弁護士法人ITJ法律事務所

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平成17年1月13日宣告
平成15年(わ)第1600号 民事再生法違反被告事件
判決
主文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数のうち90日をその刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(犯罪事実)
被告人は,投資顧問等を業とする株式会社Aの取締役として同社を実質的に経営す
るとともに,平成14年2月ころから同年7月ころまでの間,愛知県豊橋市a町b番地に本
店を置き,ホテル経営等を業とする株式会社B及び同所に本店を置き,不動産賃貸等を
業とする株式会社Cの各代表取締役として両社の業務全般を統括していたものである
が,平成14年5月20日,東京地方裁判所において,上記B及び上記Cにつき,民事再
生手続開始の決定をし,同年6月14日,同決定は確定したところ
第1 自己及び上記Aの利益を図る目的で
 1 上記Bにつき,近く民事再生手続開始の申立てをなすことを予定しておきながら,
同年3月26日ころ,上記Bが経営する同所所在のホテルD総支配人室において,
同ホテル総支配人Eに対し,自己らの用途に費消するため,東京都千代田区c町
d丁目e番地所在の株式会社F1銀行c町支店仮営業所に開設された株式会社A名
義の普通預金口座に上記Bに帰属する2000万円を振込送金するよう指示した
上,同月27日,その指示どおりに2000万円を同口座に振込送金させ,もって上
記Bの財産を債権者の不利益に処分し
 2 上記のとおり,上記Bにつき民事再生手続開始の決定があったことを知りながら,
同年6月4日ころ,上記総支配人室において,上記Eに対し,自己らの用途に費消
するため,同都渋谷区fg丁目h番i号所在の株式会社F2銀行j支店に開設されたホ
テルD代表G名義の普通預金口座に上記Bに帰属する600万円を振込送金する
よう指示した上,同月6日,その指示どおりに600万円を同口座に振込送金させ,
もって,上記Bの財産を債権者の不利益に処分し
第2 公認会計士として経営コンサルタント等を業とするとともに,不動産の販売等を業
とする株式会社Hの代表取締役として同社の業務全般を統括していた分離前相被
告人Iと共謀の上,上記のとおり,上記Cにつき民事再生手続開始の決定があった
ことを知りながら,自己及び上記I並びに上記A及び上記Hの利益を図る目的で,同
月26日ころ,上記Cの従業員Jに電話をかけ,自己らの用途に費消するため,同
区kl丁目m番n号所在の株式会社F2銀行o支店に開設された株式会社HK名義の
普通預金口座に上記Cに帰属する3500万円を振込送金するよう指示した上,同
日その指示どおりに3500万円を同口座に振込送金させ,もって上記Cの財産を
債権者の不利益に処分し
たものである。
(証拠)(省略)
(事実認定の補足説明)
第1 弁護人は,第1の各事案は,被告人が当時代表取締役を務めていた株式会社B
(以下「B」という)等の役員報酬及び活動経費として,第2の事案は,当時B等の経
営再建等のために活動していたI(以下「I」という)に対する報酬として,それぞれ被
告人が指示して振込送金させたもので,被告人に債権者の不利益に処分するとい
う意思はなく,客観的にも本件各振込送金に係る財産は被告人らの報酬,必要経
費等として評価されるものであるから,被告人は無罪である旨主張する。そこで,
以下補足して説明する。
第2 関係証拠によれば,以下の事実が認められる。
 1 再生債務者及びその経営状況
(1) L株式会社(以下「L」という),上記B及び株式会社C(以下「C」という)は,いず
れも愛知県豊橋市内に本店を置き,亡M(以下「M」という)が実質的に経営を統
括していた株式会社であり(以下,上記三社を総称して「N三社」という),Lは,B
等同族会社の株式を保有するなどし,Bは,豊橋市a町内にある複合商業施設O
(以下「O」という)内のホテルDを経営するなどし,Cは,O内のP(以下「P」とい
う),映画館Q等のテナントからの賃料収入を得るなどし,平成12年ころには,N
三社ほか関連会社全体で年間合計十数億円の収入を得ていた。
(2) N三社は,Oの運営や京都市内における美術館の設立,運営などのため,F3
銀行,F4銀行(当時)などの金融機関等から融資を受けて多額の負債を抱える
ようになり(以下,N三社に融資を行った金融機関を総称して「金融機関」とい
う),Mが死去した平成12年4月ころには,総額約400億円を超える負債を抱え
るに至った。このころから,F4銀行p支店支店長R(当時,以下「R」という)らは,
Mの死後N三社の経営を引き継いだMの弟S(以下「S」という)に対し,破産等
の法的手続をとるよう促すようになった。
(3) その後,Sは,京都府内の同族会社等との経営統合やO各施設の一括売却に
よるN三社の経営立て直しを図ったが,平成13年11月ころまでに,同族会社や
一部債権者の反対によりいずれの計画も頓挫し,Rらから民事再生法等による
処理を決断するよう迫られる事態となった。
 2 被告人らによる経営統括
(1) Sは,同月ころ,かねて会社整理等に長けた人物として紹介されていたIに,破
産等の法的手続を回避するためOの施設の任意売却を仲介してほしい旨相談し
たところ,Iは,同人が経営する株式会社H(以下「H」という)が,スポンサーを見
つけてN三社から不動産を安く買い取った上,金融機関からN三社に対する債
権を買い取って放棄し,上記不動産を高値で転売して利益を得る方法を提案し,
同年12月ころ,同提案に賛成したSに対し,スポンサーに株式会社A(以下「A」
という)が決まったことを伝えるとともに,同社の取締役で実質的経営者でもある
被告人を紹介した(以下,被告人及びIを総称して「被告人ら」という)。
(2) Sは,同月10日,金融機関からの債権買取りを条件として,N三社ほか同族
会社1社が所有するOや京都市内の美術館等の土地建物を合計2円でHに売
却し,同月中旬ころ,金融機関に対し,交渉相手として被告人らを紹介した。しか
し,平成14年1月ころ,金融機関の一部がOのテナントに対する賃料債権を差し
押さえ,Pも,Cに対する貸金債権とテナント賃料債務とを相殺し,賃料を支払わ
ない旨通告してきたため,Sは,被告人らに対応方を相談し,同月27日,Mから
相続するなどして保有していたLほか同族会社数社の株式全部を1株1円でAに
譲渡して,Aが,Lの筆頭株主となって,同社の持ち株を通じてN三社の意思決
定権を事実上得るとともに,同年2月5日,被告人がN三社の代表取締役に就任
することが取締役会において決議された。なお,同取締役会においては,被告人
のほか,新たに就任した他の取締役について役員報酬は定められなかった。
3 第1の1の振込送金
(1) 被告人らは,N三社等の債権者である金融機関に足を運ぶなどして債権カット
や賃料差押えの解除を求め,同月13日,金融機関の担当者らを集めて債権者
説明会を行い,N三社等が保有する施設の閉鎖や民事再生手続を視野に入れ
ている旨示唆するなどし,その後も同様の要求を続けたが,金融機関は被告人
らの求めに応じず,N三社の資金繰りは改善されなかった。
(2) 平成13年10月から,ホテルDからBに毎月1000万円の資金移動がなされて
いたところ,被告人は,平成14年3月26日ころ,同ホテル総支配人E(以下「E」
という)に対し,4月分を前倒しにしてほしい,裁判のための弁護士費用が必要で
あるなどと説明し,Bに帰属する2000万円を被告人の指示でA名義の銀行預
金口座に振込送金するよう指示した。
(3) 翌27日,被告人の上記指示どおり,ホテルDから上記A名義の普通預金口座
に2000万円が振り込まれ(以下「第1の1の振込送金」という),被告人は,同月
28日,上記A名義の口座から合計499万円を引き出してIに手渡し,同年4月2
日から同月5日にかけて,同口座から合計1486万円あまりを引き出し又は振
込送金して自己の滞納家賃や借金の返済等個人的用途に充て,同月9日に同
口座から10万円を引き出して自己名義の銀行預金口座に入金した。
(4) Bは,同年3月末時点で59億4000万円あまりの債務超過であった。
 4 第1の2の振込送金
(1) 同年5月13日,被告人らからの依頼を受けたTほか5名の弁護士が東京地方
裁判所にN三社の民事再生手続開始の申立てを行い,同裁判所は,同月20
日,N三社について民事再生手続開始決定をした(同年6月14日確定)。同申立
てについては,同年5月14日,弁護士U(以下「U」という)が申立人代理人に加
わった。
(2) 被告人は,同年6月4日ころ,Eに対し,弁護士費用が必要であるなどと言って
ホテルDからBに支払われる2000万円をホテルD代表G名義の銀行預金口座
に振込送金するよう指示し,Eが2000万円は無理である旨述べてこれを拒絶し
たところ,600万円でいいからなどと言って振込送金を指示した。同月6日,被告
人の指示どおり,600万円が上記普通預金口座に振込送金された(以下「第1
の2の振込送金」という)。
(3) 被告人は,同日,上記ホテルD代表G名義口座から600万円を引き出し,59
9万円あまりを,クレジットカード会社への自己債務の支払,長女の学費の支
払,借金や滞納家賃の返済などの個人的用途に充てた。
(4) Bは,同年5月末時点で60億7000万円あまり,同年6月末時点で61億500
0万円あまりの債務超過であった。
 5 架空領収証の差入れ
(1) 被告人は,同年6月ころ,Eに対し,建物修繕費,技術管理委託費等,架空の
取引を名目とした合計2000万円分の3枚の領収証を手渡した上,「専門家が見
ればわかりますよ。」などと指摘したEに対し,またいずれ現金で返すなどと返答
した。
(2) 被告人は,その後,外壁修繕のための調査費などとする架空の取引を名目と
した合計600万円分の2枚の領収証を用意し,Bにこれを差し入れた。
 6 第2の振込送金
(1) Pは,同年1月以降,Cに対する賃料債務と同社に対する貸金債権との相殺を
主張し,毎月約5600万円の賃料の支払を拒絶してきたが,上記N三社に対す
る民事再生手続開始決定があったことを受け,賃料相殺を行わずにCに対する
賃料の支払を再開することにし,同年6月26日,Cに対し賃料として約5600万
円を支払った(以下「賃料相殺解除」という)。
(2) 同日,被告人は,Cの経理担当者であるJ(以下「J」という)に対し,東京の方で
弁護士費用が必要であるなどと説明し,犯罪事実第2記載のとおり,Cに帰属す
る3500万円をHK名義の銀行預金口座に振込送金するよう指示し,同日,35
00万円が同口座に振り込まれた(以下「第2の振込送金」という)。
(3) 同日,上記H名義の口座から,上記A名義の口座に1100万円が振込送金さ
れ,同日から同月28日にかけて,被告人は,同口座から合計1100万円を引き
出し,うち771万円あまりを,クレジットカード会社への支払や当時交際中の女
性の生活費等に充てた。
(4) 被告人は,同年7月1日午後2時から3時の間,公認会計士事務所で行われた
面談において,上記3500万円の使途を尋ねた公認会計士Vに対し,Iを通じて
会計ソフトやLANシステムの構築費用に支払われていると思う旨回答した。
(5) Cは,同年6月末時点で133億7000万円あまりの債務超過であった。
第3 被告人の捜査段階における供述について
1 被告人は,検察官に対する取調べにおいて,以下のとおり供述する。
(1) 第1の1,2の振込送金について
 「Aの事務所や妻子が居住するマンション等の家賃を滞納し,クレジットカードの
支払もしなければならなかったため,ホテルDのお金を個人的に使うことにした。
しかし,上記事情を説明してもEが従うはずがなかったので,当時W(Lの債権
者)やSの親族と裁判をしていたこともあり,弁護士費用が必要だなどともっとも
らしい嘘をついて送金を指示した。上記裁判は,ホテルDやBには直接関係がな
く,ホテルDがその弁護士費用を支払う法律的な理由はなかった。平成14年6
月6日の送金指示の際は,Eに2000万円送金してほしいと指示したが,同人が
2000万円は無理だと言ったので,600万円でいいからなどと言って送金を指
示した。」
 「2000万円については,Iに電話し,『そっちにもお金を回しましょうか。』などと言
ったところ,Iが,『うちの会社の経費の支払が苦しいので,私の方にも500万円
位回してもらえますか。』などと頼んできたので,合計499万円を引き出して喫茶
店でIに手渡した。」
(2) 第2の振込送金について
 「IがNグループのお金が欲しいと言い出し,私も,時計を質入れしたり交際中の
女性の生活費を入れてやれないなど,お金に困っていたので,Pが同年6月26
日に賃料等約5600万円を入金することを知っていたことから,資金繰り上困ら
ない範囲できりのいい3500万円を手に入れようと思い,Iに1100万円回しても
らう約束をして,Jに,弁護士費用とかいろいろ必要だなどと嘘を言って送金を指
示した。」
2 被告人の上記供述内容は,被告人が各送金を指示した動機や,送金を指示した
際に使途と異なる説明をした理由,送金された金員をIと分け合い,費消した状況
等について具体的に説明しており,E等関係者の供述内容とも符合し,架空の領収
証を差し入れたことなど,上記証拠により認められる事実に照らしても合理的で,
信用できる。
  これに対し,被告人及び弁護人は,上記各供述は,寝不足等の体調不良のもと,
検察官から怒号するなどの威圧的な取調べを連日受けた結果作成されたもので,
信用できない旨主張する。しかし,上記供述内容は,逮捕日の2日後である平成1
5年6月13日から首尾一貫している上,上記各供述に係る各検察官調書には被告
人の署名,指印があること,同検察官調書は同月15日から同月30日にかけて作
成されているところ,同月12,13,14日に当時の弁護人が被告人と面会していた
ことが認められ,被告人も,あらかじめ接見した弁護人から意に反する内容の調書
の署名を拒否できる旨助言を受けていたことを公判廷で認めていること,被告人作
成の取調状況に関するメモに上記体調不良を窺わせる記載がないことなども併せ
考えると,被告人の取調状況に関し,捜査段階における供述の任意性,信用性を
疑わせるような事情はないと認められる。被告人及び弁護人の主張は採用できな
い。
3 したがって,上記被告人の検察官調書における供述等により,被告人は,犯罪事
実各記載の目的で,再生債権者を害することを知りながら上記各振込送金を指示
した事実が認定できる。
第4 被告人の弁解等
1 被告人は,当公判廷において,第1の1の振込送金(2000万円)は,Iが立て替え
たN三社に関する訴訟の弁護士費用500万円と,被告人の平成14年2月ないし6
月分のN三社等の役員報酬1500万円を合わせたもの,第1の2の振込送金(60
0万円)は,被告人のN三社等の2か月分の役員報酬,第2の振込送金(3500万
円)は,Pの賃料相殺解除等に関するIへの報酬と各認識していたのであって,第1
の2と第2の各振込送金については,Uから支払の承諾も得ており,再生債権者を
害する意思はなかった旨供述する。
  しかし,同供述内容は,被告人が,各送金指示の際,EやJに対して被告人らの報
酬である旨説明していないこと,その後,第1の1,2の振込送金について被告人の
上記弁解とさえも異なる名目の架空の領収証が差し入れられ,3500万円につい
ても被告人が公認会計士に異なった趣旨の説明をしていること,N三社の役員報
酬について定めがなく,被告人とともにN三社等の取締役として活動していたX,Y
について,Xが仮払金の名目で数十万円受領した以外に両名とも役員報酬を受け
取っていないことなどに照らして不自然,不合理である上,金額の特定に関する被
告人の説明も,第1の1の送金については,役員報酬の3か月分の先取りをも含む
とする不可解なもので,第1の2の600万円については,当初Eに第1の1と同様2
000万円の送金を指示していたことと符合せず,第2の3500万円についても,賃
料相殺解除に対する報酬部分と説明しながら他の事務の報酬部分も含むなどと供
述が変転している。Uから承諾を得ていたとの点も,600万円については,「Uから
N三社等の間の資金の移動や経理について注意を受けた際,同人に額を示さない
まま報酬をとってよいか尋ねたところ,同人が,『うまく取ってくれ。』などと答えた。」
とし,3500万円についても,「事前にUから承諾を得た旨Iに聞かされており,振込
送金後も,Uは同金員は共益債権である旨述べながら,『もう幕引きだ。』などと言
って元に戻すよう指示した。」とするもので,その内容自体不合理である上,EやJ
への送金指示の際その旨説明していないことからも不自然で,Uの公判供述及び
被告人の検察官調書の内容にも反する。
  このように,被告人の上記弁解は不自然,不合理であって,客観的状況や信用で
きる証言内容とも符合せず,到底信用できない。
2 なお,被告人は,当公判廷において,第1の1の振込送金を指示した当時,民事
再生手続を申し立てるつもりはなかった旨供述し,弁護人も,これに沿って第1の1
の当時被告人に犯意はなかった旨主張するが,同供述内容は,平成14年3月6日
ころには,同月末までに会社施設を売却して民事再生手続申立てをする考えであ
った旨の捜査段階の供述,平成14年3月4日ころ,被告人が民事再生手続で行く
よりないとの心証を持つに至り,同月6日ころに民事再生手続への協力を債権者に
要請したとする旨のI作成に係る書面(被告人任意提出に係るファイル中の「経緯」
と題するもの)の記載とも反するもので,信用できない。
3 また,弁護人は,被告人らはSからN三社等の資産を譲り受けて以来自費で経費
等を支出し,賃料相殺解除を実現することなどによってN三社等の再建に尽力した
のであるから,本件各振込送金に係る金員は客観的に正当な報酬に当たり,民事
再生法違反には当たらない旨主張する。しかし,上記のとおり,被告人らとN三社と
の間の役員報酬の定め,IとCとの間の賃料相殺解除に関する報酬の定めがいず
れもないことに加え,Pの担当者Zが,賃料相殺解除は経営判断であってIの要望を
受け入れたわけではない旨述べるなど,証拠上,Iの活動により賃料相殺解除がな
されたとはいえないこと,上記N三社に関する不動産や株式の売買契約の内容,
関係者の供述内容等に照らして,被告人らが,N三社の経営や事務処理に対する
報酬ではなく,その保有する資産の転売利益から経費分を含む収入を得ようとして
いたことが明らかであることなどに鑑みれば,本件において,各振込送金を被告人
らの報酬相当分として正当化する根拠はなく,上記弁護人の主張は採用できない。
(法令の適用)
罰 条
第1の1,2       それぞれ平成14年法律第45号による改正前の民事再生
法246条2項,1項1号
第2           刑法60条,平成14年法律第45号による改正前の民事再生
法246条2項,1項1号
刑種の選択         いずれも懲役刑
併合罪の処理        刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い第2
の罪の刑に法定の加重をする。)
未決勾留日数の算入     刑法21条
訴訟費用          刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は,被告人が,代表取締役を務めていた株式会社B及び同Cから,民事再生手
続開始決定確定の前後に,3回にわたり,両社に帰属する合計6100万円を,自己らの
利益を図る目的で,被告人経営会社名義の口座等に振り込ませて,再生会社の財産を
債権者の不利益に処分した事案であって,債権者の協力を得て債務者の事業の再生を
図ることを目的とする民事再生の制度を悪用した悪質な犯罪である。
被告人は,上記両社の代表取締役の地位にあることを利用して上記各犯行に及び,
犯行後も,架空の領収証を差し入れたり公認会計士に虚偽の弁解をするなどして犯行
を隠蔽しようとしたものであり,自ら各振込送金を指示し,多額の財産を取得している
上,上記のとおり弁解して各犯行を否認し,被害弁償を一切しておらず,犯情が悪い。
被告人は,上記両社が資金繰りに窮していた状況を知りながら,滞納家賃やキャッシュ
カードの支払等私利私欲のために本件犯行に及んだもので,その動機は身勝手という
ほかなく,本来債権者の利益のために管理されるべき財産を逸出させたばかりか,ひい
てはその後の民事再生手続の廃止をも招き,上記両社の再建を混乱させ,債権者の利
益を害したもので,その責任は大きい。
しかしながら,第2の犯行は上記Iがもちかけたものであること,被告人が被害合計金
額の半分程度につき被害弁償の意思を示していること,前科がないことなど,酌むべき
事情も認められる。
そこで,以上の諸事情を総合考慮し,主文のとおり判決することとする。
(求刑-懲役4年)
平成17年1月20日
名古屋地方裁判所刑事第3部
裁判長裁判官  片  山  俊  雄
裁判官  森  島     聡
裁判官  小  松  秀  大

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