弁護士法人ITJ法律事務所

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主文
原判決を破棄する。
本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人幸田雅弘,同矢野間浩司の上告受理申立て理由第2について
1本件は,9階建ての共同住宅・店舗として建築された建物(以下「本件建
物」という。)を,その建築主から,Aと共同で購入し,その後にAの権利義務を
相続により承継した上告人が,本件建物にはひび割れや鉄筋の耐力低下等の瑕疵が
あると主張して,その設計及び工事監理をした被上告人Y1並びに建築工事を施工
した被上告人Y2に対し,不法行為に基づく損害賠償として,上記瑕疵の修補費用
相当額等を請求する事案である。なお,本件建物は,本件の第1審係属中に競売に
より第三者に売却されている。
2第1次控訴審は,上記の不法行為に基づく損害賠償請求を棄却すべきものと
判断したが,第1次上告審は,建物の建築に携わる設計・施工者等は,建物の建築
に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基
本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い,設計・施工者
等がこの義務を怠ったために建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり,そ
れにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等
は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として
当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害に
ついて不法行為による賠償責任を負うというべきであって,このことは居住者等が
当該建物の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはないとの判断
をし,第1次控訴審判決のうち同請求に関する部分を破棄し,同部分につき本件を
原審に差し戻した(最高裁平成17年(受)第702号同19年7月6日第二小法
廷判決・民集61巻5号1769頁。以下「第1次上告審判決」という。)。
これを受けた第2次控訴審である原審は,第1次上告審判決にいう「建物として
の基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,建物の瑕疵の中でも,居住者等の生命,身
体又は財産に対する現実的な危険性を生じさせる瑕疵をいうものと解され,被上告
人らの不法行為責任が発生するためには,本件建物が売却された日までに上記瑕疵
が存在していたことを必要とするとした上,上記の日までに,本件建物の瑕疵によ
り,居住者等の生命,身体又は財産に現実的な危険が生じていないことからする
と,上記の日までに本件建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵が存在し
ていたとは認められないと判断して,上告人の不法行為に基づく損害賠償請求を棄
却すべきものとした。
3しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1)第1次上告審判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」と
は,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵
が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に
限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体
又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物として
の基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。
(2)以上の観点からすると,当該瑕疵を放置した場合に,鉄筋の腐食,劣化,
コンクリートの耐力低下等を引き起こし,ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に
至る建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより,建物の構造耐力に関わらない瑕疵で
あっても,これを放置した場合に,例えば,外壁が剥落して通行人の上に落下した
り,開口部,ベランダ,階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどし
て人身被害につながる危険があるときや,漏水,有害物質の発生等により建物の利
用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには,建物としての基本的な安全性
を損なう瑕疵に該当するが,建物の美観や居住者の居住環境の快適さを損なうにと
どまる瑕疵は,これに該当しないものというべきである。
(3)そして,建物の所有者は,自らが取得した建物に建物としての基本的な安
全性を損なう瑕疵がある場合には,第1次上告審判決にいう特段の事情がない限
り,設計・施工者等に対し,当該瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を請求すること
ができるものと解され,上記所有者が,当該建物を第三者に売却するなどして,そ
の所有権を失った場合であっても,その際,修補費用相当額の補填を受けたなど特
段の事情がない限り,一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない。
4以上と異なる原審の判断には,法令の解釈を誤る違法があり,この違法が判
決に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由
があり,原判決は破棄を免れない。そして,上記3に説示した見地に立って,更に
審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官金築誠志裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官
横田尤孝裁判官白木勇)

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