弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人大高三千助、同露木滋の上告趣意は 単なる法令違反の主張で
あり、適法な上告理由にあたらない。
 被告人Bの弁護人山田半蔵、同山田賢次郎の上告趣意中、判例違反、憲法違反を
いう点につき按ずるに、原判決が、刑法九六条ノ三第二項前段にいわゆる「公正ナ
ル価格」の意義および「公正な自由競争によつて形成されるであろう落札価格」の
意義につき示した所論判断は、本件につき当裁判所が上告審として差戻前の第二審
判決を破棄差戻した判決の理由として示めされた判断に従い、これと同旨の判断を
したものであること原判決に徴し明らかである。上級審において下級審判決が破棄
されて事件の差戻があつた場合には、下級審はその事件を処理するに当り判決破棄
の理由となつた上級審の事実上および法律上の意見に拘束され、必ずその意見に従
いこれに基いて事件の審判をしなければならないのであるから、既に下級審が上級
審の意見に従つて判断をしたものである以上、その下級審の判断を違法視すること
はできない。従つて、所論は原判決に影響なき主張であつて適法な上告理由となら
ない。
 右弁護人山田半蔵、同山田賢次郎のその余の上告趣意は、事実誤認、単なる法令
違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  昭和四一年七月一四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎

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