弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人奥村回の上告理由について
 原審の適法に確定したところによれば、上告会社の昭和六三年六月の新株発行に
ついては、(一) 新株発行に関する事項について商法二八〇条ノ三ノ二に定める公
告又は通知がされておらず、(二) 新株発行を決議した取締役会について、取締役
Dに招集の通知(同法二五九条ノ二)がされておらず、(三) 代表取締役Aが来る
株主総会における自己の支配権を確立するためにしたものであると認められ、(四)
 新株を引き受けた者が真実の出資をしたとはいえず、資本の実質的な充実を欠い
ているというのである。
 原判決は、このうち(三)及び(四)の点を理由として右新株発行を無効としたが、
原審のこの判断は是認することができない。けだし、会社を代表する権限のある取
締役によって行われた新株発行は、それが著しく不公正な方法によってされたもの
であっても有効であるから(最高裁平成二年(オ)第三九一号同六年七月一四日第
一小法廷判決・裁判集民事一七二号七七一頁参照)、右(三)の点は新株発行の無効
原因とならず、また、いわゆる見せ金による払込みがされた場合など新株の引受け
があったとはいえない場合であっても、取締役が共同してこれを引き受けたものと
みなされるから(同法二八〇条ノ一三第一項)、新株発行が無効となるものではな
く(最高裁昭和二七年(オ)第七九七号同三〇年四月一九日第三小法廷判決・民集
九巻五号五一一頁参照)、右(四)の点も新株発行の無効原因とならないからである。
 しかしながら、新株発行に関する事項の公示(同法二八〇条ノ三ノ二に定める公
告又は通知)は、株主が新株発行差止請求権(同法二八〇条ノ一〇)を行使する機
会を保障することを目的として会社に義務付けられたものであるから(最高裁平成
元年(オ)第六六六号同五年一二月一六日第一小法廷判決・民集四七巻一〇号五四
二三頁参照)、新株発行に関する事項の公示を欠くことは、新株発行差止請求をし
たとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない
限り、新株発行の無効原因となると解するのが相当であり、右(三)及び(四)の点に
照らせば、本件において新株発行差止請求の事由がないとはいえないから、結局、
本件の新株発行には、右(一)の点で無効原因があるといわなければならない。
 したがって、本件の新株発行を無効とすべきものとした原判決は、結論において
是認することができる。論旨は、原判決の結論に影響のない事項についての違法を
いうものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の
意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信

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