弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成19年(行ウ)第43号撤去義務等不存在確認請求事件
判決
主文
1本件届出義務不存在確認の訴えのうち別紙機械目録1に係る部分を却
下する。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告に対し,原告が別紙機械目録1及び2記載の各商品販売用機械
(商品交換機)に収納された図書につき愛知県青少年保護育成条例11条2項に定
める撤去義務を負わないことを確認する。
2被告は,原告に対し,原告が別紙機械目録1及び2記載の各商品販売用機械
(商品交換機)につき愛知県青少年保護育成条例8条1項に定める届出義務を負わ
ないことを確認する。
第2事案の概要
本件は,原告が,別紙機械目録1及び2の「設置場所」欄記載の各場所に設置さ
れた無人の簡易な平家建建物(以下「本件小屋」といい,これらを併せて「本件各
小屋」という。)にA式通信制御販売システムに係る商品販売用機械(詳細は後記
2()に記載のとおり。原告は「商品交換機」と呼称している。以下「本件販売3
機」という。)を設けて図書等を販売しているところ,愛知県青少年保護育成条例
(昭和36年愛知県条例第13号。以下「本件条例」という。)が図書類を販売す
る自動販売機についての届出義務,有害図書類を自動販売機に収納してはならない
義務,自動販売機に収納された有害図書類の撤去義務を課していることから,本件
販売機は本件条例4条2号(以下「本件定義規定」という。)にいう「自動販売
機」に当たらず,また,仮に「自動販売機」に当たるとすれば本件定義規定は違憲
無効であるから,原告は本件販売機につき上記各義務を負わないと主張して,「第
1請求」のとおり,原告が本件条例上の義務を負わないことの確認を求める事案
である。
なお,原告は,上記のとおり,本件条例上の義務を負わないことの確認を求めて
いるが,その趣旨は,単に本件条例の解釈の確認を求めるものではなく,原告が本
件条例上の義務を負わないことを主張して,①原告が本件販売機ごとにあらかじめ
愛知県知事に本件条例8条1項の届出をしなくても別紙機械目録1及び2記載の各
本件販売機により図書類を販売することができること,②原告が別紙機械目録1及
び2記載の各本件販売機に有害図書類を収納することができることという公法上の
法律関係の確認を求めるものと解される。
1本件に関連する法令等の定めは,次のとおりである。
()本件条例1
1条この条例は,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し,
もって青少年を保護し,その健全な育成に寄与することを目的とする。
2条この条例は,前条の目的を達成するため必要な最小限度において適用す
べきであって,国民の権利及び自由を不当に制限しないように運用しなけ
ればならない。
4条この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号
に定めるところによる。
1青少年18歳未満の者をいう。
2自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者
と客とが直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニ
ターの画面を通して行うものを除く。)をする方法によらずに,当該機
器に収納された物品を販売することができるものをいう。
6条1項知事は,書籍,雑誌,絵画,写真又は映写用のフィルム,録音盤,
磁気テープ,磁気ディスクその他の映像若しくは音声が記録されている
物(以下「図書類」という。)の内容が次の各号のいずれかに該当する
ため,これを青少年に閲覧させ,視聴させ,又は聴取させることがその
健全な育成を阻害すると認めるときは,当該図書類の全部又は一部を有
害図書類として指定することができる。
1著しく性的感情を刺激するものであること。
2著しく残虐性を有するものであること。
3自殺又は犯罪を誘発するおそれがあるものであること。
2項知事は,次に掲げるものについては,愛知県青少年保護育成審議会
(第10条第2項及び第12条第1項において「審議会」という。)の
意見を聞いて,規則で有害図書類として指定することができる。
1書籍又は雑誌で,全裸,半裸若しくはこれに近い状態での卑わいな姿
態又は性交若しくはこれに類する性行為を被写体とする写真又は描写す
る絵を掲載するぺージ(表紙を含む。以下同じ。)の数が20ページ以
上であるもの又は当該書籍若しくは雑誌のページの総数の10分の1以
上を占めるもの
2映像が記録されているテープ又はディスクで,全裸,半裸若しくはこ
れに近い状態での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為を
描写する場面の時間が連続して3分を超え,又は合わせて5分を超える
もの
3項図書類の取扱いを業とする者(以下「図書類取扱業者」という。)
は,次の各号のいずれかに該当する物(以下「有害図書類」という。)
を青少年に販売し,頒布し,贈与し,若しくは貸与し,又は閲覧させ,
視聴させ,若しくは聴取させてはならない。
1第1項の規定により指定された図書類
2前項の規定により指定された書籍及び雑誌並びに映像が記録されてい
るテープ及びディスク
8条1項自動販売機により図書類を販売しようとする者は,使用する自動販
売機ごとに,あらかじめ次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
当該届出に係る自動販売機の設置場所を変更して,当該自動販売機により
図書類を販売しようとする者も,同様とする。
1自動販売機により図書類を販売する者の住所,氏名及び電話番号(法
人にあっては,主たる事務所所在地,名称,代表者氏名及び電話番号)
2自動販売機を設置する者の住所,氏名及び電話番号(法人にあっては
主たる事務所所在地,名称,代表者氏名及び電話番号)
3自動販売機を管理する者(以下「自動販売機管理者」という。)の住
所,氏名及び電話番号
4自動販売機の設置場所
3項第1項の規定による届出には,規則で定める書類を添付しなければな
らない。
4項第1項の規定による届出をした者は,その届出に係る事項(同項第4
号に掲げる事項を除く。)に変更があったとき,又はその届出に係る自
動販売機の使用を廃止したときは,遅滞なくその旨を知事に届け出なけ
ればならない。
11条1項図書類又はがん具類を販売する者は,有害図書類又は有害がん具
類を自動販売機に収納してはならない。
2項図書類を販売する者若しくは自動販売機管理者又はがん具類を販売す
る者は,自動販売機に収納されている図書類又はがん具類が第6条第1
項又は第10条第1項の規定による指定を受けたときは,直ちに当該図
書類又はがん具類を当該自動販売機から撤去しなければならない。
29条3項第6条第3項,第10条第3項又は第11条第1項若しくは第2
項の規定に違反した者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処
する。
7項次の各号のいずれかに該当する者は,10万円以下の罰金に処する。
2第8条第1項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者
30条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,
その法人又は人の業務に関し,前条第1項から第8項までの違反行為を
したときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,各同項
の罰金刑を科する。
()愛知県青少年保護育成条例施行規則(昭和36年愛知県規則第17号)2
2条条例第6条第2項の規定により,書籍又は雑誌で次に掲げるものを被写
体とする写真又は描写する絵を掲載するぺージ(表紙を含む。以下同
じ。)の数が20ページ以上であるもの又は当該書籍若しくは雑誌のペー
ジの総数の10分の1以上を占めるもの及び映像が記録されているテープ
又はディスクで次に掲げるものを描写する場面の時間が連続して3分を超
え,又は合わせて5分を超えるもの(当該場面の時間が合わせて5分を超
えるものにあっては,当該映像が記録されているテープ又はディスクの内
容が主として視聴者の好色的興味に訴えるものでないと認められるものを
除く。)は,有害図書類とする。
1全裸,半裸又はこれに近い状態での卑わいな姿態で次に掲げるもの
イ女性の大腿(たい)部を開いた姿態
ロ女性の陰部,臀(でん)部,大腿(たい)部又は胸部を誇張した姿

ハ自慰の姿態
ニ男女間の愛撫(ぶ)の姿態
ホ女性の排泄(せつ)の姿態
ヘ緊縛の姿態
2性交又はこれに類する性行為で次に掲げるもの
イ男女の性交又は性交を連想させる行為
ロ強姦(かん)その他の凌(りょう)辱行為
ハ同性間の性行為
ニ変態性欲に基づく性行為
2前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実)
()当事者1
ア原告(設立平成15年12月12日。資本金300万円)は,愛知県,岐
阜県,三重県,静岡県を商圏として,書籍・雑誌の販売等を営む有限会社であり,
本件各小屋に設置された本件販売機に本件条例6条3項の定める有害図書類(以下
「有害図書類」という。)を含む商品を収納し,販売している。
イB社(設立昭和59年9月27日。資本金3000万円。代表取締役C。
以下「B社」という。)は,自動販売機の販売及びレンタル業務,自動販売機の設
置及び保守・管理,オフィスビル・店舗・駐車場等施設の遠隔監視業務等を目的と
する株式会社である。
ウ被告は,本件条例を制定した地方公共団体である。
()B社は,「A式通信制御販売システム」(以下「本件システム」という。)2
を開発し,平成13年4月以降,販売事業者から本件システムを利用した販売業務
を受託するようになった。
原告は,平成16年1月ころ以降,順次,別紙機械目録1及び2記載の各設置場
所に設けた本件各小屋内に本件販売機を設置し,これに有害図書類を収納し,B社
との業務委託契約に基づく本件システムを利用して,その販売を行うようになった。
原告とB社が平成18年4月1日に締結した業務委託契約の主要な内容は,次の
とおりである。
ア原告はB社に対し,本件小屋に設置されたシステム機器一式を用いる商
品販売業務のうち,イに定める部分につき委託し,B社はこれを受託した。
イ(ア)B社が受託した商品販売業務は次のとおりである。
a本件小屋に立ち入る者を判別し,その年齢が満18歳以上である場合
にのみ,本件販売機の電源を入れ,当該客に対して商品を販売すること
b年齢が18歳未満である場合には,本件販売機の電源を入れず,商品
を販売しないこと
c原告が営業のために設置した本件販売機の故障により生じた商品・金
銭の詰まりにつき,当該客からの苦情電話を受け付け,遅滞なく原告に報告す
ること
d上記業務に付随して必要とされる一切の業務
(イ)B社が上記業務を行うに当たり使用するシステム制御機器が正常に動作
しないなどのトラブルが発生した場合,B社は,当該本件販売機による商品販
売が不可能となるように,制御システムを構築しなければならない。
(ウ)B社はこの業務委託契約の趣旨を十分に理解し,原告により本件販売機
に収納された商品を18歳未満の者に販売しないよう万全の注意を払わなけれ
ばならない。
ウ(ア)原告はB社に対し,次のとおり業務委託基本料金及び実費を支払う。
a業務委託料金本件販売機1台当たり月額2000円。ただし3台目
からは1台当たり1000円。消費税別。
b台数の計算月ごとの稼働台数により計算する。
c支払時期毎月末日限り前月分を支払う。
d支払方法B社指定の金融機関口座への振込み
(イ)原告とB社は,上記業務委託基本料金が固定であり,原告の業績の変動
の有無にかかわらず業務委託基本料金額の増減請求を行うことができないこと
を相互に確認する。
エ(ア)a原告はB社に対し,イ(ア)によりB社が受託した業務により原告の
元に生じる売上高に応じ,次の計算による手数料を支払う。
()売上高1000万円までは,手数料=原告の売上高×012×a.
(消費税計算)105.
()1000万円を超えた分は,手数料=原告の売上高×018×b.
(消費税計算)105.
b上記手数料は,月額売上高が400万円を超えなかったときは免除さ
れ,業務委託基本料金を1台当たり月額1万5000円とし3台目からは月額
1万円とする。
(イ)上記手数料の計算期間は,毎月1日から月末までとし,ウ(ア)c,dに
準じて支払う。
(ウ)a原告はB社に対し,(ア)に定める手数料の支払の前日までに(イ)の期間
に係る売上高並びに手数料の計算を報告しなければならない。
bB社が原告に対し,商品の売上げ実績に関する説明を求めた場合に
は,原告はB社に対し,売上げ実績を確認できるに足る資料を閲覧させ,説明
を行わなければならない。
c上記aに定める原告の報告に誤りがあった場合には,原告は正しい売
上高により計算された手数料額を支払うことのほか,誤りの原因の如何を問わ
ず,原告はB社に対し,次の計算による違約金を支払わなければならない。
違約金={正しい売上高により計算された手数料額(消費税含めず)−誤っ
て計算され支払われた手数料額(消費税含めず)}×10
d上記違約金は,違約金計算を終えた翌月末日限り,ウ(ア)dに準じて
支払う。
()B社が原告から委託を受けて運営していた本件システムの概要は,次のとお3
りである。
ア本件各小屋は,東京都練馬区a町b丁目c番d号eビル3階に所在するB
社集中販売センター(以下「本件センター」という。)とISDN回線で接続され
ている。
本件各小屋は,鉄骨造のプレハブで,屋根から地面に至るまで鉄板製の外壁で囲
われており,2か所の出入口を除き,侵入可能な窓,入口等はない。本件各小屋の
2か所の出入口には,「18歳未満立入禁止」の表示がされている。本件各小屋内
には,本件販売機3∼4台,免許証確認ボックス1台等のほか,各入口に遮断セン
サーが上下2か所ずつ(合計4台),店内天井の蛍光灯内に人感センサー2台,壁
面内側の3か所(右壁,左壁,右壁下)にCCDカメラ3台,中央付近の免許証確
認ボックス内にCCDカメラ1台が,それぞれ設置されている。
他方,本件センターには,約100㎡の室内に20型液晶モニターと制御機各2
4台等がほぼ均等に配置され,B社の従業員らが勤務(昼間約5人,夜間約8人)
している。各制御機には,「電源①」,「電源②」,「免」,「D」,「Z」,
「確」,「警」と記載されたボタン各1個及びヘルメットの絵が描かれたボタン1
個が配置されている。
イ本件小屋内に人がいない状態では,天井に設置された蛍光灯は消灯され,
本件販売機は待機状態(電源が入っていない状態)で,本件販売機のディスプレイ
部分に展示された商品を判別することはできない。
本件小屋内に人が入ると,遮断センサーが感知して自動的に天井の蛍光灯が点灯
し,壁面内側の3台のCCDカメラによる撮影が開始される。CCDカメラによっ
て撮影された映像は,ISDN回線を通して本件センターに送信される。本件セン
ターでは,モニターが4分割され,うち3画面に壁面内側の各CCDカメラからの
映像が映し出される。B社の従業員は,手元のコントローラーを使用して,任意の
1画像を全画面表示させることもできる。各CCDカメラから送信される画像は動
画であり,1秒間に15フレームを表示することができる。
ウB社の従業員は,上記モニターを監視し,映像を通して本件小屋内の人物
の年齢を判断し,その判断に応じて,次のような対応をとる。
(ア)送信された映像から本件小屋内の人物が18歳以上であると認めた場合,
制御機の「電源①」,「電源②」と記載された各ボタンを順に押し,遠隔操作で本
件小屋内にある各本件販売機の電源を入れる。これにより,各本件販売機内部の照
明が点灯して,本件小屋内の人物が,各本件販売機のディスプレイ部分に展示され
た商品を見られるようになり,希望する商品の入った本件販売機に現金を挿入して
商品選択ボタンを押すことで,これを購入することが可能となる。
(イ)送信された映像から本件小屋内の人物が18歳未満であると認めた場合,
制御機の「電源①」,「警」と記載された各ボタンを順に押して警報を鳴らし,そ
の後,手元のマイクで退去を促し,モニターで退去したことを確認する。
(ウ)送信された映像のみからでは本件小屋内の人物が18歳未満か否か確認で
きない場合,制御機の「電源①」,「免」と記載された各ボタンを順に押す。する
と,本件小屋内に「ご来店ありがとうございます。ランプのついたボックスに免許
証を正しい向きに入れてしばらくお待ちください。」というガイダンスが流れる。
これに応じて本件小屋内の人物が免許証確認ボックスに運転免許証を挿入すると,
同ボックス内のCCDカメラから本件センターに運転免許証の画像が送信され,モ
ニターの4分割された1画面に映し出される。B社の従業員は,モニターの運転免
許証の顔写真と本件小屋内の人物の映像とを比較し同一人であるかを判断した上,
運転免許証に記載された生年月日から年齢を判別する。
B社の従業員は,上記手続によって,本件小屋内の人物が18歳以上であると判
断すれば,制御機の「確」と記載されたボタンを押して本件小屋内に「どうぞお買
い求めください。」というガイダンスを流した後,上記(ア)と同様の対応をとり,
他方,本件小屋内の人物が18歳未満であると判断した場合には,上記(イ)と同様
の対応をとることとなる。
エ本件小屋内に入った人物の年齢確認をし,本件販売機の電源が入れられた
状態にある時に別の人物が本件小屋内に立ち入った場合,遮断センサーが感知して
各本件販売機の電源は自動的に切れ,商品を購入することができなくなる。また,
本件小屋内に誰もいない状態となった場合にも,各本件販売機の電源は自動的に切
れる設定となっている。
オその他,B社の従業員は,制御機のヘルメットの絵が描かれたボタンを押
すことにより,本件小屋内の人物にヘルメットを外すよう求めたり,あるいは手元
のマイクから肉声で呼びかけたりすることもできる。本件小屋から送信された画像
は,すべて本件センター内のデジタル・ディスク・レコーダーに録画される。
()原告は,本件各小屋の外壁やその周辺に立てた看板等に「無人」,「24時4
間年中無休」,「お宝あります」,「○入荷」などの表示をしており,また,本件秘
各小屋内に,それぞれ,本件販売機のほかに通常の自動販売機を1∼4台程度設置
し,これらの自動販売機において,「バイブレータ様がん具」,「セクシー下着」,
「ローション」,「前開きパンティストッキング」等を販売している。これらの自
動販売機は,常時電源が入っており,ディスプレイ部分に展示された商品も見える
ところ,これらの表示には,下着姿の女性の写真や,「たまらなくセクシー」,
「乳首くっきり!これからは見せる時代!!」などの文字が含まれている。
()原告は,愛知県知事に対し,本件販売機のうち別紙機械目録1記載の合計65
8台については本件条例8条1項の定める届出をしたが,同目録2記載の合計11
台についてはその届出をしていない。
()本件条例には,従前,自動販売機の定義規定は置かれていなかったところ,6
平成14年以降,住民から有害図書類を収納・販売している自動販売機に対する苦
情や撤去の要望が増加するようになり,また,その対象となった自動販売機に,遠
隔監視装置が設置されたものが多く含まれるようになった。こうした遠隔監視装置
付き自動販売機の設置業者が,設置場所の地主や近隣住民とトラブルとなり,相談
や苦情が被告に寄せられていた。また,被告は,平成16年12月末時点で89台
の無届の自動販売機を確認したとして,業者(主に原告)に対し,本件条例に基づ
く届出をするよう指導を繰り返したが,業者側は,遠隔監視装置付きのものによる
販売は有人店舗における対面販売であるという主張をした。こうしたこともあって,
被告は,平成17年愛知県条例第21号により,本件定義規定を新設した。
なお,現在,多くの都道府県において,青少年の保護及び健全育成等を目的とす
る条例に自動販売機(等)を定義する規定が設けられており,その大半は,本件定
義規定とほぼ同旨のものである(別紙定義規定一覧表参照)。
また,大阪府の条例においては,次のとおり,本件システムに係る自動販売機に
ついて,一定の条件の下で,有害図書類の販売を認めている。
ア大阪府青少年健全育成条例(昭和59年大阪府条例第4号)
19条1項図書類又はがん具類(以下「図書類等」という。)の販売又は貸付
けを業とする者は,自動販売機又は自動貸出機(電気通信設備を用いて
送信された画像によりモニター画面を通して販売又は貸付けの操作がで
きるものを含む。以下「自動販売機等」という。)により図書類等の販
売又は貸付けを行おうとするとき(自己の経営する店舗の店頭又は法令
の規定により青少年の立入りが禁止されている場所に自動販売機等を設
置し,図書類等の販売又は貸付けを行おうとするときを除く。)は,あ
らかじめ当該自動販売機等を管理する者(以下「自動販売機等管理者」
という。),当該自動販売機等の設置その他の規則で定める事項を知事
に届け出なければならない。当該届出に係る事項を変更し,又は当該届
出に係る販売又は貸付けをやめたときも,同様とする。
2項前項の規定による届出を行った者は,知事が交付する表示票を当該届
出に係る自動販売機等の見やすい箇所にはり付けなければならない。こ
の場合において,当該届出を行った者と当該届出に係る自動販売機等の
所有者とが異なるときは,その所有者は,表示票のはり付けを拒んでは
ならない。
20条1項図書類等の販売又は貸付けを業とする者及び自動販売機等管理者
は有害図書類又は有害がん具類(以下「有害図書類等」という。)を自動
販売機等に収納してはならない。
2項図書類等の販売又は貸付けを業とする者及び自動販売機等管理者は,
自動販売機等に収納した図書類等が有害図書類等に該当することとなっ
たときは,直ちに当該有害図書類等を撤去しなければならない。
3項前2項の規定は,次の各号のいずれかに該当する自動販売機等につい
ては,適用しない。
1法令の規定により青少年の立入りが禁止されている場所に設置されて
いるもの
2規則で定める方法により設置されているもので,青少年が購入又は借
入れをすることができないもの
4項知事は,第1項又は第2項の規定に違反して自動販売機等に有害図書
類等を収納している者又はこれらを撤去しない者に対し,期限を定めて,
当該有害図書類等の撤去を命じることができる。
イ大阪府青少年健全育成条例施行規則(昭和59年大阪府規則第78号)
13条条例第20条第3項第2号の規則で定める方法は,次に掲げる方法と
する。
1壁等により仕切られ,かつ,内部を容易に見通すことができない場所
に自動販売機等を設置すること。
2前号の規定により自動販売機等が設置された場所(以下「自動販売機
等設置場所」という。)に立ち入った者の状況を,電気通信設備を用い
て継続して送信される画像(鮮明なものに限る。)によりモニター画面を
通して,自動販売機等設置場所以外の場所(以下「監視所」という。)か
ら常に監視すること。
3自動販売機等設置場所の入口に,青少年の購入又は借入れを防止する
目的で常に監視している旨を,見やすいように掲示すること。
4当該自動販売機等設置場所に,身分証明書,運転免許証等(以下「身
分証明書等」という。)から写真及び生年月日の情報を読み取り,当該
情報を監視所に送信する装置を設置すること。
5自動販売機等に収納された図書類等の購入又は借入れをしようとする
者(以下「利用者」という。)の当該購入又は借入れの都度,当該利用者
が青少年でないと明らかに認められる場合を除き,監視所において第2
号の規定による監視をする者(以下「監視者」という。)が,前号に規定
する装置の利用により,モニター画面を通して,当該利用者が青少年で
ないことの確認を行うこと。
6青少年でないと確認された利用者が自動販売機等設置場所にいる間に
限り,監視者が当該自動販売機等の操作を行うことにより,当該利用者
が自動販売機等に収納されている図書類等の購入又は借入れができるよ
うにすること。
()原告による本件各小屋の設置については,平成17年の本件条例の改正以降7
も,住民から被告に対して,次のとおり撤去の要望がされた。
ア平成17年6月23日愛知県豊橋市f町の住民
イ同年9月27日同町の住民
ウ平成19年6月18日愛知県愛知郡g町の住民
()被告の県民生活部社会活動推進課職員らは,平成19年4月26日,「図書8
類の自動販売機に関する法令講習会」(以下「本件講習会」という。)を開催し,
「遠隔監視装置付き自動販売機」も本件条例にいう「自動販売機」に該当し,これ
に有害図書類を収納する行為が本件条例の自動販売機収納罪(29条3項,11条
1項)に該当することなどを説明した。
()原告は,同年5月25日,本件訴えを提起した。9
3主要な争点
()確認の利益の有無(本案前の争点)1
()本件販売機が本件定義規定にいう「自動販売機」に当たるか。2
()本件販売機に有害図書類を収納することを禁ずる本件条例が憲法22条13
項に違反するか。
4主要な争点に関する当事者の主張の要旨
()争点()について11
(原告の主張)
ア本件訴えは,行政事件訴訟法4条の当事者訴訟であり,公法上の法律関係
に関する確認の訴えである。
イ本件販売機が自動販売機に当たるという被告の解釈に従うならば,原告は
本件販売機に収納した有害図書類を撤去しなければならなくなり,原告の営業に将
来にわたって不利益が生ずることは誰の目にも明らかである。本件においては,被
告が,本件販売機が本件条例にいう「自動販売機」に当たる旨の行政解釈を示した
ことにより本件条例8条及び11条に係る義務の存在が被告により宣言され,現時
点において原告は既に有害図書類の収納自体を禁止されているのであるから,上記
義務の存在という不利益は「被るおそれ」があるのではなく,既に現実のものとな
っている。そして,その義務付けは当該解釈が撤回でもされない限り将来にわたっ
て継続することが明らかであるから,将来にわたり,原告が営業の自由の制約を受
けることもまた明らかである。
また,被告の解釈に従うならば,原告には,刑事訴追を受ける可能性も生ずる。
実際にも,被告担当者は,平成19年4月26日,本件講習会に引き続く意見交換
の場において,「自動販売機」により有害図書類を販売した場合の刑事訴追の可能
性を強調しているのであるから,原告は既に刑事訴追を受けるポジションに立って
いるのであって,これ以上に不利益が現実的である事態はなく,原告が上記義務を
負わないことの確認判決を得る必要性は否定されようもない。
ウ平成16年の行政事件訴訟法の改正(以下「平成16年改正」という。)
によって同法4条が新たに「公法上の法律関係に関する確認の訴え」という文言を
新設したことにかんがみれば,平成16年改正の眼目の一つは当事者訴訟の活用を
図るという点にある。被告の指摘する最高裁昭和41年(行ツ)第35号同47年1
1月30日第一小法廷判決・民集26巻9号1746頁(以下「昭和47年最高裁
判決」という。)は,平成16年改正前のものであり,行政事件訴訟法4条の法文
が改正された現在,その射程は本訴に及ぶものではない。
(被告の主張)
本件訴えは,次のとおり,確認の利益を欠く不適法なものである。
ア本件訴えは,行政事件訴訟法3条で定められた抗告訴訟の類型のいずれに
も該当していないが,こうした訴訟形態の適法性については,昭和47年最高裁判
決が,「具体的・現実的な争訟の解決を目的とする現行訴訟制度のもとにおいては,
義務違反の結果として将来何らかの不利益処分を受けるおそれがあるというだけで,
その処分の発動を差し止めるため,事前に右義務の存否の確定を求めることが当然
許されるわけではなく,当該義務の履行によって侵害を受ける権利の性質およびそ
の侵害の程度,違反に対する制裁としての不利益処分の確実性およびその内容また
は性質等に照らし,右処分を受けてからこれに関する訴訟の中で事後的に義務の存
否を争ったのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等,事前の救済を認
めないことを著しく不相当とする特段の事情がある場合は格別,そうでないかぎり,
あらかじめ右のような義務の存否の確定を求める法律上の利益を認めることはでき
ないものと解すべきである。」と判示している。
昭和47年最高裁判決は,具体的事件性を前提とする現行訴訟制度の本質から,
特段の事情がない限りは,抽象的な義務の存否の確認をあらかじめ求める訴えには
法律上の利益が認められないとしたものであり,この理は,平成16年改正後にお
いても,いささかも揺るがない。平成16年改正で公法上の法律関係に関する確認
訴訟が当事者訴訟の中に例示されたのは,こうした訴訟類型の存在について注意を
促すという政策的な理由に基づくものと考えられ,公法上の当事者訴訟としての確
認訴訟それ自体の内容や仕組みが従前と異なるものとして新たに設定されたもので
はなく,昭和47年最高裁判決は現在でも十分に妥当するものである。
イ本件においては,原告の主張・立証によっても,昭和47年最高裁判決に
いう「事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情」が具体的に明
らかにされているとは到底いい難い。
原告は,刑事訴追を受ける可能性があり,これ以上に不利益が現実的である事態
はないと主張するが,将来の刑事罰適用の可能性を理由として法令の無効確認をあ
らかじめ求めることが許されれば,行政事件と刑事事件との関係について極めて困
難な問題が生ずることとなる。刑罰法令の解釈適用は,公訴の提起の権限を独占し
ている検察官の公訴の提起を待って,刑事手続に基づく具体的事件をめぐる刑事裁
判において行われるべきものであり,将来の刑事罰適用の可能性を理由として法令
の効力や解釈を抽象的に行政事件訴訟であらかじめ判断することは許されないとい
うべきである。また,昭和47年最高裁判決は,「事後的に義務の存否を争ったの
では回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等,事前の救済を認めないことを
著しく不相当とする特段の事情がある場合は格別」としており,不利益が現実的と
いうのみでは,上記特段の事情に該当しないことが明らかである。原告の主張によ
るも,「回復しがたい重大な損害を被るおそれ」の有無は判然としない。
()争点()について22
(原告の主張)
本件販売機は,外貌こそ自動販売機に似てはいるものの,次に述べるとおり,実
質的には販売側と顧客側との対面販売を行うために用いられる道具の一つにすぎず,
商品を自動で販売するものではないから,販売の「自動」性がなく,社会通念上
「自動販売機」の字義に包摂される機器ではない。
ア社会通念における「自動販売機」の概念は,「現金を入れて商品のボタン
を押すと商品が自動的に出てくる。」ということにほかならない。自動販売機が自
動販売機たるゆえんは「ボタンを押せば,機械が自動販売し,その商品が必ず出て
くる。」という部分にある。すなわち,通常の店舗におけるような店員が存在せず,
購買客個別に対し「売る,売らない」といった人間の意思が介在することなく,ボ
タンを押すことによってその商品が必ず出てくるのが自動販売機である。店舗での
対面販売ならば,「売る,売らない」に関する判断を店員がその場で個別に行うわ
けであるが,自動販売機ではそのような判断はあり得ず,事業者が事前にすべて売
ると判断しているがゆえに,購買客がボタンを押すと商品が自動的に出てきてしま
うわけである。
イ商品販売業務を原告が行うに当たっては,B社と販売業務委託契約を締結
した上,本件センターと本件各小屋とをISDN回線で直結することにより,本件
販売機のディスプレイ部分はもとより金銭の授受窓口の電源をもB社の販売員が遠
隔操作し,客を見極めた上で取引を承諾して商品の販売を行うという方式を採用し
ている。
本件販売機では,販売は常に拒絶状態にあり,販売員は客を見極めて販売の諾否
を判断し,その意思によりスイッチを操作することで販売を行う。したがって,商
品を販売する業務での核心的な要素である売るか売らないかの判断は遠隔地にいる
B社の販売員が行うのであって,本件販売機が自動的に販売するのではないから,
有人店舗と同等の対面販売を実現しているといえる。
ウ本件販売機は,本件センターとつながっているISDN回線から切り離し
てしまえば,商品販売業務において何の機能も果たすことができない鉄製の箱にす
ぎず,それのみでは自ら起動すらしないのであり,本件システムにおける「商品の
トレイ」という役割を担う一部品にすぎない。
エ仮に本件販売機によって青少年に有害図書類が販売された場合には,販売
員について,本件条例が定める販売罪(29条3項,6条3項)に問えばよいので
あるし,B社も両罰規定(30条)によって処罰されることがあるのだから,本件
条例の構成に照らしても,本件販売機を自動販売機に当たるとしなくても青少年に
対する有害図書類の販売は抑止できるのであって,本件条例が機能不全に陥ること
は決してあり得ない。
オ本件定義規定を形式的に解釈すると,「自動」性や売買契約の成り立ちう
んぬんの議論をすべて超越し,それらがどうあろうとも直接に対面していない以上
「自動販売機」に当たると解釈することになるが,そのような解釈によれば,本来
自動販売機でないものを本件定義規定によって自動販売機の概念に含むことになり,
被定義用語に社会通念から大きくかい離した意味を与えることになるから,文理的
に不合理な解釈であって採り得ない。
(被告の主張)
ア「自動販売機」の定義を定めた本件定義規定は,「電気通信設備を用いて
送信された画像によりモニターの画面を通して行うもの」については,「物品の販
売に従事する者と客とが直接に対面」をする方法から除外していることは疑問の余
地がなく,本件販売機が本件定義規定にいう「自動販売機」に該当することは明白
である。
イ本件条例が有害図書類の18歳未満の者への販売等を禁止しているのは,
有害図書類が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼ
し,性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであって,
青少年の健全な育成に有害であることが既に社会共通の認識になっているためであ
る(最高裁昭和62年(あ)第1462号平成元年9月19日第三小法廷判決・刑集
43巻8号785頁《以下「平成元年最高裁判決」という。》参照)。
自動販売機による有害図書類の販売は,売手と対面しないため心理的に購入が容
易であること,昼夜を問わず購入できること,収納された有害図書類が街頭にさら
されているため購入意欲を刺激しやすいことなどの点において,書店等における販
売よりもその弊害が一段と大きい(平成元年最高裁判決参照)ために規制されてい
るものである。こうした趣旨からすると,本件定義規定にいう「物品の販売に従事
する者と客とが直接に対面」とは,購入者への心理的効果等に着目し,「販売の業
務に従事する者と客とが同一空間に現存し,互いに顔を合わせている場合」をいう
と解すべきであって,本件販売機がこの条件を満たさないことは明らかである。
ウ原告の主張はいずれも本件条例の明文の規定に反する主張である。
まず,原告は,通常の書店等での販売と自動販売機による販売との違いについて
「購買客が商品を手にするまでの過程において,売る,売らない等に関する人間の
意思が介在するかしないか,という点にある」としているが,自動販売機への有害
図書類の収納規制の核心は購買者側への心理的な抑制効果にあり,販売者側の意思
ではない。また,原告は「自動性」という言葉に拘泥しているが,中心的に考察す
べきは本件定義規定の趣旨と解釈であり,本件条例が適用される自動販売機に当た
るか否かは,本件定義規定に照らしてその該当性を判断すれば足りるものである。
()争点()について33
(原告の主張)
ア本件販売機について有害図書類の収納を禁ずる本件条例は,次のとおり,
憲法22条1項に反し違憲・無効である。
(ア)本件で保障されるべき原告の具体的権利は,憲法22条1項で保障されて
いる営業の自由である。
憲法22条1項は,「何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業
選択の自由を有する。」と規定し,明示的に職業選択の自由を保障している。そし
て,ここにいう職業選択の自由には「自ら選択した職業を遂行する自由」としての
営業の自由も含まれていると解されている。営業の自由を包含する職業選択の自由
は,人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに,分業社会に
おいては,これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性
格を有し,各人が自己の持つ個性を全うすべき場として,個人の人格的価値とも不
可分の関連を有するものというべき性質を持った権利である。
(イ)営業の自由も,他の人権と同様「公共の福祉」による制限を免れることは
できず,具体的には,現実の社会生活における公共の安全・秩序の見地からする消
極的な内在的制約(消極目的規制),福祉国家的理念の実現という憲法の目標から
する積極的な政策的制約(積極目的規制)に服し得る。このうち消極目的規制につ
いては,積極目的規制の審査基準である明白性の原則よりも厳しい厳格な合理性の
基準によるべきであり,まず立法目的の必要性と合理性を審査し,次いで規制手段
が立法目的との関連でより制限的でないものかどうかを検討すべきである。
(ウ)本件条例による規制は,福祉国家的理念の実現という積極的,政策的な目
的などではなく,公共の安全や秩序の維持といった消極的,警察目的であることが
明らかである。そこで,仮に本件条例が目的において必要性・合理性を有するとし
ても,消極的,警察的な目的を実現するための規制手段・方法として行き過ぎでは
ないか,より制限的でない規制手段・方法が存在しそれを選択し得るのではないか
を検討する必要がある。
(エ)本件条例は,本件販売機を「自動販売機」に含めて定義することにより,
本件販売機への有害図書類の収納自体を禁じた上,刑事罰を伴った撤去義務まで課
するものである。その結果,本件販売機による有害図書類の販売を完全に禁止する
ことになり,成人への商品販売の機会も完全に失われることになる。これは,営業
の自由に対する極めて強力な規制である。
しかし,争点()についての(原告の主張)で述べた本件販売機の実態に照らす2
と,青少年の健全な育成阻害を防止するという本件条例の趣旨・目的による規制を
行うに当たっては,通常の有人店舗と同じように販売を規制すれば足りる。現に大
阪府では,本件販売機と同じ「遠隔監視装置付き自動販売機」への有害図書類の収
納を禁止していないのであるから(大阪府青少年健全育成条例20条3項2号,同
条例施行規則13条),本件条例より制限的でない他の選び得る手段が現に存在し,
それにより本件条例の目的が十分達成可能であることを実証しているといっても過
言ではない。このように青少年への販売を規制するという「より制限的でない」規
制手段・方法があるにもかかわらず,本件条例があえて本件販売機への商品の有害
図書類の収納自体を禁ずるという強い規制手段・方法を採っていることは,過度に
広範囲にわたる販売規制であり,このような規制は,厳格な合理性の基準を逸脱し
たものである。したがって,本件条例は,営業の自由を保障した憲法22条1項に
違反し,違憲無効である(法令違憲)。
イ本件条例を違憲と断ずることを回避しようとするならば,本件定義規定に
ついて合憲限定解釈を行うことによって,本件販売機について収納規制の適用を排
除する必要がある。すなわち,実質的には対面販売を実現している通信制御販売シ
ステムの一部分にすぎない本件販売機は,本件定義規定にいう「自動販売機」から
除外して解釈すべきであり,本件販売機に本件条例を適用すべきではない。本件条
例にも,その適用に当たっては国民の権利自由を不当に制限しないようにしなけれ
ばならない旨の指針が置かれている(2条)。このような合憲的な条例解釈によら
ずして本件条例を適用し,原告に本件販売機への収納を禁止するのであれば,本件
条例はそのような適用の限りにおいて憲法22条1項に違反すると評価すべきであ
る(適用違憲)。
ウ被告は,本件販売機においては,客が売手と対面しないため心理的に購入
が容易であると主張する。これは,店員が常在する一般書店での販売との対比にお
いて,青少年が大人の店員に購買申込みを行うことへの心理的抵抗が購買を思いと
どまらせるところ,自動販売機ではちゅうちょせずに買えるということを意味して
いる。しかしながら,本件システムでは,「心理的に購入が容易」という以前に,
常時電源がオフの状態であることから,そもそもアクセスが阻止されているのであ
り,このような弊害論は当初から妥当しない。
(被告の主張)
本件定義規定は,本件条例の適用範囲を新たに拡大したものではなく,本件条例
の趣旨から当然に規制が適用されるべきものについて,その旨を明確にしたにすぎ
ない。そして,本件条例による制限が,憲法上保障された営業の自由を制約するも
のであるとしても,次のとおり,合理的な規制として憲法22条1項に反するもの
ではない。
ア本件条例は,青少年の保護と健全育成という極めて公共性の高い目的のた
めに,自動販売機への有害図書類の収納を禁止するものである。売手と買手が同一
空間で直接顔を合わせ,直接に会話等をする形態での販売であれば,買手に羞恥心
を抱かせ,あるいは昼間の購買行動となること等により,青少年の無分別な購買行
動を抑制することができるのに対し,自動販売機による有害図書類の購入には匿名
性があり,方法も極めて簡単で,24時間稼働しているため,購入に対する心理的
抑制が働かない。こうした心理的な抑制効果の欠如こそが自動販売機での有害図書
類の販売を禁止した立法趣旨である。
ところが,本件システムは,昼間夜間を問わず,直接に売手と顔を合わせること
もなく,有害図書類の購入を可能とするものであって,上記の立法趣旨を没却し,
青少年を有害図書類へ誘引する結果となる可能性が高い。
これに対し,原告は,本件システムが青少年の購入をほぼ完全に排除できるかの
ごとく主張するが,現実は異なる。本件システムによって,青少年に有害図書類が
販売されていることは刑事事件の裁判例でも示されており,本件システムは不備を
内包しており,青少年を有害図書類の購入者から確実に排除できるという原告の主
張は,実態と大きくかけ離れている。
イ本件条例による自動販売機の設置に対する規制は,設置については届出を
もって足りるほか,本件条例で有害図書類に指定されたものであっても,書店等の
店頭での直接の対面による販売であれば,販売業者は18歳以上の者に自由に販売
することができるのであるから,販売業者の営業上の利益に対する制限は軽微であ
り,規制手段が過剰なものということはできない。
ウ原告は,本件条例を消極目的規制又は積極目的規制のどちらかに分類する
ことを当然の前提としているが,観念的にすぎるものであり,これらの目的は併存
し得るし,規制の類型に応じても濃淡がある。なお,原告の立論に沿ったとしても,
本件条例は,社会的弱者である青少年を保護し,健全な育成を確保するという福祉
国家的な積極目的規制の性格の方が強いものである。
第3当裁判所の判断
1争点()について1
前記前提事実によれば,①本件条例において,自動販売機により図書類を販売し
ようとする者に対して自動販売機ごとに愛知県知事への届出義務が課され(8条1
項),有害図書類を自動販売機に収納してはならない義務が課されているところ
(11条1項),本件定義規定により,本件条例にいう「自動販売機」とは「物品
を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが直接に対面(電気通信
設備を用いて送信された画像によりモニターの画面を通して行うものを除く。)を
する方法によらずに,当該機器に収納された物品を販売することができるもの」と
定められていること,②原告は,平成16年1月ころ以降,順次,別紙機械目録1
及び2記載の各設置場所に設けた本件各小屋内に本件販売機を設置し,これに有害
図書類を収納し,B社との業務委託契約に基づく本件システムを利用して,その販
売をしていること(なお,有害図書類の販売は,原告の計算においてされてい
る。),③原告は,愛知県知事に対し,別紙機械目録1記載の本件販売機68台に
ついては本件条例8条1項の届出をしたが,同目録2記載の本件販売機11台につ
いてはその届出をしていないこと,④愛知県知事(担当は県民生活部社会活動推進
課)は,原告に対し,本件条例8条1項の届出のない本件販売機についてその届出
をするよう行政指導を繰り返したが,原告は,本件販売機による販売は有人店舗に
おける対面販売に当たる旨主張して,その届出をしようとしなかったこと(なお,
本件定義規定は,このような行政指導が繰り返されていた中,平成17年愛知県条
例第21号により新設された。),⑤被告の県民生活部社会活動推進課の職員らは,
平成19年4月,本件講習会を開催し,「遠隔監視装置付き自動販売機」も本件条
例にいう「自動販売機」に該当し,これに有害図書類を収納する行為は本件条例の
自動販売機収納罪(29条3項,11条1項)に該当することなどを説明したこと,
などの事実関係が認められる。
上記事実関係に照らせば,愛知県知事と原告との間に,原告が現に愛知県内に設
置して有害図書類を収納・販売している各本件販売機について,原告が本件条例8
条1項の届出義務を負うのか否か,本件条例11条1項により有害図書類を収納し
てはならない義務を負うのか否かという点に見解の相違があって,これにより,原
告が本件販売機ごとにあらかじめ愛知県知事に本件条例8条1項の届出をしなくて
も別紙機械目録2記載の各本件販売機により図書類を販売することができるのか否
か(同目録1記載の各本件販売機については届出がされている。),また,原告が
別紙機械目録1及び2記載の各本件販売機に有害図書類を収納することができるの
か否かという原告の現在の公法上の法律関係について原告と愛知県知事との間に現
実かつ具体的な紛争が生じていることが認められる。そして,原告が被告との間の
本件訴訟において勝訴すれば,その判決の拘束力(行政事件訴訟法41条1項,3
3条1項)により,愛知県知事は判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び
法律判断にわたり判決に拘束されることになり,原告と愛知県知事との間の上記公
法上の義務をめぐる紛争が終局的に解決されることとなるものと考えられる(なお,
愛知県知事と原告との間で原告に本件販売機につき本件条例8条1項の届出義務も
本件条例11条1項の有害図書類を収納してはならない義務も負わないことが確定
されれば,その義務の不履行ということはあり得ないこととなるから,行政上の義
務の履行確保の手段である行政罰を科せられることもなくなるものと考えられ
る。)。なお,別紙機械目録1記載の本件販売機68台については,上記のとおり,
本件条例8条1項の届出がされていることが認められるから,その届出をしなくて
もこれにより図書類を販売することができることの確認を求める利益があるものと
は認められない。
したがって,本件訴えは,別紙機械目録1記載の本件販売機68台につき届出を
しなくても図書類を販売することができることの確認を求める部分については,確
認の利益がなく不適法なものと認められるが,その余の部分については,確認の利
益があり適法なものと認められる。なお,被告の引用する昭和47年最高裁判決は,
本件とは事案を異にし,本件に適切でない。
2争点()について2
前記前提事実によれば,①本件販売機の設置された本件小屋は無人であり,本件
販売機は常時電源が切られた状態にあるが,本件小屋から遠隔地にある本件センタ
ーにおいてB社の従業員が遠隔操作で電源を入れることにより本件小屋内にある各
本件販売機に電源が入ること,②すると,本件小屋内にいる客は,各本件販売機の
ディスプレイ部分に展示された商品を見ることができるようになり,希望する商品
の入った本件販売機に現金を挿入し,商品選択ボタンを押すことによりこれを購入
することができること,③本件センターにいるB社の従業員は,本件小屋から電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニターの画面を通して本件小屋内にいる
客の顔や姿を見ることができ,指示を発することができるが,本件小屋内にいる客
は,B社の従業員の顔や姿をモニターの画面を通しても見ることができず,音声を
伝えることもできないことが認められる。
そうすると,本件販売機による図書類の販売について,B社の従業員と客とが直
接に対面しているものということができないことは明らかであるから(上記③に照
らせば,B社の従業員と客とがモニターの画面を通して対面しているということも
できない。),本件販売機は,本件定義規定にいう「物品を販売するための機器で,
物品の販売に従事する者と客とが直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画
像によりモニターの画面を通して行うものを除く。)をする方法によらずに,当該
機器に収納された物品を販売することができるもの」に当たるものと認められる。
そして,上記のとおり,本件販売機は,遠隔操作により電源が入れられた後は,客
が現金を挿入して商品選択ボタンを押せば自動的に商品が排出されるというもので
あるから(個別の商品について客が購入を申し込み,B社の従業員がこれを承諾又
は拒絶するということがない。),原告のいう「自動性」(現金を入れて商品選択
ボタンを押せば商品が自動的に出てくること)もあり,社会通念に照らし,正に自
動販売機そのものというべきである(そもそも,一般の自動販売機も,電源が入っ
ていなければ商品選択ボタンを押しても商品は排出されない。原告は,遠隔操作に
より電源を入れることをもって,「自動性」がないかのごとく主張するが,店内に
置いた自動販売機の電源を常時切った状態にし,客の求めに応じて店内にいる店員
が電源を入れることとした場合に,当該自動販売機の「自動性」がなくなって自動
販売機に当たらないこととなるものでないのと同様に,店外から遠隔操作によって
電源を入れることとしても,自動販売機に当たらないこととなるものでないことは
明らかというべきであって,原告の上記主張は失当というほかない。)。
3争点()について3
()一般の自動販売機による有害図書類の販売の規制について1
本件条例の定めるような有害図書類が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関す
る価値観に悪い影響を及ぼし,性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長
につながるものであって,青少年の健全な育成に有害であることは,既に社会共通
の認識となっている。さらに,自動販売機による有害図書類の販売は,売手と対面
しないため心理的に購入が容易であること,昼夜を問わず購入ができること,収納
された有害図書類が街頭にさらされているため購入意欲を刺激しやすいことなどの
点において,書店等における販売よりもその弊害が一段と大きい。そうすると,有
害図書類の自動販売機への収納の禁止は,有害図書類の販売という職業活動の自由
を幾分制約することにはなるものの,青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄
化するための規制に伴う必要かつ合理的な制約と認められるから,憲法22条1項
に違反するものではない(平成元年最高裁判決,最高裁昭和43年(行ツ)第120
号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁,昭和63年(行ツ)第
56号平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2829頁等参照)。
()本件販売機による有害図書類の販売の規制について2
ア本件販売機による有害図書類の販売は,前記のとおり,本件センターにい
るB社の従業員が本件小屋から電気通信設備を用いて送信された画像によりモニタ
ーの画面を通して客が18歳以上であることを確認して本件小屋内の各本件販売機
の電源を入れるという方法で行われるものであるところ,このような方法をもって
青少年の有害図書類の購入を十分に阻止することができるものでないことは,経験
則上明らかというべきである(モニターの画面を通してでなく店頭で販売員自らが
確認する方法によっても青少年の購入を阻止することができない例が多数存在する
ことは,原告が甲17の1,2の調査報告書によって自ら立証するとおりであ
る。)。
なお,本件システムにおいては,「18歳未満か否か確認できない場合」には運
転免許証により確認することとしているが,「18歳未満か否か確認できない場
合」に当たるか否かがB社の従業員の主観的判断にゆだねられている以上,このよ
うな方法をもって青少年の購入を十分に阻止できるものとは到底認め難いといわな
ければならない。
イ原告は,本件販売機による有害図書類の販売は,通常の有人店舗における
ものと何ら変わらないから,有害図書類の本件販売機への収納を認めた上でその販
売を規制すれば足りるのであって,収納自体を禁止するのは憲法22条1項に違反
する旨主張する。
しかしながら,前記前提事実によれば,本件システムを利用して行う本件販売機
による販売は,客が販売に従事する者と直接に対面しない点において,有人店舗に
おける販売とは決定的に異なるものであるところ,①本件販売機を本件各小屋内に
設置し,客が有害図書類を購入する姿を外部から遮断した上,CCDカメラやセン
サー等を客からは一見して気付かれないような場所に設置していることなどにより,
客が心理的に購入しやすい雰囲気が作られていること(通信管理販売業協同組合が
「通信管理販売システム」を紹介するために作成した「ご案内」と題するパンフレ
ットにも,「お客様にとっては,(中略)まるで自動販売機のような感覚で利用で
きるようになります。レジに店員がいるわけではないので,商品によっては,より
気軽に購入できるようにもなるでしょう。」との記載がある。甲14),②「24
時間年中無休」であって昼夜を問わず購入ができること,③本件各小屋の外壁やそ
の周辺に立てた看板等に「無人」,「24時間年中無休」,「お宝あります」,
「○入荷」などの表示をした上,本件各小屋内に,本件販売機のほかに通常の自動秘
販売機を置き,「バイブレータ様がん具」,「セクシー下着」,「ローション」,
「前開きパンティストッキング」等を販売し,そのディスプレイ部分に下着姿の女
性の写真等を表示して,客の購買意欲を刺激していることが認められ,これらの点
に照らすと,本件システムを利用した本件販売機による有害図書類の販売が書店等
における販売に比べてその弊害が一段と大きいものであることは,一般の自動販売
機による販売の場合と何ら変わりがないというべきである。
そうすると,有害図書類の本件販売機への収納の禁止は,有害図書類の販売とい
う職業活動の自由を幾分制約することにはなるものの,青少年の健全な育成を阻害
する有害環境を浄化するための規制に伴う必要かつ合理的な制約と認められるから,
憲法22条1項に違反するものではない(なお,本件販売機により図書類を販売し
ようとする者に対して届出義務を課することは,規制の手段としてゆるやかな制約
であり,職業活動の内容,態様に対する規制にとどまるものであって,青少年の健
全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制として合理的な裁量の範囲内に
あるものと認められるから,憲法22条1項に違反するものではない。)。
4以上によれば,本件届出義務不存在確認の訴えのうち別紙機械目録1に係る
部分は不適法であるからこれを却下し,その余の請求はいずれも理由がないからこ
れを棄却することとして,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
松並重雄裁判長裁判官
前田郁勝裁判官
廣達人裁判官瀨
別紙
機械目録1
省略
(別紙)
機械目録2
省略
(別紙)
定義規定一覧表
1北海道北海道青少年健全育成条例14条
この章以下(第5章を除く。)において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各
号に定めるところによる。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面する方6
法によらずに販売又は貸付けをすることができる機器をいう。
2岩手県青少年のための環境浄化に関する条例4条
物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気通信設備を用いて送
信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)をすることなく,販売
又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機(以下「自動販売機等」と
いう。)による図書類,テープ類又はがん具刃物類(以下「図書類等」という。)の
販売又は貸付けを業とする者(以下「自動販売機等業者」という。)は,図書類又は
テープ類にあってはその内容の全部又は1部が前条第1項各号のいずれかに該当する
と認めるとき,がん具刃物類にあってはその形状,構造若しくは機能が同項各号のい
ずれかに該当すると認めるとき又は青少年が所持し,若しくは使用することにより人
の生命,身体若しくは財産に対し危害を及ぼすおそれがあると認めるときは,当該図
書類等を自動販売機等に収納しないように努めなければならない。
3山形県山形県青少年保護条例3条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接に対面(電気通信設備を用7
いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。以下同じ。)をす
ることなく,販売をすることができる機器をいう。
4福島県福島県青少年健全育成条例16条1項
図書類又はがん具類の販売又は貸付けを業とする者は,その図書類の内容が前条第
1項各号のいずれかに該当すると認められるとき又はそのがん具類の形状,構造若し
くは機能が同条第2項各号のいずれかに該当すると認められるときは,当該図書類又
はがん具類を自動販売機又は自動貸出機(販売又は貸付けの業務に従事する者と客と
が直接対面する方法によらずに販売又は貸付けを行うことができる設備を有する機器
をいう。以下「自動販売機等」という。)により青少年に販売し,又は貸し付けない
よう努めなければならない。
5茨城県茨城県青少年のための環境整備条例6条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気10
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
6栃木県栃木県青少年健全育成条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
7自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接に対面(電気通信設備を用
いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。次号において同
じ。)することなく,販売することができる設備を有する機器をいう。
7群馬県群馬県青少年健全育成条例12条
この章(第29条を除く。),次章,第6章及び第7章において次の各号に掲げる
用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
4自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,当該販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機を
いう。
8埼玉県埼玉県青少年健全育成条例3条
この条例において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるとこ
ろによる。
6自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
9千葉県千葉県青少年健全育成条例6条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
6自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
10東京都東京都青少年の健全な育成に関する条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
3自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
11神奈川県神奈川県青少年保護育成条例4条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気6
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
12富山県富山県青少年健全育成条例13条
図書等又は特定がん具類の販売を業とする者は,図書等又は特定がん具類を販売す
るために自動販売機(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第2号に規定
する電気通信設備を用いて送信された画像を確認することにより販売の操作をするこ
とができるものを含む。以下同じ。)を設置しようとするときは,当該自動販売機ご
とに,あらかじめ,規則で定めるところにより,次に掲げる事項を知事に届け出なけ
ればならない。(以下略)
13石川県いしかわ子ども総合条例38条
この節において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるとこ
ろによる。
5自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第2号に規定する電気通信設備を用いて
送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)をすることなく,販
売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をいう。
14福井県福井県青少年愛護条例15条1項
図書等またはがん具刃物類の自動販売機または自動貸出機(電気通信事業法(昭和5
9年法律第86号)第2条第2号に規定する電気通信設備を用いて送信された画像を
確認することにより販売または貸出しの操作をすることができる販売機または貸出機
を含む。以下「自動販売機等」という。)を設置しようとする者は,その設置する自
動販売機等ごとに,あらかじめ,規則で定めるところにより,次に掲げる事項を知事
に届け出なければならない。これらの事項の変更(次項の規定による届出に係る変更
を除く。)をしようとするときも,同様とする。(以下略)
15山梨県青少年保護育成のための環境浄化に関する条例4条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
4自動販売機等物品の販売又は貸付けの業務に従事する者と客とが直接対面す
る方法によらずに販売又は貸付けをすることができる機器(電気通信設備を用いて送
信された画像によりモニター画面を通して販売又は貸付けをすることができるものを
含む。)をいう。
16岐阜県岐阜県青少年健全育成条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
5自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが
直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニターの画面を通して行
うものを除く。)をする方法によらずに,当該機器に収納された物品を販売すること
ができるものをいう。
17静岡県静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例3条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接対面することなく,当該販5
売をすることができる機器(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニター画
面を通して販売をすることができるものを含む。)をいう。
18三重県三重県青少年健全育成条例3条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
5自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが
直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行う
ものを除く。次号において同じ。)をする方法によらずに,当該機器に収納された物
品を販売することができるものをいう。
19滋賀県滋賀県青少年の健全育成に関する条例3条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるとこ
ろによる。
()自動販売機等物品の販売または貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電6
気通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)
をすることなく,販売または貸付けをすることができる自動販売機および自動貸出機
をいう。
20京都府青少年の健全な育成に関する条例12条
この章以下において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定める
ところによる。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接対面する方法6
によらずに販売又は貸付けをすることができる機器(電気通信設備を用いて送信され
た画像によりモニター画面を通して販売又は貸付けをすることができるものを含
む。)をいう。
21兵庫県青少年愛護条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが6
直接に対面をする方法によらずに,当該機器に収納された物品を販売することができ
るものをいう。
22岡山県岡山県青少年健全育成条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが10
直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行う
ものを除く。)をすることなく,当該機器に収納された物品を販売することができる
ものをいう。
23広島県広島県青少年健全育成条例15条
この章以下において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定める
ところによる。
5自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに当
該販売を行うことができる設備を有する機器をいう。
24山口県山口県青少年健全育成条例4条7項
この条例で「自動販売機等」とは,自動販売機,自動貸出機その他の図書類又はが
ん具類若しくは器具類(以下「がん具類等」という。)の販売又は貸付けに従事する者
と客とが直接対面する方法によらずに当該販売又は貸付けをすることができる機器を
いう。
25徳島県徳島県青少年健全育成条例5条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
7自動販売機物品を販売するための機器で,物品の販売に従事する者と客とが
直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニターの画面を通して行
うものを除く。)をすることなく,当該機器に収納された物品を販売することができ
るものをいう。
26香川県香川県青少年保護育成条例2条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(情報6
通信の技術を利用して送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除
く。)をすることなく,販売又は貸付けを行うことができる設備を有する自動販売機
又は自動貸付機をいう。
27愛媛県愛媛県青少年保護条例3条3項
この条例において「自動販売機等」とは,相手方と対面(電気通信設備を用いて送
信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。以下同じ。)をしないで
物品を販売することができる設備を有する機器(以下「自動販売機」という。)又は
相手方と対面をしないで物品を貸し付けることができる設備を有する機器をいう。
28福岡県福岡県青少年健全育成条例14条
図書類又はがん具類(以下「図書類等」という。)の販売又は貸付けを業とする者
は,図書類等が第11条第1項各号又は第5項各号のいずれかに該当すると認められ
るときは,当該図書類等を客と直接対面する方法によらず図書類等の販売又は貸付け
をする機器(以下「自動販売機等」という。)に収納しないようにする等適切な措置を
講ずるように努めなければならない。
29佐賀県佐賀県青少年健全育成条例8条
この章以下において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定める
ところによる。
9自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接に対面をすることがない状
態(物品の販売に従事する者が電気通信設備(電気通信事業法(昭和59年法律第86
号)第2条第2号に規定する電気通信設備をいう。)を用いて送信された画像によりモ
ニター画面を通して客を確認する等,直接に対面をすることがないすべての状態を含
む。)で販売を行うことができる機器をいう。
30熊本県熊本県少年保護育成条例条4
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
()自動販売機物品の販売に従事する者と購入客とが直接対面する方法によら11
ずに当該販売をすることができる機器をいう。
31大分県青少年の健全な育成に関する条例3条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
7自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。
32宮崎県宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例10条
この章以下において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定める
ところによる。
()自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに当5
該販売を行うことができる設備を有する機器をいう。
33鹿児島県鹿児島県青少年保護育成条例条4
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによ
る。
()自動販売機物品の販売に従事する者と客とが直接に対面することなく,販売4
をすることができる設備を有する機器(電気通信設備を用いて送信された画像により
モニター画面を通して販売をすることができるものを含む。)をいう。
34沖縄県沖縄県青少年保護育成条例5条
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めると
ころによる。
()自動販売機等物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気7
通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)を
することなく,販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をい
う。

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛