弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
     本件を京都地方裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告人の上告理由第一点について
 一 記録によれば、(一) 上告人及びDは上告人を第一審原告選定当事者とし、
被上告人両名並びにE、F及びG(以下「Eら三名」という。)を第一審被告とし
て、第一審判決添付目録記載の各財産が亡Hの遺産に属することの確認を求める訴
えを提起したが、第一審係属中に、Eら三名に対する訴えを取り下げる旨の書面を
提出したこと、(二) 第一審は、右訴えの取下げを有効なものと判断し、上告人と
残余の被告である被上告人両名のみを判決の名宛人として、本件訴えは訴えの利益
を欠く等の理由によりこれを却下する旨の判決をしたこと、(三) 上告人が右第一
審判決に対して控訴したが、原審は、上告人の本件遺産確認の訴えはいわゆる固有
必要的共同訴訟と解すべきところ、第一審においてEら三名に対する訴えの取下げ
がされた結果、共同相続人全員が当事者として関与するものではなくなっているか
ら不適法であると判断し、本件訴えを却下した第一審判決を正当として、被上告人
両名のみを被控訴人として上告人の控訴を棄却する旨の判決をしたこと、が認めら
れる。
 二 しかしながら、原審の右判断は首肯することができない。その理由は、次の
とおりである。
 共同相続人間における遺産確認の訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、
その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべき
ところ(最高裁昭和六〇年(オ)第七二七号平成元年三月二八日第三小法廷判決・
民集四三巻三号一六七頁参照)、記録によれば、亡Hは昭和五〇年三月二六日に死
亡し、その遺産を妻である被上告人B1、兄であるI及び妹である被上告人B2が
共同相続し、その後、Iが昭和五六年八月三日に死亡し、その遺産を妻である選定
者D、長男であるE、長女であるG、次男である上告人及び三男であるFが共同相
続したことが認められる。そして、上告人の主張によれば、亡Hの遺産について遺
産分割が未了であり、上告人、選定者D、被上告人両名及びEら三名の合計七名が
その共同相続人(共同相続人の相続人を含む。以下同じ。)であるというのである
から、上告人の本件訴えは、共同相続人全員を当事者として適法に提起され、第一
審裁判所に係属したものというべきである。
 ところが、上告人は、本件訴えが右のとおり適法に係属した後に、Eら三名に対
する訴えの取下げをしたものであるが、このような固有必要的共同訴訟の係属中に
した共同被告の一部に対する訴えの取下げは、効力を生じないものというべきであ
る。けだし、いわゆる固有必要的共同訴訟においては、共同訴訟人全員について判
決による紛争の解決が矛盾なくされることが要請されるが故に、共同訴訟人全員が
当事者として関与することが必要とされるのであって、このような訴訟の係属中に
一部の者に対してする訴えの取下げの効力を認めることは、右訴訟の本質と相いれ
ないからである(最高裁昭和四二年(オ)第五三五号同四六年一〇月七日第一小法
廷判決・民集二五巻七号八八五頁参照)。
 三 したがって、上告人のEら三名に対する訴えの取下げを有効と判断した原判
決及び第一審判決には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決の結論
に影響を及ぼすことが明らかである。これと同旨をいう論旨は理由があり、その余
の上告理由について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、第一審判決も取
り消されるべきであるから、本件を京都地方裁判所に差し戻すこととする。
 よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八八条に従い、裁判官全員一
致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    佐   藤   庄 市 郎
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫

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