弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士塩坂雄策、同渡辺幸吉の上告理由第一点について。
 所論は、借地権の侵害行為と借地権者がその借地上に新に建物を建てて営業を営
むことによりうべかりし利益の喪失による損害との間には相当因果関係がないとい
うけれども、かような損害は民法四一六条一項にいわゆる通常生ずべき損害とはい
えないとしても、同条二項にいわゆる特別事情による損害たりえないものではない。
そして原判決に判示損害を同条二項の要件を充たしたものと認めたこと明らかであ
るから、従つてまた、当然、右は損害と侵害との間に相当因果関係あるものと認め
たものというべきである。されば原判決には相当因果関係を必要とする従来の判例
と相反するところなく、その判断はもとより正当であつて、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判決が昭和二七年一月一日以降本件土地明渡済まで一ヶ月五千円の損害賠償を
命じたのは、右の時以降原審口頭弁論終結の時までの間に上告人が本件土地を明け
渡さないことにより被上告人が現実に右金額の損失を被り、また将来に亘つても土
地明渡の時までは同額の損失を被るものと認めたからに外ならないのであつて、決
して損害の発生を漠然と仮定したものではない。被上告人がまだ本件土地に建築を
せず海産物商をしていないからといつてこれをしたならばうべかりし利益の喪失に
よる損害は仮定のもの、現実にありえないものであるということはできない。また、
特定人が特定の土地に店舗を建てて特定の時期の間海産物商を営んだならばうべか
りし利益は本人が過去においてその営業の実蹟を有しなくてもこれを判断しえない
ものではない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 (1) 所論は、損害額算定の基礎たる事実について具体的主張がなく、また原
判決がその基礎とした事実は極めて漠然としているから、その損害額の算定は違法
であるというけれども、記録によれば、被上告人は、本件土地に店舗を建設してそ
こで海産物商を営むことによりうべかりし利益を喪失した旨主張し、そして右海産
物商とは「北海道産の海産物を北海道の生産者から直接仕入れ、内地産の海産物は
D魚市場で仕入れ、従業員は壮年男一人女二人及び老年の女一人の家族四人が当り、
小僧等は必要があれば雇入れる」という程度の規模のものであることをも主張して
いるのであるから、以上の事実を基礎として通常の場合に予想せられるべき営業利
益を算定することは不可能ではない。そして原審は鑑定の結果を採用して原判示の
とおりこれを算定したのであつて、その基礎事実の主張並にその事実の確定が右の
程度に止まるからといつて、これに基く右営業利益の算定が架空無根拠の違法なも
のであるということはできない。
 (2) 次に所論は、営業は必ず利益があるとはいえないというけれども、人は
営業によつて利益をあげうるのを通例とするから被上告人も利益をあげえたであろ
うと推定するのが条理にかなうのであつて、損失を招くこともありうるということ
だけから右推定を覆えすことはできない。原判決が、被上告人が利益をあげること
ができなかつたであろうと推測されるような特別事情があるなら上告人においてこ
れを主張立証すべきであるとしたのは相当である。
 (3) 更に、所論は損害発生の立証責任の原則違反をいうが、損害の発生はも
とより損害賠償請求者において立証すべきであるが、しかしすでに一定の損害の発
生が経験則上推定される場合には、その推定を覆えそうする者において反証を挙げ
るべきは当然であるから原判決には所論のような違法はない。
 (4) なお、所論は、原判決の採用した鑑定は被上告人の主張しない事実を勝
手に憶測仮定してなされたものであるから証拠として無効であると主張するが、鑑
定は事柄によつては当事者の知らない、若くは、主張しない事実を勘酌し、また、
不合理でない仮定や推測によつてすることを許される性質のものであるから、右の
ことだけで証拠とすることを許されなくなるものではない。原審が所論の鑑定を採
用したことには何ら違法の点はない。論旨引用の判例は事案を異にし本件に適切で
ない。
 同第四点について。
 記録によれば、原判示海産物商の規模、条件等については第三点(1)に説示し
たとおりの主張があつた(その内、仕入先、従業員等に関する事実は被上告人が鑑
定申請書中の鑑定事項を口頭弁論で陳述している)のであるから、原判決には所論
のような違法はない。
 同第五点について。
 所論の原判示は十分首肯することができる。所論鑑定の結果によれば営業利益月
額一万六千円強というのであるからこれから土地賃料額を差し引いても優に原判決
認定の月額五千円を超えることは明らかである。所論は採用できない。
 同第六点について。
 原判決には所論の主張について摘示がなく、この主張に対する判断を明示してい
ないこと所論のとおりであるが、第一審判決は所論主張事実と相容れない事実を確
定しているところ、原判決は右第一審判決理由をそのまま引用しているのであるか
ら、結局原判決は所論主張事実を認定しなかつた趣旨であると解せられる。論旨は
採用するに足りない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
 裁判官本村善太郎は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    垂   水   克   己

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛