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平成16年12月22日判決言渡 
平成7年(ワ)第4923号 損害賠償等請求事件
判決
主文
1 原告Aの,原告Aが,被告との雇用契約上,平成7年4月1日から総合職管理職2
級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあることの確認を求める訴
え,平成10年4月1日から総合職管理職1級に配置され昇格したものとして取り扱
われる地位にあることの確認を求める訴え及び平成7年4月1日から総合職指導
職1級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあることの確認を求める
訴えをいずれも却下する。
2 被告は,原告Aに対し,550万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済
みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告Aのその余の主位的請求及び予備的請求並びに原告Bの主位的請求及び
予備的請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,被告に生じた費用の5分の3と原告Aに生じた費用を12分し,その1
を被告の負担とし,その余を原告Aの負担とし,被告に生じた費用の5分の2と原
告Bに生じた費用を原告Bの負担とする。
5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 原告A
 (1) 主位的請求
  ア 原告Aが,被告との雇用契約上,平成7年4月1日から総合職管理職2級に配
置され昇格したものとして取り扱われる地位にあること,平成10年4月1日か
ら総合職管理職1級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあるこ
と並びに平成15年6月1日から総合職S4等級の役割等級及びマネジメント
コースマネジメント認定者の種類を付与されたものとして取り扱われる地位に
あることを,それぞれ確認する。
  イ 被告は,原告Aに対し,6818万6800円並びにうち2183万0890円に対す
る平成8年1月13日から,うち1592万5820円に対する平成11年8月11日
から,うち1203万3840円に対する平成13年1月18日から,うち1092万8
070円に対する平成14年12月12日から及びうち746万8180円に対する
平成16年2月13日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払
え。
 (2) 予備的請求
  ア 原告Aが,被告との雇用契約上,平成7年4月1日から総合職指導職1級に配
置され昇格したものとして取り扱われる地位にあること及び平成15年6月1日
から総合職S3等級の役割等級を付与されたものとして取り扱われる地位に
あることを,それぞれ確認する。 
  イ 被告は,原告Aに対し,5500万4020円並びにうち4961万9060円に対す
る平成14年12月21日から及びうち538万4960円に対する平成16年2月
13日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告B
 (1) 主位的請求
   被告は,原告Bに対し,4090万3900円及びこれに対する平成8年1月13日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (2) 予備的請求
   被告は,原告Bに対し,4014万9600円及びこれに対する平成14年12月21
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,被告の女性従業員である原告Aが,同標準年齢男性従業員(年齢を標
準とした原告らと比較すべき男性従業員)は総合職に配置され職能資格又は役割
等級が付与されたのに,原告Aが事務職に配置され担当職1級という職能資格し
か付与されていないのは,被告による違法な男女差別に基づくためであるとして,
被告に対し,主位的に,被告との雇用契約上,①平成7年4月1日から総合職管理
職2級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあること,②平成10年4
月1日から総合職管理職1級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあ
ること並びに③平成15年6月1日から総合職S4等級の役割等級及びマネジメント
コースマネジメント認定者の種類を付与されたものとして取り扱われる地位にある
こと,予備的に,被告との雇用契約上,④平成7年4月1日から総合職指導職1級
に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあること及び⑤平成15年6月1
日から総合職S3等級の役割等級を付与されたものとして取り扱われる地位にある
ことの各確認を求めている。
さらに,原告A及び被告の元女性従業員である原告Bが,同標準年齢男性従業
員との間に賃金格差及び退職金格差があるのは,被告による違法な男女差別に
基づくためであるとして,以下のとおりの差額賃金及び差額退職金若しくは債務不
履行又は不法行為に基づく差額賃金相当額及び差額退職金相当額の損害賠償
金並びに慰謝料及び弁護士費用の支払を求めている。
すなわち,原告Aは,被告に対し,主位的に,雇用契約に基づく同標準年齢で平
均的に昇格した男性従業員との差額賃金若しくは債務不履行又は不法行為に基
づく差額賃金相当額の損害賠償金(別表9のとおり6121万6800円),慰謝料50
0万円及び弁護士費用197万円の合計6818万6800円並びに遅延損害金の支
払を求め,予備的に,雇用契約に基づく同標準年齢で昇格が最下位である男性従
業員との差額賃金若しくは債務不履行又は不法行為に基づく差額賃金相当額の
損害賠償金(別表10のとおり4803万4020円),慰謝料500万円及び弁護士費
用197万円の合計5500万4020円並びに遅延損害金の支払を求めている。
また,原告Bは,被告に対し,主位的に,雇用契約に基づく同標準年齢で平均的
に昇格した男性従業員との差額賃金及び差額退職金若しくは債務不履行又は不
法行為に基づく差額賃金相当額及び差額退職金相当額の損害賠償金(差額賃金
については別表11のとおり504万3200円,差額退職金については別表12のと
おり2715万0700円),慰謝料500万円及び弁護士費用371万円の合計4090
万3900円並びに遅延損害金の支払を求め,予備的に,雇用契約に基づく同標準
年齢で昇格が最下位である男性従業員との差額賃金及び差額退職金若しくは債
務不履行又は不法行為に基づく差額賃金相当額及び差額退職金相当額の損害
賠償金(差額賃金については別表13のとおり439万4600円,差額退職金につい
ては別表14のとおり2710万5000円),慰謝料500万円及び弁護士費用365
万円の合計4014万9600円並びに遅延損害金の支払を求めている。
1 争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実
(1) 当事者等
 ア 原告ら
  (ア) 原告A
   a 原告A(昭和24年2月24日生)は,昭和42年C高等学校卒業後,同年4
月被告に入社し,名古屋店鉄鋼部事務課勤務(その後,組織変更によ
り,同課は,昭和44年9月鉄鋼本部名古屋鉄鋼部事務課,昭和45年3
月鉄鋼本部名古屋鉄鋼第1部事務課となった。),昭和46年1月鉄鋼本
部名古屋鉄鋼第1部鋼材第3課勤務(その後,組織併合及び組織変更
により,同課は,昭和46年9月鉄鋼本部名古屋鉄鋼第1部鋼材第1課,
昭和47年3月鉄鋼本部鉄鋼第1部名古屋鉄鋼第1部鋼材第1課,昭和
48年4月鉄鋼第1部名古屋鉄鋼第1部鋼材第1課,昭和49年3月鉄鋼
第1部名古屋鉄鋼第1部鋼材厚板課,昭和50年8月名古屋鉄鋼部厚板
課,昭和51年3月鉄鋼本部名古屋鉄鋼部厚板課となった。),昭和51
年4月鉄鋼本部名古屋鉄鋼部形鋼課勤務(その後,組織変更により,同
課は,昭和52年9月鉄鋼本部名古屋鉄鋼部鋼材第2課,昭和62年6月
名古屋本店鉄鋼部鋼材第2課,昭和63年6月名古屋本店鉄鋼部鋼材
室,平成3年4月名古屋本店鉄鋼部鋼材・原料室となった。),平成5年9
月名古屋本店化成品本部化成品室勤務,平成7年9月名古屋本店業務
部第2室勤務,平成14年3月名古屋本店業務部第1室勤務を経て,現
在に至っている(乙64)。
   b 原告Aは,被告に入社した昭和42年4月書記見習の資格を付与され,同
年10月書記3級に,昭和46年書記2級に,昭和51年書記1級に,それ
ぞれ昇格した。その後,原告Aは,昭和63年6月事務職に配置されると
ともに主事の資格を付与され,平成7年担当職1級の資格を付与された
(甲147)。
  (イ) 原告B
   a 原告B(昭和18年1月1日生)は,昭和36年D高等学校卒業,昭和37年E
学院F科修了後,同年10月1日被告に入社し,総務部庶務課勤務(その
後,組織変更により,同課は,昭和45年3月総務部庶務第2課,昭和4
9年7月人事総務本部名古屋総務部庶務第2課,昭和50年3月人事総
務本部名古屋総務部庶務課,昭和62年6月名古屋本店人事総務部庶
務課,昭和63年6月名古屋本店人事総務部となった。)を経て,平成5
年12月31日,被告を退職した(乙83)。
   b 原告Bは,被告に入社した昭和37年10月書記見習の資格を付与され,昭
和38年4月書記3級に,昭和42年4月書記2級に,昭和47年4月書記
1級に,それぞれ昇格した。その後,原告Bは,昭和63年6月事務職に
配置されるとともに主事の資格を付与された。
 イ 被告
  (ア) 被告は,寛文9年(1669年)創業の専門商社であり,主として,鉄鋼,特
殊鋼,非鉄金属,これらの原料・製品等の売買,輸出入等を業とする株式
会社である。被告は,昭和12年4月25日,「株式会社岡谷商店」として設
立され,昭和18年,商号を「岡谷鋼機株式会社」に変更し,今日に至って
いる。
  (イ) 被告は,本社を名古屋に置き,平成9年2月末当時,名古屋本店,東京本
店及び大阪店を中核として,8支店,11営業所,7出張所,3駐在員事務
所にわたる国内事業所及び海外支店1か所,海外事務所4か所,海外現
地法人8社の海外拠点を擁していた。また,29の子会社及び8の関連会社
を有していた(乙34の1)。
  (ウ) 平成9年2月末当時の,被告の資本金は91億2809万円,従業員総数は
930人であり,うち総合職が703人,事務職が197人,その他の職掌が3
0人であった。また,男女別の内訳は,男性従業員が733人,女性従業員
が197人であった(乙34の1)。
  (エ) 被告の,平成8年度(平成8年3月1日から平成9年2月28日まで)の売上
高は5461億円,経常利益は22億円,当期利益は15億円であった。そし
て,売上構成比率としては,国内取引が売上高の約89パーセントを占めて
いた(乙34の1)。また,被告では,鉄鋼,特殊鋼,非鉄金属,機械関係の
売上げが売上高の90パーセント以上を占めていた。
 ウ 労働組合
   被告には,昭和44年9月9日結成された岡谷鋼機労働組合(以下「組合」とい
う。)があり,原告Aは,その組合員である。原告Bも組合の組合員であった
が,退職と同時に組合を脱退した(弁論の全趣旨)。
(2) 被告の人事制度の概要
 ア 職掌別人事制度等導入(昭和63年6月)以前について
  (ア)資格制度等
    被告の就業規則上,社員は,一般職,技能職,倉庫作業職,運転職,保安
職及び特務職にあるもののすべてをいう旨定義されていたが,各社員区分
の定義は必ずしも明らかではなかった(乙11の1)。
    また,就業規則の資格制規程において,社員には従事する職種並びにその
学識・経験・能力及び人物により,それぞれ資格を付する旨の定めがあり,
一般職員と一般職以外の社員を区別してそれぞれ資格が定められていた
が,一般職員の資格としては,「参事一級」,「参事二級」,「参事三級」,「主
事一級」,「主事二級」,「主事三級」,「書記一級」,「書記二級」,「書記三
級」,「書記見習」の各資格が列挙されていた(乙11の1)。
  (イ) 賃金体系
    昭和40年代後半ころから昭和63年までの間,被告の給料は本俸と各種手
当から成っていた。このうち本俸については,被告と組合との団体交渉によ
って定められた18歳から55歳までの標準年齢給に基づき,被告が従業員
各人について人事考課を行い,管理職については標準年齢給対比プラス,
マイナス約5パーセント,組合員については,標準年齢給対比プラス,マイ
ナス約3パーセント程度を上下限として,確定していた。
 イ 職掌別人事制度の導入等
  (ア) 新人事制度の導入
    被告は,就業規則を改定し,昭和63年6月1日,新人事制度(以下「職掌別
人事制度」という。)を実施したが,同人事制度の概要は以下のとおりであ
る。
   a職掌区分の設定
     「総合職」,「事務職」,「保健衛生職」,「技能職」,「倉庫作業職・特殊作業
職」の各職掌区分を定めた(就業規則2条)。
     なお,上記職掌区分のうち,「総合職」の職掌基準は「国内外にわたる商社
活動各分野における基幹的業務を主として担当し,かつ,将来にわたり
国内,海外の各事業所において勤務することを予定される職掌。」と定め
られ,「事務職」の職掌基準は「基幹的業務に関する事務的又は補助的
業務を主として担当し,かつ,将来にわたり住居移転を伴わない一定地
域内の各事業所において勤務することを予定される職掌。」と定められ
た(乙12)。
   b 資格の設定
     「総合職」,「事務職」,「保健衛生職」,「技能職」,「倉庫作業職・特殊作業
職」の区分にそれぞれ3ないし9段階の資格を設けた。
     このうち,総合職の資格は,理事,副理事,参事,副参事,課長役,課長
補,主事,書記1級,書記2級から成り,事務職の資格は,主務,主事,
書記1級,書記2級から成る(資格制規程2条)が,このうち理事,副理
事,参事,副参事,課長役,課長補,主務の各資格に関する資格基準
は,別表1のとおりである(乙12)。
c昇格
     昇格は,原則として年1回4月に行うものとされ(資格制規程7条),別表2
の昇格基準の最低年数を経過した者を対象とし,勤務成績を基に資格
基準に照らして,被告が判断し行うものとされた。ただし,主事までは昇
格基準の最低年数を経過した者は自動昇格するとされた(資格制規程9
条。乙12)。
   d 職掌への配置及び資格の付与
     被告は,大半の男性従業員を「総合職」に配置し,女性従業員(電話交換
手,テレタイピスト,英文・邦文タイピストを含む。)を「事務職」に配置する
措置をとった。そして,職掌別人事制度導入時点で在籍した従業員に対
し,別表3のとおり資格を付与した(乙45の1)。
  (イ) 職掌変更制度の新設
    被告は,併せて職掌変更制度を設けた。これは,各職掌で一定の条件を充
足した従業員について職掌変更を認める制度であるところ,職掌変更規程
1条は,変更の条件につき「各職掌で一定資格以上(一定資格とは総合職
は課長補,事務職(略)は主務(略))を有し,一定資格における経験年数が
5年を超える者で会社が知識,能力,資質いずれの面よりも新職掌の一定
資格への転換が妥当であると判断し,且つ本人の同意を得た場合,所定
の手続きを経て,新職掌に変更させる。」と定めていた。
    また,上記職掌変更規程2条は,職掌変更後の資格につき,変更後の資格
は一定資格(上記1条の規定のとおり,事務職が総合職に職掌変更した場
合は,課長補)の1年目とする旨定めており,職掌変更後の給与につき,初
年度は新職掌の本俸表の標準年齢34歳を適用する旨定めていた(乙1
2)。
  (ウ) 給与制度の改定
    被告は,職掌別人事制度の導入に伴い,各職掌ごとに標準年齢テーブル方
式による本俸及び各資格ごとに一定の資格手当を定めた。
  (エ) 職掌別人事制度に関する労使協定
    被告は,平成元年6月13日,組合と,職掌別人事制度等のうち,給与制度
に関する協定を締結した。
    その後,被告は,平成5年6月14日,組合と,昭和63年度実施の職掌別人
事制度等に関する協定を締結し,協定書を取り交わした(以下「平成5年協
定」という。)。
 ウ トータル人事システムの導入等
(ア) 被告は,平成7年3月30日,組合との間で,新人事制度(以下「トータル人
事システム」という。)導入に関する協定を締結し(以下「平成7年協定」とい
う。),トータル人事システム導入について合意した上,就業規則を改定し,
同年4月1日,トータル人事システムを実施した。
    トータル人事システムの概要は以下のとおりである。
  (イ) 職掌の再編
    従来の「倉庫作業職・特殊作業職」を統合して「作業職」という職掌を新設す
るとともに,その職掌基準を定めた。
(ウ) 職能資格制度の導入
    従来の資格制度を廃止し,新たに職能資格制度を導入したが,これに伴い
新資格が設けられた。総合職の新資格は,経営職1級,経営職2級,管理
職1級,管理職2級,管理職3級,指導職1級,指導職2級,担当職1級,担
当職2級,担当職3級から成り,事務職の新資格は,指導職1級,指導職2
級,担当職1級,担当職2級,担当職3級から成るが,このうち,総合職管
理職1級,管理職2級,指導職1級(以上営業部門のみ),担当職1級(営業
部門及び管理部門),事務職指導職2級及び担当職1級の各職能資格の
職能資格基準は別表4のとおりである(乙19)。
   なお,職能資格制度の導入に伴い,総合職及び事務職の各従業員は,原則
として別表5のとおり従来の資格から新資格に移行した(乙44,47)。ただ
し,事務職指導職1級という資格は職能資格制度の導入に伴い新設された
資格であったため,これに該当する者については,格付の改正(昇格)を行
った。
  (エ) 昇格制度の改定及び降格制度の導入
   a 昇格制度の改定
     職能資格制度の導入に伴い,昇格に当たっては,職掌ごとに以下の要件
をすべて満たした者を対象に昇格判定を行い,昇格者を決定するとされ
た。なお,各資格ごとの必要年数は別表6のとおりである(乙19,47)。
    (a) 総合職
     ① 各資格ごとの必要年数を経過していること
     ② 人事考課の評定結果が所定水準以上であること
      なお,管理職2級,管理職3級,指導職2級への昇格時には,①,②に加
え,次の③から⑤までの要件をすべて満たした者を対象に昇格判定を
行い,昇格者を決定するとされた。
     ③ 所定の通信教育を修了していること
     ④ 所定の昇格前研修に参加していること
     ⑤ 試験(ペーパーテスト,レポート,面接等)の結果が所定水準以上であ
ること。また,指導職2級への昇格については日商簿記検定3級に
合格していること
    (b) 事務職
     ① 各資格ごとの必要年数を経過していること
     ② 人事考課の評定結果が所定水準以上であること
      なお,指導職1級,指導職2級への昇格時には,①,②に加え,次の③か
ら⑤までの要件をすべて満たした者を対象に昇格判定を行い,昇格者
を決定するとされた。
     ③ 所定の通信教育を修了していること
     ④ 所定の昇格前研修に参加していること
     ⑤ 試験(ペーパーテスト,レポート,面接等)の結果が所定水準以上であ
ること。また,指導職2級への昇格については日商簿記検定3級に
合格していること
   b 降格制度の導入
     新たに降格制度が導入され,総合職管理職3級以上の者で,人事考課(昇
給・昇格考課)において考課ランクがD考課であった者について,被告か
ら本人に通告し,2年目においても考課ランクがD考課であった者につい
ては,1等級下の資格に降格するものとされた。
  (オ) 給与制度の変更
   a 月例給
     従来の本俸(調整手当を含む。)を廃止するとともに,本俸部分を年齢給と
職能給に分け,各職掌ごとに年齢給及び職能給間の配分金額を定め
た。また,資格手当(職能資格手当)の金額を改定した。
     そして,本俸の廃止に伴い,地域手当,寒冷地手当,別居手当に関し,従
来本俸に対する定率で定めていたものを各職掌・職能資格ごとの定額に
改定した。
   b 賞与
     賞与の計算方法につき,各人の基礎額(年齢給+職能給+調整給)に,資
格別支給月数及び一定の考課係数を乗ずることとした。
  (カ) 職掌変更制度の改定
    職掌変更規程が改定され,職掌変更は,「(1) 本人の申請および上長の推
薦による事務職から総合職への職掌変更」及び「(2) 会社が,変更が妥当
であると判断し,かつ本人の同意に基づく職掌変更」の2種類とする旨規定
された(職掌変更規程2条。乙20)。このうち,上記(1)の事務職から総合職
への職掌変更制度の概要は以下のとおりである(乙20)。
   a 申請要件等(職掌変更規程3条(1))
     申請対象者について「標準年齢29才以上かつ資格等級が担当職1級以
上の事務職」と定められたほか,「職掌変更についての上長による推薦」
が申請要件とされた(その後,被告は,平成12年6月,申請対象者の標
準年令を「29才以上」から「25才以上」に引き下げた。)。
     また,選考の結果,職掌変更をなし得なかった場合,次年度以降も継続し
て申請することができると定められた一方,申請希望者が申請を中断し
た場合には,中断の事由が傷病等のやむを得ない場合であると被告が
判断した場合を除き,次年度以降の申請の権利を喪失する旨定められ
た(その後,被告は,平成12年6月,職掌変更申請を中断してもなお翌
年以降の申請を認めるよう職掌変更制度を改めた。)。
   b 選考方法(職掌変更規程3条(3))
     被告が職掌変更の申請者に対し,①通信教育,②職掌変更前研修,③レ
ポート,④面接を課し,これに基づき職掌変更の可否を判断するものとさ
れた。
   c 職掌変更後の資格,給与(職掌変更規程4条)
     事務職が総合職へ職掌変更した場合の職掌変更後の資格につき,総合
職担当職1級の1年目とする旨及び職掌変更後の給与につき,職掌変
更直前の職能給及び調整給の合計額を総合職担当職1級の職能給表
に当てはめ,職能給表上の最も近い上位金額を職掌変更後の職能給と
する旨定められた。
 エ 平成15年6月の人事制度の改定
  (ア) 被告は,平成15年6月1日,人事制度を改定した(以下,改定後の人事制
度を「平成15年人事制度」という。)が,同人事制度の概要は以下のとおり
である。
  (イ) 総合職に関する役割等級制度の導入
    総合職について,職能資格制度を廃止し,新たに「役割等級・資格制規程」
(乙97の1)を制定して,役割等級制度を導入した。上記役割等級には,S
4等級,S3等級,S2等級,S1等級の各等級が存在するが,各等級の定
義については,別表7のとおりである(乙97の1)。
    また,総合職S4等級には,マネジメントコースとスペシャリストコースという2
種類のコースがあるが,S4等級へ昇格すると,まず,上記2種類のコース
のいずれにも該当しないS4等級者であるS4スタッフとなり,その後,自ら
の意志でコースを選択していくこととなる。そして,マネジメントコースには,
役職登用者,出向代表者,マネジメント認定者の3種類があり,スペシャリ
ストコースは,スペシャリスト認定者である(乙98)。このうち,マネジメント
認定者とは,S4等級のうち職制登用に足る資質を有していると被告により
認定された者をいうが(役割等級・資格制規程15条),マネジメント認定に
当たっては,次の要件をすべて満たした者を対象に判定を行い,認定者を
決定するものと定められている(役割等級・資格制規程17条。乙97の1)。
   a 自己申告していること
   b 所定の通信教育を修了していること
   c 所定の昇格前研修に参加し,その評価が所定水準以上であること
   d 認定試験(面接)の結果が所定水準以上であること
    なお,従来の職能資格制度における総合職管理職1級の者は,役割等級制
度における総合職S4等級に移行し,従来の職能資格制度における総合職
管理職2級以上の者並びに役職への登用経験がある総合職管理職3級以
上の者で制度移行時に役職登用者及び出向代表者でない者は,役割等級
制度における総合職S4等級マネジメントコースマネジメント認定者に移行
した。また,従来の職能資格制度における総合職指導職1級の者は役割等
級制度における総合職S3等級に移行した。
  (ウ) 給与制度の変更
    成果主義の徹底を図るため,役割等級制度の導入に伴い,総合職S4等級
についてはすべて年俸制とされるとともに,総合職S1等級ないしS3等級
については役割給+成果給という給与体系に変更された。
    そして,役割等級制度の移行初年度に総合職S4等級に移行した者につい
ては,従来どおりの賞与考課を実施し,決定した考課結果と賞与月数に基
づいて算出された賞与及び現行月例給の年間支給額を「年俸額」とし,そ
の年俸額を月例支給部分と賞与時支給部分に分けて支給することとされ
た。また,総合職S1等級ないしS3等級に適用される役割給は,従業員の
役割等級及びバンド(同じ等級内における昇給区分)に応じて決定され,成
果給は,毎年の成果を反映させるべく,従業員の役割等級,バンド及び人
事考課の結果に応じて支給することとされた(乙97の2,98)。
  (エ) 昇格制度の変更
    総合職の昇格に関し,以下の要件をすべて満たした者を対象に昇格判定を
行い,昇格者を決定するものとされた(役割等級・資格制規程9条。乙97の
1)。
   a S4等級への昇格
    (a) 人事考課の評定結果が所定水準以上であること
    (b) 自己申告していること
    (c) 所定の通信教育を修了していること
    (d) 所定の昇格前研修に参加し,その評価が所定水準以上であること
    (e) 昇格試験(面接)の結果が所定水準以上であること
   b S3等級への昇格
    (a) 人事考課の評定結果が所定水準以上であること
    (b) 所定の通信教育修了または資格取得をしていること
   c S2等級への昇格
    (a) 大卒入社後3年を経過していること
    (b) 試験(ペーパーテスト)の結果が所定水準以上であること
    (c) 日商簿記検定3級試験に合格していること
    (d) TOEICにおいて500点以上のスコアを有していること
  (オ) 職掌変更制度の改定
    事務職が総合職に職掌変更した場合,変更後の資格については総合職S2
等級の1年目(バンド1)に格付されるものと定められた。ただし,S2等級へ
の昇格基準である①TOEIC500点以上の獲得,②簿記3級の取得,③社
内経理・審査試験の合格のいずれかの基準をクリアできていない場合,S1
等級の3年目(バンド3)に格付すると定められた(職掌変更規程4条(1)。乙
97の3,98)。
    また,職掌変更後の給与について,職掌変更後に格付けられた役割等級及
びバンドの給与を適用する旨並びに職掌変更後の役割給が変更直前の職
能給,資格手当,調整給及び移行手当の合計額を下回る場合,その差額
を調整手当として支給する旨定められた(職掌変更規程4条(2)。乙97の
3,98)。
(3) 被告の平成5年当時の退職金制度
 ア 被告においては,平成5年当時,退職者の退職時の本俸に計算勤続年数に
応じて定められた一定の支給率を乗じて算出した額の50パーセント相当額を
退職一時金として支給し,残り50パーセントについては退職年金として支給
する旨の定めがあった(退職金規程2条1項。甲22)。
   被告では,上記退職年金を第2年金と呼称していたが,被告は,第2年金のほ
か,被告拠出金による年金制度を設けており,これを第1年金と呼称してい
た。これは,勤続1年以上の者を支給対象とし,その者が勤続20年以上かつ
満50歳以上で退職する場合に,10年保証の年金(適格年金)として支給し,
上記条件を満たさない者については一時金として支給するものである。そし
て,両年金とも,原則として退職者が満60歳に達した月の翌月から支給する
旨定められていた(退職年金規程8条3項。甲22)。
   もっとも,一定の条件の下,受給者の希望により,年金に代わる一時金を受給
することが選択できる旨定められていた(同規程20条1項)。そして,年金支
給開始前に受給者の選択により一時金として支給する場合には,第1年金に
関しては,その者に支給すべき当該年金の月額に92.29626を乗じて得た
金額に,更にその者の選択時年齢に応じた一定の割引率を乗じた金額を支
給し,第2年金に関しては,その者に支給すべき当該年金の月額に133.33
671を乗じて得た金額に,更にその者の選択時年齢に応じた一定の割引率
を乗じた金額を支給するとされていた(同条3項)。
 イ 被告には早期退職割増金制度が存在したが,これは,勤続15年以上かつ満
50歳の者を支給対象とし,本俸に計算勤続年数に応じて定められた一定の
支給率を乗じて算出した額及び職掌別に定められた一定の金額(総合職は1
500万円,事務職は800万円)の合計額を,退職時に早期退職割増金とし
て,一時金として支給するものであった(早期退職割増金規程1条,5条。甲2
2)。
(4) 原告らと同標準年齢の男性従業員の昇格状況
  平成4年から平成14年までの,原告Aの比較対象となる同標準年齢の男性従
業員(ただし,「男性従業員」とは,職掌別人事制度導入以降,総合職となった男
性従業員のみをいう。以下同様とする。)の資格別人員の推移は別表8のとおり
である(甲233の1,2,320,321,乙67の1から3まで,68・69の各1から4
まで,70の1から3まで,71の1,2,72の1から3まで,73・74の各1,2)。
  また,原告Bが退職した平成5年12月当時,原告Bの比較対象となる男性従業
員34人のうち,32人が課長役以上の資格,2人が課長補の資格にあった(乙7
6の1から3まで)。
他方,原告Bが退職した平成5年12月当時,女性従業員は全員事務職であ
り,平成14年当時も,被告が総合職として新規に採用した女性従業員及び総合
職に職掌変更した女性従業員1人を除く大半の女性従業員が事務職であった
(弁論の全趣旨)。
(5) 原告らの賃金等と同標準年齢の男性従業員との差額
上記(2),(3)の被告の人事制度,退職金制度によれば,被告では,職掌区分
及び職掌区分ごとに設けられた資格(職能資格,役割等級を含む。)と月例賃
金,一時金,退職金,退職年金等の支給額が連動しているため,職掌区分の差
異及び職掌区分ごとに設けられた資格の差異に対応して,その大半が総合職で
ある男性従業員と,事務職である女性従業員との間で格差が生じていくことにな
る(弁論の全趣旨)。
原告らに生じた格差は以下のとおりである。
 ア 原告A
  (ア) 原告Aの平成5年1月から平成16年1月までの月例賃金(平成5年1月か
ら平成7年3月までは本俸及び調整手当を合計したもの,平成7年4月から
平成12年5月までは年齢給,職能給及び調整手当を合計したもの,平成1
2年6月から平成16年1月までは職能給,移行手当及び調整給を合計した
ものをいう。)及び一時金(夏期手当及び年末手当から成る。以下同様とす
る。)の合計額は,別表9のとおり,6249万8870円である(甲16の1から
44まで,203の1から42まで,341の1から14まで,342の1から15ま
で,343の1から14まで,344の1から12まで,403の1から17まで)。
  (イ) 他方,原告Aと同標準年齢で平均的に昇格した男性従業員(平成7年3月
までは総合職課長補の資格を有しており,平成7年4月1日総合職管理職
2級に,平成10年4月1日総合職管理職1級にそれぞれ昇格し,平成15
年6月1日総合職S4等級の役割等級を付与された男性従業員をいう。)の
平成5年1月から平成16年1月までの月例賃金(平成5年1月から平成7
年3月までは本俸,資格手当及び調整手当を合計したもの,平成7年4月
から平成12年5月までは年齢給,職能給及び資格手当を合計したもの,
平成12年6月から平成15年5月までは職能給及び資格手当を合計したも
の,平成15年6月から平成16年1月までは月例給をいう。)及び一時金の
合計額は,別表9のとおり,1億2371万5670円である(甲233の1,2,
234,320,321,乙67の1から3まで,68・69の各1から4まで,70の1
から3まで,71の1,2,72の1から3まで,73・74の各1,2,82)。
    また,原告Aと同標準年齢で昇格が最下位である男性従業員(平成7年3月
までは総合職課長補の資格を有しており,平成7年4月1日総合職指導職
1級に格付され,平成15年6月1日総合職S3等級の役割等級を付与され
た男性従業員をいう。)の平成5年1月から平成16年1月までの月例賃金
(平成5年1月から平成7年3月までは本俸,資格手当及び調整手当を合
計したもの,平成7年4月から平成12年5月までは年齢給,職能給,資格
手当及び調整手当を合計したもの,平成12年6月から平成15年5月まで
は職能給,移行手当及び資格手当を合計したもの,平成15年6月から平
成16年1月までは役割給,移行手当,標準考課による成果給及び新移行
手当を合計したものをいう。)及び一時金の合計額は,別表10のとおり,1
億1053万2890円である(甲5,6,121,204から206まで,233の1,
2,320,321,345,346,402,乙67の1から3まで,68・69の各1か
ら4まで,70の1から3まで,71の1,2,72の1から3まで,73・74の各
1,2,79から81まで)。
  (ウ) したがって,原告Aと,原告Aと同標準年齢で平均的に昇格した男性従業
員との平成5年1月から平成16年1月までの賃金の差額は,別表9のとお
り,6121万6800円となり,原告Aと同標準年齢で昇格が最下位である男
性従業員との同期間における賃金の差額は,別表10のとおり,4803万4
020円となる。
 イ 原告B
  (ア) 原告Bの平成5年1月から同年12月までの月例給(本俸及び調整手当を
合計したものをいう。)及び一時金は,別表11のとおり,合計574万7700
円である(甲19の1から15まで)。
    また,原告Bが支給された退職金等(退職金,早期退職割増金,第2年金及
び第1年金の合計額をいう。以下同様とする。)は,別表12のとおり,合計
3650万7900円である(甲18)。
  (イ) 他方,原告Bと同標準年齢で平均的に昇格した男性従業員(平成5年当
時,総合職課長役の資格を有していた男性従業員をいう。)の平成5年1月
から同年12月までの月例給(本俸,資格手当及び調整手当を合計したも
のをいう。)及び一時金の合計額は,別表11のとおり,合計1079万0900
円であり(甲5,121,乙75・76の各1から3まで),退職金等の額は,別表
12のとおり,合計6365万8600円である(甲18,乙12)。
また,原告Bと同標準年齢で昇格が最下位の男性従業員(平成5年当時,総
合職課長補の資格を有していた男性従業員をいう。)の平成5年1月から同
年12月までの月例給(本俸,資格手当及び調整手当を合計したものをい
う。)及び一時金の合計額は,別表13のとおり,合計1014万2300円で
あり(甲5,121,乙75・76の各1から3まで),退職金等の額は,別表14
のとおり,合計6361万2900円である(甲18,乙12)。
  (ウ) したがって,原告Bと,原告Bと同標準年齢で平均的に昇格した男性従業
員との平成5年1月から同年12月までの賃金の差額は,別表11のとおり,
504万3200円となり,退職金等の差額は,別表12のとおり,2715万07
00円となる。
    また,原告Bと,原告Bと同標準年齢で昇格が最下位である男性従業員との
上記期間における賃金の差額は,別表13のとおり,439万4600円とな
り,退職金等の差額は,別表14のとおり,2710万5000円となる。
2 争点
  本件の主たる争点は,(1)被告において,男性従業員と女性従業員との間に昇格,
賃金等処遇上の格差があるか。格差があるとして,それが違法な男女差別に基づ
く差別的取扱いであるか,(2)原告Aが,被告との雇用契約上,平成7年4月1日か
ら総合職管理職2級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位,平成10年
4月1日から総合職管理職1級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位並
びに平成15年6月1日から総合職S4等級の役割等級及びマネジメントコースマネ
ジメント認定者の種類を付与されたものとして取り扱われる地位又は平成7年4月
1日から総合職指導職1級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位及び平
成15年6月1日から総合職S3等級の役割等級を付与されたものとして取り扱わ
れる地位にあるか,(3)原告らに差額賃金等の請求権があるか,(4)原告らに差額
賃金等相当損害金の請求権があるか,(5)原告らに慰謝料及び弁護士費用の請求
権があるかの5点である。
3 争点に関する当事者の主張
  争点に関する当事者の主張の骨子は以下のとおりであるが,それぞれの主張の
詳細については,別紙主張対比表のとおりである。
 (1) 争点(1)(差別の有無及びその違法性)について
  (原告らの主張)
  ア 女性従業員に対する差別の存在
   (ア) 被告においては,昭和63年の職掌別人事制度導入に至るまで,別紙主張
対比表(原告らの主張)第1のとおり,女性従業員に対する賃金差別,昇格
差別,退職に関する差別等あらゆる女性差別が強行されてきた。
   (イ) 被告は,別紙主張対比表(原告らの主張)第2のとおり,従来からの女性差
別を維持固定化する目的で,昭和63年6月,職掌別人事制度の導入を強
行し,男性従業員の大半を総合職に配置する一方,女性従業員を強制的
に事務職に配置した。その後,平成7年4月,トータル人事システムの導入
により,被告における女性差別は一層固定化された。
   (ウ) このように,被告が女性差別を強行,維持してきた結果,別紙主張対比表
(原告らの主張)第3のとおり,被告においては,原告らと同標準年齢の男
性従業員との間で,資格・昇格,賃金,退職金等処遇に関する格差が存在
するに至った。
  イ 原告らに対する差別の違法性
   (ア) 原告らは,別紙主張対比表(原告らの主張)第4のとおり,男性同様「正社
員」又は「一般職員」として被告に雇用された。また,別紙主張対比表(原告
らの出張)第5のとおり,原告らが従事してきた業務は,男性従業員の業務
と同一内容又は同等の業務であった。
     したがって,原告らは,被告との間で,男性と同一内容の労働契約を締結し
たものである。
     それにもかかわらず,被告が,前記ア(イ)のとおり,職掌別人事制度の導入を
強行し,男性従業員の大半を総合職に,原告ら女性従業員を強制的に事
務職に配置した結果,被告における女性差別は維持固定化され,前記ア
(ウ)のとおり,原告らは,男女間の処遇格差による不利益を被った。
     したがって,別紙主張対比表(原告らの主張)第6のとおり,被告の原告らに
対する性差に基づく差別的取扱いは,労働基準法3条及び4条に違反し,
民法90条の公序,憲法14条等に反し,無効,違法である。
   (イ) 仮に,被告が主張するように,原告らが被告に採用された当時,男女の別
による採用区分又は職種区分が存在したとしても,これらの区分は,性差
に基づく不合理な差別であるから,別紙主張対比表(原告らの主張)第7の
とおり,労働基準法3条及び4条,民法90条の公序に反し,無効,違法で
ある。
  (被告の主張)
  ア 別紙主張対比表(被告の主張)第4のとおり,被告は,原告らを男性とは異な
る職掌として採用したのであり,また,別紙主張対比表(被告の主張)第5のと
おり,原告ら事務職の担当業務と総合職の担当業務とは,厳然とした差があ
った。
    このように,男女間の資格・昇格,賃金,退職金等処遇の差異は,性差による
ものではなく,職掌区分に基づくものである。
    したがって,被告においては,原告らが主張するような性差に基づく差別的取
扱いは存在しない。
  イ 上記アのとおり,被告における男女間の処遇の差異は,職掌区分によるもの
であり,性差に基づくものではないことから,何ら違法ではない。また,別紙主
張対比表(被告の主張)第2のとおり,被告が昭和63年に導入した職掌別人
事制度及び平成7年に導入したトータル人事システムは,従来から存在した
職掌区分を整理,明確化したにすぎないのであって,これらを違法であるとす
る原告らの主張(別紙主張対比表(原告らの主張)第2及び第6)は誤りであ
る。
  ウ 別紙主張対比表(被告の主張)第7のとおり,男女別の職種区分は,被告が原
告らを採用した当時においても,合理的な雇用管理区分だったのであり,男
女差別ではなかったことから,やはり違法ではない。
 (2) 争点(2)(原告Aの地位の確認)について
  (原告らの主張)
  ア 被告が強行導入した職掌別人事制度の下では,職掌区分が賃金格差のもっ
とも大きな原因となった。さらに,トータル人事システムによって職能給制度が
導入されたため,資格によって賃金額が決定されることになった。このように,
被告における賃金は,職掌区分と資格に連動することになった。
    かかる制度下において,原告Aに総合職及び管理職の地位確認の請求権が
認められないとすれば,賃金や退職金ばかりか,年金額についても,将来に
わたって男女格差が継続することになってしまう。
    したがって,原告Aには地位確認を求める訴えの利益がある。
  イ 別紙主張対比表(原告らの主張)第8のとおり,被告は,労働契約上の債務と
して男女を平等に取り扱うべき義務を負っているため,男女について同一の
処遇をしなければならない。また,前記のとおり,違法な差別的取扱いである
職掌別人事制度を定めた就業規則及び労働協約は無効,違法であるが,労
働基準法13条の類推適用又は労働組合法16条及び労働基準法93条の適
用により,就業規則及び労働協約のうち無効とされた女性従業員に関する部
分について,男性従業員に関する基準が女性従業員にも適用されると解され
る。
    したがって,原告Aは,別紙主張対比表(原告らの主張)第8の3のとおり,対象
となる同標準年齢の男性従業員と同一の地位にあるものである。
  (被告の主張)
  ア 原告Aの地位確認請求は,昇格請求権や職掌変更請求権なるものを根拠とし
ていると解されるところ,これらについては,被告と原告Aの雇用契約の内容
となっておらず,また,被告の就業規則にも定められていない。したがって,原
告Aは,雇用契約上,被告に対する地位確認請求権や職掌変更請求権なる
ものを有していない。
    また,使用者の裁量の範囲である昇格等の人事権行使については,労働者側
に昇格請求権や職掌変更請求権なるものは認められない。
    よって,実体法上,訴訟法上のいかんを問わず,雇用契約自体又は法律によ
り上記請求権は発生しないのであるから,確認の利益をうんぬんするまでも
ない。
  イ 被告は,職掌区分という合理的な雇用管理区分に基づき,従業員を処遇する
ものであり,そもそも労働契約上の債務として男女を平等に取り扱うべき義務
を負っていない。また,被告の就業規則並びに職掌別人事制度及びトータル
人事システムに関する労使協定に無効となる部分は存在しないことから,原
告Aの主張は失当である。
 (3) 争点(3)(差額賃金等の請求権)について
  (原告らの主張)
   別紙主張対比表(原告らの主張)第9のとおり,原告らは,被告に対し,差額賃金
等の請求権を有している。
  (被告の主張)
  ア 差額賃金等の不存在
    総合職と事務職とでは労務内容が異なる以上,その対価である賃金額が異な
るのは当然であることから,そもそも原告らが請求する差額賃金等は存在し
ない。
  イ 消滅時効
    仮に,原告らの差額賃金請求権が認められるとしても,別紙主張対比表(被告
の主張)第9の2のとおり,原告らの請求する差額賃金等請求権の一部は,労
働基準法115条所定の消滅時効により消滅した。そして,被告は,原告らに
対し,本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用する旨の意思表示
をした。
    したがって,別紙主張対比表(被告の主張)第9の2記載の差額賃金請求権の
存否のみが審理の対象となる。
 (4) 争点(4)(差額賃金相当損害金の請求権)について
  (原告らの主張) 
   別紙主張対比表(原告らの主張)第10のとおり,原告らは,被告に対し,債務不
履行又は不法行為に基づき,前記(3)(原告らの主張)記載の差額賃金等に相当
する損害賠償金を請求することができる。
  (被告の主張)
 前記(3)(被告の主張)のとおり,そもそも差額賃金相当額の損害自体が存在して
おらず,仮に原告らの損害賠償請求権が認められるとしても,別紙主張対比表
(被告の主張)第10の2のとおり,その一部は消滅時効により消滅した。
 (5) 争点(5)(慰謝料及び弁護士費用の請求権)について
  (原告らの主張)
   別紙主張対比表(原告らの主張)第11のとおり,原告らは,被告に対し,それぞ
れ慰謝料請求権及び弁護士費用請求権を有する。
  (被告の主張)
   争う。別紙主張対比表(被告の主張)第11のとおりである。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(差別の有無及びその違法性)について
 (1) 男女間の格差の有無について
  ア 前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる
事実(4)のとおり,原告Aの比較対象となる男性従業員の資格別人員の推移
は別表8のとおりであり,平成14年当時,48人のうち約85パーセントの男性
従業員が総合職管理職1級以上の資格を有していた。また,平成5年12月当
時,原告Bの比較対象となる同標準年齢の男性従業員34人のうち,約94パ
ーセントの男性従業員が課長役以上の資格を有していた。
    他方,原告Bが退職した平成5年12月当時,女性従業員は全員事務職であ
り,平成14年当時も,被告が総合職として新規に採用した女性従業員及び総
合職に職掌変更した女性従業員1人を除く大半の女性従業員が事務職であ
った。
  イ 被告では,職掌区分及び職掌区分ごとに設けられた資格と月例賃金,一時
金,退職金,退職年金等の支給額が連動しているため,職掌区分の差異及
び職掌区分ごとに設けられた資格の差異に対応して,その大半が総合職であ
る男性従業員と,事務職である女性従業員との間で格差が生じていくことにな
るものであって,原告らと比較対象となる男性従業員との賃金等の格差は,
前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる
事実(5)のとおりである。
  ウ 以上によれば,被告においては,男性従業員と女性従業員との間では,賃金
等について著しい格差があると認めることができる。
 (2) 格差が生じた理由について
  ア 原告らは前記(1)のような格差が生じたのは違法な男女差別によるものである
と主張するのに対し,被告は従事する業務に対応する職掌区分の差異による
ものであると主張するところ,前記(1)のようにほぼ同時期に入社した同年齢
の男女の従業員間において,昇格,賃金等について著しい格差がある場合に
は,その格差が生じたことについて合理的な理由が認められない限り,性の
違いによって生じたものと推認することができると解されるから,以下におい
て,まずこれらの格差が生じた理由について検討する。
  イ 前提事実
    前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事
実に,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められ
る。
   (ア) 被告の業務について
     被告は主として鉄鋼製品及び原料を取り扱う専門商社であるが,その取扱商
品は,鉄鋼製品等にとどまらず,配管材料を中心とする住宅設備機器,合
成樹脂原料等の化成品,工作機械等多岐にわたる。また,取引機能のみ
ならず,販売代行機能,情報収集伝達機能,在庫管理機能,輸送・保管・
加工機能等多様な機能を有している(甲382,乙66)。
そして,商社としての基本的な機能である取引機能とは,メーカーが製造
する上記商品を仕入れ,これをユーザーや特約店に販売することにより利
益を上げることを基本とするものであり,メーカーとユーザーといった業者と
業者をつなぐ契約を成立させること,すなわち成約業務が中心的な業務で
ある。そして,成約業務においては,受注活動,発注計画,メーカーとの生
産量の交渉,他商社や特約店への在庫融通の折衝,納期管理,クレーム
処理,集金,与信管理等が必要となり(乙64,65,証人G・第20回口頭弁
論調書),高度の交渉能力,商品知識,情報収集能力等が要求されること
から,一般的にみて,処理の困難度が高い業務であるということができる。
   (イ) 原告らが入社した当時の被告女性従業員の就業実態,退職状況等
    a 昭和48年ころ当時,愛知県における高等学校卒業の女性の全就職者(総
数1万5184人)のうち,76.8パーセントに当たる1万1670人が事務
的職業に従事していた(乙25)。
    b 昭和36年から昭和40年までの間,被告の女性従業員の数は257人から
413人まで増加した一方,296人(年間平均約60人)の女性従業員が
退職したが,うち約9割5分(283人)が高等学校卒業者であり,156人
が退職事由として結婚を挙げていた。また,同期間の女性従業員の平均
年齢は21歳1か月から22歳9か月までの間で推移しており,平均勤続
年数は3年9か月から4年7か月までの間で推移した(乙21,22)。
      昭和41年から昭和45年までの間,被告の女性従業員の数は427人から
518人に増加した一方,478人(年間平均約96人)の女性従業員が退
職したが,高等学校卒業者がその約9割(438人)を占め,232人が結
婚を退職事由として挙げていた。また,同期間の女性従業員の平均年齢
は,21歳3か月から22歳11か月までの間で推移しており,平均勤続年
数は3年2か月から3年11か月までの間で推移した(乙21,22)。
      昭和46年から昭和50年までの間,被告の女性従業員の数は508人から
645人までの間で推移した。他方,上記期間に590人(年間平均約11
8人)の女性従業員が退職したが,高等学校卒業者がその約7割(410
人),短大卒業者が約3割(179人)を占め,291人が結婚を退職事由と
して挙げていた。また,同期間の女性従業員の平均年齢は,21歳4か
月から23歳11か月までの間で推移しており,平均勤続年数は3年から
4年1か月までの間で推移した(乙21,22)。
   (ウ) 原告らが入社した当時の募集,選考,採用について
    a 募集について
     (a) 被告は,原告らが入社した昭和37年から昭和42年当時,男性について
は,大学及び高等学校の新卒者の定期採用を,女性については高等
学校の新卒者の定期採用を行っていた。また,電話交換手,邦文・英
文タイピスト等特殊技能職の女性については,人員の不足が生じた場
合,随時採用を行っていた。
       大学卒男性の採用については,被告が指定大学の就職担当部門に求人
票を提出し,学内に掲示してもらったり,就職担当部門の窓口に備え
付けてもらっていた。また,高等学校卒男性の採用については,職業
安定所所定の高卒用求人票に,職種として「男子一般職」と,作業内
容として「営業,経理等」とそれぞれ記載し,更に現行給与その他の必
要事項を記載し,職業安定所の受付印を押印してもらった上で,高等
学校の就職担当部門に求人依頼をした。
       他方,高等学校卒女性の採用については,上記高等学校卒男性と同様
の手続で求人依頼をしたが,高卒用求人票に,職種として「一般事務」
と,作業内容として「台帳(売掛,仕入,契約)整理,計算事務,伝票起
票,電話応対等」とそれぞれ記載した(乙34の1)。また,就業場所に
ついては,それぞれの事業所における地域限定勤務職員として採用
することを前提としていた(乙34の1)。ちなみに,昭和49年当時の高
卒用求人票においては,就業場所として「本社および補足事項欄によ
る」と記載し,補足事項欄において「名古屋店」,「豊田営業所」,「富山
営業所」,「静岡営業所」,「東海出張所」を掲げている(乙35)。したが
って,原告らが入社した当時の高卒用求人票にも,乙35と同様,就業
場所として,一定地域内の事業所が記載されていたものと推認するこ
とができる。
       英文・邦文タイピスト等の採用については,所定の用紙に,職種として邦
文・英文タイピスト等と,作業内容として当該業務に必要な具体的技
術をそれぞれ記載し,更に現行給与その他の必要事項を記載して,
職業安定所又は各種学校に対し,求人依頼をした(乙34の1)。
     (b) 原告Bが入社した当時,被告は,タイピスト募集のため,E学院進路指導
部に求人票を提出したが,同求人票の勤務地欄には「名古屋(栄又は
柳橋)」と記載し,採用条件の職種欄では「和文」を丸で囲み,その他
希望条件の欄には「自宅より通勤可能な者」と記載した(乙36。なお,
乙36は昭和49年当時の求人票であるが,記載内容は昭和37年当
時のものとほぼ同一であったと推認できる。)。
    b 選考,採用について
     (a) 原告らが入社した当時,被告の社内通達である「採用規程」には,一般
職員の採用手続に関し,4条に「一般職員を採用する時はあらかじめ
総務部人事課においてその人物・学識・身体・身元その他必要な事項
を考査の上,総務部人事課長が申請手続をとるものとする。」,「ただ
し 女子一般職員の採用に関しては各部店の人事主管課において前
項に準じて考査の上,当該人事主管課長が申請手続をとるものとす
る。」との定めがあった(乙10)。
     (b) 原告らが入社した当時,被告は,上記「採用規程」に基づき,採用のため
の選考を,筆記試験,面接試験等により行っていた。
男性従業員の選考,採用については,本社総務部人事課が担当していた
が,採用に当たり,勤務地について,国内の全事業所のほか海外勤
務もあり得る旨説明していた。他方,女性従業員の選考,採用につい
ては,各部店,具体的には,名古屋地区については名古屋店,東京
地区については東京支店,大阪地区については大阪支店の人事主管
課が担当していた(乙34の1,証人H・第11回口頭弁論調書)。また,
男性従業員と女性従業員とでは,面接試験等の実施日及び会場も異
なっていた(原告A本人・第28回口頭弁論調書)。
       なお,原告らが入社した当時,被告本社及び名古屋店の両者が名古屋に
あったことから,名古屋店の人事主管課を兼ねる本社総務部人事課
が,名古屋店として,中部地区の女性従業員の選考,採用手続を管
轄しており,名古屋店管内の各営業所において採用する女性従業員
については,その実際の選考,採用手続は各営業所ごとにそれぞれ
の営業所において行っていた(乙34の1,証人H・第11回口頭弁論調
書,弁論の全趣旨)。
   (エ) 入社式,研修,配属について
    a 入社式について
      被告における新入社員の入社式については,男性,女性を問わず,毎年4
月1日に実施されていたが,男性の新入社員については名古屋の本社
で入社式が行われ,他方,女性の新入社員については東京,名古屋,
大阪の各店において入社式が行われていた(証人I・第7回口頭弁論調
書)。
    b 新入社員研修について
      原告らの入社当時,被告の社内通達である「教育訓練規程」の「① 新入社
員教育訓練要項」には,採用後の集合研修に関し,「集合教育は,男子
新入社員に対しては本社において各店人事主管課長が教育内容・担当
講師等細部の内容を協議の上計画し,4月1日より実施するものとする。
女子新入社員に対しては各店人事主管課が各店の事情に応じ教育内
容を計画し,3月中旬より同月末日までの間に実施するものとする。」旨
の定めがあった(乙10)。
      被告は,上記規定に基づき,男性従業員については,大学卒,高等学校卒
を問わず,採用年の4月1日から3か月又は4か月にわたり,集合教育
及び巡回実習教育から成る新入社員研修を実施した。なお,上記通達
では,巡回実習教育については大学卒男性の新入社員のみを対象とす
る旨の定めがあったが,上記のとおり,高等学校卒の男性新入社員に
対しても巡回実習教育を実施した。
      他方,被告は,女性従業員については,採用年の3月中旬から同月31日
までの間,集合教育による新入社員研修を実施した(甲43,証人I・第7
回口頭弁論調書)。
    c 配属について
      被告は,採用後,男性従業員を本社,国内の支店・営業所・出張所,駐在
員事務所,海外事務所及び海外現地法人のいずれかに配属した。ま
た,被告は,男性従業員の大部分を営業部門に配属し,その余を人事
総務部門,経理部門,審査部門の管理部門等に配属した。
      他方,被告は,女性従業員については,当該従業員を採用した事業所に配
属した(乙34の1)。
   (オ) 原告らが入社した当時の被告の給与体系等
    a 原告Bが被告に入社した昭和37年ころ,被告の給与における本俸は年齢
給及び能力給によって構成されていた。
      年齢給については,被告の社内通達である「給与規程内規」3条において,
「男子正社員」については「給与規程内規」別表(1)の年令給表(甲)が,
「女子社員及び準社員」については年令給表(乙)がそれぞれ適用される
ものと定められていた。
      また,能力給については,「給与規程内規」4条で,「別表(2)の能力給表の
通りこれを定め職員の資格に応じ,その能力,成績及び資格経過年数を
勘案の上各等級を適用する」と定められていたが,別表(2)の能力給表
は,「<イ>能力給表(男子正社員)」,「(ロ)能力給表(女子社員)」及び
「<ハ>能力給表(準社員)」に区分されていた。そして,各能力給表では,
資格ごとに等級とそれに対応する能力給が定められていたが,「男子正
社員」の資格としては,「書記見習」,「書記三級」,「書記二級」,「書記一
級」,「主事三級」,「主事二級」,「主事一級」,「参事三級」,「参事二
級」,「参事一級」の各資格が,「女子社員」の資格としては,「書記見
習」,「書記三級」,「書記二級」,「書記一級」の各資格が掲げられてい
た。
      さらに,「給与規程内規」6条では,新規学校卒業者に対する初任本俸につ
いて,「男子正社員」,「女子社員」,「男子準社員」に区分され,それぞれ
につき学歴に対応する本俸額が定められていた(乙6)。
    b 原告Aが被告に入社した昭和42年,年齢給について,「給与規程内規」3条
が改正され,「男子及び女子一般職」については「給与規程内規」別
表(1)の年令給表(甲)が,「一般職以外の社員」については年令給表
(乙)が適用されるものとされた。しかし,能力給については,前記aとほ
ぼ同様に,「男子一般職員」と「女子一般職員」を区別し,それぞれ異な
る能力給表に基づいて決定されており,各能力給表の資格の種類につ
いても,前記aと同様,「男子一般職員」については「書記見習」から「参
事一級」まで,「女子一般職員」については「書記見習」から「書記一級」
までの各資格が掲げられていた。また,新規学校卒業者に対する新卒
初任本俸についても,「男子一般職員」と「女子一般職員」が区別され,
それぞれにつき学歴に対応する本俸額が定められていた(乙8)。
   (カ) 原告らが入社後従事した業務等
    a 原告A
     (a) 原告Aは,被告に入社後,名古屋店鉄鋼部事務課に配属されて以来,平
成5年9月に名古屋本店化成品本部化成品室に異動するまで,被告
の鉄鋼部門で勤務した。 
被告の鉄鋼部門は,鉄鋼製品を使用する自動車,造船,電機など
のユーザー及び特約店に対し,鉄鋼メーカーから仕入れた製品を供
給する業務を行う部門であり,取扱商品ごとに,鋼板(薄板類),鋼管
(パイプ類),鋼材(薄板やパイプ以外の厚板を含む鉄鋼品類)及び原
料の各部署に区分されている。
       また,鉄鋼製品の取引形態について,ユーザーから注文を受けた商社が
メーカーから鉄鋼製品を仕入れユーザーに販売するひも付き取引と商
社が自己のリスクにおいて鉄鋼製品をメーカーから仕入れ,販売する
店売り取引とに区分される。また,メーカーから商社の倉庫へ納入さ
れる形態の在庫取引とメーカーからエンドユーザーへ直接納入される
形態の直送取引に区分される(甲294,乙64)。
     (b) 原告Aが所属した鉄鋼部門のうち,昭和63年6月から平成3年3月まで
所属した名古屋本店鉄鋼部鋼材室及び平成3年4月から平成5年8
月まで所属した名古屋本店鉄鋼部鋼材・原料室では,鉄鋼製品のうち
鋼材・原料関係の丸棒,形鋼,H型鋼,厚板等の取引を担っており,
主要な仕入先メーカーは,新日本製鐵株式会社,日本鋼管株式会
社,王子製鉄株式会社,共英製鋼株式会社,山口鋼業株式会社等で
あり,主要なユーザーは,大手土木建設会社,地元建設会社,特約店
等であった(甲294,乙64)。
       鋼材・原料室は,平成4年10月1日当時,総合職17人,事務職7人(うち
1人が原告A)から成り,店売チーム,原料チーム,土木・建材チーム
及び建築・建材チームの4つのチームで構成されていたが,原告A
は,店売チーム,土木・建材チーム及び建築・建材チームを担当して
いた(乙64)。
     (c) 原告Aは,鉄鋼部門において,鉄鋼製品の取引に関する業務に従事した
が,その具体的内容は,以下のとおりである。
      ① 集金業務の集中により繁忙であった営業担当者を手伝うため,昭和46
年以前の3,4年の間,集金業務に携わった。主として愛知県知立
市にある取引先に定期的に赴いて集金をしていたが,営業担当者
から指示されて,単発的に集金業務を行った取引先もあった(甲14
8の1,294,原告A本人・第18回及び第19回口頭弁論調書)。
      ② 昭和45年ころの1年間ほど,J等被告の特約店とのスポット取引(継続
的な取引商品以外の商品についての取引)に関する受発注業務に
携わった。具体的には,特約店から電話による注文を受けた際,営
業担当者があらかじめ決定,作成したユーザー別の価格表の範囲
内で,特約店と交渉し,販売価格を決定した上,被告の倉庫又は社
外委託の倉庫若しくは仕入先メーカーに受注品の在庫の有無を確
認し,納期までに在庫品を特約店に納入するよう連絡又は発注をし
た。ほとんどの場合,被告が保有する在庫の中から受注品を調達
することができたが,調達することができない場合でも,従前からの
取引先であるメーカーに発注し,調達することが可能であった(甲1
48の1,294,原告A本人・第25回口頭弁論調書)。
      ③ 入社2年目ころから昭和54年ころまでの間,営業担当者が決定した売
買条件について,その指示に基づき売買約票を起票する業務に携
わった。そして,売買約票を起票した際には,営業担当者に回付
し,そのチェックを受けた上で,上司の決裁を受けるという流れにな
っていた(甲294,原告A本人・第25回口頭弁論調書)。
      ④ 営業担当者がメーカーとの間で発注総量を折衝,決定後,その指示に
基づき,メーカーの指定注文書を起票する業務に携わった。また,
ユーザーから見積り依頼がなされた場合,営業担当者の指示に基
づき,見積書の起票又は清書をする業務にも携わった(甲148の
1,294,乙64)。
      ⑤ 昭和46年以降,売上・仕入計上,売掛金勘定元帳管理,売掛金残高
照合,入金処理,請求書作成,商品台帳管理の各業務に携わった
(甲148の1及び2,294,原告A本人・第18回口頭弁論調書)。
      ⑥ 特約店等のユーザー等から取扱商品に対するクレームがあった場合,
原告Aが即時に対応が可能であり,かつ,電話対応で済ますことが
できる程度のクレームであるときには,自らの判断に基づき,電話
によるクレーム対応をしていた。取扱商品の納期に関する問い合わ
せについても,同様であった(乙294,原告A本人・第18回及び第
25回口頭弁論調書)。
      ⑦ その他,課長・部長の書類箱の整理,郵便物等の配付,来客へのお茶
だし,食券・通勤用定期券の配付等所属部署内の庶務的業務に従
事した(甲148の1及び2)。
       他方,鉄鋼部門の男性従業員は,主として成約業務全般を担当しており,
具体的には,発注計画の策定業務やメーカー・ユーザーとの契約条
件に関する折衝業務,売買約票の作成業務等に携わっていた。
       また,取扱商品の納期に関する問い合わせや取引に関するクレームのう
ち,電話による対応では解決することができないような深刻,重大なも
のについては,これに対応する業務にも従事していた。
       さらに,売上代金の集金業務や取引先の与信管理等の業務に携わってい
た(乙64)。
     (d) その後原告Aは,平成5年9月,名古屋本店化成品本部化成品室に異
動した。
       被告の化成品本部は,化学メーカーから仕入れた化成品原料をプラスチ
ックの原料を使用する製造業及び成型・加工ユーザーに供給する業
務並びに成型・加工メーカーからプラスチック製品を仕入れ,ユーザー
に供給する業務を担当する部門であり,取引のある主要なメーカー
は,三菱レイヨン株式会社,大日本インキ化学工業株式会社,三菱樹
脂株式会社等であり,主要なユーザーは,INAX株式会社,国城金型
工業株式会社,エイシン株式会社,カイインダストリー株式会社等であ
った。
       化成品本部化成品室は,平成5年10月1日当時,総合職6人,事務職3
人(うち1人が原告A)から成っていた(乙64)。
       原告Aは,化成品の取引に関する業務に従事したが,その具体的内容
は,以下のとおりである。
      ① 受発注業務,具体的には,ユーザーからファクシミリ又は電話により注
文を受け,品物の数量,納入先,仕入先メーカーを確認の上,これ
らをオンライン端末に入力する業務,オンライン入力作業により売
買約票の作成及びメーカーに対する注文連絡票の送付が自動的
になされた後,メーカーから在庫数,納期等に関する連絡をもらい,
必要に応じて納期の調整等を行った上,その内容をユーザーに連
絡する業務に携わった(甲294,原告A本人・第18回口頭弁論調
書)。
      ② ユーザー等から納期に関する問い合わせ,化成品原料用の袋の破袋
等のクレームがあった場合,原告Aが即時に対応でき,かつ,電話
対応で済ますことができる程度のクレームであるときには,自らの
判断に基づき,電話によって納期に関する問い合わせやクレーム
に対応する業務に携わった。また,クレーム対応に伴い,ユーザー
からの早期の納入要請に応えるため,総合職に相談の上,運送業
者の手配をしたこともあった(甲294,原告A本人・第25回口頭弁
論調書)。
      ③ 総合職の指示に基づき,在庫商品の量が,あらかじめ総合職が設定し
た在庫商品の下限を下回った場合,メーカーに対し在庫商品の生
産を発注する業務に携わった(証人G・第20回口頭弁論調書)。
      ④ 売上・仕入計上業務,売掛金勘定元帳管理,売掛金残高照合,請求書
作成,入金処理等の各業務に携わった(甲148の1,294)。
      ⑤ その他,所属部署の庶務的業務に従事した(甲148の1及び2)。
       他方,化成品室の総合職は,主として,いわゆる商流作り,すなわち,化
成品,化成品原料のユーザー及びメーカーを仲介し,商品の需給ル
ートを作り上げる業務及び成約業務に従事した。
       また,取扱商品の納期に関する問い合わせや取引に関するクレームのう
ち,電話による対応では解決できない深刻,重大なものについては,
これらに対応する業務にも携わっていた。
       その他売上代金の集金業務や取引先の与信管理業務にも従事していた
(乙64,証人G・第20回口頭弁論調書)。
     (e) その後原告Aは,平成7年9月,名古屋本店業務部第2室に異動した。
       名古屋本店業務部は,各営業部門に共通する事務処理業務を集中化す
ることによって事務効率化の推進及び営業戦略の強化を図ることなど
を目的として,平成7年9月に発足した部署であり,第2室は,非鉄金
属部の売上仕入計上業務,買掛金勘定元帳業務,配管住設部の売
上仕入計上業務,売掛金勘定元帳業務,買掛金勘定元帳業務及び
化成品本部の受発注業務,売上仕入計上業務,売掛金勘定元帳業
務,買掛金勘定元帳業務等を担当していた。
       同室は,平成7年9月当時,配管住設部所属の総合職1人を室長とし,非
鉄金属部所属の事務職1人,配管住設部所属の事務職3人及び化成
品本部所属の事務職5人(うち1人が原告A)の合計10人で構成され
ていた(乙64)。
       原告Aの業務部第2室における担当業務は,化成品室における業務と同
じであった。
       他方,業務部第2室の総合職は,室長として,業務配分・室員の勤怠等の
管理業務に従事するとともに,各営業部の損益計画に関する業務等
に従事した(乙64)。
     (f) その後原告Aは,平成14年3月,名古屋本店業務部第1室に異動した。
       原告Aが業務部第1室で従事した業務の具体的内容は,以下のとおりで
ある。
      ① 売掛金に関する業務として,売上計上,納品書・請求書の作成,計上伝
票処理,入金処理,売元帳残高確認,売上伝票のファイリング等の
業務に携わった(甲294)。
      ② 買掛金に関する業務として,請求書の内容確認,請求書と買掛金元帳
との消込照合等の業務に携わった(甲294)。
    b 原告B
     (a) 原告Bは,入社後,本社総務部庶務課に配属されて以来,退職するま
で,被告の人事総務部門に勤務した。
       原告Bが昭和63年6月から退職する平成5年12月まで所属していた名
古屋本店人事総務部では,①人事・総務チーム及び②厚生・営繕チ
ームの2つのチームが編成されていた。このうち①人事・総務チーム
の人事担当は,東京にある人事総務本部と連携をとりながら,従業員
の人事を管理すべく,長期的な人員計画,組織・制度の制定・改廃,
採用,配置,異動,処遇,人事考課,社員教育・研修等に関する業務
を担当し,総務担当は,株式,法務,許認可,広報,文書管理等に関
する業務を担当していた。
       他方,原告Bが所属していた②厚生・営繕チームは,安全衛生,福利厚
生,営繕・修繕,庶務関係の業務を担当していた。
       同チームは,平成5年当時,Kチームリーダーを含む総合職4人,事務職
2人(原告B及びL),保健衛生職1人,特務職1人及び運転職1人の
合計9人で構成されていた(乙83)。
     (b) 原告Bは,入社後,邦文タイピストとして,タイプ業務に携わった。
       その後,原告Bは,頚肩腕症にり患し,昭和43年ころ,邦文タイピストから
庶務的業務の担当に変わったが(甲333,原告B本人・第14回口頭
弁論調書),担当した主要な庶務的業務の具体的内容は以下のとお
りである。
      ① 購入した物資やサービス費用に関する入出金及び資産価値の変動に
伴い会計伝票を発行する業務に従事した(甲333)。
      ② 4万円から8万円程度の現金を保管し,日常発生する少額の出費に関
する請求に対し,現金を渡す業務(小口現金管理業務)に従事した
(甲333)。
      ③ 被告の保有する資産に関し,手書きの資産台帳を作成し,保管する業
務に従事した(甲333)。原告Bは,各資産ごとの台帳を作成する際
に不動産について現地で現況を確認するなどといったことまではせ
ず,被告に存した各種の帳簿に基づいてこれを整理する形で各台
帳を作成したものである(原告B本人・第15回口頭弁論調書)。
      ④ 電話加入権台帳を作成し,保管する業務に従事した(甲333)。
      ⑤ 乗用車,複写機等のリース物件につき,リース料支払報告書作成業
務,リース物件管理台帳作成業務に従事した(甲333)。
      ⑥ 役員の社用車等につき,その走行距離等について秘書課等に報告す
る業務,秘書課等の買換決定に基づき,秘書課・経理課等の買換
りん議に関する承認を得て,社用車の売買に関する契約書を作成
する業務に従事した(原告B本人・第25回口頭弁論調書)。
      ⑦ 自動車保険等の契約手続,更改手続に関し,契約書類等の作成・とり
まとめ等の事務処理業務に従事した(原告B本人・第24回及び第2
5回口頭弁論調書)。
      ⑧ 物故者法要に関する業務
        被告の物故者法要は,在職中逝去した役員及び従業員並びにM会(被
告従業員のOB組織)会員の逝去者を対象としており,毎年1回執
り行われているものであるが,原告Bは,物故者法要につき,あら
かじめ定められた掲載基準に基づく物故者法要名簿の作成,関係
部署長・出席者に対する同名簿の配付,遺族等に対する案内状の
送付,庶務課長に相談した上で,法要用のまんじゅう,遺族に送る
ため等のお茶,お墓に供える花等の手配,法要に欠席した遺族等
に対する法要を施行した旨の手紙の作成・送付,物故者法要名簿
の訂正等の業務に携わった。
        他方,物故者法要の日時の決定とこれに関する寺と秘書室との日程調
整,寺とのお経料の交渉,法要の司会進行等は,庶務課長が行っ
ていた(甲219,原告B本人・第25回口頭弁論調書)。
      ⑨ 福利厚生に関する業務
        厚生行事である海の家に関する業務,厚生大会(ほとんどが社員旅行)
に関する業務,クラブ活動補助等の業務,給料引きカード作成の業
務,福利厚生施設の会員証等の発行の業務等に携わった(甲21
9)。原告Bは,海の家として新たな物件について契約するときは,
現地で物件の確認をし,その経営者と交渉した上で,適当な物件を
2,3件探し出し,これを上司に報告して,上司と相談して決めてい
た(原告B本人・第14回口頭弁論調書)。
      ⑩ 諸団体管理加入に関する業務
町内会,神社,特殊法人等の会費の支払を要する団体の会費支
払状況の管理業務に携わった。原告Bは,団体への加入,脱退に
ついて,自ら決定することはなく,各決裁権者の決裁を得ていた(原
告B本人・第14回及び第15回口頭弁論調書)。
     (c) 原告Bは,以下のとおり,その担当業務を引き継いだ。
      ① 昭和43年ころ,Nという女性従業員から庶務的業務の引継ぎを開始
し,昭和44年12月に同人が退職した際,同人の担当業務をすべ
て引き継いだ(甲94,333)。
      ② 昭和47年ころ,庶務課長のOが健康保険組合に異動した際,同人か
ら,主として福利厚生に関する業務((b)⑨),小口現金管理業務
((b)②)等の業務を引き継いだ(甲94,333,原告B本人・第14回
及び第24回口頭弁論調書)。
      ③ 昭和54年ころ,課長補のPから,手書きの資産台帳作成・管理業務
((b)③),リース物件管理台帳等作成業務((b)⑤),社用車に関する
業務((b)⑥),物故者法要に関する業務((b)⑧)を引き継いだ(甲9
4,333)。
      ④ Qが,昭和63年に人事総務部の課長補に異動してきた際(甲221,22
2の1,2),同人に対して,手書きの資産台帳作成・管理業務((b)
③),リース物件に関する業務((b)⑤)のうち,リース車及び事務機
器に関する業務を引き継いだ(甲94,原告B本人・第24回口頭弁
論調書)。
      ⑤ 原告Bが平成5年に退職した際,Pに対して物故者法要に関する業務
((b)⑧)を,Qに対してリース料支払報告書作成業務((b)⑤)を,主
任役のR(甲222の2)に対して電話加入権台帳作成業務((b)④)
を,それぞれ引き継いだ(甲94,98,原告B本人・第14回及び第2
4回口頭弁論調書)。
(d) 被告の管理部門における原告B以外の者の担当業務等は以下のと
おりであった。
 L(昭和26年12月21日生)は,昭和45年S高等学校卒業後,昭和49年11月被
告に入社し,人事総務本部名古屋総務部庶務第1課勤務(その後,組
織変更により,同課は,昭和50年3月人事総務本部名古屋人事総務
部庶務課,昭和62年6月名古屋本店人事総務部庶務課,昭和63年
6月名古屋本店人事総務部,平成9年3月名古屋本店人事総務部総
務室となった。),平成13年10月開発本部新商品・新事業開発室勤
務を経て,現在に至っている(甲123,384,乙83)。
       Lは,被告に入社した昭和49年11月書記見習の資格を付与され,昭和5
0年10月書記3級に,昭和54年4月書記2級に,昭和59年4月書記
1級に,それぞれ昇格した。その後,Lは,昭和63年6月事務職に配
置されるとともに主事の資格を付与され,平成7年4月担当職1級に,
平成8年4月指導職2級に,それぞれ昇格した(甲123)。Lは,平成1
5年6月1日,職掌変更制度により,総合職に職掌変更され,S2等級
の役割等級を付与された(甲384)。
       Lは,平成5年当時,原告Bと同じく,名古屋本店人事総務部の厚生・営繕
チームに所属していた(乙83)。
 Lは,総務部庶務第1課等において,社宅使用料の給料天引き手
続,社宅申請書類・台帳の管理業務,転勤に伴う引っ越し手配,印
鑑・名刺の発注及び代金の支払等の業務に携わった(甲124,38
1)。
       他方,人事総務部門のうち,庶務担当部門の男性従業員は,主として,社
内外の公式行事,社宅・寮の運用管理,賃貸不動産の運営管理,各
種保険の契約管理等に関する全社にまたがる長期的な基本方針の
策定,年度計画の立案,個々のテーマについての具体的な企画案の
作成及びこれらに関し役員会の決裁を得る業務等に従事していた。
       なお,被告は,心身の故障等により営業部門で客先対応ができなくなった
などの男性従業員については,社内的な対応業務が中心となる庶務
部門に配属することが多かった(乙83)。
   (キ) 転勤の実績
     被告では,総合職の男性従業員の90パーセント以上が,転居を伴う異動を
経験しているが,他方,女性従業員のほとんどが,転居を伴う異動を経験し
ていない(証人H・第12回口頭弁論調書,弁論の全趣旨)。
   (ク) 被告の人事制度変更の経緯等
    a 被告は,商社活動の高度化,多様化に対処すべく「組織の活性化」及び「人
の活性化」を図るとして,昭和63年2月16日,東京で行われた団体交渉
において,組合に対し,文書により組織・人事制度変更について提案し,
その内容について説明した。また,被告は,組合に対し,同年6月1日を
目途に組織・人事制度の変更を実施したい旨申し入れた(甲26,乙3
9)。
      上記提案のうち,人事制度変更案の主たる目的は,従来おおまかであった
職掌区分を整理してその内容を明確化すること,職掌区分ごとに資格制
度を設け,これに基づき従業員の待遇を決定すること等であった(乙45
の1)。
      なお,上記提案に先立つ昭和60年,「雇用の分野における男女の均等な
機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」(以下
「旧均等法」という。)が制定され,同法7条において,「事業主は,労働
者の募集及び採用について,女子に対して男子と均等な機会を与えるよ
うに努めなければならない。」と,同法8条において,「事業主は,労働者
の配置及び昇進について,女子労働者に対して男子労働者と均等な取
扱いをするよう努めなければならない。」とそれぞれ定められたところ(当
裁判所に顕著),被告の上記人事制度変更案には,旧均等法の制定も
少なからぬ影響を及ぼしていた(弁論の全趣旨)。
      これに対し,組合は,「職掌区分」に関しては,現存する職種間の賃金格差
を正当化・固定化するものであり,また,「資格制度」に関しては,将来的
に資格と賃金が結びつく可能性があるなどとして,被告の上記提案に反
対する旨の組合見解を述べるとともに,被告に対し,組織・人事制度の
変更を強行しないよう申し入れた(甲26,乙34の1)。
      組合は,昭和63年3月11日及び翌12日に代議員総会を開催し,組織・人
事制度変更対策委員会を設置した(甲184)。
      その後,被告の前記提案に関し,組合は,組織・人事制度変更対策委員会
を中心として,同年4月5日,同月11日,同月20日の3回にわたり,被
告と団体交渉を重ねたが,同月5日及び同月11日は,新人事制度に関
する質疑応答をするにとどまり,また,同月20日は,組合が組織・人事
制度の変更と給与改定交渉を切り離して交渉するように求めたことなど
から,被告の提案の具体的な内容に踏み込んで交渉するには至らなか
った(乙34の1)。
組合と被告は,同年5月11日,団体交渉を開催し,ようやく被告の提案に関
する実質的な交渉を始めることができたが,組合は,資格制度を導入す
れば,資格給与に移行する懸念があるなどとして,被告の提案に反対意
見を表明した(甲30,乙34の1)。
      組合は,同月18日開催の団体交渉において,被告の提案につき,職掌区
分の新設を認めず,総合職,事務職,保健衛生職を一般職に一本化す
ること,その給与テーブルを男性・女性の二本立てとすること及び全資格
につき最長滞留年数を設け自動昇格制とすることを内容とする対案を示
した。しかし,被告は,組合の上記対案は被告の提案の根幹を否定する
ものであるとして,上記対案を受け入れることはできないと回答し,組合
見解との隔たりが大きいことから,組織・人事制度の変更に関する事前
交渉は断念せざるを得ないと判断した(乙34の1)。
      そこで,被告は,組合に対し,同月20日付けで組織・人事制度変更後の就
業規則を送付するとともに,内容証明郵便で,同年6月1日付けで組織・
人事制度の変更に踏み切る旨及び就業規則変更に関する組合見解を
同年5月27日までに提出するよう求める旨の書面を送付した(甲33,3
4)。
      その後,同月24日に開催された団体交渉において,組合は,被告に対し,
労使争議中の案件について交渉未成立の段階であるにもかかわらず内
示を強行することは不当労働行為にほかならない,同月18日の団体交
渉で組合が示した対案の内容につき職場討議において過半数の支持を
得たが代議員総会で否決されたため,今回は交渉できないが,被告の
提案を受け入れた訳ではないなどと組合見解を述べた。これに対し,被
告は,再度組織・人事制度の変更を同年6月1日に実施する旨表明した
(甲36,乙34の1)。
      組合が被告に対し,同年5月27日,職掌別人事制度は旧均等法違反であ
るなどとしたためた意見書を提出したため,被告は,同月30日,中央労
働基準監督署に対し,同意見書を添付の上,就業規則変更届を提出し
た(乙34の1,40の1から3まで)。なお,その後組合が同年6月3日付
けで追加意見書を提出したため,被告は,同追加意見書も中央労働基
準監督署に提出した(乙34の1,41)。
      そして,被告は,前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により
容易に認められる事実(2)イのとおり,同年6月1日,職掌別人事制度を
含む組織・人事制度の変更を実施した。
    b 職掌別人事制度実施後,組合は,組織変更は認めるが,人事制度の変更
は認めない旨主張し,同年6月1日実施した就業規則の変更を直ちに撤
回の上交渉するよう要求して,同月23日ストライキ権を確立し,同年7月
25日,時限ストライキを実施した(甲113,185,の1,2,乙34の1)。
      その後,平成元年ころまでの間,被告と組合は,組織・人事制度の変更に
ついて,十数回にわたる団体交渉を実施したが,前記争いのない事実並
びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実(2)イ(エ)のとお
り,職掌別人事制度等のうち給与制度に関する協定は締結したものの,
職掌区分及び資格制度については依然として双方の見解が平行線をた
どったままだった(甲199,乙34の1)。
      被告は,平成2年以降も,組合に対し,職掌別人事制度等に関する団体交
渉の開催を呼び掛けたが,組合はこれに応じないまま,平成5年になる
まで協定ができない状態が継続した(乙34の1)。
      被告が,平成5年2月,組合との団体交渉において,再度,人事・組織制度
の変更に関する協定化を早急に実現するための団体交渉を再開したい
と申し入れたところ,組合は,これに応じ,その後数回の団体交渉を経
て,前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認
められる事実(2)イ(エ)のとおり,同年6月14日,平成5年協定を締結した
(乙34の1,42)。
    c 被告は,急激な社会環境の変化及び従業員意識の変化に対応すべく,職
能資格制度を機軸としたトータル人事システムの導入を企図した(乙45
の1)。そこで,被告は,平成5年10月,組合に対し,トータル人事システ
ムの骨子を提案するとともに,その具体的内容について検討するため被
告及び組合が労使検討委員会を設置することを提案したところ,組合も
これに同意し,労使検討委員会が設置された(乙34の1)。
      その後,被告と組合は,合計7回にわたる労使検討委員会を開催した後,
労使検討委員会の検討結果を団体交渉で協議することとした。そして,
平成6年10月から翌平成7年3月まで10回にわたる団体交渉を実施し
た結果,同年3月1日双方が合意に至り,前記争いのない事実並びに証
拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実(2)ウ(ア)のとおり,同
月30日に平成7年協定を締結した(乙34の1,44)。
d 被告は,平成14年1月,組合に対し,人事制度の改定を検討している旨伝
え,同年7月新人事制度の具体的内容について検討すべく被告と組合と
で検討委員会を設置することを申し入れたところ,組合もこれに同意し,
労使検討委員会が設置された。そして,被告と組合が,同年8月から同
年9月にかけて4回にわたる労使検討委員会を開催した後,被告は,管
理職の意見及び労使検討委員会における組合側委員の意見・提案を踏
まえた上で,新人事制度案を作成し,平成15年1月,組合に対し,人事
制度の改定を申し入れた。
      その後,被告と組合は,同年3月24日及び同年4月17日に,団体交渉を
実施した結果合意に達したため,同年5月26日新人事制度改定に関す
る協定を締結し,前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨に
より容易に認められる事実(2)エのとおり,同年6月1日,平成15年人事
制度を実施した(乙98,99)。
   (ケ) 職掌変更の実績等
    a 原告Aについて
      原告Aは,トータル人事システムの職掌変更制度に基づき,平成8年4月,
平成9年4月,平成10年4月の3回にわたり職掌変更の申請をしたが,
いずれの場合も上長の推薦を得られず,職掌変更することができなかっ
た(甲171,173,175,原告A本人・第18回口頭弁論調書)。なお,原
告Aは,平成7年4月当時,職掌変更の申請資格があったにもかかわら
ず,規定を誤解し,申請できないと思っていたため,職掌変更申請をしな
かった(甲171,原告A本人・第19回口頭弁論調書)。
      原告Aは,平成11年4月,配偶者が長期入院療養生活に入ることになった
ため,職掌変更申請を見合わせたところ,被告は,原告Aに対し,原告A
が申請をしない理由を証明する資料として医師の診断書等説明資料の
提出を求めた(甲176,177)。その後,被告は,原告Aが医師の診断書
を添付した介護休業の申出をしたため,原告Aの職掌変更不申請の理
由は「中断の事由が傷病等のやむを得ない場合」と同程度であると判断
し,以後の原告Aによる再申請を認めることにした(乙85)。
      原告Aは,平成12年4月にも職掌変更の申請をしたが,やはり上長の推薦
を得ることができなかった(原告A本人・第28回口頭弁論調書)。
      その後,原告Aは,平成13年6月18日,被告に対し,職掌変更申請書を提
出した(甲241)。そして,同年7月18日の本件訴訟の和解期日におい
て,当裁判所が,被告に対し,和解を前提として,原告Aの職掌変更手
続につき,オーバールールとして上長の推薦無しで実施することを勧め
た(当裁判所に顕著)。被告は,原告Aに対する面接を行った上で,裁判
所の勧告に従って職掌変更手続を開始することとし,その選考手続の一
環として,同年9月13日から同月15日まで集合研修を,同月18日及び
19日に営業職業基礎実務研修を,また,同年10月からケースで学ぶ中
堅社員研修という通信教育を実施した(原告A本人・第28回口頭弁論調
書)。しかし,同年11月和解交渉が決裂したため,被告は,原告Aの職
掌変更手続を打ち切った(乙96,原告A本人・第28回口頭弁論調書)。
      原告Aは,翌平成14年も職掌変更の申請をしたが,上長の推薦を得ること
ができなかった(原告A本人・第28回口頭弁論調書)。
    bTについて
      Tは,平成8年4月,職掌変更申請を行い,上長の推薦を得て,職掌変更手
続を開始したが,不適格とされ,職掌変更することができなかった。Tは,
翌平成9年4月,再度職掌変更の申請をし,上長の推薦を得た上職掌変
更手続を実施した結果,平成10年4月事務職から総合職に職掌変更し
た(証人T・第16回口頭弁論調書)。
    c Lについて
      Lは,平成12年6月,職掌変更の申請をしたところ,上長の推薦を得られ
ず,職掌変更することができなかった。Lは,翌平成13年6月,再び職掌
変更申請をしたところ,上長の推薦を得ることができたため,職掌変更手
続を開始したが,平成14年5月不適格とされ,職掌変更することができ
なかった(証人L・第28回口頭弁論調書)。Lは,同年6月,3度目の職掌
変更の申請をしたところ,平成15年6月1日事務職から総合職に職掌変
更した(弁論の全趣旨)。
    d 職掌変更の実績
      上記のとおり,被告においては,現在まで,原告A,T及びLの3人が事務職
から総合職への職掌変更申請をし,うちT及びLの2人が総合職に職掌
変更したが,その他の事務職は職掌変更申請すらしていない(弁論の全
趣旨)。
   (コ) 均等法の成立及びこれに関する通達
    a 平成9年6月,旧均等法を改正した「雇用の分野における男女の均等な機
会及び待遇の確保等に関する法律」(以下「均等法」という。)が成立し,
平成11年4月1日から施行された。
      均等法では,「事業主は,労働者の募集及び採用について,女性に対して
男性と均等な機会を与えなければならない。」(5条),「事業主は,労働
者の配置,昇進及び教育訓練について,労働者が女性であることを理由
として,男性と差別的取扱いをしてはならない。」(6条)とされ,それまで
の努力義務の規定が強行規定・禁止規定となった(当裁判所に顕著)。
    b 労働省婦人局は,コース別雇用管理につき,平成3年10月,「コース別雇
用管理の望ましいあり方」と題する通達を発出した(甲73の1,2)。ま
た,労働省女性局は,均等法の成立・施行後,平成12年6月16日,均
等法等の規定内容に照らし事業主が留意すべき事項について,「コース
等で区分した雇用管理についての留意事項」と題する通達(女発185
号)を発出した。同通達では,企画的業務や定型的業務等の業務内容
や,転居を伴う転勤の有無等によって幾つかのコースを設定して,コース
ごとに異なる配置・昇進,教育訓練等の雇用管理を行うシステムを「コー
ス別雇用管理」と呼称し,次に挙げるような事項については,それを行う
と明らかに均等法に違反することになるとしている(甲229)。
     (a) 「総合職」(基幹的業務又は企画立案,対外折衝等総合的な判断を要す
る業務に従事し,転居を伴う転勤があるコース)は男性のみ,「中間
職」(「総合職」に準ずる業務に従事するが転居を伴う転勤はないコー
ス)や「一般職」(主に定型的業務に従事し,転居を伴う転勤はないコ
ース)は女性のみといった制度を作るなど,一方の性の労働者のみを
一定のコース等に分けるといった制度運営を行うこと。
     (b) 「総合職」をはじめとするいずれのコース等についても男女とも配置する
ことがあり得る制度とするなど,形式的には男女双方に開かれた制度
になっているが,例えば,「総合職」は男性のみとする慣行があるな
ど,実際の運用において男女異なる取扱いを行うこと。
     (c) コース等の各区分における募集,採用の際に,男女別で選考基準や採
用基準に差を設けた上で行うこと(例えば,転勤があることが条件にな
っているコース等に応募した者のうち,女性に対してのみ,面接等に
おいて転勤の意思を確認すること等)。
(d) コース等の各区分における配置,昇進,教育訓練等の雇用管理に
ついて,男女別で運用基準に差を設けた上で行うこと(例えば,「総合
職」であっても女性については営業業務から排除すること等)。
     (e) コース等で区分した雇用管理を導入,変更又は廃止するに当たって既存
の労働者をコース等の各区分に分ける際に,性別を理由に一律に分
けたり,一定のコース等に分ける場合に女性にのみ特別な要件を課
す等,男女で異なる取扱いをすること(例えば,女性労働者をすべて
「一般職」に分けること,男性は全員「総合職」とするが,女性は希望
者のみ「総合職」とすること等)。
  ウ 検討
    上記イの認定事実に基づき,検討する。
   (ア) 被告は,男女の処遇の差異は,その職掌及び業務の違い(総合職は基幹
的業務,事務職は定型的・補助的業務)によって採用を異にしたことによる
ものであると主張する。
     被告は,取引機能を中心に,多様な機能を有する専門商社であるが,取引機
能としての成約業務が中心的業務であり,成約業務においては,高度の交
渉能力,商品知識,情報収集能力等が要求されるから,一般的にみて処理
の困難度が高い業務であるということができる(イ(ア))。
     被告は,営業部門においては,原則として,この成約業務を総合職(ただし,
職掌別人事制度導入前については,職掌別人事制度導入以降の総合職と
実質的に同様の業務に従事した男性従業員を指す。以下,単に「総合職」
という。)に担当させ(イ(カ)a(c),(d)),事務職(ただし,職掌別人事制度導
入前については,職掌別人事制度導入以降の事務職と実質的に同様の業
務に従事した女性従業員を指す。以下,単に「事務職」という。)については
成約後の取引完了に至るまでの契約履行に関する様々な業務に従事させ
ている(イ(カ)a(c)⑤,イ(カ)a(d)④等)。
     なお,原告Aは,鉄鋼部門において受発注業務(イ(カ)a(c)②),売買約票及
び指定注文書の起票(イ(カ)a(c)③,④)等の業務,化成品室において受発
注業務(イ(カ)a(d)①),在庫商品の発注業務(イ(カ)a(d)③)等の各業務に
従事した経験があるが,これらの具体的業務内容について認定したとお
り,これらは,あらかじめ定められた一定範囲内の成約業務又は成約に必
要な書類の起票業務に従事したものであり,成約業務を広範囲にわたって
恒常的に行っていたものであるとはいえない。
     被告においては,営業部門のほかに,原告B及びLが所属する庶務部門を含
む管理部門における業務が存在するが,管理部門の業務は多種多様にわ
たるところ(イ(カ)b),その中には高度な業務知識,交渉能力等を必要とす
るものから,そのような知識・能力をさほど必要としないものまで様々なもの
が存在しているということができる。そして,被告は,管理部門においては,
原則として,総合職については前者を,事務職については後者を,それぞ
れ担当させたと認められる(イ(カ)b(d))。
     以上によれば,原告らが担当した業務と総合職が担当した業務を比較する
と,被告が重要度が高い業務と位置づけた業務は総合職に,さほど重要度
が高くないと位置づけた業務は事務職に担当させていたということができ
る。
     もっとも,原告Aが被告の特約店とのスポット取引に関する受発注業務に携
わるなど前記イ(カ)の原告らが従事してきた業務に照らせば,被告の主張
するように,原告らが専ら単なる定型的・補助的業務のみに従事していたと
までは認め難いし,営業部門の事務職が担当した成約後の履行に関する
業務も,取引を円滑に完了させ,被告の信用を高めるという意味において
は重要な業務であるといえること,管理部門の総合職が担当していた業務
を事務職に担当させたことがあり,担当業務にある程度の互換性があるこ
とに照らせば,被告における業務について,被告主張のように基幹的業務
と定型的・補助的業務とを明確かつせつ然と区別することは困難であり,被
告においては,処理の困難度の高いものから低いものまで,その程度が異
なるものが存在するという程度で,両者の差異は相対的なものであるという
べきである。
     したがって,被告は,総合職については,営業部門における成約業務を中心
とする比較的処理の困難度の高い業務に,事務職については,それ以外
の業務を中心とする比較的処理の困難度の低い業務に,それぞれ従事さ
せてきたということはできるが,両者の境界は明らかではなく,また,その一
部は重なり合っていたと認めるのが相当である。
     そして,被告は,原告らの採用に当たり,原告らに対して,原告らが従事する
業務が専ら定型的・補助的業務である旨明示的な説明をしたものではな
い。
     したがって,原告らを定型的・補助的業務に従事するものとして採用したとの
被告の主張は,それが原告らを同業務のみに従事するものとして採用した
という趣旨であれば,採用できないというべきである。
   (イ) しかしながら,被告は,高等学校卒業の従業員の募集,採用においては,
男性については,職種として「男子一般職」,作業内容として「営業,経理
等」としており,勤務地について特段限定しないものとしているのに対し,女
性については,職種として「一般事務」,作業内容として「台帳(売掛,仕入,
契約)整理,計算事務,伝票起票,電話応対等」とし,就業場所を一定地域
内の事業所としているほか(イ(ウ)a,イ(ウ)b),男女では,選考・採用手続
も異にしていたのであって(イ(ウ)b),少なくとも勤務地については両者をし
ゅん別していたということができる。また,被告は,タイピスト等の特殊技能
職の女性については,人員の不足が生じた都度,所定の求人票に,職種と
しての作業内容,当該業務に必要な具体的技術,具体的勤務地,自宅か
らの通勤可能な者等の希望条件等を記載して,随時,募集,採用を行って
いたものである(イ(ウ)a)。
     したがって,上記の募集,採用により,原告らと被告の労働契約は,職種及び
作業内容を前記のとおりとし,かつ,勤務地を原告Aについては名古屋店,
原告Bについては本社とする勤務地限定のものとして締結されたと認める
のが相当であり,このことは,採用後の配置において,男性従業員につい
ては国内外の支店・営業所等に配属し,しかも大部分を営業部門に配属
し,その後もほとんどの男性従業員が転居を伴う異動を行っているのに対
し,女性従業員については当該従業員を採用した事業所に配属し,その後
も転居を伴う異動の対象とはされていないこと(イ(エ)c,イ(キ))からも裏付
けられる。
     以上のような,男性従業員,女性従業員の募集,採用条件,採用後の配置,
異動状況のほか,入社式の差異(イ(エ)a),採用後の男女の研修体系が異
なっていたこと(イ(エ)b),全国的な異動をするものとして予定されている者
(男性従業員)と勤務地に限定のある者(女性従業員)とでは,入社後の経
験,獲得される知識もおのずから異なってくるものと考えられること,原告ら
が入社した当時の高等学校卒業の女性の就職者の8割弱が事務的職業
に従事していたこと及び原告らが入社した当時の女性従業員の平均勤続
年数は5年に満たない短いものであったこと(イ(イ))を併せ考えると,被告
は,当時の社会情勢を踏まえた企業としての効率的な労務管理を行うた
め,男性従業員については,商社の中心的業務である成約業務を中心と
する主として処理の困難度の高い業務を担当し,将来幹部社員に昇進する
ことが予定されているものとして処遇し,また,その勤務地も限定しないも
のとし,他方,女性従業員については,タイピスト等の特殊技能職はもちろ
んのこと,一般事務を職種とする者についても,そのような処遇をすること
を予定せず,主として処理の困難度の低い業務に従事する者として処遇
し,また,勤務地を限定することとしたものというべきであり,従業員の採用
に当たっても,このように男女で異なった処遇をすることを予定していたこと
から,男女別に異なった募集,採用方法をとっていたと認めるのが相当で
ある。
     したがって,被告は,男女の就労実態の差異を前提にその差異が専ら性差
に基づくものであるとして,男女をコース別に採用し,その上でそのコース
に従い,男性従業員については,主として処理の困難度の高い業務を担当
させ,勤務地も限定しないものとし,他方,女性従業員については,主とし
て処理の困難度の低い業務に従事させ,勤務地を限定することとしたもの
と認めるのが相当である。そして,その結果,被告の給与体系(イ(オ))から
も明らかなように,被告においては,入社後の昇格,賃金についても,その
決定方法,内容が男女のコース別に行われていたもので,それに伴い,昇
格時期,昇格内容及びこれに伴って賃金にも格差が生じていたということ
ができる。
 (3) 格差の合理性について
  ア 前記(2)ウ(イ)のとおり,被告は,入社後男女別に予定する処遇と全国的な異
動の有無等により,男女をコース別に採用,処遇していたということができる
が,このような採用,処遇の仕方は,その採用,処遇を性によって異にすると
いうものであるから,法の下の平等を定め,性による差別を禁止した憲法14
条の趣旨には反するものといわざるを得ない。
    しかし,憲法14条は,私人相互の関係を直接規律することを予定したものでは
なく,民法90条の公序良俗規定のような私的自治に対する一般的制限規定
の適用を介して間接的に適用されるにとどまると解するのが相当である。そし
て,性による差別待遇の禁止は,民法90条の公序をなしていると解されるか
ら,その差別が不合理なものであって公序に反する場合に,無効,違法となる
というべきである。
    以下,この見地から検討する。
  イ 原告らの入社当時
   (ア) 原告らが入社した当時,性による差別を禁じた実体法の規定としては,労
働基準法4条があり,「使用者は,労働者が女性であることを理由として,
賃金について,男性と差別的取扱いをしてはならない。」と定めている(当
時の文言は,「女性」,「男性」ではなく,「女子」,「男子」)。また,同法3条
は,「使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,
労働時間その他の労働条件について,差別的取扱をしてはならない。」と
定めている。
     労働基準法3条は,その文言から明らかなように,性による差別の禁止を規
定したものではなく,労働条件についての差別的取扱いを禁止しているにと
どまるところ,募集,採用に関する条件は労働条件に含まれないから,被
告のとった男女のコース別採用,処遇が労働基準法3条に違反するものと
はいえない。
     また,労働基準法4条は,性による賃金差別を禁止しているにとどまるから,
被告が行った男女のコース別の採用,処遇の違いにより男女間の賃金に
差異が生じても,それが採用,配置,その後の昇進の差異によるものであ
る以上,同条に直接違反するものではないというべきである。そして,前
記(2)ウ(ア)のとおり,男性従業員と女性従業員とでは,その従事する業務
は一部重なり合ってはいたものの,全く同一というわけではないから,被告
のした男女のコース別の採用,処遇が,労働基準法4条違反の不合理な差
別として公序に反するということはできないというべきである。
     さらに,昭和60年に制定された旧均等法は,募集,採用,配置,昇進につい
ての男女の差別的取扱いに関して規定しているが,それをしないことを使
用者の努力義務にとどめており,その禁止が使用者の法的義務にまで高
められたのは,均等法が平成9年6月に制定され,平成11年4月1日に施
行されてからである。
   (イ) 原告らが入社した当時において,被告が従業員の募集,採用について,男
性については,主として処理の困難度の高い業務を担当し,将来幹部社員
に昇進することが予定される者であることから,勤務地に限定のない者とし
て,他方,女性については,主として処理の困難度の低い業務に従事する
ことが予定される者であることから,勤務地に限定のある者として,男女別
に行ったことは,女性に男性と均等の機会を与えなかった点で男女を差別
するもので,法の下の平等に反するものとして公序に反するのではないか
が問題となる。
     しかしながら,前記(ア)のとおり,社員の募集,採用に関する条件は,労働基
準法3条の定める労働条件ではなく,また,前記アのような形態の男女のコ
ース別の採用,処遇が労働基準法4条に直接違反するともいえないこと,
原告らの入社当時,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱
いをしないことを使用者の努力義務とする旧均等法のような法律もなかっ
たこと,企業には労働者の採用について広範な採用の自由があることから
すれば,被告が,原告らの入社当時,従業員の募集,採用について男女に
均等の機会を与えなかったからといって,それが直ちに不合理であるとは
いえず,公序に反するものとまではいえない。
   (ウ) 以上によれば,原告らが入社した当時は,女性従業員の勤続年数は短く,
一般的にみて,企業においては,女性について全国的な異動や海外赴任
を行うことは考え難かったといえるから,企業においても効率的な労務管理
を行うためには,女性従業員の採用,処遇についても,そのことを考慮せざ
るを得ず,これを考慮した被告の男女のコース別の採用,処遇が,原告ら
の入社当時において,不合理な差別として公序に反するとまでいうことはで
きない。     
     なお,原告らは,女性差別撤廃条約,国際人権規約,ILO条約等を根拠に,
原告らが入社した当時,両性平等が国際的公序として確立していたことか
ら,被告のした男女差別は,国際的公序に反し違法であるとも主張する。
     しかしながら,これらの条約が国内法の制定を待つまでもなく当然に自動執
行力を有すると認めることはできないし,以上検討した被告の男女のコース
別の採用,処遇の経緯,内容からすれば,これがこれらの条約に直ちに違
反するとすることもできないことから,原告らの主張は採用できない。
  ウ 職掌別人事制度導入(昭和63年)以降
    その後被告は,昭和63年から人事制度を改め,総合職と事務職の区別を設
けた職掌別人事制度を導入しているが,男性従業員の大半を総合職に,女性
従業員すべてを事務職に配置しているのであるから,被告の男女のコース別
の処遇が職掌別人事制度の導入によって変わったとすることはできない。被
告の昭和63年の職掌別人事制度の導入は,昭和60年に旧均等法が制定さ
れ,昭和61年4月から施行されたことから,これに対処し,男女のコース別の
処遇を引き続き維持するため,総合職,事務職の区別を設けたにすぎないと
認めるのが相当である。
    しかしながら,旧均等法は,前記イ(ア)のとおり男女で差別的取扱いをしないこ
とを努力義務にとどめているのであり,前記イ(イ),(ウ)で述べたことを併せ考
慮すると,旧均等法が制定,施行されたからといって,被告の男女のコース別
の処遇が公序に反して違法であるとまでいうことはできない。
  エ 均等法施行以降
   (ア) その後,平成9年に均等法が制定され,平成11年4月1日から施行されて
いるところ,同法が定めた男女の差別的取扱いの禁止は使用者の法的義
務であるから,この施行時点以降において,被告が,それ以前に被告に入
社した従業員について,男女のコース別の処遇を維持し,男性従業員の大
半を総合職に位置づけ,女性従業員を事務職に位置づけていることは,配
置及び昇進について,女性であることを理由として,男性と差別的取扱いを
するものであり,均等法6条に違反するとともに,公序に反して違法である
というべきである。
ところで,原告Bは,均等法施行前の平成5年12月31日に既に被告を
退職しているから,原告Bについて,均等法施行以降の処遇の違法が問題
となる余地はない。
したがって,以下,原告Aについて,均等法施行以降の処遇の違法につ
いて検討することとする。
原告Aが被告と締結した,職種を一般事務とし,勤務地を名古屋に限定
した労働契約のうち,勤務地に関する部分は配置に関するものであり,同
部分は,被告が男女という性の別によりコース別での配置等の処遇をする
ためのものであるというほかなく,原告Aにつき,均等法施行後もなおそれ
までの男女の性の別によるコース別の処遇を維持することは,均等法の施
行以降においては,均等法が配置における男女差別を禁止したことによ
り,違法となり,無効となったものというべきである。
   (イ) 被告は,昭和63年,職掌別人事制度の導入と併せて,女性従業員が属す
る事務職から男性従業員の大半が属する総合職への職掌変更制度を設
け,現に少数ながらも事務職から総合職へ職掌変更させた実績もあること
から,女性従業員についても職域の拡大を図る努力をしているといえなくも
ない。
     しかし,前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認
められる事実(2)のとおり,被告の職掌変更制度は,一応事務職・総合職相
互間の職掌変更を認める制度とはなっているものの,事務職から総合職へ
の職掌変更については,上長による推薦を申請要件そのものとしており,
事務職が総合職への職掌変更を希望しても,上長の推薦がない限り職掌
変更手続そのものを開始することができず,職掌変更の機会それ自体を奪
われることになってしまう。しかも,上長が推薦するに際して必ずしも明確な
推薦基準があるわけではないため,推薦に至る判断過程についての透明
性が確保されているとはいえず,し意的な運用を許容する余地がある。さら
に,上長の推薦を申請要件とすることで,職掌変更を希望する事務職に申
請そのものをちゅうちょさせるなど事実上の抑制効果を及ぼす可能性も否
定できない。
     したがって,被告の職掌変更制度は,女性従業員が属する事務職と男性従
業員の大半が属する総合職との間で差異を設け,また,女性に対して特別
の条件を課する不合理なものといわざるを得ない((2)イ(コ)b)。
   (ウ) これに対し,被告は,職掌変更に伴う研修の実効性及び総合職への転換
可能性を見極めるため,上長の推薦が不可欠であり,また,複数人が関与
することによって,推薦の可否の判断に関する客観性は確保されている旨
主張するが,上長の推薦を申請要件とする目的自体が明らかに不合理で
あるとはいえないものの,現に被告においては,事務職から総合職への職
掌変更の実績がごく少数にとどまるばかりか,職掌変更申請そのものの実
績が極めて低いと認められることから,上長の推薦という申請要件が,職
掌変更を希望する事務職に少なからぬ影響を及ぼし,職掌変更の申請を
ちゅうちょさせ,又は,断念させたものと推認することができる。 
したがって,被告の上記主張によっても,上記判断を左右するに足りな
い。
   (エ) この点,配置に関する被告の労務管理権のほか,事務職における職掌変
更申請対象者の標準年令を引き下げたり,職掌変更申請権利喪失規定を
廃止するなど被告が職掌変更制度の要件緩和措置を執ったことを併せ考
慮しても,上記のとおり上長の推薦という不合理な申請要件によって,被告
の職掌変更制度は十分に機能していないと認められることから,職掌変更
制度の存在により,配置における男女の違いが正当化されるとすることは
できない。
  オ 以上によれば,前記(1)の男女間の格差は,被告が,男性従業員については,
主として処理の困難度の高い業務を担当し,将来幹部社員に昇進することが
予定され,勤務地に限定のない者として,他方,女性従業員については,主と
して処理の困難度の低い業務に従事することが予定され,勤務地に限定のあ
る者として,男女のコース別に採用,処遇してきたことによるものであるが,原
告らが入社した当時において,男性は前者に,女性は後者に属するものとし
たことには一定の合理性があり,それが公序に反するものとまではいえないも
のの,その後,均等法が施行されるに至った平成11年4月1日以降は,原告
Aと被告の労働契約中,前記の処遇部分は,同法6条に違反するとともに,不
合理な差別として公序に反することになったというべきである。
    一方,原告Bについては,前記のとおり,均等法施行前の平成5年12月31日
に既に被告を退職しているから,原告Bと被告との労働契約が無効又は違法
であったということはできない。
  カ(ア) これに対して,原告らは,採用手続の同一性,原告らが従事してきた業務
と男性従業員の業務との同一性等を根拠に原告らが被告との間で男性従
業員と同一の労働契約を締結した旨主張する。
確かに,原告らが主張するとおり,原告らが被告に入社した当時の被告
の就業規則には,職掌区分に関する明確な定めがなかったものの,前記
認定のとおり,被告は,男女で異なった処遇をすることを前提に,男女をコ
ース別に採用していたと認められることから,原告らが被告との間で男性従
業員と同一の労働契約を締結したと認めることはできない。また,原告ら女
性従業員の従事する業務と男性従業員が従事する業務とは,被告が主張
するように明確に区別することができず,一部について重なり合っていたと
いうべきではあるが,前記認定のとおり,被告は,男性従業員については
比較的処理の困難度の高い業務に,女性従業員については比較的処理
の困難度の低い業務に従事させてきたと認められるため,原告ら女性従業
員の業務が男性従業員の業務と全く同一であったとは認めることができな
い。
     また,原告らは,被告が原告らと労働契約を締結する際,原告らに対し,労働
基準法15条に基づき労働条件を明示すべき義務を負うところ,被告は原
告らに対し男性と女性とで労働契約の内容が異なる旨の説明等をしなかっ
たとして,規定上男女の区別をしていない就業規則が男性従業員,女性従
業員を問わず適用された結果,女性従業員も,男性従業員と同一の労働
契約を締結したと主張する。
     なるほど,被告は,採用後も男女従業員について異なる処遇をしているので
あるが,原告らの採用時にその旨を説明していないし,原告らの採用時の
被告の就業規則にもその旨の規定はない。
     しかしながら,使用者である企業は,労働者を雇用するに当たり,個別に労
働者と労働契約を締結するのであるから,企業が当該労働者に対して説明
義務を負う範囲は,当該労働者との労働契約の内容となる労働条件にとど
まると解するのが相当であり,当該労働者に対し,他の労働者の労働条件
についてまで説明すべき義務があるとすることはできない。また,就業規則
そのものが規定上男女の区別をしていないからといって,就業規則を受け
て制定された社内通達の「採用規程」等に基づいて締結された個別的な労
働契約の内容について,それが就業規則に定める具体的な労働条件の基
準に達しないものとして無効となるということはできず,就業規則の規定に
より当然に男女同一の労働契約を締結したことになるということはできな
い。
     したがって,原告らの上記主張は,いずれも採用することができない。
   (イ) 原告らは,被告が昭和63年に導入した職掌別人事制度及び平成7年に導
入したトータル人事システムは女性差別を維持固定化するものであるから
無効,違法である旨主張する。
     確かに,被告が旧均等法の制定,施行に対処し,男女のコース別の処遇を
引き続き維持するため,職掌別人事制度を導入したにすぎないということが
できるが,前記ウで説示したとおり,旧均等法が男女で差別的取扱いをし
ないことを努力義務にとどめていることなどに照らせば,男女のコース別の
処遇が直ちに公序に反して無効,違法であるとはいえない。
     また,原告らは,職掌別人事制度の導入に伴い被告がした就業規則の変更
は,原告ら女性従業員の労働契約上の既得の諸権利を一方的に奪い,不
利益を課すものであることから,無効である旨主張する。
     しかし,前記認定のとおり,被告は,従前行ってきた男女のコース別の処遇を
引き続き維持するため,就業規則を変更し,総合職と事務職の区別を設け
たにすぎないのであり,これによって,女性従業員の従事する業務の内容
や賃金に関する定め等が変更されたとは認められないことから,職掌別人
事制度の導入に伴う就業規則の変更が,女性従業員に対し特段の不利益
を及ぼすと認めることはできない。
     したがって,原告らの主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。
     さらに,原告らは,平成5年協定及び平成7年協定は,被告の不当労働行為
により御用組合化した組合により,女性従業員の反対意見を無視して締結
されたものであるから,無効,違法であるとも主張する。
     しかし,証人Iの証言によっても,組合が被告の不当労働行為により御用組合
化したと認めるに足りるものではなく,他にこれを認めるに足りる的確な証
拠はない。また,前記(2)イ(ク)のとおり,被告と組合は,職掌別人事制度導
入後も交渉を重ねた結果,平成5年協定の締結に至ったものであり,平成
7年協定も,合計7回にわたる労使検討委員会の開催,10回にわたる団
体交渉を経て,締結されたものであることから,これらの協定の締結に至る
過程に手続的瑕疵があったとは認められず,女性従業員の反対意見が組
合の平成5年協定及び平成7年協定に関する意思決定に反映されなかっ
たからといって,直ちにこれらの協定を無効,違法とすべき理由もない。
     したがって,原告らの上記主張も採用することができない。
   (ウ) 原告らは,被告における違法な男女の差別的取扱いとして,新入社員研修
に関する差別,供花差別,名刺の不支給,事務服の強制,お茶くみ等を挙
げる。
しかし,前記認定のとおり,被告においては,男性従業員については,商
社の中心的業務である成約業務を中心とする主として処理の困難度の高
い業務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定されている者として
処遇し,他方,女性従業員については,主として処理の困難度の低い業務
に従事する者として処遇していたものであるから,原告らが主張する上記
差別的取扱いとは,そのような担当業務の違いによる処遇の違いによるも
のが主たるものであると認められ,性別のみを根拠とした違法な差別的取
扱いということはできない。また,女性従業員には,派遣社員も含めて事務
服が貸与されていたのに対し,男性従業員には,総合職のみならず,被告
へ出向してきた従業員に対しても事務服の貸与がされていなかったが,事
務服については,組合の要望によって設置された事務職制服改善委員会
のアンケート調査の結果でも,私服を希望する女性従業員は10パーセント
程度の少数であったものであり(証人L・第17回口頭弁論調書),そのよう
な状況下における女性従業員のみの事務服の着用が,原告らに対する関
係で慰謝料請求権を生じさせるような違法な男女差別であったと認めるに
足りるものではない。
(エ) 原告らは,退職における違法な男女差別として,女性についてのみの結婚退職
優遇制度が存在したこと,結婚や妊娠出産を契機とした退職勧奨があった
ことを挙げる。
しかし,被告において,結婚や妊娠出産を契機とした退職勧奨があった
と認めるに足りる的確な証拠はなく,原告ら主張の結婚退職優遇制度は,
女性従業員のみを優遇するものであるが,女性であるが故に不利益を課
すものではなく,その存在をもって,これが原告らに対する関係で慰謝料請
求権を生じさせるような違法な男女差別であったと認めることはできない。
(オ) その他,原告らは,均等法施行前の被告における違法な男女差別の存
在や各人事制度導入に際しての違法性等についてるる主張しているが,男
女間の処遇上の差異は,前記認定の男性従業員と女性従業員の担当業
務の違いによるものといえるのであり,また,各人事制度導入の経過も前
記認定のとおりであって,原告らが主張するような違法があるということは
できず,原告らの上記主張は,前記結論を覆すに足りるものではなく,いず
れも採用することができない。
2 争点(2)(地位の確認)について
 (1) 確認の利益について
  ア 一般に,確認の利益は,原告の権利又は法律的地位に危険・不安定が現存
し,その危険・不安定を除去する方法として確認の判決をすることが有効適切
である場合に認められる。
    そして,原告が,当該確認請求に係る請求権に基づき給付訴訟を提起できると
きは,それによることで紛争の解決が図られるから,その請求権の確認の利
益は原則として認められないが,基本たる権利又は法律関係から派生する給
付請求権について給付訴訟が可能な場合でも,基本たる権利又は法律関係
を確認することが現存する原告の権利又は法律的地位についての危険・不安
定を除去する方法として有効適切であるときは,確認の利益があるというべき
である。
    他方,私人間の権利又は法律関係は,法律行為,その他法律に定められた事
由により変動することから,過去の権利又は法律関係の存否を確認したとこ
ろで,現在の原告の権利又は法律的地位の危険・不安定を除去することには
ならない。
    したがって,過去の権利又は法律関係の確認が現在の権利又は法律的地位
をめぐる紛争解決に有効適切であるという特段の事情がない限り,確認の利
益が認められないと解するのが相当である。
  イ 原告Aは,原告Aが,被告との雇用契約上,主位的に,①平成7年4月1日か
ら総合職管理職2級に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあるこ
と,②平成10年4月1日から総合職管理職1級に配置され昇格したものとして
取り扱われる地位にあること並びに③平成15年6月1日から総合職S4等級
の役割等級及びマネジメントコースマネジメント認定者の種類を付与されたも
のとして取り扱われる地位にあること,予備的に,④被告との雇用契約上,平
成7年4月1日から総合職指導職1級に配置され昇格したものとして取り扱わ
れる地位にあること及び⑤平成15年6月1日から総合職S3等級の役割等級
を付与されたものとして取り扱われる地位にあることの確認を求めているとこ
ろ,原告Aは,上記③及び⑤に係る地位に基づいて賃金の支払請求又は損
害賠償請求ができるとしても,原告Aが現在その地位にあることは,賃金の支
払請求又は損害賠償請求の基本たる法律関係であるということができ,被告
がこれを争っていることは明らかであるから,原告Aはその地位についての危
険・不安定を除去するために,その地位にあることの確認を求めることができ
るというべきである。
    他方,上記①,②及び④に係る地位は現存する法律関係とはいえず,過去の
法律関係にほかならないところ,上記のとおり,原告Aの現在の権利又は法
律的地位の危険・不安定を除去するためには,現在の地位の確認を求めれ
ば十分であり,原告Aの主張によっても,既存分の差額賃金又は損害賠償請
求については給付の訴えを提起すれば足り,前記特段の事情を認めることは
できない。
    したがって,原告Aの上記①,②及び④に係る地位の確認を求める訴えは,確
認の利益を欠くものというべきである。
 (2) そこで,以下において,原告Aの,原告Aが③平成15年6月1日から総合職S4
等級の役割等級及びマネジメントコースマネジメント認定者の種類を付与された
ものとして取り扱われる地位にあること並びに⑤同日から総合職S3等級の役割
等級を付与されたものとして取り扱われる地位にあることの確認請求について
検討する。
  ア 前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる
事実(2)のとおり,被告は,人事考課,選抜の結果,従業員の昇格を決定して
いるものであり,この昇格の決定についての使用者の総合的裁量的判断は
尊重されるべきであるから,一般的には,昇格決定のない段階で「あるべき昇
格」を認めるのは困難である。そして,前記1(3)イで説示したとおり,原告Aが
入社した当時,被告のとっていた男女のコース別の採用,処遇が公序に反す
るものとまではいえないのであり,入社後の勤務地,担当職務の内容を異に
すること等により,男性従業員と女性従業員との間で入社後に積まれた知
識,経験に差異があったと考えられ,したがって,直ちに女性従業員について
も男性従業員と同様の昇格をさせるべきであったということはできない。そうす
ると,被告が原告Aに同標準年齢の男性従業員と同じ役割等級を付与しなか
ったからといって,そのことが違法とはいえず,原告Aにその昇格請求権があ
るともいえない。
    したがって,原告Aが,当然総合職に配置され昇格されたものとして,同標準年
齢の男性従業員と同じ役割等級を付与されるべき地位にあると認めることは
できない。
  イ これに対して,原告Aは,被告が労働契約上男女を平等に取り扱うべき義務を
負うことから,平等取扱義務に基づく完全履行として男女を同一に処遇すべき
であり,また,就業規則等の事務職に関する部分が無効となった場合,平等
取扱義務に基づき,無効とされた部分が補充される結果,やはり男女を同一
に処遇すべき義務を負うとして,原告Aと同標準年齢の男性従業員と同じ役
割等級が原告Aに付与されるべきであると主張する。
    しかしながら,労働契約は,使用者と労働者との個別の契約であり,前記1(2)
ウ(イ)の原告Aと被告間の労働契約の内容からすれば,原告Aが被告と締結
した労働契約において,労働契約上の具体的な法的義務として使用者たる被
告に男女を平等に取り扱うべき義務があったと解することは困難であり,被告
が,労働契約上原告Aに同標準年齢の男性従業員と同じ役割等級を付与す
べき義務を負うとはいえない。
    また,原告Aは,就業規則,平成5年協定等の労使協定のうち,事務職に関す
る部分が,労働基準法3条,同法4条,民法90条に違反し,無効となるとこ
ろ,無効とされた部分については,労働基準法13条の類推適用又は労働基
準法93条及び労働組合法16条の適用により,就業規則及び労使協定にお
ける総合職に関する基準が適用されることから,原告Aについても男性従業
員と同様の昇格をさせるべきであると主張する。  しかしながら,前記1(3)カ
(イ)で説示したとおり,そもそも被告の就業規則及び労使協定が無効であると
は認められないことから,就業規則及び労使協定のうち事務職に関する部分
が無効であることを前提とする原告Aの主張は,その前提を欠くものといわざ
るを得ない。
 したがって,原告Aの上記主張は,いずれも採用することができない。
  ウ 以上によれば,原告Aの,原告Aが③平成15年6月1日から総合職S4等級の
役割等級及びマネジメントコースマネジメント認定者の種類を付与されたもの
として取り扱われる地位にあること並びに⑤同日から総合職S3等級の役割
等級を付与されたものとして取り扱われる地位にあることの確認請求はいず
れも理由がない。
3 争点(3)(差額賃金等の請求権)について
 (1) 前記1(3)で説示したところによれば,原告Bに差額賃金及び差額退職金の請求
権があるとはいえず,この点に関する原告Bの主位的請求及び予備的請求はい
ずれも理由がない。
また,前記1(3)で説示したところによれば,原告Aの差額賃金の請求権は,均
等法施行前の平成11年3月31日までのものについてはその請求権があるとは
いえず,この点に関する原告Aの主位的請求及び予備的請求のいずれも理由
がない。
   したがって,原告Aについては,均等法が施行された平成11年4月1日以降のも
のが問題となるので,以下これについて検討する。
(2) 前記1(3)イで説示したとおり,原告Aが入社した当時,被告のとっていた男女
のコース別の採用,処遇が公序に反するとまではいえないこと,入社後の勤務
地や職務内容を異にすること等により,男性従業員と女性従業員との間で積ま
れた知識,経験にも差異があったと考えられ,この知識,経験の差異が昇格にも
反映すると考えられることからすれば,原告Aが,当然総合職に配置され昇格し
たものとして,同標準年齢の男性従業員との差額賃金の請求権を有していると
は認められない。したがって,前記争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣
旨により容易に認められる事実(5)にあるとおり,均等法施行以降において原告
Aと比較対象となる同標準年齢の男性従業員との賃金格差があるからといっ
て,それをそのまま原告Aが請求権を有する差額賃金であるとすることはできな
い。
 (3) これに対して,原告Aは,被告が労働契約上男女を平等に取り扱うべき義務を
負うことから,平等取扱義務に基づく完全履行として男女を同一に処遇すべきで
あり,また,就業規則等の事務職に関する部分が無効となった場合,平等取扱
義務に基づき,無効とされた部分が補充される結果,やはり男女を同一に処遇
すべき義務を負うとして,同標準年齢の男性従業員との差額賃金請求権を有し
ていると主張する。
   しかしながら,前記2(2)イで説示したとおり,被告に労働契約上男女を平等に取
り扱うべき義務があったと解することはできない。
   また,原告Aは,原告Aと被告との労働契約,就業規則及び平成5年協定等の労
使協定のうち,事務職に関する部分が,労働基準法3条及び同法4条に違反し,
無効であるとして,労働基準法13条の類推適用により,同標準年齢の男性従
業員との差額賃金請求権を有していると主張する。
 しかしながら,前記2(2)イで説示したとおり,就業規則及び労使協定のうち,事
務職に関する部分が無効であることを前提とした原告Aの主張は,その前提を
欠くものである。
   また前記(2)で説示したところからすれば,仮に原告A主張のように,原告Aに対
する賃金,資格等に関する定めが無効であり,原告Aに対し事務職の賃金体系
を適用することが無効であるとしても,原告Aと同標準年齢の男性従業員の基準
が原告Aに適用されるべき基準であるとすることはできないといわざるを得な
い。したがって,原告Aの労働契約が無効となった部分を補充する,原告Aに適
用すべき明確な基準があるということはできず,この点からしても,原告Aに差額
賃金の請求権があるとはいえない。
(4) 以上によれば,原告らの差額賃金等の請求は,主位的請求及び予備的請求
のいずれも理由がない。
4 争点(4)(差額賃金等相当損害金の請求権)について
 (1) 前記1(3)オで説示したところによれば,原告Bに差額賃金等相当損害金の請求
権があるとはいうことはできず,原告Bの主位的請求及び予備的請求のいずれ
も理由がない。
また,原告Aの差額賃金等相当損害金の請求権は,前記のとおり,均等法が
施行された平成11年4月1日以降のものが問題となる。
   そして,前記1(3)エ(ア)で説示したところによれば,被告は,均等法が施行された
平成11年4月1日以降も,同法により禁止されているにもかかわらず,それまで
の原告Aに対する男女のコース別の処遇を維持していたのであるから,少なくと
も男女のコース別の処遇を維持することを容認していたものというべきであり,
被告には,違法な男女差別を維持したことについて少なくとも過失があると認め
られる。
 (2) したがって,被告は,原告Aに対し,違法な男女差別という不法行為によって原
告Aが被った損害を賠償すべき義務を負う。
   原告Aについては,違法な男女差別により賃金等について男性従業員と格差が
生じているのであるから,原告Aに損害が生じたこと自体は認められるといえる
が,原告Aと同標準年齢の男性従業員との賃金等の格差が前記争いのない事
実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実(5)のとおりである
からといって,それまでの違法とはいえない男女のコース別の処遇により,男性
従業員と女性従業員とでは,知識,経験を異にしていると考えられることは前記
2(2)アのとおりであるから,その格差分がそのまま原告Aの損害額であるとする
ことはできず,原告Aの具体的損害額を確定することは困難である。
   そこで,この点は,原告Aの慰謝料の算定に当たって考慮することとする(後記
5(1)のとおり,被告には慰謝料支払義務がある。)。
5 争点(5)(慰謝料及び弁護士費用の請求権)について
 (1) 慰謝料について
  ア 前記4で判断したところによれば,原告Aは,被告のした違法な男女差別によ
り,性により差別されないという人格権を侵害されたものということができるか
ら,被告は,原告Aが被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払うべき義務を
負う。
    そして,被告のした男女差別の態様,その期間(平成11年4月1日以降),この
期間における原告Aと比較対象の同標準年齢男性従業員との賃金の格差の
額,その他本件に現れた諸般の事情を総合すると,原告Aの慰謝料額は500
万円と認めるのが相当であり,この部分についての原告Aの主位的請求は理
由がある。
  イ なお,被告は,原告らの慰謝料請求権についても,その要件事実が差額賃金
請求権の要件事実と重なり合う以上,労働基準法115条所定の消滅時効に
より消滅した旨主張する。
しかし,性により差別されないという人格権侵害を理由とする損害賠償請求
権は,差額賃金の支払がなかったこと自体を損害とするものではなく,差額賃
金請求権とは別個の保護法益というべきであるから,後者について消滅時効
が完成しているからといって,前者についても当然に消滅時効が完成している
ものということはできない。したがって,被告の主張は独自の見解といわざる
を得ず,採用することができない。
  ウ 他方,均等法施行前に被告を退職した原告Bに対しては,違法な男女差別が
あったとはいえないから,原告Bの慰謝料請求は理由がない。
 (2) 弁護士費用について
  ア 弁論の全趣旨によれば,原告Aは,本件訴訟の追行を原告ら訴訟代理人弁護
士に委任したと認められるところ,本件訴訟追行の難易,前記(1)アの認容額
その他諸般の事情を総合すると,弁護士費用相当額50万円をもって,被告
の違法な男女差別の不法行為と相当因果関係のある損害と認めることがで
きる。したがって,この部分についての原告Aの主位的請求は理由がある。
  イ しかしながら,前記(1)ウのとおり,原告Bに対しては,違法な男女差別があっ
たとはいえないから,原告Bの弁護士費用相当額の請求は理由がない。
  (3) よって,被告は,原告Aに対し,前記(1)ア及び(2)アの合計額550万円とこれに
対する不法行為日である平成11年4月1日(均等法施行の日)から支払済みま
で民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務を負う。
6 結論
  以上によれば,原告らの訴えのうち,原告Aの,原告Aが,被告との雇用契約上,
平成7年4月1日から総合職管理職2級に配置され昇格したものとして取り扱われ
る地位にあることの確認を求める訴え,平成10年4月1日から総合職管理職1級
に配置され昇格したものとして取り扱われる地位にあることの確認を求める訴え及
び平成7年4月1日から総合職指導職1級に配置され昇格したものとして取り扱わ
れる地位にあることの確認を求める訴えは,不適法であるからいずれも却下し,原
告Aの慰謝料及び弁護士費用に関する主位的請求は,前記5(1)ア及び5(2)アの
限度で理由があるから認容し,原告らのその余の請求は主位的請求及び予備的
請求のいずれも理由がないから棄却し,被告の仮執行免脱宣言の申立てについ
ては,相当ではないからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第1部
       裁判長裁判官   橋本昌純
          裁判官   上村考由
          裁判官   鈴木基之
別紙主張対比表及び別表は掲載省略

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