弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決中、主文第一、二項の部分を破棄する。
     本件を徳島地方裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人の上告理由第一点(別紙上告理由書記載)について。
 原判決は、「上告人が、昭和二七年三月二七日被上告人から、本件畑を、賃料は
公定の賃料とし、期間の定めなく賃借し、その頃同契約締結の対価として一〇万円
を支払つて同畑の引き渡しを受け、耕作に供していたことは、当事者間に争いがな
い。」と判旨し、さらに、被上告人が右賃貸の日から昭和三六年七月末日までの間
の右賃料相当金を、賃料あるいは他の名目で上告人から受領したことをも認定しな
がら、右賃借権の設定につき旧農地調整法第四条第一項の県知事の許可がなされて
いないから、右賃貸借契約は効力が生じていないことの一事をもつて、上告人の、
被上告人の本件農地返還請求は信義誠実の原則に反し、権利の濫用である旨の、主
張を排斥して、被上告人の本件所有権に基づく農地返還請求(所有権に基づく請求
であることは、原判決には明示せられていないけれども、その事実及び理由の全趣
旨から、これを推認することができる。)を認容したものであることは、その判文
上明らかである。
 <要旨>ところで、旧農地調整法第四条または農地法第三条の県知事の許可を欠く
農地賃貸借契約は、別段の事由のないかぎり、右許可を法定の停止条件とす
るものであつて、その限りにおいて有効であり、従つて、契約当事者は相互に右許
可申請手続に協力すべき義務を負うと解すべきであるから、原判決が認めたよう
に、貸主が、契約締結の対価として金一〇万円を受領した上、九年余に亘り借主の
農地耕作を容認し、かつ、その間の約定の賃料相当金を受領してきた場合に、所有
者たる貸主が、突如として、借主に対し所有権に基づき該農地の返還を求めるの
は、借主において右許可を得る再思のないことが明確であること、貸主が右許可申
請を促しても借主がこれに応じないこと、右許可を得られないことが明らかである
こと、右許可申請をしたが不許可になつことなどの事情のないかぎり、所有権が信
義に従い誠実に行使せられないものであり、かつ、所有権の濫用であると解するの
が相当である。
 信義誠実や権利濫用の原則は、私法の根本原則であるから、権利関係の対象が農
地である場合にも当然適用せられるべきであり、右のように特殊な事情のある場合
に限つて右の原則を適用しても、そのため旧農地調整法や農地法における農地利用
関係の調整を図る諸規定が殆んど無意味に帰するとは到底解することができない。
 原判決は、以上の法理を審究せず、前段の諸事情の存否を審理することなく、直
ちに、前示上告人の主張を排斥した点において、審理を尽さなかつた結果民法第一
条第二項、第三項の適用を誤る違法を犯したものであり、この違法は主文に影響を
及ぼすことが明らかであるから、原判決中被上告人の請求を認容した部分は破棄を
免がれず、論旨は理由がある。そして、本件につきなお原審において審理する必要
のあることは、以上の説示から、明らかである。
 よつて、民訴法第四〇七条第一項に従い、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 安芸修 裁判官 東民夫 裁判官 右川亮平)

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