弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差戻す。
         理    由
 上告理由第三点について。
 原審において被上告人等(被控訴人等)が「本件は所有権に基くもので、本件土
地は元Dの所有であつたところ、明治三九年一〇月三〇日附売買により亡Eがその
所有権を取得し、その翌四日これが登記を了し、次いでFにおいて昭和八年八月一
七日右Eの死亡による家督相続によりその所有権を取得し昭和九年一月二四日これ
が登記を了し、更にFは昭和一〇年一〇月一八日これを亡Gに売渡しその翌一九日
これが登記手続を了し、被控訴人等は昭和二一年二月一六日右Gの死亡による遺産
相続によりこれが所有権を取得し同年四月四日その旨の登記を了したものである」
と主張し、上告人等(控訴人等)が「被控訴人等主張のDとEとの間の売買はその
実存在しないものである。即ち本件土地は元Dの所有であつたが、同人が罪を犯し
て入獄不在中その長男Eが父Dの印章を盗用して売買証書を偽造行使し売買名義に
よる所有権移転登記をなしたものであるから、Eはこれにより本件土地の所有権を
取得する謂れなく、従つてその後の所有権取得行為も亦無効である」と主張してい
ることは、原判決事実摘示により明らかである。そして原判決がこの点に関し「D
が罪を犯し入獄中の明治三九年一〇月頃、その長男であるEは父Dの印判を不正使
用して本件土地を含む十数町歩の土地につき売買名義の下に所有権移転登記を受け
たが大正二年中Dが出獄してこれを知り告訴沙汰にまでなつたが、親戚等の配慮に
よりDは右売買による所有権移転を認め、本件土地はDの隠居面としてあらためて
EよりDに贈与することとなつたが、登録税金に差支えこれが登録未了のまま時日
を経過し来つた事実が窺われ、右認定を左右するに足る他に何等の疏明資料もない」
と判示していることは所論のとおりである。
 右原審の認定によればDE間の売買なるものは、只EがDの印を盗用して所有権
移転の登記をしただけであつて、当事者に何等の意思表示もなく、実は売買契約は
全然存在しなかつたのである。全然契約は無かつたのであつて無効の行為があつた
のでもない。それ故これが追認ということも有り得ない。
 されば原判決が「Dは右売買に因る所有権移転を認め」といつて居るのは何の意
味かわからない。「右売買」なるものは全く存在しないのであるから存在しないも
のの効力を認めるというのは意味を為さない。原審は或は何等か新な行為をしたも
のと認めた趣旨かも知れないけれども、それとしても如何なる行為であるのかわか
らない。しかのみならず「Dが右売買による所有権移転を認めた」という事実は原
審において何人もこれを主張した形跡がない。
 されば原審の前記判示はそれ自体意義不明(理由不備)であるのみならず、当事
者の主張しない事実に基いて判決をした違法あるものというの外ない。そして右違
法は原判決主文に影響する可能性あること勿論であるから原判決は此の点において
破棄を免れない。
 よつて民事訴訟法第四〇七条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛