弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主      文
被告人両名をそれぞれ無期懲役に処する。
被告人両名に対し,未決勾留日数中各230日をそれぞれその刑に算入
する。
理      由
(犯行に至る経緯等)
 被告人Aは,昭和47年3月ころ,新潟市立中学校を卒業した後,職業訓練校を修了し,
新潟市内の鉄工所に勤めたが,半年ほどで辞め,その後しばらくは家業の農業を手伝い,
同市内の石材店の従業員等として稼働した後,新潟県岩船郡内でトラックの運転手,パチ
ンコ店店員等として稼働していたが,昭和56年ころ,パチンコ店で顔見知りとなった暴力団
C組の幹部から誘われて,暴力団組員として活動するようになった。そして,被告人Aは,
平成7年10月ころ,当時の妻の交際相手に対する傷害罪等の事件を惹起して有罪判決を
受けて服役し,平成12年8月ころ,刑務所を出所して同組に戻ったが,同組構成員等が代
替わりしたりして居心地が悪いため,その後,兄貴分と縁があった同会D組幹部Eに身の
振り方を相談した結果,同組組長の若衆となり,さらに,平成13年3月ころ,上記Aと養子
縁組をしてA姓に改姓し,しばらくは同人方に身を寄せていたが,その間,暴力団関係者か
ら多額の借金をし,その返済の目途が立たないでいた。そのうち,被告人Aは,この暴力団
組員らからの借金の督促等から逃れて潜伏する場所を探すうち,かつての遊び仲間であ
ったFに連絡して相談したところ,同人から遊び仲間であったGが独り暮らしをしていること
などを話された上,同人方に身を隠してはどうかと言われたため,平成13年5月ころ,Gに
対し,その旨依頼すると,同人も了承したため,そのころから新潟市a所在のG方に身を寄
せることにした。このようにして,被告人Aは,G方での居候生活を始めたが,その後も無為
徒食の生活を続け,その生活全般にわたりGの世話になり,Fとも親しく交際するようにな
ったが,この間にも小遣い銭にも事欠く状態で,Gをはじめとする複数の知人らから借金を
重ねていた。
 被告人Bは,昭和41年3月ころ,同県北蒲原郡内の町立中学校を卒業し,一時高校進
学の予備校に通学した後,同年夏ころ,両親に無断で家出同然に上京し,暴力団組員とな
って活動し,その後実家に戻って一時近くの鉄工所に工員として稼働したり,スナックを経
営していたが,昭和58年5月ころ,覚せい剤取締法違反の罪で有罪判決を受けて服役し,
昭和59年に出所した後,その後も覚せい剤の密売に手を染めるなどして2回にわたり同
罪により有罪判決を受けて服役した。そして,被告人Bは,平成5年1月に出所した後は,
同県長岡市内に住んで債権取立等により生計を立てていたが,平成8年か9年ころ,債権
取立を通じて知り合いになった知人から肩書住居地のアパートを貸してもらい,以後,同室
に居住し,債権取立等をして生活をしていたものの,平成12年ころまではそれなりの収入
があったが,次第に収入が減り,消費者金融会社や知人らから借金を繰り返して急場を凌
ぐという生活を送る一方,服役仲間のFと交際するうち,同人の紹介で,被告人A及びGと
知り合い,しばしば一緒に飲酒をするなどの交遊を重ねていた。
 そうこうするうち,被告人Bは,平成13年末に新潟県でパチンコ店が強盗に襲われ,その
犯人が現金400万円を強取することに成功した事件報道があったことをヒントに,平成
14年1月上旬ころ,Fに対し,パチンコ店を襲って大金を稼ごうと持ちかけ,金銭に困っ
ていたFもこの話に乗り,その際,Fが,被告人Aをその犯行に誘ったことがきっかけで,
当時金銭に困っていた被告人Aも加わり,被告人A及びFの3人でパチンコ店を狙った強
盗をすることになった。その後,被告人両名は,Fと共に同県北蒲原郡b町内や同県村
上市内のパチンコ店を数件下見して回るうち,パチンコ店の警戒が厳重であることなど
が判明したため,パチンコ店を狙うことを断念した。その後,被告人Bが,同月17日こ
ろ,同県三島郡c町内のH方に強盗に入ることを提案したことがきっかけとなり,ナイフ,
ガムテープ,顔面を隠すためのストッキングやマスク,軍手,枝打用の鉈などを予め準
備して,数回にわたり,上記H方に赴き,同人方を下見するなどした後,判示第1の犯行
を敢行するなどしたが,強盗の犯行自体は失敗に終わり,現金を入手することはでき
ず,相変わらず金銭に困っていた。そこで,G方に居候していた被告人Aは,FからGが
大金を持っていると聞き及び,かねてからFらに対し,Gを殺害してその現金等を強取す
ることを持ち掛けていたが,上記H方での犯行が失敗に終わった以降,そのころ,Gを殺
害して現金等を強取しようと考え,同月22日と翌23日の2日にわたり,被告人Bの運転
する普通乗用自動車に同乗して,殺害したGの死体を埋めるのに適した海岸を探した
後,同月23日ころ,被告人Bに対し,同月25日夜,G方に来るよう申し向けた。そして,
被告人Aは,同月25日午後10時前ころ,G方に自動車でやってきた被告人Bと,その
後,同車内で謀議をし,その成り行き次第ではGを殺害するかもしれないことを認識しな
がらも,あえて,同人方に強盗に入ろうと共謀を遂げ,同日午後11時ころ,G方に入り,
判示第2の1の強盗の犯行を敢行し,さらにGを殺害した後,引き続き判示第2の2の犯
行を敢行した上,その翌日,強取したキャッシュカード等を使用してG名義の銀行預金か
ら現金を引き出して窃取するという判示第2の3の犯行を敢行し,さらに,強取したGの
銀行預金通帳やキャッシュカード等を使用し,判示第4の1ないし4の各犯行を敢行し
た。一方,被告人Bは,判示第2の犯行後,FからK方に盗みに入ることを持ち掛けら
れ,Fと共謀を遂げ,判示第3の犯行を敢行した。
(罪となるべき事実)
第1 被告人両名は,Fと共謀の上,平成14年1月21日午前1時30分ころ,強盗の目的
で,新潟県三島郡c町d所在のH方敷地内にブロック塀を乗り越えて侵入した,
第2 被告人両名は,共謀の上,
1 G(当時48歳)から金品を強取すべく,その犯行の成り行き次第では同人を殺害する
かもしれないことを認識しながら,あえて,ガムテープを持った上,同月25日午後11
時ころから同月26日午前2時30分過ぎころまでの間,新潟市a所在の同人方寝室に
おいて,就寝中の同人に対し,被告人Bが両腕でGの顔面及び頭部を押さえ付け,被
告人AがGの両足首を所携のガムテープで緊縛しようとしたものの,同人が激しく抵
抗したため,同人に対し,被告人Bが「おとなしくしろ,声を出すな。」などと申し向け,
さらにこもごも「金を出せ。」などと申し向け,被告人Bが隙を見て逃げ出そうとしたG
の上半身を両手で押さえつけ,被告人AがG方の台所にあった刃体の長さが約23・6
センチメートルの柳刃包丁(平成14年押第21号の2)を持ち出し,同包丁の峰部分
でGの右脛部分を1回殴打し,次いで,同包丁で同人が座らされた付近の畳を数回突
き刺しながら,「俺が包丁持つと,どうなるかわかるだろう。」などと申し向けて脅迫し,
上記ガムテープでその両足首を緊縛し,被告人BがガムテープでGの両手首を緊縛
し,被告人AがGの口にガムテープを貼るなどの暴行を加え,同人の反抗を抑圧した
上,同人所有又は管理にかかる株式会社I銀行発行の預金通帳1通,キャッシュカー
ド1枚及び現金約2万8000円を強取し,さらにキャッシュカードの暗証番号も聞き出
した後,こもごも同人に対し,「こんなもんじゃないはずだ。」などと申し向けて,同人か
らなおも現金等を強取しようとしたものの,同人が「それしかない。」旨返答したところ
から,このまま解放すれば同人が警察に通報することは必至であると思い,ここに至
り,上記犯行が露見することを防ぐためにGを殺害しようと決意し,被告人Aが上記ガ
ムテープをGの鼻口部に貼り付け,被告人BがGの両膝の上に跨り,被告人Aが同室
内にあった革製ベルト(同号の3)をGの背後からその頸部に巻き付けて2回にわたり
強く絞め付け,次いで,被告人両名において,それぞれGの頸部に巻き付けられた上
記ベルトの両端を互いに引っ張ってさらに強く絞め付け,よって,そのころ,同所にお
いて,同人を窒息により死亡させて殺害した,
2 Gの死体を土中に埋めて上記犯跡を隠蔽しようと企て,同人の死体を同人方の上記
寝室において毛布に包んだ上,被告人Bの運転する車両後部座席に積み込み,同人
方から運び出し,同人方から同市e所在の海岸の砂防林まで運搬し,同日午前3時こ
ろから同日午前4時ころまでの間,同所において,深さ約70センチメートルの穴を掘
り,その穴に同人の死体を入れて埋没させ,もって,死体を遺棄した,
3 同日午前9時38分ころ,同市f所在の株式会社I銀行g支店において,被告人Aが上
記キャッシュカードを使用し,同所に設置された現金自動預払機から同支店長J管理
にかかる現金80万円を窃取した,
第3 被告人Bは,上記Fと共謀の上,同年2月2日午前10時30分ころ,金品窃取の目的
で,同市h所在のK方1階玄関脇東側の無施錠のガラス戸から屋内に侵入し,同所に
おいて,同人所有の現金約18万円を窃取した,
第4 被告人Aは,
1 同月4日午前8時58分ころ,新潟県西蒲原郡i町j所在の株式会社I銀行i支店におい
て,上記第2の1の犯行で強取したG名義のキャッシュカードを使用し,同所に設置さ
れた現金自動預払機から同支店長L管理にかかる現金5万円を窃取した,
2 同日午後2時39分ころ,上記支店において,上記キャッシュカードを使用し,上記現
金自動預払機から上記L管理にかかる現金2万8000円を窃取した,
3 Gになりすまして,消費者金融会社従業員を欺いてキャッシングカードを詐取しようと
企て,同日午後6時45分ころ,上記第2の1記載のG方から,大阪府東大阪市k所在
のM株式会社lセンターに電話をかけ,同社従業員Nに対し,自己の氏名をGと名乗
り,「住所は新潟市a,勤務先は季節料理O」などと虚偽の事実を申し向けて,同人を
して,同センター備え付けの端末機にその旨入力させ,これを同機と回線で結ばれて
いる東京都豊島区m所在の同社東京nセンター内の端末機に送信させ,さらに翌同
月5日午前9時39分ころ,新潟市o所在の同社無人受付コーナーpにおいて,行使の
目的を持って,ほしいままに借入限度額50万円と記載されたカードローン契約書の
お名前欄に「G」と冒書し,もって,偽造した他人の署名を使用してG作成名義のカー
ドローン契約書1通(同号の1)を偽造した上,これを真正に成立したもののように装っ
て,G名義の国民健康保険被保険者証及び上記第2の1の犯行で強取したG名義の
キャッシュカードと共に,同所に設置されていた無人契約機に読み取らせ,これを同
機と回線で結ばれている上記東京nセンター内の端末機画面に表示させて行使し,
同センター係員Pらをして,Gによるカードローン契約の申し込みと誤信させ,よって,
同日午前10時ころ,上記無人受付コーナーpにおいて,上記Pから,同契約機を介
し,同社発行にかかるキャッシングカードであるqカード1枚の交付を受け,もって,人
を欺いて財物を交付させた,
4 同日午前10時1分ころ,上記無人受付コーナーpにおいて,上記qカードを使用し,
同所に設置された現金自動預払機から,同社新潟駅前支店長Q管理にかかる現金5
0万円を窃取した
ものである。
(証拠の標目)
 略
(事実認定の補足説明)
1 検察官は,被告人両名は,Gからその所持金等を強取した上,同人を殺害する旨事前
に共謀を遂げて,本件強盗殺人の犯行(以下,「本件犯行」という。)に及んだものであ
り,本件は計画的な強盗殺人の犯行である旨主張し,一方,被告人Bの弁護人は,被
告人Bが,被告人Aと共謀の上,Gに対し,その両手首をガムテープで緊縛するなどして
現金等を強取した上,同人を殺害した事実関係自体は争わないものの,被告人Bは,当
初からGを殺害するつもりはなく,同人を殺害する直前に被告人AとGを殺害する旨の共
謀を遂げて同人を殺害した旨主張するので,以下,その点について検討する。
2 ところで,この点に関し,被告人両名は,いずれも公判段階において,Gに対する強盗
を認めていた捜査段階における供述を翻し,本件犯行当夜,被告人Bが運転してきた自
動車の車内で話し合った末,Gから金を借りることにして同人方に赴いた旨供述する
が,午後11時ころという深夜に,借金を申し込む相手であるGの都合などを考えず,突
然訪問し,また,被告人Bも,そのような被告人Aの借金の申込に同行したというのであ
って,そのような行動自体常軌を逸している。とりわけ,被告人両名は,Gから借金を拒
絶された場合の対応等についてはいずれも語るところがなく,本件犯行の際には,被告
人両名は,目を覚ましたGをいきなり押さえ付け,その後も暴れて抵抗する同人を押さえ
付け,被告人Aにおいては柳刃包丁の峰部分で同人の右脛を強打しており,借金を申し
込む者の態度としては不合理極まりない。また,被告人両名は,当初からGを殺害する
意思を有していたことを否定し,同人を殺害したのは,同人から現金と預金通帳を強取
し,同人がもはや警察に通報することは必至の状態に至ったため,その場の成り行きで
決意したに過ぎない旨供述するが,被告人Aについてはその居候先で,また,被告人B
については顔見知りの知人であるG方において強盗に及べば,その犯行後,同人が警
察に通報し,その結果,被告人両名に捜査の手が及ぶということは当初から十分予測
することが可能な当然の事態というべきであり,その犯行に着手後に至って初めてGが
警察に通報することを危惧し,その時点で初めてGの殺害を決意したということ自体極
めて不自然であり,上記の被告人両名の公判供述は到底信用できない。
3 かえって,関係証拠によれば,被告人Aは,G方に居候を始めた平成13年5,6月ころ
から,FからGが大金を持っているとの話を聞き付け,Fに対し,Gを殺害し,その大金を
強奪することなどを話し,被告人BやFをその犯行に誘っていること,その後,被告人A
は,同年12月から翌平成14年1月中旬ころにかけて,共犯者の被告人BやFに対し,
Gを殺害してその現金等を奪う言動をしており,とりわけ,計画した強盗の犯行が次々と
失敗し,判示第1の犯行を敢行したが,その犯行にも失敗し大金を入手する当てがなく
なると,Gを殺害することを被告人BやFに執拗に持ち掛けており,そのころになると,被
告人AのGに対する強盗殺人の計画は相当程度具体性を帯びてきていること,そして,
被告人両名は,同月22日と23日の両日にわたり,被告人Bの運転する自動車に乗車
し,新潟市から新潟県西蒲原郡r町にかけての海岸線沿いにかけて,Gを殺害した後,
その死体を埋めるのに適した場所を探すなどした後,被告人Aは,同月23日,被告人B
に対し,同月24日にG方に来るよう申し向けたが,同被告人がその日は交際している女
性と会う予定があり都合が悪いというので,その翌々日の同月25日夜に同所に来るよ
う申し向けると,同被告人もこれを了承したこと,その後,被告人Aは,本件犯行の前日
である同月24日夜,G方を訪れたFに対しても,Gを殺害して現金等を強奪する犯行に
加わるように持ち掛けたが,Fがこれを拒絶すると,今度は同人に対しその翌日である
同月25日にはG方には来ないようになどと告げていること,さらに,被告人Aは,本件犯
行当日,G方にやってきた被告人Bと共に付近のバス停留所へ赴き,同所に駐車させた
被告人Bの車両内で同被告人に対し,「今日は絶対にGを殺す。追い込みがかかってい
てどうにもならない。Gを殺して埋めてもGには身内もなく,親戚もないので,少なくとも半
年位は周りの者が騒がない。Gを殺して死体を埋めるので,死体の後始末を手伝ってく
れ。」などと言ってGを殺害する旨執拗に述べ,Gを殺害することを渋る被告人Bを強盗
の犯行に加わることを承諾させて,その後,G方に戻る途中の道路端に設置された民家
の作業小屋内から丸形スコップを発見して持ち出し,その後の犯行に同スコップを使用
していること,とりわけ,被告人Aは,被告人BをGに対する犯行に加担させるにあたり,
Gを殺害した後の同人の不在を取り繕う方策などについて,被告人Bに対し,相当程度
具体的に話していることが認められ,これらの事実に照らすと,被告人Aは,Gから所持
金等を強取するに際し,同人を殺害することをも念頭に置いていたものと認められる。そ
して,このことは,被告人Aは,G方に居候してはいるものの,同人に気付かれることなく
その所持するという大金を入手することは困難であり,あくまでも同人の口から現金や
預金通帳のありか,あるいは,キャッシュカードの暗証番号などを聞き出す必要がある
のであって,そうなると被告人らの犯行であることが同人の知るところとなり,同人が警
察に通報して犯行が発覚することは容易に予想し得る事態の展開というべきであって,
これを回避するためには,同人を殺害し,その死体を埋めるなどの罪証隠滅を行う以外
に方法が考えられず,このことは,上記のように被告人Aが本件犯行当日,民家の作業
小屋から丸形スコップを持ち出していることなどによっても裏付けられるというべきであ
る。
  一方,被告人Bも,被告人Aと共にGの死体を埋めて遺棄する場所の下見に参加し,そ
の際,砂防林内へ死体を遺棄することを被告人Aに持ち掛けらると積極的に賛同してい
ること,その上で本件犯行当日にG方に来るようにとの被告人Aの誘いに応じてG方に
来て,被告人Aから上記のようにGに対する強盗の犯行計画を告げられた上,最終的に
強盗について共謀を遂げた結果,上記のとおり,終始被告人Aと行動を共にした挙げ
句,被告人Bとも顔見知りのGを対象として本件犯行に及んでいることに照らすと,被告
人Bにおいても,その当初から,その犯行の成り行き次第ではGを殺害することもやむな
しとの意思で同人方に赴いたものと認めるのが相当である。
4(1) この点に関して,被告人Aは,捜査段階で,Gに対して暴行などを加えた強盗の犯行
の成り行き次第では,同人を死なせることもあり得るから,それに備えて,本件犯行
前の1月23日にGが死んだ場合にその死体を埋める場所を被告人Bと探して下見し
た,本件犯行当日,被告人BだけがG方に車でやってきたので,同車に乗って出掛
け,近くのバス停留所付近で車を停め,その車内において,被告人BとG方で強盗に
及ぶことの相談をし,その帰途,民家の作業小屋で死体を埋めるのに使用する「ケン
スコ」というスコップを窃取したことなどを供述している。上記の被告人Aの供述は,本
件犯行でFの果たした役割等を強調し,虚偽の供述をするなどその信用性を慎重に
判断すべきものではあるが,被告人Aは,捜査段階の当初,被告人Aが単独でGを殺
害したなどと供述し,被告人Bが本件犯行に関与したこと自体を隠匿していたこと,そ
の後,被告人Bと共に本件犯行に及んだ旨供述するに至ったものであり,本件捜査
の初期段階では被告人Bをかばう供述をしていたことが認められ,そのような被告人
Aが被告人Bに対してことさら不利益になる供述をするとは到底解し難いことなどに照
らすと,G方に強盗目的で入り,現金や預金通帳を強取したという供述は不自然なと
ころがなく,本件犯行に至る経緯等の客観的な事実にも符合していて信用できるとい
うべきである。
(2) また,被告人Aは,捜査公判を通じて,Gを最終的に絞殺する直前まで殺意はなか
った,Gを殺害したのは,同人が警察に通報することが必至の状況に至り,本件が被
告人らの犯行であることが発覚することを恐れる余り,その場の成り行きで殺害する
ことになったなどと供述しているが,その供述は上記3の説示したことからは不自然で
あり,到底信用できない。
(3) 一方,被告人Bは,捜査段階において,本件犯行前の1月22日と23日の両日にわ
たり,海岸沿いの砂防林内を被告人Aと共に見て回り,その際,被告人AからGを殺し
た後,埋めるのに適した場所であるなどと言われた際に賛同したこと,本件犯行当
日,自車内で被告人Aと話合いをした際,被告人Aから,「手荒なこと」になるかも知れ
ないなどと言われ,それへの協力を依頼され,これを承諾し,結局のところ強盗の共
謀を遂げた上,Gの寝ている寝室に入る前の段階で,被告人AからGの身体を押さえ
るように言われ,これを承諾したことなどを供述しており,これらの供述は,Gに対し,
暴行脅迫に及んだ時点では全くGに対して殺意はなかったとする点については不自
然で信用できないものの,強盗のため被告人Aに協力しGに対し暴行脅迫を加えてい
ることなどは十分に信用できるものと考えられる。
5 これに対し,被告人Bの弁護人は,被告人Bの検察官(乙42,43)及び司法警察員(乙
33)に対する各供述調書には任意性がない旨主張しているが,被告人Bの公判供述に
よれば,その供述調書作成の経過,取調状況に特段の問題点はないこと,上記各供述
調書は,適宜問答形式も取り入れつつ作成されており,取調官が被告人Aなどの供述と
の食い違いを基にして事実関係を追及,あるいは,確認した際にも,被告人Bの言い分
が記載されていること,また,本件の捜査段階から弁護人が選任され,取調官に対する
供述内容等をその弁護人に告げてその助言を受けていることなどに照らすと,上記の各
供述調書における被告人Bの供述には,その任意性及び信用性とも優に認めることが
できる。
  また,同弁護人は,Gの死体を埋める際に使用したスコップの同一性に疑問があること
などを主張するが,被告人Aの上記スコップを窃取した状況等についての供述は,その
窃取場所,スコップの形状等についても具体的であり,しかも,実際にそのスコップを持
ち出したと供述する場所において同様の形状のスコップがなくなっていることが裏付けら
れており,その信用性が高いと認められ,これに反する被告人Bの供述は到底信用する
ことはできない。
6 以上検討したところによると,検察官は,上記のように被告人両名にはG方に赴く前に,
同人から金品を強取の上,同人を殺害することについての確定的殺意があり,その旨
事前の共謀があった旨主張するが,被告人両名の供述等を検討しても,その証明は十
分ではないと言わざるを得ない。
  結局,本件では,被告人両名は,本件犯行当日,G方に強盗に入る時点で,既に強盗
の犯行の成り行き次第ではGを殺害するかもしれないことを認識しながら,あえて本件
犯行に及んだ,すなわち強盗殺人の殺人の点については未必の殺意で強盗の犯行に
及んだこと,そして,被告人両名は,本件犯行現場において,Gに対し,長時間にわたり
様々な暴行脅迫を加え,現金や預金通帳などを出すように申し向けたものの,それでも
同人が既に強取した以上の現金等のありか等を明らかにしないため,一旦居間に移り,
今後のGへの対応等を協議した後,犯行現場に戻り,Gの顔面にさらにガムテープを貼
り付けるなどした上で,ベルトで同人の頸部を絞めて殺害していることなどに照らすと,
この協議の時点でGに対する確定的殺意を持つに至ったものと認定するのが相当であ
る。
(法令の適用)
1 被告人Aについて
被告人Aの判示第1の所為は刑法60条,130条前段に,判示第2の1の所為は同
法60条,240条後段に,判示第2の2の所為は同法60条,190条に,判示第2の3
の所為は同法60条,235条に,判示第4の1,2及び4の各所為はいずれも同法23
5条に,判示第4の3の所為のうち,有印私文書偽造の点は同法159条1項に,偽造
有印私文書行使の点は同法161条1項(159条1項)に,詐欺の点は同法246条1
項にそれぞれ該当するが,判示第4の3の有印私文書偽造とその行使と詐欺との間
には順次手段結果の関係があるので,同法54条1項後段,10条により1罪として最
も重い詐欺罪の刑(ただし,短期は偽造有印私文書行使罪の刑のそれによる。)で処
断し,各所定刑中判示第1の罪については懲役刑を,判示第2の1の罪については
無期懲役刑をそれぞれ選択し,被告人には前記の前科があるので同法56条1項,5
7条により判示第1,第2の2及び3並びに判示第4の1ないし5の各罪の刑について
それぞれ再犯の加重をし,以上は同法45条前段の併合罪であるが,判示第2の1の
罪について無期懲役刑を選択したので,同法46条2項本文により他の刑を科さない
で被告人Aを無期懲役に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中230日をその
刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して,被告人Aに負
担させないこととする。
2 被告人Bについて
被告人Bの判示第1の所為は刑法60条,130条前段に,判示第2の1の所為は同
法60条,240条後段に,判示第2の2の所為は同法60条,190条に,判示第2の3
の所為は同法60条,235条に,判示第3の所為のうち,住居侵入の点は同法60
条,130条前段に,窃盗の点は同法60条,235条にそれぞれ該当するが,判示第3
の住居侵入と窃盗の間には手段結果の関係があるので,同法54条1項後段,10条
により1罪として重い窃盗罪の刑で処断し,各所定刑中判示第1の罪については懲役
刑を,判示第2の1の罪については無期懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条
前段の併合罪であるが,判示第2の1の罪について無期懲役刑を選択したので,同
法46条2項本文により他の刑を科さないで被告人Bを無期懲役に処し,同法21条を
適用して未決勾留日数中230日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181
条1項ただし書を適用して,被告人Bに負担させないこととする。
(量刑の理由)
 本件は,借金の返済資金や遊興費等に困った被告人両名が,(1)共犯者と共に強盗の犯
行に及ぶ目的で他人の住居に侵入した住居侵入(判示第1の犯行)の,(2)上記のような強
盗の犯行に失敗し,かねて大金を持っていると聞き及んだ被告人Aの居候先の知人(以
下,「本件被害者」という。)から,共謀の上,現金等を強取しようと企て,その際,同人を殺
害するかもしれないことを認識しながら,あえて,同人に暴行脅迫を加えて現金等を強取し
た挙げ句,同人の首を絞めて殺害し,その死体を海岸近くの砂防林に埋めたという強盗殺
人及び死体遺棄(判示第2の1及び2の各犯行)の,(3)上記犯行で強取したキャッシュカー
ドを使用して銀行の現金自動預払機から現金を窃取したという窃盗(判示第2の3の犯行)
の,(4)被告人Bが上記共犯者と共に他人の居宅に侵入して現金を窃取した住居侵入を伴
う窃盗(判示第3の犯行)の,(5)被告人Aが,①上記強取に係るキャッシュカードを使用して
現金自動預払機から現金を窃取した窃盗(判示第4の1の犯行)の,②本件被害者になり
すまし,消費貸借契約書を偽造して消費者金融会社に融資を申し込み,同社発行のキャッ
シングカードを詐取し,引き続き同カードを使用し,融資金名下に同社から現金を窃取した
という有印私文書偽造・同行使,詐欺,窃盗(判示第4の2ないし4の各犯行)の事案であ
る。
 被告人両名は,本件各犯行以前,いずれも定職にも就かず,無為徒食の生活を送るう
ち,借金の返済資金等に困っていたところ,被告人Bが新潟県内のパチンコ店を狙った強
盗事件で,その犯人が400万円を強奪することに成功したことなどが報道されたことがき
っかけで,被告人Aと共犯者に対しパチンコ店から現金を強奪することを提案し,新潟県内
各地のパチンコ店の下見を繰り返してその機会を窺った末にパチンコ店は警戒が厳重なこ
とを知るや,資産のありそうな民家を狙い,判示第1の犯行を敢行したものであり,その犯
行には事前の計画性が認められる上,その動機は,誠に短絡的かつ利欲的であり,酌量
の余地は全くない。被告人らは,強盗に入ることについての謀議を遂げると,その犯行に
使用する覆面用のマスク,軍手,マイナスドライバー,ガムテープなどの犯行用具を事前に
準備し,上記犯行に当たってもこれらの道具を用いて,強盗目的で被害者方敷地内へ侵
入しており,その犯行態様は危険極まりなく悪質である。さらに,被告人らは,金品を求め
て同人方屋内への侵入を果たすべく,上記ドライバーやガムテープなどを用いてガラス窓
をこじ開けようとしたが,犯行が発覚することを恐れる余り犯行を中止しているものの,この
犯行後にも,資産のありそうな民家を複数狙い強盗を計画し下見を繰り返すなどしており,
その犯情は誠に芳しくない。
 そして,被告人両名は,強盗に失敗し,思い通りに大金を入手することができないところ
から,被告人Aが大金を貯め込んでいることを聞き及んでいた本件被害者を対象として現
金を強奪することを言い出したことがきっかけとなり,その強盗の成り行き次第では同人を
殺害することを認識しながら,本件の中心である判示第2の強盗殺人及び死体遺棄の各
犯行に及んだものであり,その犯行が計画的なものである上,その動機は,人命が尊いこ
となどを一顧だにしない専ら金銭を入手することだけを目的とした甚だ利欲的なものであっ
て,酌量の余地は全くない。被告人両名は,予め,本件被害者を殺害した後,その死体を
埋めて遺棄する場所を2日間にわたり探し回るなどした上,その犯行当日,打ち合わせど
おり本件被害者方に車でやって来た被告人Bと同車内で犯行方法等について最終的な謀
議を遂げ,その後,本件被害者方に戻る途中にある近隣の民家の作業小屋からスコップ
を持ち出し,本件被害者方に戻ると,その身体を緊縛するためのガムテープを持って就寝
中の同人の寝室に入り込み,被告人Bが目を覚まして抵抗する本件被害者の身体を押さ
え付け,被告人Aが台所から柳刃包丁を持ち出した上,その峰部分で同人の右脛部分を
強打したり,この包丁を畳に数回突き刺すなどして脅迫し,それに止まらず同人の両手両
足をガムテープで緊縛した上で,約3時間30分という長時間にわたり繰り返し金品を要求
し,同人から現金約2万8000円,銀行預金通帳1通及びキャッシュカード1枚を強取し,そ
の挙げ句,最終的に本件被害者を殺害することを決意し,同人の顔面の鼻口部等にガム
テープを幾重にも貼り付けたりした上,その頸部を革製のベルトで強く絞め付け,被告人両
名でそのベルトを強く引っ張って,同人を窒息死させて殺害したものであり,その一連の犯
行には異常なまでに金銭に執着した利欲性が滲み出ており,その強盗殺人の犯意は非常
に強固であって,犯行方法も極めて大胆かつ残忍であり,犯行態様は悪質極まりない。
 そして,被告人両名は,強盗殺人の犯行後,直ちにその犯跡を隠蔽すべく,本件被害者
の死体を毛布に包み,予め下見した海岸の砂防林内まで被告人Bの自動車で運び,上記
スコップで深さ約70センチメートルほどの穴を掘り,その中に本件被害者の死体を入れ,
その上から砂をかけて遺棄したものであって,その犯行は,自分達の保身や犯跡の隠蔽
のみを考え,殺害された本件被害者のことなど一顧だにしない誠に身勝手なものというほ
かなく,酌量の余地は全く認められず,極めて残忍で悪質な犯行である。しかも,その死体
を遺棄した直後にさらに本件被害者の死体を運搬するのに使用した毛布を付近の漁港の
海中に投棄した上,殺害現場となった同人方屋内を片付けるなどの罪証隠蔽工作を行っ
ており,上記犯行後の犯情も極めて悪質である。
 さらに,被告人両名は,上記犯行後,その犯行で強取したキャッシュカードを使用し,本
件被害者の銀行口座から現金80万円を引き出し窃取する判示第2の3の窃盗の犯行を
敢行しており,これ自体,自分達の犯した罪の重大さを全く自覚していない誠に利欲的な
犯行であり,しかも,被告人両名はその窃取した現金を直ちに40万円づつ山分けし,遊興
費や自己の借金の返済に充てるなどして費消しており,その犯情も誠に芳しくない。
 もとより本件被害者には,このような被害に遭うべき落ち度は何もなく,それどころか,暴
力団関係の債権者から追い込みをかけられた被告人Aを好意から自宅に居候させてや
り,その日常生活の面倒を見た上,所持金を貸すなどしていて,同被告人から感謝されこ
そすれ,強盗の対象にされるいわれは全くなく,また,被告人Bも,常日頃から本件被害者
とは一緒に飲酒するなどして交際していたものであり,このような関係にある被告人両名か
ら深夜,寝ているところを突然襲われ,長時間にわたり,暴行脅迫を受けた末に現金等を
強取され,それどころか無惨にも生命まで奪われたものであって,その肉体的精神的苦痛
は余りにも大きく,その無念さは察するに余りあり,上記犯行により発生した結果は極めて
重大である。このような本件被害者の遺族が被告人両名に対し厳しい処罰感情を抱くのは
誠に当然のことといわなければならない。
 そして,被告人Aは,上記強盗殺人等により入手した多額の現金を遊興費や借金の返済
資金等に費消した挙げ句,その後も金銭に困り,強取した本件被害者名義のキャッシュ
カードを使用してその銀行口座から現金合計7万8000円を引き出すという判示第4の
1及び2の窃盗の犯行に及んだ上,本件被害者の健康保険被保険者証やキャッシュカ
ードを使用して消費者金融会社からキャッシングカードを詐取し,それを使用し,同社の
無人契約受付コーナーの現金自動預払機から現金50万円を窃取するという有印私文
書偽造・同行使,詐欺及び窃盗の各犯行を次々と敢行し,その犯行で入手した現金等
の一部を殺害後の本件被害者方で生活するための光熱費等として,同人の銀行口座に
入金したほか,その残余を遊興費等として費消しており,上記各犯行後の犯情も誠に悪
質である。
 さらに,被告人Bは,判示第1,第2の1ないし3の各犯行後も金銭に困り,判示第3の住
居侵入及び窃盗の各犯行に及んで,現金約18万円を窃取し,その窃取した現金を共犯者
と分配して遊興費等として費消しており,上記各犯行後の犯情も悪質である。
 以上の各犯情を前提とし,さらに被告人両名の刑事責任を検討する。
 まず,被告人Aは,昭和55年ころより暴力団組員として活動し,上記のように当時の妻の
交際相手の家族らに対する傷害,銃砲刀剣類所持等取締法違反の各罪により服役し,
平成12年8月に出所したが,その後も暴力団に身を置き,無為徒食の生活をした挙げ
句,暴力団関係者からの借金などを重ねて追い込みをかけられた挙げ句,本件被害者
方に居候して身を隠さざるを得ない状態に陥るなどしており,本件各犯行当時の生活態
度は誠に芳しくなく,また前刑終了後わずか1年5か月程で,被告人Bらから誘われる
と,何の抵抗感もなく強盗の犯行計画に参加し,判示のとおりの金銭欲に駆られた一連
の犯行に及んだ上,当時自己が身を寄せて生活全般の面倒を見てもらっていた本件被
害者には身寄りが少なく,独り暮らしのため,その犯行が発覚しないと考えて本件強盗
殺人の犯行を敢行したばかりか,その犯行では,被告人Aが本件被害者を強盗の対象
とすることを言い出した張本人であり,その犯行の遂行についても終始主導的な役割を
果たし,積極的に犯行に及んでおり,この犯行は,同被告人なくしては考えられないこ
と,本件後の公判段階に至っても,その犯行を警察に通報した事件関係者に対し,服役
後の報復をほのめかすような言動をするなど本件公判での態度等からはどこまで本件
を真摯に反省しているか疑問無しとせざるを得ず,再犯の危険性が極めて高いこと,ま
た,本件各犯行後いずれの被害者やその遺族らに対し何らの慰謝措置や被害弁償をし
ていないことなどを考慮すると被告人Aの刑事責任は極めて重大である。
 そこで,被告人Aは,本件被害者の遺族に対し,謝罪の意を表明し,それなりの反省の態
度を示していることなど被告人Aのために斟酌すべき諸事情も認められるが,これらの情
状を十分に斟酌しても,上記の判示第2の強盗殺人及び死体遺棄の犯情が極めて悪質で
あることに照らすと,被告人Aを無期懲役に処することが相当である。
 一方,被告人Bは,長年にわたり暴力団組員として活動し,これまでに覚せい剤取締法
違反の罪により3回懲役刑を受けて服役し,その無計画な生活態度等のために飲食店の
経営に失敗するなどした挙げ句,本件各犯行に至るまでも債権の回収等に従事するなど
生活態度自体芳しいものではないこと,さらに本件各犯行前にも金銭に困るや,強盗事件
の報道をきっかけに共犯者を誘って判示第1の犯行に及んだ上,その後も判示の各犯行
に及んでおり,再犯の危険性が高いこと,被告人Bは,被告人Aから誘われて本件強盗殺
人の犯行に関与したとはいえ,実際の強盗,本件被害者の殺害,そして死体遺棄の各犯
行に主体的かつ積極的に参加して,被告人Aは,被告人Bの存在なくては上記各犯行を遂
行することが不可能であり,上記の各犯行では極めて重要な役割を果たし,その犯行後本
件被害者名義の銀行口座から引き出した現金の半分を当然のように入手していること,本
件各犯行後,いずれの被害者やその遺族らに対し何らの慰謝措置も被害弁償もしていな
いことなどを考慮すると,被告人Bの刑事責任の重さは,被告人Aと比較して低いとはいえ
ない。
 そこで,被告人Bは,本件強盗殺人の犯行では被告人Aから誘われ,その犯行に関与す
るに至ったものであり,この犯行では主導的な役割を果たしたとまではいえないことなど被
告人Bのために斟酌すべき諸事情も認められるが,これらの情状を十分に斟酌しても,上
記の強盗殺人及び死体遺棄の犯情が極めて悪質であることを勘案すると,その刑を酌量
減軽すべきほどの情状を認めることができず,被告人Bに対しても無期懲役に処すること
が相当である。
 よって,主文のとおり判決する。
平成15年2月25日
新潟地方裁判所刑事部
裁判長裁判官     榊   五十雄
裁判官     金子大作
裁判官    入江克明

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛