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平成23年7月14日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成22年(ワ)第11899号不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論終結日平成23年5月9日
判決
原告イノマタ化学株式会社
同訴訟代理人弁護士本渡諒一
同瀬戸崇史
同仲元紹
同黒田厚志
同郷原さや香
同訴訟復代理人弁護士岩田和也
被告株式会社大創産業
同訴訟代理人弁護士山田延廣
同藤井裕
同寺本佳代
同工藤勇行
被告補助参加人近畿用品製造株式会社
同訴訟代理人弁護士須田政勝
同補佐人弁理士藤本昇
同野村慎一
同浅野令子
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は,補助参加によって生じた費用を含め,
原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1原告
(1)被告は,別紙被告商品形態目録記載の形態の商品を販売し又は販売のため
展示してはならない。
(2)被告は,原告に対し,819万6000円及びこれに対する平成22年9
月4日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
(3)訴訟費用は被告の負担とする。
(4)仮執行宣言
2被告
主文同旨
第2事案の概要
1前提事実(当事者間に争いがない。)
(1)当事者
原告は,生活用品の企画,製造及び販売を目的とする会社である。
被告は,「ザ・ダイソー」という店名で100円ショップを経営している会
社である。
(2)原告商品等
原告は,「COMO」の商品名で,大きさの異なる4種類のバスケットを製
造販売している。
具体的には,平成11年2月から「コモバスケットL」を,平成20年1
月から「コモバスケットM」及び「コモバスケットS」を販売している(以
下,これら3つを併せて「原告先行商品」という。)。
平成20年3月からは,「COMO」シリーズの4番目の商品として,別紙
原告商品形態目録記載の「コモバスケットMINI」(以下「原告商品」と
いう。)を販売している。
(3)被告の行為
被告は,遅くとも,平成22年7月から,別紙被告商品形態目録記載のミ
ニバスケット(以下「被告商品」という。)を,「chobitto」という
商品名で販売した。
なお,被告は,被告補助参加人から被告商品を購入していた(以下,「被告」
と「被告補助参加人」を併せて,「被告ら」という。)。
2原告の請求
原告は,被告の行為が不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項3号に
いう他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為に当たるとして,法3条
1項に基づき,被告商品の販売等の差止めを求めるとともに,法4条本文及び
5条2項に基づき,819万6000円の損害賠償及びこれに対する本件訴状
送達の日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を
求めている。
3争点
(1)被告商品は,法2条1項3号にいう他人の商品の形態を模倣したものに当
たるか(争点1)
(2)原告商品の商品形態は,法19条1項5号イにいう日本国内において最初
に販売された日から起算して3年を経過した商品の商品形態に当たるか
(争点2)
(3)被告は,法19条1項5号ロにいう譲り受けた時にその商品が他人の商品
の形態を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき重大
な過失がない者に当たるか(争点3)
(4)損害額(争点4)
第3争点に係る当事者の主張
1争点1(被告商品は,法2条1項3号にいう他人の商品の形態を模倣したも
のに当たるか)
【原告の主張】
原告商品と被告商品とは,寸法の差もほとんどなく,全く同一の形態である。
具体的には,透孔及び取っ手の形状,正面無地部分に「しぼ加工」がされて
いること並びにリブの個数及び形状まで同一である。
これらのことからすると,被告商品は原告商品と実質的に同一の形態の商品
であり,これに依拠して作り出されたものであるから,法2条1項3号にいう
他人の商品の形態を模倣したものに当たる。
【被告らの主張】
(1)法2条1項3号にいう他人の商品形態
同様の形態の商品が多数存在する場合,それらの商品に共通する形態は,
法2条1項3号が保護する商品の形態には当たらないか又は同号括弧書にい
う当該商品の機能を確保するために不可欠な形態に当たる。
以下のとおり,被告補助参加人が被告商品を開発した平成22年1月以前
において,原告商品と同様の形態の商品は多数存在したから,被告商品は原
告商品の形態を模倣した商品には当たらない。
ア登録意匠について
原告商品の形態は,バスケット本体が有底状の上面開口型で逆円錐状か
らなり,かつ上面開口部の左右端に一対の取っ手が立設し,バスケット本
体の胴体の上下部に一定幅の無孔部を残して,その全周面に多数の小孔を
穿設した形態のものである。この形態からなる登録意匠は,当時,多数存
在していた。
特に,登録番号776420及びその類似1の,2つの意匠は,原告商
品と実質的に同一の形態であり,いずれも,平成16年8月24日に,意
匠権の存続期間が満了していた。
イ先行商品
原告商品と実質的同一の形態の商品が,被告補助参加人が被告商品を開
発した当時,多数の企業から販売されていた。
(2)模倣の不存在
被告補助参加人は,原告商品の形態にのみ依拠したのではなく,上記(1)
アの登録意匠や同イの先行商品の形態にも依拠しており,被告商品は原告商
品の形態を模倣したものには当たらない。
(3)原告先行商品との関係
ア法2条1項3号が保護する商品の形態は,商品開発に費用や労力を投下
し,相当の期間を要して開発された最初の商品形態に限られ,単に先行商
品に若干の変更を加えた後続商品や小型化した商品の形態は含まれない。
原告商品は,原告先行商品を単に小型化したものにすぎない,相似形の
同種商品であるから,原告商品自体の形態は,法2条1項3号により保護
される形態には当たらない。
イなお,大きさ自体は,法第2条1項3号が保護する商品の形態には含ま
れない。そして,原告先行商品と原告商品が,底面直径,底面リブの寸法,
開口面直径,高さ,容積及び肉厚において寸法が相違するのは,先行商品
の形態を保持したまま,全体の大きさを小さくしたことによる結果であり,
商品形態上の実質的な相違点ではない。
また,柔軟性についても,実際の質感は,ほとんど差がない。
透孔が一重か二重であるか,取っ手の断面形状が平坦面か半円紐状であ
るかという相違は,商品全体としてみると極めて細部の事項であって,形
態上,ほとんど視認できない程度の形状の改変にすぎない。
ウ原告先行商品も,原告商品と同様に小物収納容器として使用されるもの
であり,その大きさからも卓上で使用することができる商品であるから,
用途は異ならない。バスケット(容器)として同種の商品である。
【原告の反論】
(1)原告商品は,前記【被告らの主張】(1)アの登録意匠のいずれとも形態が異
なる。
原告商品は,登録意匠にかかる「かご」と,次の基本的形状において同一
である。
ア略筒状であり,
イ底面よりも上部開口面の直径が大きく,
ウ上記開口縁には左右に取っ手が配され,
エ側壁全面には透孔が配されている構成をもつ。
しかし,原告商品は,登録意匠にかかる「かご」と,次の点において,異
なる。
オ透孔の形状
丙8~11号証において,透孔は重要な意匠部を形成しているところ,
各登録意匠の透孔には若干の形状の違いがみられる。
丙8号証と丙11号証の透孔は四角形であるが,その四角の形状が若干
異なる。
丙9号証と丙10号証の透孔は,円形状を基本にしているが,丙9号証
はやや円形であるのに対し丙10号証は横長楕円形である。
カ取っ手の形状
いずれの登録意匠も取っ手が配される形状を有しているが,次の点で相
違している。
丙8号証,丙9号証の取っ手は,開口縁に固定的に配されて内部を空間
として形成された半円状の取っ手であって,対向位置に各1個ずつ合計2
個配される形状である。
丙10号証,丙11号証の取っ手は,開口縁に略半円状をした1個の吊
手が配されている形状である。
(2)原告商品と原告先行商品の各形態の相違点
原告商品と原告先行商品の各形態は,以下の点で相違する。
ア用途は,原告先行商品が衣類などの大きな物を収納することであるのに
対し,原告商品は文房具などの小物を収納して卓上で使用することである。
イ容積は,原告先行商品である「コモバスケットL」が27リットル,「コ
モバスケットM」が18リットル,「コモバスケットS」が10リットル
である。これらに対し,原告商品は,0.53リットルであり,各部分の寸
法も異なっている。
ウ厚みは,原告先行商品が2㎜ないし1.8㎜であるのに対し,原告商品は
1.6㎜であり,容積に比して肉厚であるため,原告商品の方が柔軟性に劣
る。
エ透孔は,原告先行商品が1個の輪の形状であるのに対し,原告商品は輪
郭が明確な2個の輪の形状である。
オ取っ手の形状は,原告先行商品の中空外側部端縁外面が平坦であるのに
対し,原告商品では半円紐状である。
カ底面リブの形状は,原告先行商品が内外リブともに断面半円の太さ(幅,
高さ)は同じである。これらに対し,原告商品は断面半円の幅と高さにつ
いて外リブが大きく,内リブは小さくなっている。
(3)商品の相違
原告商品は,小物入れであり,前記【被告らの主張】(1)ア,イの各商品は,
「かご」である。
2争点2(原告商品の商品形態は,法19条1項5号イにいう日本国内におい
て最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の商品形態に当たる
か)
【被告らの主張】
法2条1項3号の趣旨からすれば,最初に販売された日の起算点となる商品
は,保護を求める商品形態を具備した最初の商品を意味する。先行商品の商品
形態を具備しつつ,若干の変更を加えた後続商品ではない。
原告は,平成11年ころから原告商品と大きさのみが相違し,同一形態であ
る原告先行商品を販売していた。
したがって,原告商品の商品形態は,日本国内において最初に販売された日
から起算して3年を経過した商品の商品形態であるから,法2条1項3号に
よって保護される商品形態ではない。
【原告の主張】
前記1【原告の反論】(2),(3)のとおり,原告商品は,原告先行商品と用途及
び形態が異なり,原告商品の販売開始以前には市場になかった商品である。
原告商品は,平成20年3月から販売されたものであり,被告商品が販売さ
れた時点では,最初に販売された日から起算して3年を経過していない。
3争点3(被告が,法19条1項5号ロにいう譲り受けた時にその商品が他人
の商品の形態を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき
重大な過失がない者に当たるか)
【被告らの主張】
(1)被告は数十万点に及ぶ商品を販売しているから,各商品について,逐一,
不正競争防止法違反や知的財産権の侵害の有無を調査することは事実上困難
である。そこで,この点に関する判断はメーカーに一任している。
これは,被告のみならず,この種の小売業者とメーカーとの間における通
常の商慣行である。
(2)被告は,平成21年12月17日,被告補助参加人から,被告商品のサン
プルを提示されて販売申込みをされた。この際,被告の担当者は,被告補助
参加人の営業担当者に対し,知的財産権を侵害するおそれの有無について確
認したところ,以前から被告商品に類似する商品が市場に多数出回っており,
通常有する形態であるから,そのおそれはないと回答された。
(3)これらのことからすると,被告は,取引における通常の注意義務を尽くし
ており,過失はない。仮に過失があったとしても,容易に商品形態模倣商品
であることを知ることができたのに,その義務を著しく怠ったとはいえない
から,重大な過失はない。
【原告の主張】
被告は,被告商品が原告商品を模倣した商品であることを知っていたか,又
は知らないことにつき重大な過失があった。
(1)被告商品には「ProducedforDAISOJAPAN」と表示されており,被告は,
消費者に対し,自社商品について責任を負うことを宣言している。これに対
し,被告補助参加人に関する表示は一切ない。
そうすると,被告と被告補助参加人との取引は,提携工場としての製造委
託契約である。したがって,被告は,法19条1項5号ロの規定する商品を
譲り受けた者には当たらない。
(2)被告は,被告補助参加人から被告商品を購入するに当たり,知的財産権を
侵害することはないか,類似商品があるかなどについて,検討した。
これにより,被告は,92万個以上も販売されていた原告商品を容易に発
見でき,また発見した。
(3)仮に被告らの主張を前提としても,被告補助参加人から被告商品に類似す
る商品が多数出回っているという回答を受けたのであるから,被告商品と類
似品の比較をすることは容易にできた。
4争点4(損害額)
【原告の主張】
原告は,被告の行為により以下の損害を被った。
(1)被告商品の単価は100円であり,被告会社における利益率は少なくとも
40%である。
被告は,合計約2700の店舗において,少なくとも1日当たり各2個の
被告商品を販売した。よって,平成22年7月の1か月間における販売数は,
合計16万7400個であった。
これらのことからすると,被告の利益,すなわち原告の損害は,被告商品
1個あたりの利益40円に販売総数合計16万7400個を乗じた669万
6000円である。
〔計算式〕100×0.4×2,700×2×31=6,696,000
(2)弁護士費用
150万円を下らない。
【被告らの主張】
争う。
第4当裁判所の判断
1本件の事案の内容に鑑み,まず,争点2について検討すると,この点に関す
る被告らの主張には理由がある。以下,詳述する。
(1)法2条1項3号は,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡行為等を他人の
商品が最初に販売された日から3年間に限って不正競争行為に当たるとした
ものである。その趣旨は,法1条の事業者間の公正な競争等を確保するとい
う目的に鑑み,開発に時間も費用もかけず,先行投資した他人の商品形態を
模倣した商品を製造販売し,投資に伴う危険負担を回避して市場に参入しよ
うとすることは公正とはいえないから,そのような行為を不正競争行為とし
て禁ずることにしたものと解される。
このことからすれば,最初に販売された日の起算点となる他人の商品とは,
保護を求める商品形態を具備した最初の商品を意味するのであって,このよ
うな商品形態を具備しつつ,若干の変更を加えた後続商品を意味するもので
はないと解すべきである。
そして,仮に原告が主張するとおり,原告商品が原告先行商品の改良品や
部分的な手直し品ではなく,新しい商品であるとすると,この場合に法2条
1項3号による保護を求め得るのは,原告商品の形態のうち,原告先行商品
の形態と共通する部分を除外した固有の部分に基礎をおくものでなければな
らないというべきである。
本件で,原告が,原告先行商品のうち「コスモバスケットL」を平成11
年2月から販売していたことは,前提事実(2)のとおりである。
そうすると,原告先行商品と原告商品の形態が実質的同一である場合には,
原告商品の形態の模倣は,法19条1項5号イに該当するというべきである。
(2)原告先行商品と原告商品の形態の対比
法2条4項によれば,商品の形態とは,需要者が通常の用法に従った使用
に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並び
にその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。
これを前提として,以下原告先行商品と原告商品の形態が実質的同一とい
えるか否かについて検討する。
ア原告先行商品と原告商品の形態について,以下の点が共通していること
は当事者間で争いがない。
(ア)全体が逆円錐台形をなし,上面が開口している。
(イ)正面視において,側壁上端左右縁が中央部よりも高く,中央部から両
端上縁部に向けて上方に向けて曲線を描いている。
(ウ)側壁両端上縁部には取っ手が形成されており,取っ手の形状は中空の
山状である。
(エ)側壁上端部(取っ手が形成されている部分を除く。)には,外方に突出
して円周帯状が形成されている。
(オ)側壁上部と下部は,一定の幅でそれぞれ透孔のない無地帯状となって
いる。その無地帯状の幅は,中央部から両端部にかけて幅広となってい
る。上部の幅が下部の幅よりも狭い。上部無地帯状の下端線並びに下部
無地帯状の上端線は,いずれも水平である。
(カ)無地帯状部以外の側壁全面には,透孔が配設されている。透孔部の面
積は,上下無地帯状の合計よりも大きい。
透孔は,縦列が32列,横列が7列で配設されている。また,正面中
央部で,中央上無地帯状の下部に位置する縦4列及び横2列の部分には,
透孔がなく,無地となっている。これにより,下向き凸状に透孔のない
部分が形成されている。
透孔の形状は円形である。
イ次に,相違点について検討する。
(ア)形態上の相違点
原告が主張する形態の差違は,①透孔が,原告先行商品は1個の輪
の形状であるのに対し,原告商品は輪郭が明確な2個の輪の形状である
こと,②取っ手の形状が,原告先行商品の中空外側部端縁外面が平坦
であるのに対し,原告商品では半円紐状であること,③底面リブの形
状が,原告先行商品は内外リブともに断面半円の太さ(幅,高さ)が同
じであるのに対し,原告商品は断面半円の幅と高さについて外リブが大
きく,内リブは小さくなっていることである。
これらの点について検討すると,まず,①透孔が二重であるという
点は,丙2及び12によれば,二重であるというよりも,むしろ透孔の
内側端が外から中心に向かって傾斜していると表現すべき形状である。
これは,注意して見なければ認識できない程度の僅少な差違にすぎない。
しかも,丙1及び6によれば,この特徴は,傾斜の程度に差こそあれ,
他の同種商品にもみられる特徴であることが認められる。
次に,②取っ手の形状についてみると,丙2及び12によれば,平
坦であるか半円の紐状であるかは,説明されなければ認識できないほど
の形状の差である。これをもって,需要者が通常の用法に従った使用に
際して知覚によって認識することができる形状であるとはにわかに認
めがたい。また,丙1及び4によれば,平成20年3月以前に,取っ手
が半円状の同種のバスケットが販売されていたこと,丙8によれば,同
様の意匠登録がされていたこともそれぞれ認められる。そうすると,こ
れは,同種の商品に共通する何の特徴もないごくありふれた形態である
というべきである。
また,③の底面リブも,原告商品における内外リブの幅及び高さの差
は僅かである上,底面に配設されたものであるから,需要者が通常の用
法に従った使用に際して知覚によって認識することができる形状であ
るとも認めがたいものである。
(イ)厚さ,質感
証拠(丙2,12)及び弁論の全趣旨によれば,原告先行商品と原告
商品との厚みの差は,わずか2㎜ないし4㎜程度であり,知覚によって
認識することができる質感には,大きな差はないことが認められる。
(ウ)用途の違い
原告が主張する用途の違いは,形態について検討するに当たっては問
題とならないというべきである。そもそも,いずれの商品も容器として
使用されるものであることには違いがなく,どのような物を収納して使
用するかは需要者の自由であるから,原告が主張するような収納物の違
いがあることを前提とすることはできない。
(3)前記(2)からすると,原告が保護を求めている商品形態の構成の中心は,原
告先行商品においても採用されていたものであると認めることができる。そ
して,原告先行商品と原告商品との形態上の差は,需要者が通常の用法に従っ
た使用に際して知覚によって認識することができるほどの形状の差であると
は認められないか又は同種の商品に共通する何の特徴もないごくありふれた
形状であるということができる。
なお,原告商品と原告先行商品とでは商品の大きさが異なるから,そのこ
とに由来する差違が存する。しかしながら,少なくとも全体的な商品の形態
について従来品の形態を具備しながら,大きさのみを変更した場合に,従来
品とは別の商品形態であるということはできない。上記によれば,原告商品
は,全体的な商品の形態として,従来品である原告先行商品の形態を具備し
ているというべきであるから,大きさの違いやそのことから由来する差違を
もって,別の商品形態であるということはできない。
(4)以上によれば,原告が保護を求める商品形態を具備した最初の商品は,原
告商品ではなく,原告先行商品である。前記(1)のとおり,原告先行商品のう
ち「コモバスケットL」が最初に販売された日は平成11年であるから,原
告商品が販売された平成20年3月時点では,最初に販売された日から3年
を経過していたことが明らかである。
したがって,被告の行為(前提事実(3))は,法19条1項5号イに該当す
る。
2結論
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理
由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法6
1条を適用して,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官山田陽三
裁判官達野ゆき
裁判官西田昌吾
別紙
被告商品形態目録
被告商品は卓上用の小物入れであって,添付の別紙被告製品形態図のとおりのも
のであり,以下の形態からなるものである。
ア全体の構成
①円形の底面と逆円錐状壁面からなる植木鉢状の形態である。
②正面視において,逆円錐状壁面上端部の左端と右端に各1個ずつの取手が配
設されている。
③逆円錐状壁面には多数の小孔が配設されている。
イ上開口部
①上面には蓋が配設されておらず,楕円形の開口部が看取される。
②正面視において,両端部間の長さは略112㎜であり,正面視において奥行
き長さは略105㎜である。
③正面視において両端部に各1個の取手が配設されている。
ウ逆円錐状壁面
①壁面上部と下部に一定幅を残して円状の小孔が配設されている。
②小孔は横方向に32列,縦方向に7列,碁盤目状に配設されている。ただし,
正面中央上部に位置する縦4列横2列に囲まれる部分に小孔は配設されておら
ずシール貼付部となっている。
③正面視及び背面視において,逆円錐状壁面上端縁は左右上端点から壁面中央
部に向けてゆるやかな曲線状となっている。逆円錐状壁の正面中央部及び背面
中央部の高さは略87.2㎜であり,両端部の高さは略93.5㎜である。
④相互に近接する4個の小孔間の壁面部は略四角形である。
エ小孔
①小孔は壁面外面から内面に向かってその直径が小さくなっている。
②小孔同士の水平方向の間隔は同列においては均一であり,最上段から最下段
に向けて徐々に狭められている。最上段の水平方向の間隔は5.2㎜であり,最
下段の水平方向の間隔は3.9㎜である。また,小孔の垂直方向の間隔はそれぞ
れ均一4.5㎜であって,小孔の直径4㎜より僅かながら広い。
③小孔の総数は216個である。
オ取手
①正面視において逆円錐状壁両端上部に各1個ずつ取手が配設されている。
②取手は側面視において,底辺が略75.4㎜,高さが略21.4㎜で逆円錐状
壁に一体として中空の山状に形成された帯状から成っている。
カ底面
①底面は平面状の真円形をなしており,真円内部には同心円状の突起帯が2つ
配設されている。
②内側突起帯の直径は略30㎜,外側突起帯の直径の略1/2となっている。
キ特質
バスケットは軟質ポリエチレン製であることから,自由に変形し可逆性のある
柔軟な性質をもっている。
以上
別紙
原告商品形態目録
原告商品は卓上用の小物入れであって,添付の別紙原告製品形態図のとおりのも
のであり,以下の形態からなるものである。
ア全体の構成
①円形の底面と逆円錐状壁面からなる植木鉢状の形態である。
②正面視において,逆円錐状壁面上端部の左端と右端に各1個ずつの取手が配
設されている。
③逆円錐状壁面には多数の小孔が配設されている。
イ上開口部
①上面には蓋が配設されておらず,楕円形の開口部が看取される。
②正面視において,両端部間の長さは略111.4㎜であり,正面視において奥
行き長さは略104.5㎜である。
③正面視において両端部に各1個の取手が配設されている。
ウ逆円錐状壁面
①壁面上部と下部に一定幅を残して円状の小孔が配設されている。
②小孔は横方向に32列,縦方向に7列,碁盤目状に配設されている。ただし,
正面中央上部に位置する縦4列横2列に囲まれる部分に小孔は配設されておら
ずシール貼付部となっている。
③正面視及び背面視において,逆円錐状壁面上端縁は左右上端点から壁面中央
部に向けてゆるやかな曲線状となっている。逆円錐状壁の正面中央部及び背面
中央部の高さは略85.8㎜であり,両端部の高さは略93㎜である。
④相互に近接する4個の小孔間の壁面部は略四角形である。
エ小孔
①小孔は壁面外面から内面に向かってその直径が小さくなっている。
②小孔同士の水平方向の間隔は同列においては均一であり,最上段から最下段
に向けて徐々に狭められている。最上段の水平方向の間隔は略5.3㎜であり,
最下段の水平方向の間隔は略4.1㎜である。また,小孔の垂直方向の間隔はそ
れぞれ均一(略4.3㎜)であって,小孔の直径4㎜より僅かながら広い。
③小孔の総数は216個である。
オ取手
①正面視において逆円錐状壁両端上部に各1個ずつ取手が配設されている。
②取手は側面視において,底辺略75㎜が,高さが略21.2㎜で逆円錐状壁に
一体として中空の山状に形成された帯状から成っている。
カ底面
①底面は平面状の真円形をなしており,真円内部には同心円状の突起帯が2つ
配設されている。
②内側突起帯の直径は略30㎜,外側突起帯の直径の略1/2となっている。
キ特質
バスケットは軟質ポリエチレン製であることから,自由に変形し可逆性のある
柔軟な性質をもっている。
以上

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学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
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71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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