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平成17年(行ケ)第10497号 審判請求書却下決定取消請求事件(平成17
年6月22日口頭弁論終結)
          判決
原      告  村角工業株式会社
訴訟代理人弁護士村林隆一
同井上裕史
被      告   特許庁長官 小川洋
指定代理人  宮下正之
同岡田孝博
          主文
      特許庁が訂正2005-39044号事件について平成17年4月2
6日にした決定を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
 事実及び理由
第1 請求
 主文と同旨
第2 当事者間に争いがない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告(本件の却下決定における請求人の表示欄には,「村ずみ工業株式会
社」と記載されているが,記録中の原告提出に係る商業登記簿謄本の記載に照ら
し,原告の名称は,正しくは「村角工業株式会社」であると認める。)は,考案の
名称を「医療検査用カセット」とする実用新案登録第2547410号〔平成2年
11月8日出願(実願平2-117934号),平成9年5月23日設定登録。以
下「本件実用新案登録」という。)〕の実用新案権を有していた。
    本件実用新案登録については,平成15年10月24日,特許庁にこれを
無効とすることについて審判請求がされた。特許庁は,同請求を無効2003-3
5440号事件として審理した上,平成16年5月11日,本件実用新案登録を無
効とする審決をした。
  (2) 原告は,平成16年6月12日,上記審決を不服として,東京高等裁判所
にその取消しを求める審決取消請求訴訟を提起したが,同裁判所は,同年12月2
7日,原告の請求を棄却する判決をした。原告は,平成17年1月8日,上記棄却
判決を不服として,最高裁判所に上告受理申立てをしたが,同裁判所は,同年4月
19日,不受理の決定をし,これにより,東京高等裁判所の上記棄却判決が確定し
た。
(3) 原告は,上記の上告受理申立て後である平成17年3月9日,本件実用新
案登録の出願の願書に添付した明細書を訂正することについて審判(以下「本件訂
正審判」という。)の請求をした。特許庁は,同請求を訂正2005-39044
号事件として受理した上,審判長において,同年4月26日,「本件審判の請求書
を却下する。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は同年5月
11日原告に送達された。
2 本件決定の理由
本件決定の理由は,別添決定謄本写し記載のとおりであり,その要旨は,本
件実用新案登録を無効とする審決の確定により,同登録に係る実用新案権は初めか
ら存在しなかったものとみなされ,したがって,本件訂正審判の請求は,その目的
を失い,不適法になると解されるから,本件訂正審判の請求は,実用新案法41条
〔注,平成5年法律第26号(以下「平成5年改正法」という。)による改正前の
実用新案法41条(平成15年法律第47号による改正後の平成5年改正法附則4
条2項の規定により読み替えられたもの。以下「旧実用新案法41条」という。)
の趣旨であると解される。〕で準用する特許法135条の規定により,却下すべき
である,というものである。
第3 当事者の主張
 1 原告主張の審決取消事由
(1)本件決定は,旧実用新案法41条で準用する特許法135条の規定に基づ
いて,本件訂正審判の請求書を却下したものである。しかしながら,同法135条
は,審判の請求が不適法である場合には,審決をもってこれを却下することができ
る旨定めた規定であって,審判長が審判の請求書を却下することを認めた規定では
ない。
 旧実用新案法41条が準用する平成15年法律第47号による改正後の特
許法(以下「平成15年改正特許法」という。)133条3項は,審判長が審判の
請求書を却下できる場合を規定しているが,その却下が認められるのは,審判の請
求書が同法131条の規定に違反しているとしてその補正を命じたにもかかわら
ず,請求人が指定した期間内にその補正をしないとき,又はその補正が同法131
条の2第1項の規定に違反するときに限られている。ところが,本件決定に際し
て,審判長は,請求人である原告に対し,何ら補正を命じていない。
   しかも,本件決定は,本件訂正審判の請求書が旧実用新案法41条で準用
する平成15年改正特許法131条,131条の2第1項の規定に違反することを
理由にされたものではない。
(2) 以上のとおり,本件決定は,審判長が,法的根拠に基づかないでしたもの
であり,違法であるから,取り消されるべきである。
2 被告の主張
原告主張の取消事由については争う。
第4 当裁判所の判断
1 原告主張の取消事由について
本件決定は,前記第2の2に記載のとおり,本件訂正審判の請求は,その目
的を失い,不適法になると解されるから,本件訂正審判の請求は,旧実用新案法4
1条で準用する特許法135条の規定により,却下すべきであるとして,本件審判
の請求書を却下したものである。
しかしながら,同法135条は,不適法な審判の請求であって,その補正を
することができないものについては,審決をもってこれを却下することができる旨
規定しているものであって,審判長が,審決の手続を経ずに,決定で審判の請求書
を却下することができる旨規定しているものではない。
旧実用新案法41条で準用する平成15改正特許法133条によれば,審判
長は,請求書が同法131条(注,旧実用新案法41条により平成5年改正法によ
る改正前の実用新案法39条1項の審判に準用されている。)の規定に違反してい
るときは,請求人に対し,相当の期間を指定して,請求書について補正をすべきこ
とを命じなければならず(平成15年改正特許法133条1項),その補正をすべ
きことを命じた者が,指定した期間内に補正をしないとき,又はその補正が同法1
31条の2第1項の規定に違反するときは,決定をもってその請求書を却下するこ
とができる旨規定されている(同法133条3項)。しかし,このように審判長の
単独の権限にゆだねられたのは,審判請求書の必要的記載事項,訂正審判請求の場
合に添付すべき明細書等など,審理する内容が形式的で簡単な事項であるというこ
とに基づくものであって,審判長において,審判の請求が不適法であることを理由
に,同法133条3項の規定に基づいて審判の請求書を却下することができるもの
でないことは,上記規定の要件に照らし,明らかである。
   他に,審判の請求が不適法な場合に,審判長において,審判の請求書を却下
することができることを認めた法律の規定は存在しない。
したがって,本件決定は,審判長が,法律上の根拠なくしたものであり,違
法といわざるを得ない。
2 以上の次第で,原告主張の取消事由は理由があり,本件決定は取消しを免れ
ない。
 よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のと
おり判決する。
  知的財産高等裁判所第1部
  裁判長裁判官   篠  原  勝  美
 裁判官     青  栁     馨
       裁判官  宍  戸     充

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