弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人大竹武七郎上告趣意は末尾に添付した別紙書面記載の通りである。
 第一点について。
 論旨は多岐にわたつているから順を追うて説明する(一)記録を調べて見るに被
告人等は必ずしも原判決事実摘示と同趣旨の供述をしていない点があることは所論
の通りである。しかし被告人等は何れも原審において、起訴にかかる強姦の事実に
ついては結局判示同趣旨の供述をしているのであるから、犯意成立の時期其他状況
については、所論の如く不一致の点があるとしても、原判決挙示の証拠を綜合して
判断すれば、判示事実を認定し得るものであるから、所論のような瑕疵があつても、
判決に影響を及ぼさないと認められる従つて破棄の理由とならない。(二)記録に
徴するに原審裁判長が所論のように予断を抱いて取調べたとは認められないばかり
でなく、被告人の供述は要領を得ないものであるとはいえないから、これを証拠と
することは何等の差支もない。(三)所論の聴取書に、所論のように、職印や庁印
が押されていたとしても、右聴取書は同聴取書記載の日時場所以外において作成さ
れたものと解しなければならない理由はないし、聴取書に供述者の契印をほどこさ
なければならない規定はどこにもないから証拠能力がないとはいえない。(四)本
件強姦は、被告人両名の共謀行為であることは原判決挙示の証拠によつて認めるこ
とができる。さすれば、本件致傷の結果については、両名の内何れがこれを与えた
か明確でなくとも、所謂結果的加重犯である強姦致傷罪においては、被告人両名は
等しく共同正犯として其責を負わなければならない。以上説明したように論旨は何
れも理由がない。
 第二点について。
 被告人の年齢を被告人の自供によつて認定しても何等差支はない。記録を調べて
見るに、第一審において為した被告人Aの学業成績、性行等の照会に対する居村小
学校長の回答書にも、同被告人の生年月日を昭和五年三月三日と記載してある、従
つて原判決はこれ等の資料によつて、被告人の年齢を確定したものと推認し得るし、
其認定に誤りがあるとは認められない、そして被告人の年齢については、証拠によ
つて確定した理由を判示する必要はないから、原判決には所論のような違法はない。
 よつて旧刑訴法第四四六条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二五年六月六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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