弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人神谷幸之の上告理由について。
 共有物の変更が共有者全員の同意を必要とすることは民法二五一条の定めるとこ
ろであり、共有物についての処分もまた同様に解すべきものであるから、本件共有
不動産自体についての抵当権を設定するためには共有者全員の同意を要し、共有者
全員の同意がなくてなされた抵当権設定契約は、本件共有不動産自体についての抵
当権設定の効力を生ずるものではない。しかし、通常の共有の場合、各共有者は、
自由に、その共有持分の上に抵当権を設定し、その登記をすることができるのであ
つて、そのために他の共有者の同意を必要とするものではなく、また、抵当権設定
契約が共有者全員の同意に欠けるため、共有物自体について抵当権設定の効力を生
じない場合でも、特段の事情のない限り、同意をしない共有者を除き、右抵当権設
定契約をなした共有者の各共有持分について各抵当権を設定したものと解する余地
も存するのである。
 ところで、本件において、被上告人らは、上告人が訴外Dに対して有する一審判
決添付別紙目録記載の債権を担保するため昭和三三年六月二日上告人と被上告人ら
との間に締結した被上告人ら共有の本件不動産に関する本件抵当権設定契約に基づ
く一切の抵当権は存在しないと主張してその不存在の確認、並びに本件抵当権設定
登記の抹消登記手続を請求するに対し、上告人は、本件不動産は被上告人らの共有
であることを認めた上、前記債権担保のため右不動産に対し被上告人らから抵当権
設定を受けた旨主張していることは、本件記録に徴し明らかであるところ、原判決
(その引用する一審判決をふくむ。以下同じ。)は、「本件抵当権設定契約に被上
告人B1が関与したこと、或は、同人の委任を受けて被上告人B2が右契約を締結
したことを認めるに足る証拠はなく、そうすれば右抵当権設定契約は共有者全員の
同意なくしてなされたものというべきであるから、民法二五一条により無効である
といわなければならず、よつて右抵当権の存在しないことの確認を求め且つ上告人
に対し右抵当権設定登記の抹消登記手続を求める被上告人らの本訴請求は正当であ
るからこれを認容すべき」旨判示している。しかし、共有不動産に関する抵当権設
定契約が共有者全員の同意なくしてなされたため民法二五一条に牴触し不動産自体
についての抵当権は有効に成立しない場合でも、共有持分上の抵当権設定の効力が
生じ得るものであることは先に判断したとおりであるから、この点の審理判断をな
さないで、本件抵当権設定契約が共有者全員の同意なくしてなされたという点のみ
を理由として、本件抵当権設定契約に基づく一切の抵当権の不存在を確認し、また、
本件抵当権設定登記の全部抹消登記手続請求を認容することは許されないものとい
うべきである。仮に本件において、被上告人らの本件不動産の共有持分上に上告人
の抵当権の存在が認められるとすれば、その限度で被上告人らの本訴請求は排斥を
まぬかれない部分を生ずることになる(昭和三七年五月二四日最高裁判所第一小法
廷判決、裁判集六〇巻七六七頁、昭和三八年二月二二日最高裁判所第二小法廷判決、
判例集一七巻一号二三五頁参照)。
 従つて、原判決が前記のとおり判示するのみで被上告人らの本訴請求を全部認容
すべきものとしているのは、民法二五一条の解釈適用を誤まり審理不尽の違法があ
るというべきであり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この
点論旨は理由がある。
 よつて、原判決を破棄し、更に審理をつくさせるため本件を原審に差し戻すべき
ものとし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎

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