弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主       文
被告会社Aを罰金5万円に,被告人B及び同Cをそれぞれ懲役1年に
処する。
被告人B及び同Cに対し,この裁判確定の日から3年間それぞれその
刑の執行を猶予する。
理       由
(罪となるべき事実)
 被告人A(以下「被告会社」という。)は,前橋市a町に本店を置き,農薬販売業等を営
む事業者,被告人Bは,同会社農薬部販売3課長代理,被告人Cは,同会社b支店販売
1課長であるが,被告人両名は,共謀の上,被告会社の業務に関して,
1 平成14年3月29日ころ,新潟県c市dの有限会社Dにおいて,同会社に対し,農薬
である商品名ホールエイト40袋を価格9万2000円で,その容器又は包装に法定の
表示がないのに販売した,
2 同年4月4日ころ,同所において,同会社に対し,農薬である商品名ホールエイト80
袋を価格18万4000円で,その容器又は包装に法定の表示がないのに販売した
ものである。
(証拠の標目)
 略
(法令の適用)
1(1)罰      条  被告会社Aについて
             平成14年法律第141号による改正前の農薬取締法17条1号,9
条1項,19条(包括して)
            被告人B及び同Cについて
             刑法60条,平成14年法律第141号による改正前の農薬取締法1
7条1号,9条1項,19条(包括して)
 (2)刑種の選択  被告人B及び同Cについて
              いずれも懲役刑を選択
2 刑の執行猶予  被告人B及び同Cについて
              刑法25条1項
(量刑の理由)
 本件は,農薬の販売業を営んでいた被告会社の従業員である被告人両名が,被告会
社の業務に関し,薬効が人体に悪影響を及ぼすおそれがあるとして登録が失効した農
薬である「ダイホルタン水和剤」と主成分を同じくする「ホールエイト」なる農薬を,その包
装等に法定の表示がないにもかかわらず,合計120袋を小売業者に販売した農薬取締
法違反の事案である。
 もとより農薬取締法は,農薬についての登録制度を設け,販売及び使用の規制等を
行い,農薬の品質の適正かとその安全かつ適正な使用の確保を図り,農業生産の安定
と国民の健康の保護に資するとともに,国民の生活環境の保全に寄与することを目的と
しているところ,被告人両名は,農薬販売業務の経験等から本件のような無表示農薬販
売が違法であることを承知していたにもかかわらず,営業担当者としてより強力な薬効
のある農薬を求める小売業者からの要望に押され,顧客を失いたくないなどと考え,あ
るいは,その営業担当者から仕入れることを頼まれ,同じ営業担当者として手助けをし
たいなどと考えて本件犯行に及んだものであり,その動機は,安全な農薬販売業務を遂
行すべき営業担当者としての本分を失念したいずれも身勝手かつ短絡的なものであり,
酌量の余地は乏しい。その犯行は,小売業者から被告人Bに「ホールエイト」の注文が
入ると,被告人Bが被告人Cに連絡をして仕入れができるかを確かめ,被告人Cが業者
に注文し,手に入った「ホールエイト」を前記小売業者に直送して販売したというものであ
って,また,本件無表示農薬販売の犯行により,その薬害が懸念される農薬が関係農
家の間で広く使用されるに至り,本県の特産物である梨の栽培にも使用され,その具体
的な薬害等は判然としないものの,その危険性が社会に拡散したとの事情があり,しか
も,「ホールエイト」の代替農薬も存在し,避けようと思えば避けられた犯行であり,その
犯行は執拗で悪質である。また,本件では,被告人両名が行った本件無表示農薬の販
売行為それ自体が問題であることは勿論であるが,被告会社においても,被告人B及び
その前任者等の本社営業担当者とb支店の被告人Cとが協力して,「ホールエイト」を繰
り返し販売してきた事情が窺われ,被告会社における日常の営業体制の点検等の甘さ
がこれを見過ごしたといわざるを得ず,被告会社が結果としてこれを放置したことの責任
は大きい。そして,本件発覚後,被告人両名が違法に販売した本件農薬が行き着いた
先の果物等の生産農家に対し与えた影響は深刻であり,本件犯行が一因となった経済
的損害も非常に大きく,本件で発生した結果は誠に深刻であり,被告会社及び被告人
両名が惹起した本件犯行は,農業・農産物に対する安全に関する信頼を大きく損なうも
のであって,社会的影響も大きい。そして,近年の「食の安全」に関する関心の高まりに
鑑みると,市民が安心して食物を口にできる環境を確保するために,今後は官民一体と
なった確実な監督体制の構築が望まれるところである。以上の諸事情に照らすと,本件
犯情は誠に悪質であって,被告会社及び被告人両名の刑事責任はいずれも重い。
 一方,被告人両名は,当公判廷において反省の態度を示し,今後は,本件のような違
法な農薬販売をしないよう努めることを誓っていること,被告人両名のこれまでの稼働
態度は,本件犯行を除いては真面目と評価し得るものであり,それ自体に特段の問題
はなく,今後も被告会社で稼働することが予想されること,被告人両名は,営業担当者
として得意先からの要請に応えようとして本件犯行に及んだものであり,闇雲に農薬の
違法販売をして暴利を追及したとの事情は認められないこと,被告人両名は,稼働先で
ある被告会社で今後然るべき処分が為される見込みであること,それぞれの家庭の事
情など被告人両名それぞれのために斟酌すべき諸事情が認められる。また,被告会社
においては,本件を重大視し,農薬等の取扱に関する指導教育体制の充実,日常の営
業活動に対する監督体制の整備等により一層の関心を払うことを確認し,既に従業員
等に対する指導教育を実践していること,本件が,広く社会の注目を集めて報道され,
被告会社の経営も相当の打撃を受けたものであり,この点で一定の社会的制裁を受
け,さらに,然るべき行政処分も受けることが予想されること,これまでに行政処分や刑
事罰を受けたことがないことなど被告会社のために斟酌すべき諸事情が認められる。
 そこで,これらの諸事情を併せ考慮の上,被告会社及び被告人両名をそれぞれ主文
に掲げたとおりの刑に処し,被告人両名に対しては,その刑の執行を猶予することが相
当であると判断した。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑-被告会社Aについて罰金5万円,被告人B及び同Cについていずれも懲役1年)
 平成15年3月31日
新潟地方裁判所刑事部
 
        裁判官金子大作

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛