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              主       文
被告人Aを懲役1年6月に,被告人Bを懲役1年に,被告人Cを懲役10月
に,それぞれ処する。
被告人3名に対し,未決勾留日数中各20日を,それぞれその刑に算入す
る。
被告人3名に対し,この裁判の確定した日から各3年間,それぞれその刑
の執行を猶予する。
被告人Aから,押収してあるゴルフクラブセット1セット(平成14年押第23号
符号1),ゴルフバッグ1個(同押号符号2),ジャンパー1着(同押号符号
3),ポロシャツ3着(同押号符号4ないし6)及びゴルフシューズ1足(同押号
符号7)を没収する。
被告人Aから金74万5500円を,被告人Cから金9万3534円を,それぞ
れ追徴する。
              理       由
(罪となるべき事実)
 被告人Aは,青森県道路公社の職員であり,平成6年4月1日から平成12年3月31
日までの間,同公社総務部業務課主幹として,上司の命を受け,有料道路等の業務運
営並びに入札の執行及び契約に関する事務等を掌理する職務に従事し,平成12年4
月1日から平成14年3月31日までの間,同公社業務経理課課長補佐として,同公社発
注工事の請負及び委託の契約並びに有料道路の業務運営等の事務を整理する職務に
従事するとともに,同公社D中央大橋有料道路管理事務所長及びD空港有料道路管理
事務所長を兼務し,上司の命を受け,各種委託業務の管理事務等を掌理する職務に従
事していたもの,被告人Bは,有料道路の維持及び料金徴収業務の受託等を業とする
E株式会社の代表取締役として,同会社の業務全般を統括していたもの,被告人Cは,
事務機器,オフィス家具及び事務用品の販売等を業とする有限会社Fの専務取締役と
して,同会社の営業に従事していたものであるが,
第1 被告人Aは,被告人Bから,
 1  青森県道路公社発注に係るD中央大橋有料道路及びD空港有料道路の料金徴
収業務委託の指名競争入札及び同業務委託の指導監督等に有利便宜な取り計ら
いを受けたい等の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,平成10年
4月15日,青森市a町b丁目c番d号所在の株式会社D銀行a町支店に開設された
有限会社F代表取締役G名義の普通預金口座に10万7604円の振込送金を受
け,
 2  青森県道路公社発注に係るD中央大橋有料道路及びD空港有料道路の料金徴
収業務委託の指名競争入札及び同業務委託の指導監督等に有利便宜な取り計ら
いを受けたことに対する謝礼並びに平成11年度においても同様の有利便宜な取り
計らいを受けたい等の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,平成1
1年3月29日,前記口座に16万356円の振込送金を受け,
 3  青森県道路公社発注に係るD中央大橋有料道路及びD空港有料道路の料金徴
収業務委託の指名競争入札及び同業務委託の指導監督等に有利便宜な取り計ら
いを受けたことに対する謝礼並びに平成13年度においても同様の有利便宜な取り
計らいを受けたい等の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,
(1) 平成13年2月28日,前記口座に16万2330円の振込送金を受け,
(2) 同年3月8日,前記口座に12万6210円の振込送金を受け,
(3) 同月9日ころ,青森市e町f番g号所在の青森社会保険センター駐車場に
おいて,ジャンパー1着及びポロシャツ3着(時価合計5万8900円相当)の
供与を受け,
 4 青森県道路公社発注に係るD中央大橋有料道路及びD空港有料道路の料金徴収
業務委託の指名競争入札及び同業務委託の指導監督等に有利便宜な取り計らい
を受けたことに対する謝礼並びに平成14年度においても同様の有利便宜な取り
計らいを受けたい等の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,
(1) 平成14年2月15日,前記口座に9万4857円の振込送金を受け,
(2) 同年3月15日,前記口座に10万1850円の振込送金を受け,
  (3) 同年4月8日ころ,同市hi丁目j番k号所在の被告人B方前路上において,ゴ
ルフバッグ1個及びゴルフシューズ1足(時価合計4万3100円相当)の供与を
受け,
(4) 同月15日,前記口座に8万5827円の振込送金を受け,
(5) 同月18日ころ,前記B方前路上において,ゴルフクラブセット1セット(時価1
8万1600円相当)の供与を受け,
 もって,自己の前記職務に関して賄賂を収受し,
第2 被告人Bは,被告人Aに対し,
1 第1の3記載の趣旨のもとに,
(1) 平成13年2月28日,第1の1記載の普通預金口座に16万2330円を振込
送金し,
(2) 同年3月8日,前記口座に12万6210円を振込送金し,
(3) 第1の3の(3)記載の日時場所において,ジャンパー1着及びポロシャツ3着
(時価合計5万8900円相当)を供与し,
2 第1の4記載の趣旨のもとに,
(1) 平成14年2月15日,前記口座に9万4857円を振込送金し,
(2) 同年3月15日,前記口座に10万1850円を振込送金し,
(3) 第1の4の(3)記載の日時場所において,ゴルフバッグ1個及びゴルフシュー
ズ1足(時価合計4万3100円相当)を供与し,
(4) 同月15日,前記口座に8万5827円を振込送金し,
(5) 第1の4の(5)記載の日時場所において,ゴルフクラブセット1セット(時価18
万1600円相当)を供与し,
 もって,被告人Aの前記職務に関して賄賂を供与し,
第3 被告人Cは,被告人Aから,有限会社FからE株式会社あてに架空の請求書を発
行し,同会社から同請求書に従って第1の1記載の普通預金口座に入金された金
員を管理することなどを依頼され,同金員が被告人Bから被告人Aに対して,
1  第1の1記載の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながらこれを了承
し,平成10年3月下旬ころ,青森市lm丁目n番地o所在のE株式会社において,被
告人Bに対し,有限会社FからE株式会社あての請求金額10万8024円の架空の
請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の1記載の犯行を容易にさせ,
 2  第1の2記載の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながらこれを了承
し,平成11年3月中旬ころ,同所において,被告人Bに対し,請求金額16万776
円の前同様の請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の2記載の犯行を容易
にさせ,
 3  第1の3記載の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながらこれを了承
し,
  (1) 平成13年2月中旬ころ,青森市lm丁目n番o号所在のE株式会社において,
被告人Bに対し,請求金額16万2750円の前同様の請求書を交付するなどし
て,被告人Aの第1の3の(1)記載の犯行を容易にさせ,
  (2) 同月下旬ころ,同所において,被告人Bに対し,請求金額12万6630円の前
同様の請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の3の(2)記載の犯行を容
易にさせ,
 4  第1の4記載の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながらこれを了承
し,
  (1) 平成14年1月下旬ころ,同所において,被告人Bに対し,請求金額9万527
7円の前同様の請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の4の(1)記載の
犯行を容易にさせ,
  (2) 同年2月下旬ころ,同所において,被告人Bに対し,請求金額10万2270円
の前同様の請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の4の(2)記載の犯行
を容易にさせ,
  (3) 同年3月下旬ころ,同所において,被告人Bに対し,請求金額8万6352円の
前同様の請求書を交付するなどして,被告人Aの第1の4の(4)記載の犯行を
容易にさせ,
 もって,被告人Aの前記各犯行を幇助し
たものである。
(証拠の標目)
 省 略
(量刑の理由)
1  本件は,青森県道路公社の総務部総括主幹ないし業務経理課課長補佐の地位に
あった被告人Aが,同公社の発注する有料道路の維持及び料金徴収業務の委託等
の競争入札等を巡り,同業務の受託等を業とする会社の代表取締役であった被告人
Bに要求して,同被告人から,3年度間に,複数回にわたり,合計83万9034円の金
員(但し,平成10年度分及び平成11年度分の合計26万7960円の贈賄につき公訴
時効成立)及びゴルフクラブセット1セット外6点の物品(価格合計約28万3600円相
当)を賄賂として収受し,また,従前から公社に文房具等を納入し,被告人Aと親密に
交際していた被告人Cが,被告人Bの経営する前記会社に,架空の請求書を送付し,
被告人Aのために設けた被告人Cの勤務先会社名義の銀行口座に現金を振り込ま
せるなどして,被告人Aの賄賂の収受を容易にした事案である。
2  本件犯行について,被告人Aは,当公判廷において,自分から要求して賄賂を受け
取ったものとは認識していない旨供述する。しかし,被告人Aは,被告人Bと付き合い
始めた当初から,賄賂をもらいたいという気持ちを抱いていたこと,被告人Bは,被告
人Aから,「課長はいるが,借りものだから。自分が切り盛りする立場にあり,力を持っ
ているんだから,わさ任せておけば悪いようにしないから」「会社は,公社からの委託
料で,随分儲けているんだべ。なんぼか,面倒みてくれないか」などと言われて賄賂を
要求されていたこと,本件賄賂の収受に際し,被告人Aと癒着していた業者である被
告人Cを介在させたのは,被告人Aの指示によるものであること,被告人Aも,当公判
廷において,自己の言動が賄賂を要求しているように見えかねないものであった旨自
認していることに照らすと,本件賄賂は被告人Aからの要求により授受されるようにな
ったものと認めるのが相当である。
3  このように,被告人Aは,公社発注の業務に依存する業者に対し,自己の優越する
地位を濫用して賄賂を要求し,長期間,多数回にわたってこれを収受し続けたもの
で,その犯行動機に酌量の余地はない。被告人Aは,公正かつ廉直さが求められる
みなし公務員の立場にありながら,実際にも,賄賂の見返りとして,被告人Bに対し,
本来秘匿すべき業務委託価格を内報したり,同被告人の経営する会社が継続的に
公社の受託業務を受注できるよう,他社の参入を阻むための方策を講ずるなど多大
な便宜を図っており,公社職務の適正な運営を歪めたこと甚だしい。また,その賄賂
収受の態様も,既に癒着関係にあった他の公社出入りの業者を介在させ,巧妙に犯
行を隠蔽していたもので,甚だ悪質である。
   被告人Bは,その経営する会社の業務が公社の発注する業務に依存しているとは
いえ,青森県が出資している公社から継続的かつ独占的に,しかも有利な条件で業
務を受託して不当に利益を貪ろうと,本来なすべき企業努力の代わりに公社職員に
賄賂を贈り,その対価として,業務委託価格の内報を受け,委託料を増額してもらい,
他社の参入を阻んでもらうなど多大な便宜を受けたものであり,企業人としての規範
意識が欠如していると言わざるを得ない。
   被告人Cは,自らの営業成績を上げ,マージンを得られることなどから進んで本件
贈収賄に荷担したもので,その動機に酌むべき余地はない。被告人Cの本件贈収賄
に関する役割は,従属的なものに過ぎないが,被告人Cは,本件犯行に関与するよう
被告人Aから依頼されても何ら逡巡することなく,かえって,将来において,被告人A
から不正な利益の見返りを受けられるのではないかと期待して本件犯行を幇助したも
のであり,犯情悪質と言わなければならない。
   被告人3名は,青森県土地開発公社及び青森県住宅供給公社職員による犯罪が
続き,同県の公社職全般について,一段と公正で廉潔な職務の遂行が期待されてい
た最中にあって,敢えて,公共性の高い公社の職務の公正及び廉潔性を損なうことこ
のうえない贈収賄を継続的に行っていたものであって,被告人らの犯行は,公社職員
の職務の公正さを汚し,その職務に対する青森県民の信頼を害し,ひいては,公社の
業務そのものに対する信頼を著しく失墜させるもので,本件が新聞等により広く報道
されていることに照らすと,社会的影響も軽視できないものがあり,いずれの被告人も
厳しい非難を免れ得ず,厳正な処罰をもって臨む必要がある。
4  他方,本件賄賂の総額は,必ずしも,著しく多額であるとは言えないこと,被告人3
名は,本件犯行が露見していずれも従前の職を追われ,殊に被告人Aは,当然のこと
とは言え,懲戒免職処分を受けて退職金の支給も受けられなくなったこと,被告人A
及び同Cには前科前歴が全くないこと,被告人Bにあっても,20年以上前に軽犯罪法
違反の前科1犯があるに過ぎないこと,被告人A及び同Bは,それぞれ金50万円を
贖罪寄付していること,被告人3名とも,本件各犯行を深く反省し,二度と同じ過ちを
繰り返さない旨誓約していること,被告人B及び同Cについてはその妻が,被告人A
についてはその内妻が,今後再犯に及ばないように監督していく旨約束していること
など,被告人3名のために酌むべき事情も認められる。
5  そこで,これらの諸事情を総合考慮して,被告人3名に対し,主文掲記の各刑を科
したうえ,今回は,いずれの被告人についても,その懲役刑の執行を猶予し,社会内
で自力更生する機会を与えることとする。
  (求刑 被告人Aに対し,懲役1年6月,ゴルフクラブセット1セット,ゴルフバッグ1個,ジ
ャンパー1着,ポロシャツ3着及びゴルフシューズ1足の没収,追徴74万5500円,被告
人Bに対し懲役1年,被告人Cに対し,懲役10月,追徴9万3534円)。
よって,主文のとおり判決する。
青森地方裁判所刑事部
裁判長裁判官 山 内 昭 善
裁判官 結 城 剛 行
                裁判官 吉 田 静 香

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