弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 末綴、弁護人和島岩吉同棚野誠幸上告趣意書の論旨を要約すると、前段は、刑訴
応急措置法第一二条第一項は憲法第三七条第二項違反なりと言うのであり、後段は、
被告人の供述中利益不利益の供述ある場合、不利益の供述のみを採つて断罪の資に
供することはできないと謂うのである。
 論旨前段について。
 所論憲法第三七条第二項は、「刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機
会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利
を有する。」と規定しているのであつて、裁判所の職権喚問の場合を除き、訴訟当
事者の請求しない証人を喚問し審問の機会を与うる趣旨のものでないことは明瞭と
謂わねばならぬ。次に所論刑訴応急措置法第一二条第一項本文は、被告人から請求
があるときは、裁判所はその書類の供述者又は作成者を公判期日に喚問し、被告人
に之が訊問の機会を与えなければ、裁判所はその書類を証拠とすることができない
と規定しているのであつて、従つて反面に於いて、被告人の右請求がないときは、
裁判所はその書類をその儘証拠とすることができることの趣旨であることは極めて
明白な所である。而して本件は弁護人から一旦証人の喚問を請求したが、その後請
求を抛棄したのであるから、抛棄以後は始めから請求のなかつた場合と同一に見て
差し支えないものと謂わねばならぬ。而して以上立法理由を按ずるに、被告人は必
要と認むれば無条件で右請求権を行使することができ、殊に所論憲法第三七条第二
項の規定に依つて公費且つ強制手続に依つても之が請求権を維持行使することがで
きるのに、之を行使しないのは、即ち被告人はその必要を認めない(本件の如く抛
棄した場合はその後必要を認めざるに至つた)ものと解すべきであるから、此場合
は裁判所がその儘これを証拠に採つても、何等被告人の権利を害するものでないと
の見地に立つておるものであることは疑いを容れない所であろう。然らば既に喚問
され、又は喚問を必要とされる証人の場合であることを対象とする憲法第三七条第
二項と右刑訴応急措置法第一二条第一項とは、這問何等の杆格を生ずる法条ではな
いのである。所論は畢竟独自の見解に立つて憲法を解釈し延いて右措置法の条項を
違憲なりと主張するものであつて、論旨は到底採用することができない。
 論旨後段について。
 荀くも被告人の供述は証拠方法の一種たる以上、その供述中或時は犯罪事実を認
め或時は否認している場合、その何れを措信して之を証拠に採るかは、裁判所の自
由なる判断に任ずることは刑訴第三三七条の明定する所である。論旨は全く理由が
ない。
 以上の次第であるから、刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官栗山茂を除く裁判官全員一致の意見に依るものである。
 裁判官栗山茂の論旨前段に関する反対意見は、昭和二三年(れ)第一六七号同年
七月十九日宣告最高裁判所大法廷判決に掲げた通りである。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二十三年七月二十九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 次 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
 裁判官小谷勝重は差支につき署名捺印することが出来ない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

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