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平成16年12月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成15年(ワ)第528号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成16年11月8日
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,1億6571万6638円及びこれに対する平成6年11月18日から支
払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は,原告(平成6年11月18日生)が,a市民病院(以下「被告病院」という。)を開設
している被告に対し,分娩後の原告に対する被告病院の呼吸管理が不十分であったため
無呼吸発作が頻発して,原告は脳室周囲白質軟化症(以下「PVL」という。)を発症し後遺
障害を負うに至ったと主張して,診療契約に基づく債務の不履行又は不法行為による損害
賠償請求として1億6571万6638円及びこれに対する原告の出生した日である平成6年
11月18日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案であ
る。
2 前提となる事実
当事者間に争いのない事実,甲A1,3,4,6,7号証,乙A1号証,乙B11,21号証,証
人bの証言及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。以下,平成6年に
ついては,原則として月日のみで表示する。
(1) 原告は,c,d(以下「d」という。)夫婦の長女である。同夫婦の子として,原告の外に長
男e(平成2年11月3日生)がいる。
(2) 6月10日から,平成10年12月16日までの経過について
ア 6月10日,dは,医療法人fの設置するg産婦人科において診察を受けたところ,妊娠し
ており,分娩予定日は平成7年2月10日であると言われた。
イ 11月13日,dは,性器出血があったため,g産婦人科に入院した。
ウ 11月16日午前9時ころから,dは,同産婦人科でシロッカー法(頸管周辺を縫縮する
手術)を受け,同手術終了後,出血していたことから,被告病院に搬送されることになり,同
日午前11時15分ころ,dは,救急車で同病院に搬送された。
エ 11月18日午後9時32分,dは,原告を出産した。原告は,分娩予定日よりも,約3か
月早く,在胎28週で生まれ,身長32㎝,体重820gの超低出生体重児であった。なお,1
000g未満で出生した場合,超低出生体重児といわれる。
原告は,分娩直後から,人工呼吸器において管理された。人工呼吸器は,のどの奥まで管
を入れ,テープで固定し圧をかけるものであり,人工呼吸器から離脱させることは,挿入し
た管を抜くことであることから,抜管という。
オ 11月18日から,平成7年3月7日に被告病院を退院し,最後に同病院において受診し
た同10年12月16日に至るまでの,原告の同病院における診療経過及びこれに関する原
告の反論は,別紙診療経過一覧表記載のとおりである。また,11月18日から同月23日
までの原告の血液ガス検査におけるpH値,BE値等は,別紙血液ガス検査値(以下「本件
検査値表」という。)記載のとおりである。
カ 11月21日午前9時30分,原告は,人工呼吸器から離脱させられた。
キ 11月26日,dは,被告病院を退院した。
ク 平成8年11月28日に施行されたMRI検査において,原告は,PVLと診断され。
ケ 原告は,脳性麻痺による体幹機能障害,四肢痙性麻痺等の障害により,身体障害者
等級表による級別として,平成9年4月10日に3級,同11年3月10日に2級の認定をそれ
ぞれ受けた。
(3) PVLについて(甲A9号証,乙B11,21号証)
ア PVLは,早期産児の側脳室周囲の深部白質の軟化であり,脳の虚血性病変であって
重症なほど広範囲となる。PVLの好発部位は,主要大脳動脈の境界領域で,かつ深部の
動脈境界領域の部位であり,早期産児では脳血流の自動調節能の範囲が狭いため,容易
に虚血が起こりPVLになると考えられており,在胎27週から29週で生まれた未熟児に生
じやすいという報告が多い。
イ PVLは,未熟児の脳性麻痺の主原因と考えられ,また,認知障害の原因としても知ら
れているが,脳細胞の虚血による壊死であるため,治療法はないとされる。
3 争点
(1) 原告の呼吸管理における被告病院の注意義務違反の有無
ア 人工呼吸器離脱(抜管)の時期
イ 人工呼吸器離脱後の管理
(2) 被告病院における呼吸管理と原告のPVL発症の因果関係
(3) 原告の損害
(4) 不法行為に基づく損害賠償請求権の時効
4 争点に対する当事者の主張
(1) 原告の呼吸管理における被告病院の注意義務違反の有無
ア 人工呼吸器離脱(抜管)の時期について
(原告の主張)
原告の抜管の時期は,早期にすぎたというべきである。すなわち,生後3~4日の正常未
熟児の血液ガス検査の値は,pH値が7.381~7.469,BE値は-5.2~-0.6であるとこ
ろ(甲B10号証851頁),抜管のされた11月21日午前9時30分より前における原告のp
H値及びBE値は,本件検査値表記載のとおりであって,悪い状態が続いていたのである。
また,原告は,貧血状態も続いていたのであって,原告の状態は,安定しているとはいえな
かった。
(被告の主張)
(ア) 被告病院は,分娩後,原告を人工呼吸器により管理したが,輸血して血圧が上昇して
かは,酸素化は良好となり,血液ガス検査の所見が異常なく安定したので抜管したのであ
る。
(イ) 長期の人工呼吸器による管理は,慢性肺疾患や挿管のつまりによる気胸や頭蓋内出
血,肺炎などの感染の機会を増加させるという懸念があるので,いかに早く人工呼吸器か
ら離脱させるかは,未熟児管理において重要な事項である。
イ 人工呼吸器離脱後の管理
(原告の主張)
(ア) 抜管後の原告のpH値及びBE値は,本件検査値表記載のとおりであり,pH値は異
常の程度が次第に大きくなっており,BE値も悪い状態が継続し,貧血状態も続いていた。
殊に,11月21日及び同月22日のpH値及びBE値によると,原告は,著しい代謝性アシド
ーシスに陥っている。また,11月22日からは無呼吸発作が生じていた。
(イ) 上記の原告の状態によれば,被告病院は,pH値及びBE値が安定するなど原告の状
態が良好になるまで,厳重に管理する必要があった。被告病院が,メイロン等のアルカリ剤
の投与をしない方針であったのであれば,抜管後,1~2日以内に再度,低圧の人工呼吸
器管理下において,血液ガスの検査数値が安定するまで管理すべきであった。
(被告の主張)
(ア) 無呼吸発作に対する処置は,気道閉塞因子の除去,刺激による回復,マスクアンドバ
ッグによる蘇生であり,その対策として,体位などの調整,酸素投与,薬物療法を行う。そ
れでも管理できない場合に人工呼吸器管理によるのであって,人工呼吸器管理は,合併
症の危険性があることから最後の手段となる。
(イ) 被告病院では,抜管後に無呼吸発作が出現することを予期することができたので,心
拍呼吸モニター,血中の酸素濃度や炭酸ガス濃度をリアルタイムで測定する経皮酸素炭
酸ガスモニター等を装着して,原告の無呼吸発作を観察した。そして,無呼吸発作予防の
ため,低濃度酸素を投与した。
原告に無呼吸発作が出現した当初は看護師による物理的刺激(足裏をたたくなど)で回復
していたが,その回数が多くなったため,11月23日から薬物療法を開始した。その後は無
呼吸発作の回数は減少し,モニター上も低酸素状態になることはなかった。
上記のとおり,薬物療法によって無呼吸発作の回数を軽減することができたのであり,原
告は,人工呼吸器管理下におくことを必要とするような状態ではなかった。
(2) 被告病院における呼吸管理と原告のPVL発症の因果関係
(原告の主張)
ア 被告病院担当者が診療契約上負っている義務違反又は過失によって,原告は,PVL
を発症し,それが原因となって脳性麻痺による痙性麻痺等の後遺障害を負うに至った。
イ PVL発症のメカニズムとして,出生前に既に何らかの因子(第一段階因子)が関与した
児に,分娩時や分娩直後など分娩周辺期のストレス(第二段階因子)が加わって初めてP
VLが発症すると考えられている(二段階原因仮説)。
本件においては,原告が,母親の大量出血による失血性ショック状態を経た早産児として
出産したこと,超低出生体重児で生まれ,出生時に著名な貧血があったという経過があり,
更に分娩後のストレスとして,被告病院の抜管及び抜管後の管理の不適切さから頻回の
無呼吸発作が出現し,これが第二段階因子となってPVLが発症したと考えられる。
(被告の主張)
PVLの発症の原因は,いまだ不明であり,主要原因として児の未熟性が挙げられているに
すぎない。無呼吸発作,貧血,徐脈等の症状がPVLを発症した児に多いという報告はある
が,最近の文献では,無呼吸発作はPVLの結果であるといわれてきている。
(3) 原告の損害
(原告の主張)
原告の被った損害は,次のアないしエの合計1億6571万6638円である。
ア 治療費関係 8403万0108円
(ア) 平成13年11月18日までの治療関係費として,①介護費用1297万2000円,通院
費用53万8263円,③入院費用7260円の計1351万7523円
(イ) 将来の治療関係費として,①介護費用(平均余命まで)5942万3460円,②交通費・
宿泊費292万0025円,③手術費用19万7100円,④補装具の費用(室内用の靴,杖
等)409万4400円,⑤身障者用車両購入費(一般車両との差額)221万7600円,⑥家
屋の改造費166万円の計7051万2585円
イ 逸失利益 3668万6530円
345万3500円(平成11年女子学歴計賃金センサス)×10.623(7歳のライプニッツ係
数)
ウ 慰謝料 3000万円
エ 弁護士費用 1500万円
(被告の主張)
原告の損害に関する主張事実は知らない。
(4) 不法行為に基づく損害賠償請求権の時効
(被告の主張)
原告は,平成9年4月10日,脳性麻痺による体幹機能障害等の障害により身体障害者3
級の認定を受けた。PVLの診断は,上記認定以前であり,損害を知った時を上記の時点と
しても,平成12年4月10日の経過をもって,原告の被告に対する不法行為に基づく損害
賠償請求権は時効によって消滅した。
被告は,平成15年6月23日付け準備書面により上記時効を援用する旨の意思表示をし
た。
第3 当裁判所の判断
1 争点(2)(被告病院における呼吸管理と原告のPVL発症の因果関係)について
原告は,分娩後の原告に対する被告病院の呼吸管理が不十分であったために無呼吸発
作が頻発したことにより原告はPVLを発症した旨主張し,これに対して,被告は,無呼吸発
作とPVLの発症との間に因果関係は存しない旨主張して争うので,この点について検討す
る。
(1) 無呼吸発作がPVLの発症の原因であるとの原告の主張に沿うと考えられる証拠とて,
次のものがある。
ア 甲A9号証(bの意見書)
出生後のPVLの発症因子の1つとして無呼吸発作を挙げる。
イ 甲A10号証(bの質問事項に対する回答)
上記アと同旨。
ウ 証人bの証言。ただし,同証人は,無呼吸発作が主因にはなり得ないと思う旨証言する
(同証人調書23頁)。
エ 甲A10号証に添付されている最新NICUマニュアル
PVLの発症要因は単一ではなく,さまざまな危険因子が報告されているとして,出生後因
子の1つとして「繰り返す無呼吸発作」がある。
オ 甲B12号証(平成4年)
低酸素血症は,新生児仮死,呼吸窮迫症候群,無呼吸発作などで生じ,虚血を合併すると
PVLを発症すると考えられる。
(2) しかし,PVLについては,新生児医療の発展に伴い,低出生体重児の生存率が上昇
しているにもかかわらず,PVLはむしろ増加している傾向にあることが認められるところ(乙
B11。平成14年),以下の証拠を検討すると,PVLの発症原因は,十分に解明されておら
ず,無呼吸発作とPVL発症との間に因果関係があるものと解することは困難である。
ア 乙B22号証(平成6年)
(ア) PVLの発症時期は,出生前,出生時,出生後のいずれにもあり得る。その原因として
脳虚血が重要であり,実際にPVLとなった児は出生時に極めて末梢循環が悪かったこと
が経験的に知られている。
(イ) 発症のメカニズムについてはいまだ十分には解明されていない。
イ 乙B1号証(厚生省心身障害研究班「脳室周囲白質軟化症(PVL)の成因と治療に関す
る研究」平成8年度の研究)。
(ア) PVL発症の危険因子として,低CO2血症,多胎,母体出血が重要な3大因子として
認識されていることが確認できたが,どういう症例に低CO2血症が見られるかについては
さらなる検討の余地を残した。
(イ) 無呼吸発作は,PVLの発症因子ではなく,その合併症である可能性が示唆された。
(ウ) PVLの予防について決め手がない現状にある。
ウ 乙B11号証(平成14年)
(ア) PVLの発症は,多因子が関連しているため,それらを明らかにし,更にPVLの発症時
期を確定することが最重要課題であると考えられる。
(イ) 出生後の発症因子として,新生児仮死,動脈管開存症,低血圧,無呼吸発作,低炭
酸ガス血症などが脳血流を低下させるといわれている。ただ無呼吸発作は,PVLの原因で
なく,その合併症の可能性があるという報告がある。
エ 甲B5号証(平成14年)
PVLの要因に関しては,出生前,分娩時,出生後に分類した数多くの報告がなされてきた
が,生後要因より出生前及び分娩時の要因が重要であるという報告も数多く見られる。
(3) 原告は,二段階原因仮説を主張する。
しかし,同仮説を紹介する甲B11号証(平成11年)において,同仮説は,多くの症例を説
明するに十分な仮説であるとも考えられるというが,これを直接実証するデータは現時点で
は存在しないとされている。また,証人bも,この説の実証はまだされていない旨証言する。
そうすると,上記仮説を前提として本件について検討することは相当でない。
(4) 原告に生じた無呼吸発作とPVLの発症に関しては,次の指摘が存する。
ア 甲A9,10号証及び証人bの証言中には,無呼吸発作がPVLの発症の一因であった
旨指摘されている部分が存する。もっとも,同証人は,28週で生まれる未熟児の場合,約
11%程度PVLを合併している可能性があり,本件の場合,dが原告の出生前に出血性シ
ョックに陥っていること,原告が820gという超未熟児であったこと,出生時に著明な貧血を
認めたことがPVLを発症した一番の原因と思われ,無呼吸発作は,主因にはなり得ず,増
悪因子であったと思われる旨証言している(同証人調書3~4頁,23頁)。
イ 原告の診療に当たった愛知県心身障害者コロニー中央病院の医師は,原告が脳性麻
痺による痙性両麻痺の障害を負った原因として,在胎28週,体重820gの超未熟児として
出生したこと,出生前に母体が循環血液量減少性ショックであったこと,出生後に無呼吸発
作が出現していたことなどが考えられるが,原因の特定や断定はできない旨指摘している
(甲A5号証)。
ウ 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科のh教授は,原告がPVLに罹患した原因に
ついて,分娩後に起こった無呼吸発作や貧血,徐脈などの状態,症状がPVLの発症を助
長した可能性は十分あるが,原告が28週,820gで出生してきたこと自体の未熟性が主た
る問題であり,これ以外の要因は助長因子となった可能性がある程度にしか認識されない
旨指摘している(甲A11号証)。
(5) 以上に検討したところを考え併せると,原告に生じた無呼吸発作がPVLの発症に影響
を及ぼした可能性を完全に否定することは困難であるが,無呼吸発作と原告のPVLの発
症との間に高度の蓋然性が存するものと認めることはできない。
2 争点(1)(被告病院の呼吸管理における過失の有無)について
上記のとおり,原告に生じた無呼吸発作とPVLの発症との間に因果関係を認めることはで
きないが,無呼吸発作がPVLの発症に影響を及ぼした可能性を完全に否定することは困
難であることに加え,PVLについては,治療が不可能であり,予防が最も重要である(乙B
11号証。平成14年)と解されていることにかんがみ,本件において,被告病院に原告の主
張する注意義務違反があったかどうかについて検討する。
(1) 原告のpH値,BE値について
ア 甲B7号証,乙B3,4,14号証によると,新生児・未熟児の治療中の至適範囲は,(ア)
pH値は7.2<<7.5,(イ)PO2値は50~80,(ウ)PCO2値は30~50,(エ)BE値は,>
-10,とされていることが認められる。
イ 原告の,pH値,PO2値,PCO2値及びBE値は,本件検査表のとおりであり,11月19
日から同月23日の抜管の前後を通じてほぼ上記の至適範囲にあることが明らかである。
ウ 原告は,至適範囲と正常範囲とは異なり,原告のpH値及びBE値は著しく悪いもので
あった旨主張する。
しかし,上記の至適範囲を示す文献は,(a)新生児(生後1から3日),(b)新生児・未熟児
(治療中の至適範囲),(c)乳児期以降,の3つに分けて,それぞれにおける血液ガス正常
値を示していることが明らかであって,乙B14号証においては,上記の(a)ないし(c)を新生
児の正常値を示すものであるとして紹介されている。そうすると,上記の(b)に当たる原告
がその至適範囲の数値を示していたにもかかわらず,pH値及びBE値は悪いものであった
と解する余地はないというべきである。
(2) 人工呼吸器離脱(抜管)の時期について
ア 原告は,11月21日午前9時30分の抜管は,早期にすぎたというべきである旨主張す
る。
イ しかし,甲B8号証,証人bの証言(同人の証言調書15頁)及び弁論の全趣旨による
と,人工呼吸器は長期に使用すると,児の肺の繊維にダメージを与えたり,感染の誘引を
作るという合併症が見られ,更に悪化すると,低血圧ショックも起こり得ることから,新生児
医療に携わる医師にとって,人工呼吸器から早く離脱させることができるようにすることは
重要なこととされていることが認められる。そして,甲A9号証及び証人bの証言(同人の証
言調書8頁)よると,本件における抜管前の血液ガス検査の数値等によってうかがわれる
原告の状況からすれば,上記時点で抜管したことは,選択肢として正しいものであったこと
を認めることができる。
この点に関し,原告は,生後3~4日の正常未熟児の血液ガス検査の値は,pH値が7.38
1~7.469,BE値は-5.2~-0.6であるとして,抜管時における原告のpH値及びBE値
は悪いものであった旨主張するが,上記認定の新生児・未熟児の治療中の至適範囲の数
値と対比して検討すると,原告の上記の検査数値に係る主張を採用することはできない。
上記に検討したとおりであって,原告の上記主張を採用することはできない。
(3) 人工呼吸器離脱後の管理について
ア 原告は,抜管後,1~2日以内に再度,低圧の人工呼吸器管理下において,血液ガス
のpH値等が安定するまで原告を管理すべきであった旨主張する。
原告の上記主張に沿う証拠として,甲A9,10号証及び証人bの証言(同人の証言調書10
~11頁,18頁)が存する。
イ 無呼吸発作時の処置としては,①気道閉塞因子の除去,②足底,胸部への刺激による
回復,③チアノーゼの強い時は,マスク・アンド・バッグによる蘇生,という対応をすべきもの
であり(乙B6号証),無呼吸発作に対する対応としては,薬物療法によっても管理困難な
場合に人工呼吸器の管理下におくべきものと解されている(乙B7,15号証)
本件における経過を見るに,11月22日に原告に無呼吸発作が出現してから平成7年2月
6日に至るまでの原告の無呼吸発作の発症とこれに対する被告病院の対応は,別紙診療
経過一覧表の2~4頁記載のとおりである。これによると,(a)原告の無呼吸発作は,自然
に回復したり,足裏刺激で回復することが少なくなかったこと,(b)被告病院は,11月23日
に薬物療法を開始していることが認められる。これに,上記認定のとおり,抜管した11月2
1日から同月23日までの原告の血液ガス検査において得られた結果はほぼ至適範囲に
あったこと及び人工呼吸器管理下におくと合併症の危険性があることを考慮すると,上記
アの甲A9,10号証等を採用することはできず,本件において,抜管後に,再度,原告を人
工呼吸器管理下におかなかったことをもって被告病院に注意義務違反があったものと解す
る余地はないというべきである。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
3 以上のとおりであって,その余の点について判断するまでもなく,原告の被告に対する
本件請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条
を適用して主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第4部
裁判長裁判官佐久間邦夫
裁判官樋口英明
裁判官及川勝広
(別 紙)
日付時間pHBEHbPCO2PO2
11.1822:307.150-6.57.463.540.4
22:417.251-6.76.444.6153.8
23:327.291-6.56.539.698.3
11.191:147.289-5.56.142.154.7
7:477.345-7.512.230.464.6
11.207:557.350-6.69.832.086.0
11.218:207.320-8.110.632.483.7
12:147.286-8.211.136.758.9※
17:397.265-7.010.842.970.8
11.228:117.262-8.410.839.664.8
11.238:317.246-4.712.352.652.3
血液ガス検査値
※ 抜管は,11月21日午前9時30分。

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