弁護士費用その他訴訟追行に
附随する諸費用を一定期間内に支出することが必要となることがあることは当然で
あつて、その支出が訴訟費用支弁のための経済力に影響を及ぼすことは明瞭であ
る。したがつて裁判所が当事者に法定訴訟費用を支払う資力があるかどうか判定す
るにあたり、法定訴訟費用のほかに右の意味で必要な諸費用についても、おおよそ
どの程度のものが必要とされるかを考慮せざるを得ないことは、理の当然であると
いわなければならない。
 以上の見地にたつて本件をみるに、原決定が、総理府統計局発行の「家計調査報
告書」に基き我が国の標準勤労者世帯(世帯人員三・八三人)の平均実収入(年間
約二四七万円)を求め、この程度の年収額による生活をもつて我が国の一般的生活
水準と認め、更に本案の性質内容に鑑みて抗告人らが現在もなおクロロキン網膜症
の治療費の支出及び該症による特別な生活支出を余儀なくさせられていること並び
に本案追行に要する費用を考慮して、原則として同居の家族四人までの世帯につき
年収合計金三〇〇万円程度をもつて一般的合理的基準とし、右金額以下の場合には
訴訟上の救助を付与することとしたのは、本件の全疏明に徴しまことに相当である
と言わなければならない。
 抗告人らは、右治療費の支出や特別な生活支出が多額に達し、更に弁護士費用四
〇万円の支出や鑑定費用外国証人出廷費用等を考慮すると、右の基準の三〇〇万円
は低きに失し、少なくとも四〇〇万円程度まで基準をひき上げるべきであると主張
するが、疏甲第七二号証、第八六、八七号証その他記録の全趣旨に徴すれば、本案
の原告数は抗告人らを含めて二三一名に達するから外国証人出廷の費用など原告ら
に共通に要する費用は、全員においてこれを分担すれば、各人の負担部分はさほど
高額に達するとも思われず、各人の弁護士費用の支払も或程度分割支払が可能と認
められ、また本案においては因果関係よりも責任問題に審理の重点があると認めら
れることに徴すれば、各抗告人毎の医学的鑑定が必要不可欠なものであるとのこと
については疏明が十分でなく、そのほか各人毎の日常の治療費や生活上の特別支出
が平均以上に多額であるような特別な事情は、個別的具体的な事情として特別な疏
明をまつてこれを審査すれば足りる問題であり、その点に関する判断は後記判示の
とおりであつて、したがつてそのような個別的な特別の事情は別として、「原則
的」一般的合理的基準としては、原決定の定めた三〇〇万円の基準が低きに失する
ものとは考えられない。
 また抗告人らは、都市生活着の場合或いは給与生活者の場合に年収二四七万円の
程度をもつて一般的生活水準と定めることは低きに失すると主張するが、原決定が
基礎にした資料は、給与所得を主たる収入源とする勤労者世帯に関する統計であ
り、また住所が全国的に散在する多数の訴訟救助申立人らに対し共通の原則的一般
的な基準設定をするためには、全国平均の統計に依拠するのが合理的であるから、
右抗告人らの非難はあたらない。(ちなみに、原決定が用いた資料に基いて人口五
万以上の都市の勤労者世帯の一か月平均実収入を調べて、これを全国平均のそれと
比較した場合、前者が僅かに三五〇七円上まわるにすぎない。)
 <要旨第二>(二) 次に、資力の判定につき家族の収入を合算することの問題で
あるが、前述のように民訴法一一八条の解釈上無資力とは自己及び其の
家族の生活を害するのでなければ訴訟費用を支払うことができない状態を意味する
と解せられるから、もしも其の自己及び家族の生活が自己及び家族の収入によつて
維持されている場合には、当然その生計維持の全収入を合算すべきである。したが
つて、当事者とその配偶者とが共に収入を得ているときは、特別の例外的事情の認
められない限り、民法七五二条の法意や我が国における夫婦一般の生活実態に照ら
しても、その各収入の全額を合算して資力を考えるべきであるし、その余の家族に
おいて従来から家族全員の生活維持に拠出していた金額は、本人の収入と合算され
るべきである。
 しかしながら、右にのべた以外の形態の家族の収入は、当事者本人の資力とは言
えないから、これを単純に機械的に本人の収入に合算してそれを本人の資力とする
ことは、正当ではない。しかし、さりとて常に合算すべきでないというのではな
く、そのような形態の家族の収入でも、なお本人の収入と合算することが至当な場
合が少なくない。
 先ず第一に本人の資力とは、有形の財力ばかりでなく、無形の経済的信用力をも
包含すると解すべきであり、家族に経済的余力がある場合には、本人においてその
融通をうけ得る可能性の基盤が客観的に存在するから、そのような場合には、本人
の信用として右家族の経済的余力は本人の収入と合算すべきである。
 また次に、収入ある家族に必ずしも右の意味の経済的余力があるとはいえないよ
うな場合であつても、例えば訴訟の共同当事者となつている等訴訟の結果につき本
人と共同の利害関係を有している場合には、相互に一致協力して訴訟追行するのが
当然であるから、その意味で互いに訴訟費用支弁の資力の不足を融通し合う可能性
の基盤が客観的に存在し、したがつてこの場合にも本人の信用として右家族の収入
を加えて本人の資力を考量すべきである。そして、右に述べた本人の信用として家
族の有している資産収入を考慮する場合には、事柄の性質上当該家族が本人と同居
しているか否か、生計を一にしているか否かによつて、その結論を左右すべきでは
ない。
 以上の見解のもとに本件を検討すると、原決定が、抗告人G1、同M、同N、同
O1の各場合に各夫婦の収入を合算し、また、抗告人H、同A1、同D1、同F、
同P1の各場合にそれぞれ配偶者の収入を資力として考慮したこと自体は正当であ
る。更に原決定が、抗告人Hの場合に長男の収入を、同B1の場合に母の収入を、
同Cの場合に母の収入を、同D1の場合に長女の収入を、同Jの場合に父の収入
を、同E1の場合に長女、二女、三女の各収入を、同L1の場合に二女の収入を、
同Mの場合に二女の収入を、同O1の場合に長男の収入を、同P1の場合に長男の
収入を、それぞれ合算していることも、疏甲第七二号証によれば、以上に掲げた各
家族がいずれも抗告人らと共に本案の共同原告となつて慰籍料等を請求しているも
のであることが認められることに徴し、それ自体は正当としてこれを肯認すべきで
ある。
 結局本件においては、家族の収入の合算はすべて肯定されるのであるが、それを
前提として各抗告人らが、それぞれその請求の訴額に応じ納付すべき民事訴訟費用
等に関する法律第三条所定の手数料を納付するについて無資力の要件を具備してい
るかどうかについて検討をすすめる。
 1 抗告人B1の場合、疏甲第二〇号証の一ないし九によれば、同抗告人は無職
てあり、その家族で収入のあるのは同人の母のみであるところ、その営業収入から
必要経費を差引いた所得は、昭和四九年度で六五万九一五七円であり、昭和五〇年
度も同程度に過ぎず、したがつて同抗告人が本案の訴状に印紙として貼付すべき手
数料(以下単に手数料という)五四万六四〇〇円を納付するについては、同抗告人
は明らかに無資力であると認められる。
 2 抗告人A1の場合、疏甲第一七号証の一ないし二一によれば、同抗告人の夫
は四三才で高等学校の事務長として年間三二〇万円余の給与を得ているものの、か
ねて居宅改築費及び抗告人の治療費として勤務先から借り入れた金員の月賦返済が
給与から差し引かれ、その額は年に約一〇万円であること、更に同人は昭和四九年
秋に肺上葉切除手術をうけて預貯金をつかい果たし、余後の血清肝炎治療のため年
間少なくとも一〇万円を要し、また抗告人自身もクロロキンによる眼障害のほかに
慢性腎炎に罹患し、それらの治療のために月額約五万円に及ぶ治療費及び交通費を
要し、そのほか長男一一才が虚弱体質のため費用がかかるなどの事情にあつて、実
情は経済的に全く余裕のない生活状態にあることが認められ、したがつて同抗告人
が手数料四三万四四〇〇円を納付するについては、同抗告人は無資力であると認め
られる。
 3 抗告人Cの場合、疏甲第三一号証の一ないし一六によれば、同抗告人は小学
校教員として勤務し、その給与所得は約二八〇万円であり、たまたま本案提起当時
頃まで同居しその後抗告人の兄方に引取られた七八才の母の遺族年金年額約三六万
円、恩給年額約一五万円を加えて前述の基準である三〇〇万円を超えるのである
が、右老母はかねがね病弱であつて持病の発作を伴なう心臓病のための通院、急性
気管支炎のための入院、白内障のための入院手術をするなど、同女の収入は、同女
自身の肉体と精神維持のために必要不可欠のものであつて、その目的のためだけに
費消され、他方抗告人自身眼障害により治療費交通費がかさむほか、教員としての
仕事上試験問題や各種資料の作成、答案採点等眼をつかわねばならない仕事や、本
来筆記しなければならない仕事が少なくなく、これらの仕事を遂行する上で眼の不
自由を補うため他人の補助を仰いだり、他の教員以上に録音テープ等電気器具を使
用せねばならず、それらの費用だけでも年間二〇万円近くに達し、その生活は経済
的に余裕がないことが認められ、したがつて同抗告人が手数料四〇万〇九〇〇円を
納付するについては、同抗告人は無資力であると認められる。
 4 抗告人D1の場合、疏甲第三六号証の一ないし八、九の(一)ないし
(三)、一〇によれば、抗告人は全くの無職無収入であり、家族の中で夫と長女と
が収入を得ているが、夫は既に一たん定年退職し、そのときの退職金はすべて自宅
を建築した際の借入金の返済に充てられ、現在の収入は再就職によるものであるが
税込みで年間約二五〇万円程度に過ぎず、現在大学に在学中の長男の教育関係費と
して毎月三万五〇〇〇円、八〇才の実母の生活費の仕送りとして毎月二万円を要
し、他方長女は昭和五一年に入つてから結婚独立し、年間一七二万円程の収入は、
挙げてその結婚前後の諸費用の支出及び結婚後の生活費に向けられ、家族全部の実
際の生活維持は全く右夫の収入にのみ依存しており、抗告人の眼障害治療のための
通院交通費も毎月八〇〇〇円はかかるなど、同抗告人方では苦しい家計をやりくり
している実情にあり、したがつて同抗告人が手数料三七万五九〇〇円を納付するに
ついては、同抗告人は無資力であると認められる。
 5 抗告人E1の場合、疏甲第四四号証の一ないし二二によると、同抗告人の収
入は給与所得が昭和五〇年度には一八三万円程であるが、それは同年上半期に特別
の手当がついたからであつて、本案提起当時の収入は月額約七万二〇〇〇円(諸控
除を差し引くと月額約五万二〇〇〇円)程にすぎず、それも重度の眼障害等のため
近く退職が見込まれており、同人の家族構成は妻と三女一男の六人世帯であり、そ
のうち長女が手取月額約七万円、二女が手取月額約六万円、三女が手取月額約五万
六〇〇〇円の各収入を得ているが、右長女、二女は結婚相手もきまつて近く挙式結
婚の予定であつて各人の収入はその結婚資金にあてなければならない実情にあり、
そのほか同抗告人は眼障害のほかに多発性神経炎、白血球減少症のため本案提起当
時二か月間の入院治療中であつて、その後も通院加療を要し軽労働に耐える程度に
すぎず、現在以上の収入を得る見込みはなく、生活は全く窮屈て経済的には前途暗
澹たるものがあることが認められ、したがつて同抗告人が手数料三四万九四〇〇円
を納付するについては、同抗告人は無資力であると認められる。
 6 抗告人Fの場合、疏甲第四九号証の一ないし八によれば、同抗告人は無職無
収入であり、夫及び長女と三人世帯で夫のみが収入を得ているか、夫の勤務先会社
の好況時代はおわり、夫の昭和五〇年度の収入は二七八万円程にすぎず、その他抗
告人が当審で主張する各事実が認められ、したがつて同抗告人か手数料四〇万〇九
〇〇円を納付するについては、同抗告人は無資力であると認められる。
 7 その余の各抗告人については、各提出の疏明資料によれば、原決定認定の各
本人ないし家族の各収入が認められるので、当審における各抗告人主張の各事情を
掛酌しても、いまだ右抗告人らが手数料二八万二四〇〇円ないし五〇万七四〇〇円
の手数料を納付することができない程に無資力であると認めることはできない。
 三 結 論
 よつて、抗告人A1、同B1、同C、同D1、同E1、同Fについては、その救
助の申立にかかる民事訴訟費用等に関する法律第三条による手数料の納付につき訴
訟上の救助を付与すべきであるから、同抗告人らの抗告は理由があり、原決定中右
抗告人らに関する部分はこれを取消して、右訴訟上の救助を付与するものとし、他
方その余の抗告人らの抗告はすべて理由がないからこれを棄却するものとし、主文
のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 菅野啓藏 裁判官 舘忠彦 裁判官 安井章)

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