弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告代理人上妻英一郎,同葭原敬の抗告理由(ただし,排除された部分を除
く。)について
相手方は,その所属する弁護士会から業務停止3月の懲戒処分を受けたが,当該
業務停止期間中に期日が指定されているものだけで31件の訴訟案件を受任してい
たなど本件事実関係の下においては,行政事件訴訟法25条3項所定の事由を考慮
し勘案して,上記懲戒処分によって相手方に生ずる社会的信用の低下,業務上の信
頼関係の毀損等の損害が同条2項に規定する「重大な損害」に当たるものと認めた
原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができな
い。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官田原睦
夫の補足意見がある。
裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に賛同するものであるが,事案にかんがみ,下記のとおり補足意
見を述べる。
本件の基本事件は,相手方の所属弁護士会が相手方に対してした業務停止3月の
懲戒処分に対して,相手方が申し立てた審査請求を棄却する裁決に対する取消請求
訴訟であるところ,本件執行停止決定がされない場合には,同訴訟が通常の進行速
度で審理されるときには,上記業務停止期間内に審理を終結することは著しく困難
であり,同訴訟係属中に上記業務停止期間が経過し,相手方は上記懲戒処分の効力
のすべてを受けることになる。
このように懲戒処分の効力のすべてを受けてしまった後に,なお,訴えの利益が
認められて(最高裁判所昭和56年(行ツ)第171号同58年4月5日第三小法
廷判決・裁判集民事138号493頁参照),裁決取消しの判決がされても,相手
方は,その取消判決それ自体により業務停止を免れるという利益を得ることはでき
ず,別途損害賠償訴訟を提起して,その損害の回復を図らざるを得なくなる。
ところで,弁護士業務は,その性質上,高い信用の保持と業務の継続性が求めら
れるところ,多数の訴訟案件,交渉案件を受任している弁護士が数か月間にわたる
業務停止処分を受けた場合,その間,法廷活動,交渉活動,弁護活動はもちろんの
こと,顧問先に係る業務を始めとして一切の法律相談活動はできず,業務停止処分
により,従前の依頼者は他の弁護士に法律業務を依頼せざるを得なくなるが,進行
中の事件の引継ぎは容易ではない。また,懲戒を受けた弁護士の信用は大きく失墜
する。そして,業務停止期間が終了しても,いったん他の弁護士に依頼した元の依
頼者が再度依頼するとは限らず,また,失墜した信用の回復は容易ではない。
業務停止処分を受けた弁護士が受ける上記の状況によって生ずる有形無形の損害
は,後にその処分が取り消された場合に,金銭賠償によっては容易に回復し得ない
ものである。
原決定によれば,相手方は業務停止期間中に期日が指定されているものだけで3
1件の訴訟案件を受任しているというのであるから,その点だけからしても,業務
停止処分により,重大な影響を受けるものと認められ,それに加えて,弁護士とし
ての業務活動のすべての停止をしなければならないことを考慮すると,本件業務停
止処分は,相手方にとって,行政事件訴訟法25条2項に定める「処分の執行によ
り生ずる重大な損害」に当たることは明らかであり,また,本件業務停止処分の性
質上それを避けるための緊急の必要があるものといえる。
抗告人は,本件懲戒処分の効力の停止を認めた原決定に対して,平成16年法律
第84号による改正前の行政事件訴訟法25条2項に関する高等裁判所の裁判例を
引用して原決定を非難するが,同項の執行停止の要件は,上記改正前は,「回復困
難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」とされていたのを,同法の改正検討
作業の過程における,同要件の緩和を強く求める日本弁護士連合会(抗告人)の意
見等を踏まえて,同改正により「重大な損害」と規定されるに至ったのであって,
抗告人の主張は,同条の改正経緯等からして到底採り得ないものである。
(裁判長裁判官近藤崇晴裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平裁判官田原睦夫)

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