弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人渡辺喜八上告趣意について。
 上告の申立は通常高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対してのみなすこ
とができるものである。そして、特に、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審判
決に対する上告(いわゆる跳躍上告)の申立は、検察官でない者がする場合には、
「その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に違反するものとした判断又
は地方公共団体の条例若しくは規則が法律に違反するものとした判断が不当である
ことを理由」とするときに限り、これをなし得るに過ぎないものであること刑訴規
則二五四条の規定により明白である。されば、検察官でない者の跳躍上告理由が原
第一審判決に存する右のごとき積極的な違憲又は違法の判断を不当であるとしない
上告申立は、明らかに法定の事由に該当しない不適法なものといわねばならぬ。
 しかるに、本件上告は、高等裁判所がした第一、二審判決に対するものではない
し、また、その上告論旨は第一、二点とも原第一審判決に存する積極的な違憲又は
違法の判断を不当とするものでもないから、明らかに法定の事由に該当しないもの
というべく、従つて刑訴四一四条、三八六条一項三号に準じ主文のとおり決定する。
 この決定は裁判官全員の一致した意見である。
  昭和二四年九月一五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

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