弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
 被告人を懲役7年に処する。
 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
理   由
(犯罪事実)
 被告人は,平成15年9月13日午前6時45分ころ,普通乗用自動車を運転し,青森県
a市内の信号機により交通整理の行われている交差点を東から西に向かい直進するに
当たり,対面信号機が赤色の灯火信号を表示し,同交差点手前に2台の自動車が停止
しているのを同交差点停止線の手前約174.6メートル地点,同約28.2メートル地点
でそれぞれ認め,直ちに制動措置を講じれば,同停止線の手前で停止することができた
にもかかわらず,先を急ぐあまり,これを殊更に無視し,右折車線に進路変更した後,重
大な交通の危険を生じさせる速度である時速約30ないし33キロメートルの速度で自車
を運転して,同交差点内に進入したことにより,折から,左方道路から青色信号に従っ
て,同交差点内に進入してきたA(当時52歳)運転の軽四輪乗用自動車右側面部に自
車前部を衝突させた上,前記A運転車両を信号機用鉄柱に衝突させ,よって,A運転車
両に同乗していたB(当時50歳)に肋骨骨折(多発),肺挫傷などの傷害を負わせ,同
日午前11時38分ころ,Bを前記傷害による外傷性ショック,心不全により死亡させ,A
に脳挫傷,急性硬膜下血腫等の傷害を負わせ,同月19日午前4時51分ころ,Aを前記
傷害により死亡させた。
(証拠の標目)略
(法令の適用)
1 罰条
 いずれも刑法208条の2第2項後段(致死)
2 科刑上一罪の処理
 刑法54条1項前段,10条(犯情の重いBに対する危険運転致死罪の刑で処断)
3 未決勾留日数の算入
 刑法21条
4 訴訟費用の不負担
 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 被告人は,職場に遅刻することを恐れ,先を急ぐあまり,対面信号機が赤色の表示に
なっており,既に交差点手前で信号待ちをしている自動車が存在していたにもかかわら
ず,右折車線に進路変更し,信号を殊更に無視して交差点に進入したもので,しかも,
交差する道路を進行する車両が存在することを十分に予想できる状況であったのに,左
右の見通しがきかない本件交差点手前で停止したり,十分に減速したりして左右の安全
を確認することすらせず,時速約30ないし33キロメートルの速度で進行して,本件事故
を引き起こしたものであって,犯行に至る経緯に酌むべき事情はないし,非常に危険か
つ悪質な運転態様である。被告人が,本件の1週間前にも脇見運転による追突物損事
故を起こしていることも考慮すれば,交通法規や安全運転に対する被告人の意識はあ
まりに希薄であったといわざるを得ない。
 もとより,生じた結果は重大であり,青信号に従って交差点に進入した被害者らに落ち
度はない。被害者Aは精肉店経営者として,被害者Bは家庭の主婦として,これまで平
穏な生活を送ってきたものであるところ,被告人の危険運転によって突然命を絶たれた
もので,その無念さ,遺族の心痛は察するにあまりある。遺族らが法廷において被告人
の厳重な処罰を求めるのは無理もない。
 したがって,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。
 他方,被告人は,当公判廷において本件を素直に認め,反省の態度を示している。被
告人は,未だ若年(21歳)で,これまでに前科前歴はなく,被告人の父と婚約者が被告
人の更生に対する助力を表明している。さらに,被告人は,財団法人日弁連交通事故
相談センターに20万円の贖罪寄付をしており,しかも,被告人運転車両に付せられた
自動車共済契約により,相応の金銭的賠償がされる見込みもある。
 よって,これら被告人のために酌むべき事情も考慮し,被告人に対しては主文の量刑
が相当であると判断した次第である。
(求刑 懲役7年6月)
青森地方裁判所弘前支部
裁判長裁判官    土 田 昭 彦
裁判官    佐 藤 哲 治
裁判官    加 藤   靖

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