弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を取消す
     被控訴人の請求を棄却する
     訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め。
 当事者双方の事実上の陳述は、原判決の事実摘示と同一であるから、ここにこれ
を引用する。
 証拠として、被控訴代理人は甲第一乃至第四号証を提出し、原審証人A、B、当
審証人Cの各証言を援用し、控訴代理人は当審証人B並に原審及び当審おける控訴
本人の各供述を援用し、甲第一号証中控訴人名下の印影の成立を認めるが、その全
の部分は不知、その余の甲号各証の成立並に甲第一乃至第三号証の原本の存在はこ
れを認めると述べた。
         理    由
 原判決添付の別紙目録記載の不動産が控訴人の所有であることは当事者間に争が
ない。そして、原審及び当審の証人Bの証言と抵当権設定契約に関する部分を除く
その余の部分につき同証言により真正に成立したと認める甲第一号証並に原審証人
A、Dの各証言を綜合すると、被控訴会社は訴外Bに対し薪炭売掛代金六十八万七
千七百四十八円の債権をもつていたが、昭和二十五年一月十二日右訴外人と右債権
を目的として、弁済期は同年三月三十一日、利息及び期限後の遅延損害金はいずれ
も百円につき一日三銭の定で準消費貸借契約を締結し、訴外E、Fが右債務の保証
をしたこと、その際Bが控訴人の代理人と称して右債務の担保として控訴人所有の
前記不動産につを抵当権設定契約をしたことを認めることができる。
 そこでBが右抵当権設定契約につき控訴人を代理する権限があつたかどうかにつ
き判断するに、被控訴人の提出援用する全証拠資料を以ても右代理権を認め難く、
却て前掲証人B、原審及び当審におけ控訴本人の各供述によれば、Bは控訴人に無
断で前記抵当権設定契約を締結したものであることが認められる。
 更に進んで被控訴人の表見代理の主張につき判断するに、先ずBにおいて本件抵
当権設定契約締結の当時何等かの法律行為につき控訴人の代理権をもつていたかど
うかを考えてみなければならない。この点について、被控訴人はBは控訴人の夫で
あつて家政全般を掌握しておることと同人が控訴人の実印を持参したこととを主張
する。なるほどBが控訴人の夫であることは当事者間に争のたいところであるが、
前掲証人B及び控訴本人の各供述によれば同人等夫婦の間においては妻である控訴
人が日常家事にたずさわつていたことが認められるのであつて、たとい夫たるBが
日常家事をとつていたとしても、その一事を<要旨>以て同人が控訴人の法律行為に
つき代理権をもつていたことの証左とすることはできない。原判決は民法第七 旨>百六十一条により夫婦は日常家事につきお互に相手方の法定代理権を付与せられ
たものという見解を示しておるけれども、同条は夫婦の一方が日常家事について第
三者との間にした法律行為によつて生じた債務につき相手方の連帯責任を定めたに
とどまり、これを以て夫婦がお互に相手方の法定代理人たる地位をもつことを定め
たものと解することはできない。又Bが前記抵当権設定契約締結の際控訴人の実印
を持つていたことは前掲証人Bの証言によつて認められるが、同証言と前掲控訴本
人の供述とによれば、右はBが控訴人自ら保管している実印を勝手に持ち出したも
のであることが認められるから、Bが控訴人の実印を持つていた事実を以て同人が
控訴人の代理人であつたことの証拠とするに足らない。そのほかBが本件抵当権設
定契約締結の当時控訴人から特定の法律行為につき代理権を授与されたことについ
ては被控訴人の主張しないところであるから、Bに控訴人の何等かの法律行為につ
き代理権があることを前提とする被控訴人の表見代理の主張は、その余の点につき
判断を加へるまでもなく失当であること明らかである。
 そうすると、控訴人に対し本件不動産につき抵当権設定登記手続を求める被控訴
人の請求はこれを棄却すべきであるのに、これを認容した原判決は失当であるから
これを取消すべく、民事訴訟法第三百八十六条第九十六条第八十九条を適用して、
主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 小山慶作 判事 土田吾郎 判事 宮田信夫)

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