弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主       文
被告人を懲役9年に処する。
未決勾留日数中150日をその刑に算入する。
              理       由
(犯罪事実)
 被告人は,借金苦から自殺しようと考え,その道連れに実兄であるA(当時69歳。)を
殺害しようと決意し,平成14年8月9日午後9時30分ころ,青森県西津軽郡a村大字b
字cde番地fのA方居間において,就寝していたAの頚部にビニール紐を巻き付けたう
え,その両端を両手で強く引っ張って締め付け,そのころ,同所において,Aを絞頚によ
る窒息により死亡させて,殺害した。
(証拠)
括弧内の番号は,証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。
1 被告人の
 (1) 公判供述
 (2) 検察官調書(乙15)
(3) 警察官調書3通(乙2,9,13)
2 捜査報告書(甲18)
3 実況見分調書3通(甲6,16,92)
4 解剖報告書(甲5)
5 検視調書(甲3)
6 戸籍謄本(甲1)
7 ビニール紐1本(太さ0.5㎝,長さ310㎝,血液様物付着のもの。平成14年領第21
6号符号2。甲9)
(法令の適用)
罰 条          刑法199条
刑種の選択        有期懲役刑
未決勾留日数の算入    刑法21条
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
本件は,多額の借金を抱えた被告人が,仕事を辞めざるを得なくなり,借金返済の目
途が立たなくなったことから,将来を悲観して自殺しようと考え,その道連れとして実兄で
ある被害者を殺害したという事案である。
 就寝中で,抵抗のできない被害者の首をビニール紐で強く絞めて殺害した犯行態様
は,残虐というほかなく,何よりも人の生命を奪ったという結果は,極めて重大で,悲惨と
いうほかない。心臓に持病を持ちながらも,日常生活に支障はなく,穏やかな生活を送
っていた被害者にとってみれば,数少ない身内である実妹の被告人によって殺害された
のであり,無念極まりないと思われる。
 ところで,被告人は,1人で自殺すると,消費者金融会社からの過酷な取立てが被害
者に対して行われるのではないかとか,被害者が必要な助力を与えなかったから被告
人が自殺したなどと被害者が周囲の者から責め立てられるのではないかと思い込み,
被害者1人を残してはいけないなどと考え,被害者を殺して自殺しようと本件犯行に及
んだものである。しかし,被告人は,適切な解決方法を見出すための努力をすることもな
く,借金の状況や無職になった経緯を被害者に打ち明けて相談したりすることもないま
ま,極めて安易に自殺を決意して本件犯行に及んでいるのであって,被告人が借金返
済に苦慮し,負債整理に係る知識が不十分であったことをいかに考慮しても,本件犯行
は,あまりにも身勝手で短絡的に過ぎると言わざるを得ず,被告人に対する厳しい非難
は免れない。
 また,被告人が消費者金融会社などから500万円に上る多額の借金を抱え込んだ原
因は,その歪んだ金銭感覚にあるのであり,借金については,被告人にとって酌むべき
事情として,考慮すべきではない。
 さらに,被告人は,昭和56年にも,本件と同じように,自殺の道連れに実の子どもを殺
害し,懲役刑に処せられた前科も有している。
 以上から,犯情は甚だ芳しくなく,被告人の刑事責任は,極めて重大である。
そうすると,被告人が,直ちに自首したこと,実兄である被害者を失ったことによる精神
的打撃を受けているであろうこと,公判廷において反省の態度を示したこと,59歳という
高齢であることなど,被告人のために酌むべき事情をいかに考慮しても主文の刑をもっ
て臨むほかない。
よって,主文のとおり,判決する。
(求刑 懲役12年)
 平成15年2月24日
    青森地方裁判所弘前支部
      裁判長裁判官 土  田  昭  彦
   裁判官佐  藤  哲  治
          裁判官  山  城     司 

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