弁護士法人ITJ法律事務所

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○ 主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、控訴人に対し、平成二年六月二五日付第一号でした建築基準法第
六条の規定による適合しない旨の処分を取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二 当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「第二事案の概
要」(原判決二枚目表四行目から三枚目裏終わりから二行目まで)に記載のとおり
であるから、これを引用する。
一 原判決三枚目表末行の次に、改行して、次のとおり加える。
「(一)被控訴人は、本件建物を建築するには、都市計画法二九条の許可が必要で
あるとの実質的判断をして、本件処分をしたものである。すなわち、被控訴人は、
控訴人に対する本件処分の通知書(甲第六号証)の理由欄に、「都市計画法第二九
条に抵触する」と記載しているが、被控訴人が本件確認申請に当たり、開発許可権
者が同条の開発許可が必要と判断しているかどうかという形式的な審査をしたので
あれば、本件処分の理由として、右許可を得るようにとの通知をするはずである。
また、被控訴人は、本件建物の建築は、同条の規制の対象となる旨主張し、その証
拠(乙第五、第六号証)を提出して立証しようとしている。更に、被控訴人は、茨
城県建築審査会の審査においても、本件確認申請には、同条の許可が必要であると
判断したことを自ら認め(甲第一号証の5項(2)、許可権者の判断は、被控訴人
の判断の一資料にすぎないことを認めている(甲第七号証)。
(二) 都市計画法二九条の開発許可の要否についての実質的判断権は、被控訴人
にある。同法施行規則六〇条及び建築基準法施行規則一条七項は、法律の下位の法
規であるから、これらを開発許可の要否の判断権者がだれかの根拠とすることはで
きないし、右各規則は、開発許可を必要としている場合において、単に開発を許可
する旨の書面について規定しているにすぎない。
(三) 仮に、開発許可の判断権が被控訴人にないとしても、本件建物を建築する
について、都市計画法二九条の許可が不要とされれば、被控訴人が本件確認申請を
認めない理由がなくなるのであるから、右許可の要否について判断されるべきであ
る。

第三 証拠(省略)
○ 理由
第一 当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないと判断する。その理由は、次の
とおり訂正、付加するほかは、原判決の「第三争点に対する判断」(三枚目裏末行
から六枚目表一行目までと同一であるから、これを引用する。
一 原判決四枚目裏八行目の「建築基準法施行規則一条六項」を、「建築基準法施
行規則一条七項」と訂正する。
二 原判決六枚目表一行目の次に、改行して、次のとおり加える。「控訴人は、被
控訴人は、都市計画法二九条の許可が必要であるとの実質的判断をして、本件処分
をしたと主張する。
しかし、被控訴人が、本件確認申請の審査に当たり、接道の関係で、本件土地上に
本件建物を建築するには都市計画法二九条の規定に基づく開発行為の許可が必要で
はないかとの疑義が生じたため、竜ケ崎土木事務所の担当者にこの点の照会をし、
担当者から右許可が必要である旨の連絡を受けたうえ、本件処分をしたことは、前
記認定のとおりであるから、被控訴人は、本件建物の建築について、開発許可権者
が都市計画法二九条の開発許可を必要と判断しているかどうかの形式的な審査をし
たにすぎないものというべきである。被控訴人の控訴人宛の本件処分の通知書(甲
第六号証)の理由欄には、「都市計画法二九条に抵触する」との記載があり、右記
載は、建築基準法施行規則一条七項により要求される、都市計画法二九条の規定に
適合していることを証する書面の添付がないことを表示するものとして正確性を欠
くが、右記載のみから、被控訴人が、同条の許可が必要であるとの実質的判断をし
て本件処分をしたとまでいうことはできない。また、控訴人は、被控訴人は、本件
建物の建築は、同条の規制の対象となる旨主張し、その証拠を提出して立証しよう
としており、被控訴人は、茨城県建築審査会の審査においても、本件確認申請に
は、同条の許可が必要であると判断したことを自ら認め、許可権者の判断は、被控
訴人の判断の一資料にすぎないことを認めていろと主張するが、乙第五号証、同第
六号証及び甲第一号証によっても、被控訴人の主張するような事実を認めることは
できない。
次に、控訴人は、都市計画法二九条の開発許可の要否についての実質的判断権は、
被控訴人にあるところ、同法施行規則六〇条及び建築基準法施行規則一条七項は、
法律の下位の法規であるから、これらを開発許可の要否の判断権者がだれかの根拠
とすることはできないし、右各規則は、開発許可を必要としている場合において、
単に開発を許可する旨の書面について規定しているにすぎないと主張する。
しかし、都市計画法上の開発行為の規制における土地の区画形質の変更は、それが
建築行為に係わるものであっても、人口の増加、公共的又は公益的施設の整備等の
都市計画的観点から定めることを要する事項であり、個々の建築物の安全又は衛生
の維持を目的として定められたものではなく、これを目的として定められている建
築基準法六条等の当該建築物の敷地についての規制とはその趣旨及び目的において
異なるものであり、都市計画法は、前記のような観点から定めることを要する開発
行為の規制に関する権限について、その二九条において知事にあることを規定して
いるが、建築主事についてはなんらの規定を設けていないのであり、このことから
見ると、右各規則の規定をまつまでもなく、都市計画法自体から開発許可権限は専
ら知事にあることが明らかであり、同法施行規則六〇条及び建築基準法施行規則一
条七項は、知事に開発許可権限があることを前提として、密接な関係にある都市計
画法と建築基準法との斉合性を確保するため規定されたものと解されるのであっ
て、右各規則から、都市計画法上の許可権限が建築主事にあり、その証明行為を知
事が行うものとは到底解されない。
更に、控訴人は、開発許可の判断権が被控訴人にないとしても、本件建物を建築す
るには、都市計画法二九条の許可が不要とされれば、被控訴人が本件確認申請を認
めない理由がなくなるのであるから、右許可の要否について判断されるべきである
と主張する。
しかし、被控訴人の権限が形式的、外形的な審査にとどまる以上、本件処分の違法
性を判断するには、開発許可の要否についての判断は必要ではなく、かつ、これを
することができないものというべきであるo」
第二 以上のとおり、控訴人の本訴請求は理由がないものというべきであるから、
これを棄却した原判決は相当であり、したがって本件控訴は理由がないものという
べきである。
よって、控訴費用の負担につき、行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、
主文のとおり判決する。
(裁判官 柴田保幸 白石悦穂 長野益三)

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